[過去ログ] 【この檻を抜けろ】能力者スレ【明日を掴むために】 (1002レス)
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772
(2): [sage saga] 2019/03/23(土)01:10 ID:HCViXu8r0(1/5) AAS
>>769

【ぽつりと涙が落ちた、――だからきっとその瞬間に彼女はせかいじゅうのことを忘れた。投げかけられた非道い言葉も。非道いことする通行人も】
【そうだとして彼女は間違いなく誰かの名前を呼んでいた。ぶつぶつと怨むように呪うような呟きは誰かの名前を呼んでいた。助けてって繰り返していた、だから】
【彼女にとっての世界はごく狭くって。それ以外はただ恐ろしいばかりで。だけど。だけれども。――目の前で笑ってくれるのがとっても嬉しく思えた、きっとひどく怯えているが故】
【――やさしく笑ってくれるのが嬉しかった。そうじゃないとおかしくなってしまいそう。だのにとっくにおかしくなっているのに違いなかった。いつから。たぶん、ずっと前から?】

――うん。うん。だって。だって、私、おねえちゃんだから、――、おねえちゃん、だから、――っ、だから、ねえ、
私のこと、――わたしのこと、もう一度、おねえちゃんって呼んで、――、――――――。

【ぎゅうって抱きしめたら/抱きしめられたら、彼女はどこまでも温かい柔らかかった。甘い香りがした。だのにどうしようもなく涙の匂いがした。今にも張り裂けてしまいそうで】
【貴方の/貴女の身体、温かいのだろうか。柔らかいのだろうか。香りはするのかしら。――どうであろうとも、彼女の指先は確かめるようにその背中を撫ぜようとするのだろう】
【その光が彼女の指先を弾いてしまうのだとしても。そこに居ること確かめたいみたいに。それとも本当にきちんと抱きしめてあげたいみたいに。伸ばす指先、煌めく紅紫色が】
省7
773
(1): [sage saga] 2019/03/23(土)01:11 ID:HCViXu8r0(2/5) AAS
>>769>>772

ウリュー。ウリュー、ごめんね、私ね、がんばったの、ねえ、いろんなことが、あったんだよ、私、――いっぱい、がんばったんだよ。
――みんなのぶんも、がんばらなくっちゃって、いっぱいがんばったの。マルフィクさんも。みんな。みんな……。みんな。みんな。しんじゃったの。
――――それでもがんばったの。……本当の、ただしい、ウヌクアルハイ様、――ちゃんと、……ちゃんと、しなくちゃって、――――――頑張って、だけど……。

【そうして並べる言葉はきっと懺悔と等しい意味合いを持っていた。――そうなのだとして、どうしようもなく拙かった。神様に赦しを乞う、というよりかは】
【お母さんやお父さんや大切な人に褒めてもらいたくて仕方がない子供みたいだった。――頑張ったねって、いっぱい頑張ったねって、それを見ていたよ、って言ってほしいって】
【だのに結局何も成せなかった。――だから表情は絶望にひずむ、悲しく声が引き攣る。痛みに呻いて、涙が吐息を詰まらせた。目だって本当はもうぐらぐらしているのに】

――――――――――、ウリュー、ごめんね、……ごめんなさい、わたし、私ね、――、かみさまのこと、しんじられなく、なっちゃった、私のこと、――たすけて、くれなかったの、
あのね、――すきなひとがね、できたの、……その人と居られたら、きっと、私、幸せなの、――――――私のこと、いっぱい、いっぱい、助けてくれたの、――それがうれしくて。
ウヌクアルハイ様のこと、あきらめたの、――助けてくれないウヌクアルハイ様を信じているの、やめてしまったの、……、――、
省8
776
(2): [sage saga] 2019/03/23(土)02:16 ID:HCViXu8r0(3/5) AAS
>>774>>775

【――――――うれしかった。気づいたら身体中の痛いのもなんだかぼんやりと滲んでいた、いつか全身の骨を折られたときは、もっといつまでも痛かったのに】
【たぶんきっとおんなじぐらい身体は傷つけられたのに、痛くなかったし怖くなかった。抱きしめられているからかもしれなかった。――――もう全身に力も入らないから】
【地面に寝かされて、彼女はきっとぼろきれみたいに横たわった。ぼおと開いたままの眼から涙はまだ落ちていたけれど、痛いのか、違うのか、それすらも誰にも分からなくて】
【――小さく呻き声をあげることの、その意味すらも説明したがらなかった。なれば瞼に振れられるのも、――拒むはずない、なら、現るマゼンタ色、待ちわびたように】

