狸吉「華城先輩が人質に」アンナ「正義に仇なす巨悪が…?」【下セカ】 (433レス)
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13: ◆86inwKqtElvs [saga] 2020/08/21(金)10:02 ID:Vqcr7VCy0(13/86) AAS
看板には『Arcana's door』とある。タロットと占星術占い、そしてパワーストーンの店とあった。
「奥間君から以前もらったパワーストーンがあれば、一人でも寂しさを紛らわせそうなんですの……あそこで買ったものですの?」
「いやあれはかなり特殊なパワーストーンで、あそこには置いてないかと……!」
というかアレ、パワー(物理)だから。チャクラとかそんなんじゃないから。
でも占いか。ぼったくり値段とかじゃないなら女の子は好きかも。PMのネットで評判を調べてみる。
「あ、結構評判いいみたいですね」
どうやら占い師は恋愛の神様とまで呼ばれているらしい。値段もさほど高くないようだ。
「えっと、どうします?」
OPENとは出てるけど、なんか嫌な予感もする。
「わたくしと奥間君の将来について占ってほしいですわ」
ほらやっぱりこんな感じになるよね! せめて占い師がまともな結果を言ってくれたらいいけど、そしてそれをアンナ先輩が聞いてくれたらいいけど、無理だろうなあ。
店は少し地下にあった。扉を開けるとからんからんとベルの音がなる。レンガの壁に間接照明のランプで、外からの光は遮断されていた。いかにも占いの館っぽい。なんかのアロマの香りがして、クラシックのピアノが流れていて、店内には様々な色の石が綺麗に整頓されて、なんか不思議な空間を形成している。
「シューベルトの即興曲集第3番ですわね。ピアノを習っていた時、この曲が好きでよく弾いてましたわ」
なんか懐かしそうに耳を澄ませている。そう言えばこの人ピアノのコンクールでも何度か入賞してるんだった。なんだろう、ピアノ上手い人の細く長い指が挑発的に僕を刺激していたのかと思うと、なんかこう、クるよね。あれ、僕だけ?
扉を開けると黒づくめのいかにも占い師さんって恰好をした女性が出てきた。
「いらっしゃいませ」
アンナ先輩に負けないくらい穏やかな声で出迎えてくれた。丸顔の童顔で多分僕の母さんとさほど変わらない歳だと思うけど、可愛いという感じの人だった。
「初めてのお客様ですね? ようこそ、Arcana's doorへ」
丁寧で落ち着きのある接客で僕達に笑いかけると、
「本日は占いですか? パワーストーンを選びますか?」
「えっと、予算どれくらいかかります?」
「占いは1回3000円ですね。カップル二人の運命を占うのも、一回なら3000円ですよ。パワーストーンは、ピンキリなのでなんとも言えないですけど、予算に合わせて作れます」
「あの、愛を感じるパワーストーンを探しているのですけども」
だからアンナ先輩そんなのここにはないんだってぇぇぇ! ほら占い師さんが困惑してるじゃないか!
「お二人は恋人同士ではない……?」
なんか若干嬉しそうに見えるのは気のせいかな。「いえそうではなく」とアンナ先輩が説明不足だったことに気付いて、
「以前奥間君、この人からもらったプレゼントがあって、それがパワーストーンだったのですけど、どこにも同じものがなくて」
そりゃないよ。パワーストーンじゃなく、不破さん手作りのピ○ローだもん。
「でも、壊れてしまって。あれがあると奥間君が、彼がいなくても寂しさを紛らわせそうなのですけど、なかなか入手できないみたいで」
なんか卵形の、とかピンク色の、といった色や形状の説明がさらに加えられると、
「うーん、愛に関しているパワーストーンでピンク色って言ったら、ローズクォーツが一般的なんだけどね」
占い師さんの言葉が砕けてきた。まあ自分の娘ぐらいの年だろうし学生の人気も高いから、接客はもともとこういう感じの人なんだろう。
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