【安価でのわゆ】久遠陽乃は勇者である【7頁目】 (783レス)
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291: ◆QhFDI08WfRWv [saga] 2022/05/07(土)22:57 ID:aeomgeKDo(10/11) AAS
陽乃「……ふむ」

千景と違って二階建ての住居で、庭もしっかりと手入れされている家

千景と同じ平屋だが、それなりに広い敷地を持つ家

いくつかの住居に勝手にお邪魔して回った陽乃は、目を細める

ひなた「何か気になることでも?」

陽乃「随分と、平和だと思って」

ひなた「平和?」

陽乃「だって、平時と変わらない状態を維持していたでしょう」

廊下に空き缶が落ちていたり、ゴミ袋が溜まっていたりはせず、

玄関自体も綺麗に整えられていた。

室内や住民にしても、まるで侵攻なんて行われていないかのような状態だった。

もちろん、それが悪いとは言わない。

平穏を保つために、何か別のことに注力するのはおかしくないからだ。

けれど。

陽乃「侵攻が行われていて、その影響で誰かが傷ついていて、失われていて。それが恐ろしくて悲しいから郡さんの家にはあんなものがあったはずなのにね」

まるで、そんな恐怖も悲しみもないくらいに、周囲は平和に思える。

陽乃「結局は、自分には関係のないことだから荒んでいない。たった一つ鬱憤を放り投げればそれで気が晴れるのよ」

身内が亡くなったり、大切な何かが失われて

それが穏やかなものではなく、理不尽であったなら、平静でいられるものか。

生前のままを当たり前のように生きていけるものか。

陽乃「勝手に期待して、勝手に手のひら返して、みんな――」

ひなた「久遠さんっ」
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