狸吉「華城先輩が人質に」アンナ「正義に仇なす巨悪が…?」【下セカ】 (433レス)
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14: ◆86inwKqtElvs [saga] 2020/08/21(金)10:03 ID:Vqcr7VCy0(14/86) AAS
 店の奥に引っ込むと、形状と色の一致した、ローズクォーツというやつらしい石を持ってきた。だけどもちろんアンナ先輩の求めるものではなくて、

「もっと軽かったですわ……他にはわかりませんの?」

「うーん、ごめんね。石も本当に種類があって、私もね、勉強中だから」

「いえそんな。こちらこそ、失礼しましたわ」

 落胆はしているのだろうが、誠実な対応に好感を持てたのか、アンナ先輩はこの店と店主が気に入ったようで、機嫌はよかった。

「あの、では是非占ってほしいですわ。わたくしと奥間君の将来を」

 ガハッ!

 く、予想はしてたけど効いた。男にとって結婚とか将来とかそういう話はものすごく重い話で強烈なボディーブローなんだってことに気付いてほしい。あと何故占い師さんが僕と同じような反応してるんだ。

「と、とりあえず現在の二人の状態を見てみましょうね。えっと、生年月日教えてくれる?」

 僕とアンナ先輩がそれぞれ誕生日を言い合うと、占い師さんは自分のPMに入力して、何か天文図?みたいなものを表示していく。

「これね、二人が生まれた時の星の位置なんだよ。さて、じゃあタロットの方も見ていこっか」

 占い師さんってもっと重々しい口調なのかと思ったけど、案外フランクだな。こんなものなんだろうか。

「カードをね、『〜〜をお願いします』って願うんじゃなくて、『どうなりますか?』って尋ねる感じで、念じてながら混ぜてね。えっと、二人の将来についてどうですか?ってカードに訊く感じかな。そんなふうに思いながら混ぜてみて」

 僕とアンナ先輩、二人で一応真面目に念じながら混ぜあう。結構混ぜただろうか。

「もういい? はい、じゃあそれじゃ、三つの山に分けるから……よいしょっと。じゃあこの三つの山から、二人が別の山から一枚ずつ選んで」

 先に僕が選んで、次にアンナ先輩が選んだ。二枚のカードが占い師の前に並べられる。

 残ったカードを片づけると、選んだ二枚のカードだけが残された。

「じゃあ出たカードと、この星の位置から二人の将来を視てみます。心の準備はいいかな?」

「な、なんか緊張しますわ」

「緊張するよね、わかるわかる。でも開いちゃうぞー、えい!」

 カードが開かれた。といっても、全く知識のない僕にはなんのこっちゃだった。アンナ先輩も同じなのだろう。

「えっとね、まずタロットは正位置と逆位置っていってね、向きがあるの。占い師側から見ての結果なんだけど、奥間君は節制の正位置で、錦ノ宮さんは法王の逆位置になってるんだけど……」

 ちょっと待ってね、と天文図の方を見ている。確認すると、まずアンナ先輩の方から問いかけてきた。

「えっとね、彼女さんはね、すごく白黒はっきりつけたがるタイプじゃないかな? どう?」

 おお、当たってる。悪・即・斬!の人だからね。

「すごくね、秩序とか、規則とか、ルールとかね、そういうのに厳しい人なんだよね。法王ってそういう意味のカードなんだけど、これが逆位置に出ちゃってる」

「あまり、よくない結果なんですの?」

 若干不安そうに訊ねる。占いなんだから気楽に聞けばいいと思うんだけどな。

「逆位置だから悪いってことはないよー。カード次第だから。ただね、ルールに縛られて何も出来なくなっちゃったり、あるいは今、ルールが絶対で聞く耳を持たなくなったりしてないかなって、そういう暗示は出てる。自己完結しちゃったり、だけど実はその自分ってものが所属している集団の考えであって自分の考えじゃなかったり、そんな不安定な状態になっちゃってるんじゃないかなって」

「…………」

「あ、でもそんな悪い結果じゃないよー。あなたはね、すごく恵まれた星の下で生まれているから、なんでもこなせちゃう人。で、すごくパワフルな人で、もうこれと決めたらすごいパワーを発揮できる人なんだよ。これだけ潜在的なパワーを持った人って、私初めて見たな」

 占い師さんは半分本気で感心しているらしい。僕はというと占いってここまでわかるのかと結構驚いていた。

「でね、一直線で突っ走って、それが正しい方向に行けばすごくいい方向に働くんだけど、ちょっと道がずれると自分でも修正が効かなくなって、止められなくなっちゃう。カードの結果はね、今ちょっと、自分の中のルールとかを見直した方がいいっていう暗示だね」

 でね、と次は僕のカードを指差した。
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