狸吉「華城先輩が人質に」アンナ「正義に仇なす巨悪が…?」【下セカ】 (433レス)
1-

1
(3): ◆86inwKqtElvs [saga] 2020/08/21(金)09:49 ID:Vqcr7VCy0(1/86) AAS
昔、途中まで書いたものです。スレが見つからなかったというか、多分もう書き込めないでしょうし新しく立てさせてください。

その時はメインヒロインの声優さんの病死があって、ショックで最後まで書ききれなかったものなんですが、

5年たちますね。早いものです。

なんか昔のフォルダが見つかったので、いろんな意味での供養もかねて投下していきます。

前作がありまして、これを読まないと理解できないかもしれません。
省4
2: ◆86inwKqtElvs [saga] 2020/08/21(金)09:51 ID:Vqcr7VCy0(2/86) AAS
 足がひたすら重い。飢えたアナコンダの檻に向かう気分だ。しかもそのアナコンダは猛毒ももっている。ところでアナコンダのアナはどのアナなんだろう。

 現実逃避の思考は時間稼ぎにならず、僕は生徒会室に向かっていた。

 今日は華城先輩もゴリ先輩もいない。アンナ先輩と二人きりの生徒会室。何も起こらないわけがなかった。

 僕の誘拐事件から、アンナ先輩に決定的な変化が起きてから十日。

 アンナ先輩の家を出てから、二日が経っていた。
省25
3: ◆86inwKqtElvs [saga] 2020/08/21(金)09:52 ID:Vqcr7VCy0(3/86) AAS
 正直ゴム有なら僕ももう、アンナ先輩の言うとおりにしてもいいかと思っていたりも正直あるけど、アンナ先輩が妊娠したらアンナ先輩の両親からは社会的に命を絶たれ、僕の母さんからは生命的な意味で命を絶たれる。そして僕の死体はアンナ先輩が美味しく戴いてお腹の中でずっと一緒、ハッピーエンドだ。アンナ先輩、僕を傷付けないようにはしてくれてるんだけど、どうも食人趣味にも目覚めかけてて、この前喉元や小指を食い千切られそうになったんだよなあ。……あれは一時的な混乱と駆け引きの為のものだったと思いたい。

 とにかく中出しだけは絶対に出来ない。アンナ先輩は妊娠を望んでいるから避妊が出来ない。避妊抜きにゴムを着けなければならない理由も思いつかない。何よりアンナ先輩は上も下もどちらの口でも、僕の愛の蜜で満たすことが何よりも最上級の愛で快感らしく、故により美味しくいただきたいと、そういう発想に至ってしまっているらしい。

「ふふふひっ、忘れてはいませんわよね? ……わたくしの許可なく愛の蜜を出したら、オシオキですわよ? それとも、オシオキを望むなら、それでもわたくしは……ふふふふ、はあ、あはあ、あ、それも、いいですわね……! 奥間君が愛に悶える顔も見たいですの……!」

「ひ!」

 捕食者が悦びの声に思わず反射的な悲鳴が出た。強制的に快楽を与えられ続けて発狂しそうになった悪夢が蘇る。今のアンナ先輩なら間違いなくあれ以上のことが出来る。
省35
4: ◆86inwKqtElvs [saga] 2020/08/21(金)09:53 ID:Vqcr7VCy0(4/86) AAS
「「「…………」」」

「あら、鼓修理ちゃんもいらしてたの。……えーと、そちらの方は? 確か、奥間君の中学生時代の……?」

「わ、わたしの小学生時代の友達でもあるのよ、アンナ!」

 とっさに眼鏡をかけた華城先輩、鼓修理、ゆとりがアンナ先輩に怯え、僕に非難の視線を浴びせてきた。

 本当、ごめんなさい。せめてメールしようと思ったのだけど、アンナ先輩がサプライズで驚かせたいなんて言うから無理だった。隙を見つけたかったけど、無理でした、本当ごめんなさい!
省24
5: ◆86inwKqtElvs [saga] 2020/08/21(金)09:53 ID:Vqcr7VCy0(5/86) AAS
「退院はいつになるんでしたっけ?」