…………………………………………。

【ぐたりと弛緩する身体は何を発することもなかった。ただぼおっと開いたままの眼差しが、ともすれば微笑んでいるかのように緩んでいた。口元も、また、どこか笑みに似て】
【ああもういいかなって思ってしまいそうになる。このまま死んでしまえたら、みんな、私を赦してくれるのかななんて。思ってしまうの、決してないとは言えないから】
【いっぱい頑張った。神様を取り戻そうとした。――だけど駄目だった。誰かを好きになること、知ってしまった。それが幸せだって覚えてしまった。そんなの、悪い子だもの】
【痛くて苦しくて嫌なことをいっぱい頑張れば幸せになれるって信じてた。そうしたら神様が私を赦してくれるんだって信じてた。――だのに、人間は、ばかみたいにばかだから】
省7
777
(1): [sage saga] 2019/03/23(土)02:16 ID:HCViXu8r0(4/5) AAS
>>774>>775

ぁ、ッ、

【――――――――――、そうして向けた目を投げつけられた石が打ち据えた。指を差し入れたならきっと指先に纏わりつくように甘く瀞む色をした眼差しごと、衝撃に頭が揺らぎ】
【反射的に抑えた指の隙間からぼたり滴る雫は涙などではありえなかった。――真っ赤な真っ赤な血が滴る、それこそ虹彩の紅紫漏れ出るように/それよりよほど命の色をしていた】
【呆気にとられたように瞬く刹那を再び打ち抜くように、――投擲された石が、けれど、彼女までは届かない。瞠られた眼差しが何かを見つけて、そうして理解した、なら、】

マルフィク、さ、――、ぁ。いや……、わたし。私……。

【――もうきっとどうしたらいいのかなんて分からなかった。ひどい事ばかり言われて。ひどいことをされて。――――――だけれどそれはどこまでも道理であったから】
【だのに苦しいと思ってしまう。止めてほしいと思ってしまう。ましてや助けてほしいだなんて願ってしまう。きっと彼女は狡い子だから、狡くて弱くて、駄目な子だだから】
【逃げて/生きて。――そう言われたって、身体中が無理を訴えていた。だから、もう、やめてしまおうよ。――誰かが囁いていた。誰が。(たぶんそれは私/ムリフェン/私じゃない)】
省14
781: [sage saga] 2019/03/23(土)03:11 ID:HCViXu8r0(5/5) AAS
>>778>>780

【――――未練があった。未練だろうか。私はここで死ななくてはいけないのじゃないかと、――、哀しみに暮れて、やっとその復讐の機会を手にした、貴方のために】
【だけれど/そうだとしても/彼女は親しんだ彼の言葉を優先した、――だなんて言葉はきっと言い訳で。彼女が優先したのは我儘だった、自分の我儘、それから、あの人の我儘】
【その背中を蛇が押し上げる、――――ひとりで行けるかしら。行くしかないの。風切り音の刹那に紛れる声、「アレク――――――――――、」

【――だのに、ひゅうと風を切る感覚がどこまでも苦痛だった。ああもう眠たいの、――疲れたの。だから、途中で、ふっと思ってしまう、(いま全部をやめたなら)】
【地面からはきっとたぶん数十メートルあった。落ちたら常人はまず間違いなく死ぬ高さだった。――だから、たぶん、私だって死んでしまえた、疲れちゃったから】
【その囁きをぎちり噛んだ歯で殺す。ほんの一言何か呟いてしまったら終わりだって理解していた。数多の呟きが彼女の今のすべてを蹂躙した後なのだとして、】

【――ならば、彼女の姿はやがて負えなくなるのだろう。滴る血すら乾いてしまって、――――――――――、なら、残すのは、面白おかしい祭りの気配だけ】
【事情通を名乗る人間の的外れな推察が何十万も共有される。少しだって知っている人が見たら笑っちゃうくらいの適当な呟きが何万もリツイートされて】
【そうかと思えばごく程度の低いコラ画像が出回ったりもする。――誰かの身体に"少女"の顔だけ挿げ替えてみたものとか、それから、それから、もっとひどいものも】
省15
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