[過去ﾛｸﾞ] 【この檻を抜けろ】能力者スレ【明日を掴むために】 (1002ﾚｽ)
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767(1): ◆moXuJYo6C0cW [sage saga] 2019/03/23(土)00:12 ID:bV+iW3Xeo(1/6) AAS
>>763
【冒涜者が首尾よくその場を立ち去れたなら、彼女の端末に連絡が届くだろう】
【お互い、数いる取引相手のただの一人ではあるのだろうが、少なくとも図体と反比例した心臓を持つあの醜悪な異形の男は】
【冒涜者の不興を買う事態は避けたかったらしい。蛇の聖女を襲撃し、司祭の亡霊の逆襲にあって情報を抜かれた時も、連絡は迅速に成されていたはずだ】
【その時も、謝罪と共にある薬が贈られた。彼女が被造物の痴話喧嘩で撃たれた時に、彼女を救った薬はその時に最初に提供したものだ】
〝どうも、ブラスフェミアさん。先ほど、SNSを見た。例の蛇女に絡まれたようだな〟
〝私が情報を引っこ抜かれたことが原因だ。改めてお詫び申し上げる〟
〝ついては、仕入れた素体の中から、貴女が喜びそうな者を選んでおいた。そちらさえ良ければ、進呈しよう〟
【添付されているのは、三十数名の年若い少年少女たちの動画。全員傷一つなく、提供された食事を摂る様は自然体で】
【恐らく、自分たちを待つ運命を知らされていないのだろう。異形自身は彼らの前に出ずに、見た目だけはまともな類の部下たちに管理させることで、ストレスを与えずに保管したことによるもの】
省11
768: ◆moXuJYo6C0cW [sage saga] 2019/03/23(土)00:13 ID:bV+iW3Xeo(2/6) AAS
>>765-766
【その頃、彼女の方にも贈り物が届く。正確には、彼女の居場所に対しての。ありがたくないプレゼントが】
【周囲の人々が拡散していくSNSの情報。更には生放送。そこに付随していくつもの着火剤が投げ込まれる】
【まずは、彼女が間違いなく〝本人〟であるとわかりやすくするための、当時の画像や映像】
【ついでに、蛇教がやってきた凄惨な悪事の数々を改めて振り返る呟き、投稿。自分たち『スクラップズ』が蛇教の振りをしてやったことまで含めて】
【「やっぱり本物だよ」「間違いないって」「何で？ 警察が嘘ついた？」「何のために？」】
【土壌はあった。ありふれた日常に降って湧いたイベント、でもあった。だが同時に】
【広がり行く疑念。高まり行く不安。先日の櫻州で起きた大事件以降、人々の暗い感情は蓄積していた。貪欲に矛先を求めていた】
【それに最後の一押しを。カニバディールは配下たちに指示を出す。まずは水の国から投稿せよ】
【「カツラつけてた時のこの女、見たことある。何かでかい女と歩いてた」。張り付けられた画像は、仲睦まじく歩く二人】
省23
771: ◆moXuJYo6C0cW [sage saga] 2019/03/23(土)01:07 ID:bV+iW3Xeo(3/6) AAS
>>770
〝何よりだ。貴女なら後れを取るとは思わないが、あんな死に損ないを相手にして怪我でもしたらつまらんからな〟
〝ああ、すぐに届けさせる。どのみち、貴女が気に入ると思って氷の国にいる手下に保管させておいたものだ〟
〝……耳よりな情報だ。ありがとう。あの女、私を前にした時は罪の意識などまるで見せなかったが〟
〝あの雌狼めに依存対象を移したと思ったら、そんな未練を残していたとはお笑いだな〟
〝なるほど、生放送を見たが彼奴が荒れ狂っていたのはそういうことかね。お見事だ〟
【文章越しにもムリフェンに対する侮蔑と、この事態への喜悦が伝わってくようだ】
【肉屋もまた、あの少女へ向けた憎悪は並々ならぬものがあるらしい】
〝わかった。必ずご招待しよう。彼奴が所属する外務八課を疎んでいる知り合いいるので、彼女らと同席することになると思うが〟
〝きっと、面白い見世物になることだろう。それで貴女を怒らせずに済むなら、お安い御用だ〟
省4
775(3): ◆moXuJYo6C0cW [sage saga] 2019/03/23(土)01:49 ID:bV+iW3Xeo(4/6) AAS
>>773
>>774
【飛んでくる石は、過去の証。少女の脳裏には、あの汚らわしい盗賊の言葉がよみがえっているだろうか？】
【「過去はお前を収穫しにくる――――必ず」。それを示すかのように、今あまりにも悲痛な表情で精一杯の攻撃をし続ける誰か】
【彼女を助ける者はいないのか。いるはずはない。そこにいるのは、最早か弱い少女ではなく、正体を暴き立てられたカルトの幹部】
【つい今しがた、周囲に破壊と混乱を振りまいた怪物と、そう認識されているのだから】
【唯一、彼女を庇うだろう外務八課の面々も、恐らくすぐには駆け付けられないことだろう】
【ただ一人、いるとすれば。彼女自身の身体から、靄のように湧き出したその影】
【彼女に託された禁術、『因果を逆流する術』に残された残骸。もはや生前の意志などないに等しく】
【それでも今、彼女の激情に反応して現れ出でたのは。かつての同志の姿】
省12
779: ◆moXuJYo6C0cW [sage saga] 2019/03/23(土)02:30 ID:bV+iW3Xeo(5/6) AAS
>>347
【フェイタルベルン・ファミリーに思ったより大ウケしたことは、カニバディールにも嬉しい誤算だったらしい】
【(一応は)正義の味方の陰口で盛り上がるという、また奇妙ではあるが楽しい時間でもあった】
【ファミリーの面々と競うように食べ、浴場の広さに感心しながら身体を清め(根から穢れ切ってはいたが)、大いに温まり、サウナで汗を流し】
【その後は、来客用の布団で久方ぶりに何の警戒もない安眠を貪った】
【意外にも質素なところには、我らが会計係の手腕を感じもした】
【朝食も一切残さず完食。カニバディールの舌も大いに満足した】
【そして、迎えの車まで用意してくれたことに改めて感謝し、その場を去ることになる。新たな野望へと向けて】
こちらこそ、いつ振りかに身内以外との楽しい時間を過ごせました。本当にありがとうございます
ええ、全く。明日をも知れぬ悪党だからこそ、その時その時を楽しむ余裕が肝要ですからな
省8
780(1): ◆moXuJYo6C0cW [sage saga] 2019/03/23(土)02:42 ID:bV+iW3Xeo(6/6) AAS
>>776-777
>>778
【司祭は答えられない。もう死んでいるから。ただ先ほどの呻くような微かな言葉で精いっぱいだった】
【それが彼女にとって余計に辛くて、更なる地獄への道だったとしても。そう言わずにはいられなかったのだろう】
【だって、娘の死を願う父が、どこにいるものか】
【誰もが彼女を許せなくても。あの狼しか彼女にいなかったとしても。もう彼女が、信仰に生きられなくなっていても】
【せめて、その命を。なんと無力なことか。石に当たって揺れ消えていく靄の、腕の断面部分から】
【蛇の形の靄が出てきて、彼女に少しだけまとわりついた。もう肉体はなくて、ぎゅっとは抱きしめられないから】
【その靄が、少しだけ上がっていく彼女を押し上げた。ほんの少しの手助けだったけれど】
【そう、これが我々の罪なのだ。死んだとて許されることはない】
省12
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