「あー、再来週の土曜予定よ」

 本ありがとうと、生徒会モードの華城先輩が仏頂面で、それでもそれなりに嬉しそうに差し入れを喜んだ。ゆとりや鼓修理はそれを複雑そうに見ている。

 《雪原と青》として、アンナ先輩には左肩を外され、肋骨の八か所にひびが入る重傷を負わされた。華城先輩は知らせるつもりもないが、アンナ先輩は自分自身が親友を傷付けたことを知らずただ心配しているだけというのは、ゆとりや鼓修理でなくても怒りや気持ち悪さを覚えるかもしれない。
省28
6: ◆86inwKqtElvs [saga] 2020/08/21(金)09:54 ID:Vqcr7VCy0(6/86) AAS
 奥間爛子は既に狸吉とアンナの仲は把握している。この娘が何故我が息子を選んだのか理解できないほど、よく出来た娘だった。

「どうぞ。粗茶ですが」

 優雅で上品な所作で、紅茶を二人分、自分とソフィアの前に置く。母親に対しても、あくまでホストがゲストを迎える丁寧さ。ソフィアはこういうところもきちんと躾けてきたのだろう。ソフィアは感情的な面はあるが、躾という点では本当に母親としては敵わないなと爛子は思った。

「すまないな。君も大変だろうに」
省19
7: ◆86inwKqtElvs [saga] 2020/08/21(金)09:55 ID:Vqcr7VCy0(7/86) AAS
「夏休み前から、どうも私に反抗するようになって。以前はそういうことはなかったのに、何があったのか」

「反抗期というものはどんな子供にも存在するだろう。それに転校に反対する娘の為にこの汚染された第一清麗指定都市に私を呼んだのは貴様ではないか」

 ソフィアは感情的だし厳しすぎる面もあるが、決して子供のことを思ってないわけではなかった。むしろ信念を持って、子供の為を思って、《公序良俗健全育成法》を夫である錦ノ宮祠影と共に国に通し、成立させた。

 一人娘のアンナのことだって、あれほどまでの理想的な娘を誇りに思ってないわけがない。転校したくないという娘の意思をソフィアなりに考えたうえで、自分をこの都市に呼んだのだ。
省28
8: ◆86inwKqtElvs [saga] 2020/08/21(金)09:56 ID:Vqcr7VCy0(8/86) AAS
「奥間君」

 母と義母の言うとおりに、寝室に戻り着替えてベッドで休む。

 愛しい人と一緒にいる時には、感じなかった、思い出さなかった衝動を、料理している最中に、包丁を持った瞬間に思い出してしまった。

 ――敵を追い詰めた時の快感。
省16
9: ◆86inwKqtElvs [saga] 2020/08/21(金)09:57 ID:Vqcr7VCy0(9/86) AAS
 夢うつつの中、僕は目が覚めた。十二月の朝は寒い。布団の中は暖かい。ぼーっとした頭で予定を思い出す。

 うーん、今日は土曜で学校側の予定は特にない。本来なら生徒会業務である政府の方針推進の為の冊子作成と流布という仕事が溜まっているけど、どうも先生方がアンナ先輩の家の事情やアンナ先輩、僕、華城先輩が一気に休んだことを考慮したみたいで、一時的に休んでいいと言われたのだ。冊子作成自体は単純作業だから、別にアンナ先輩や華城先輩みたいな実務能力に優れてなくても、代わりに出来る人がいると判断してくれたらしい。その他の生徒会でしか出来ない業務は全部済ませてるみたいだしね。

 アンナ先輩もあれだけ愛し(ヤリ)まくって当面満足だろうし、一回ちゃんと《SOX》の会議にも参加しないといけない。今日は昨日と同じく早乙女先輩以外は参加だっけ。アジトの方でエロイラストをいつものように生産するだろう。会議の方はどうしても、華城先輩の病室に行かないといけないからな……窓から漏れる光は弱く、まだ朝は早いのがわかる。

 よし、二度寝しよう。まだ朝は早いし布団の中は暖かいし柔らかいし、
省19
10: ◆86inwKqtElvs [saga] 2020/08/21(金)09:58 ID:Vqcr7VCy0(10/86) AAS
 アンナ先輩、僕と結ばれたことで変化はあっても安定したと思ったのだけど、それは僕が傍にいる時限定なのかもしれない。今の何かに怯える瞳はそうとしか考えられなかった。一回僕がいなくなっているから、その時の恐怖が蘇るのかな。この時の僕は、そう解釈していた。

 しかしすぐにその怯えは消え、僕をいたぶることに興味を戻してしまった。いや、その、これ見よがしに唇を濡らすのは止めてください朝っぱらから搾り取られる助けて!

「ああ、勿体ないですわ……せっかく溜めていたのに」

 僕の返事を聞くつもりなんてあるはずもなく、あっという間に僕の下のパジャマと下着をはぎ取ると、まず寝ているうちに出てしまった愛の蜜の香りと味を堪能する。

「スー、ハー、スー、ハー、スー、ハー、ああ、やっぱり溜めるとより濃くて美味しい味になるのですね……!? ふふ、奥間君が寝ている間はただ触れるだけでいたのですけど、それだけで奥間君の突起物が大きくなっていって、夢の中でもわたくしを愛しているのだと思うと幸せで、ゆっくり眠ろうと思っていたのに逆に眠れませんでしたわ」
省23
11: ◆86inwKqtElvs [saga] 2020/08/21(金)09:59 ID:Vqcr7VCy0(11/86) AAS
(ゴム、ゴムは!?)

 華城先輩からコンドームをもらっている。せめて中出しをしないようにとのことだが、妊娠を望んでいるアンナ先輩にどう説明すればいいのかまだ上手い考えが浮かんでいない。

 でもこれ逆だよね。普通中出し求めるのって男だよね?

 僕の愛の蜜の味の余韻に浸っていたアンナ先輩だったが、不意に立ち上がる。

「さて、今回はここまでにしますわね。オシオキは次回に持ち越しですわ」
省23
12: ◆86inwKqtElvs [saga] 2020/08/21(金)10:01 ID:Vqcr7VCy0(12/86) AAS
 メールで華城先輩に確認したらその通りだったようで、何だろう、《SOX》から自分ハブられているんだろうか。メンバーからのアタリやたらと強いんですけど。

 しかしいきなりデートと言われても思い浮かばない。この前はアンナ先輩が行きたい場所を指定したけど、今回はお任せになったからな。メールでいつもの喫茶店のマスターにテーブルの下に鉄の処女膜を用意してもらっておくけど、それ以外のところも行かないといけないよなあ。一応は。

 映画館? 水族館? ショッピング? 全然思い浮かばなかった。

「あ、あの、とりあえず午前中は街をぶらぶら歩きませんか?」
省26
13: ◆86inwKqtElvs [saga] 2020/08/21(金)10:02 ID:Vqcr7VCy0(13/86) AAS
 看板には『Arcana's door』とある。タロットと占星術占い、そしてパワーストーンの店とあった。

「奥間君から以前もらったパワーストーンがあれば、一人でも寂しさを紛らわせそうなんですの……あそこで買ったものですの?」

「いやあれはかなり特殊なパワーストーンで、あそこには置いてないかと……!」

 というかアレ、パワー(物理)だから。チャクラとかそんなんじゃないから。
省28
14: ◆86inwKqtElvs [saga] 2020/08/21(金)10:03 ID:Vqcr7VCy0(14/86) AAS
 店の奥に引っ込むと、形状と色の一致した、ローズクォーツというやつらしい石を持ってきた。だけどもちろんアンナ先輩の求めるものではなくて、

「もっと軽かったですわ……他にはわかりませんの?」

「うーん、ごめんね。石も本当に種類があって、私もね、勉強中だから」

「いえそんな。こちらこそ、失礼しましたわ」

 落胆はしているのだろうが、誠実な対応に好感を持てたのか、アンナ先輩はこの店と店主が気に入ったようで、機嫌はよかった。
省29
15: ◆86inwKqtElvs [saga] 2020/08/21(金)10:04 ID:Vqcr7VCy0(15/86) AAS
「彼氏さんはね、節制の正位置が出ててね、これは調節とか適応とか、そういう意味を持ってるんだけど」

 彼氏さん彼女さん呼びはもう置いといて、PMの天文図が切り替わる。多分僕の生まれた時の星の位置なのだろう、星の位置が僅かに動いた。

「彼女さんと違って、白黒はっきりつけるより、グレーゾーンが広い人。これはね、優柔不断に繋がることもあるけど、本質は善悪両方を呑みこむ度量を持っていて、これとカードの結果を合わせると、彼氏さんはね。組織で言う、バランサーだね。まず人の話を聞いて、上手く流れを作っていける人。だからね」

 占い師さんはアンナ先輩に笑いかけると、
省30
16: ◆86inwKqtElvs [saga] 2020/08/21(金)10:05 ID:Vqcr7VCy0(16/86) AAS
「むう……」

「…………」

 前回の事件で大怪我を負った綾女に代わって、鼓修理とゆとりが主に動き回って《SOX》は以前よりさらに上の段階の性知識を流布している。結果は上々で、本来ならもう少し空気が軽くてもいいはずなのだが、

「綾女様、狸吉と化け物のデート、見張りに行かなくて良かったんスか?」
省13
17: ◆86inwKqtElvs [saga] 2020/08/21(金)10:05 ID:Vqcr7VCy0(17/86) AAS
「くっつけばいいとかじゃない。狸吉はアンナの貞操を奪ったの。その責任は、きちんと取らないといけない。そこに《SOX》がどうという意見はないわ。別に恋愛は自由だもの。《SOX》が絡むと、またアンナが暴走する。狸吉自身が判断するべきことよ」

「あれを恋愛だとかいうのか? 狸吉は奪ったんじゃなく、あの化け物女が勝手に暴走して狸吉の意思を無視して、そんなのに責任だのなんだのおかしいだろ! 《SOX》としても完全にあの化け物女は敵として動いていて、そんなやつのもとに狸吉をおいとくのかよ! ばれたら殺されるより酷い目に遭わされるぞ!」

 ずっとこの調子で、二人は平行線だった。

 結局はあの化け物を昔から知っている親友でもある綾女と、もはや人間とすら思ってないゆとりの、どうしようもない壁だった。
省22
18: ◆86inwKqtElvs [saga] 2020/08/21(金)10:07 ID:Vqcr7VCy0(18/86) AAS
(堪忍して下さい、助けてください)

(無茶言わないでこの二人に僕が逆らえるわけないでしょ)

 視線だけで不破さんとやり取りする。四人がけのテーブルに、母さんと不破さんを奥に押し込む形で、僕が母さんの側に、アンナ先輩が不破さんの隣に座る。

「えっと、どうして不破さんと僕の母さんが一緒にお茶を飲んでるの?」
省21
19: ◆86inwKqtElvs [saga] 2020/08/21(金)10:07 ID:Vqcr7VCy0(19/86) AAS
 ああ、やっぱりそうなるのか。アンナ先輩の変化は顕著だからなあ。愛の儀式について語られたら僕殺されるなともはや悟りのような境地で聞いていた。

「奥間君がわたくしを深く愛してくれていることに、先日ようやく気付いたんですの。わたくしが思っていたより、ずっと強く」

 アンナ先輩は、僕に笑いかけた。

「確かに奥間君がわたくしを変えてくれましたわ。ですがその変化はわたくし自身が研鑽を怠れば、悪い方向へ向かっていきますでしょう。わたくしは奥間君がわたくしを変えたのだと誇りを持って言える女性になるよう、努力していきたいと思っています」
省22
20: ◆86inwKqtElvs [saga] 2020/08/21(金)10:08 ID:Vqcr7VCy0(20/86) AAS
「…………」

 あ、母さんは無理だ。卑猥を取り締まる動機が正義ではなく憎しみだから不破さんの求める答えは持っていないし、理論や理屈に関しては僕は不破さんを上回る人を知らない。

「殺人はなぜいけないのかと同じレベルの稚拙な疑問だな。小学生レベルだ」

「そう思われるならばそれで構いません。何故ですか?」
省31
1-
あと 413 レスあります
スレ情報 赤レス抽出 画像レス抽出 歴の未読スレ AAサムネイル

ぬこの手 ぬこTOP 0.463s*