魔女娘「あなたは何ができるの?」サキュバス「うっふーんなこと」 (282レス)
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27: ◆TEm9zd/GaE [sage saga] 2020/04/09(木)12:09 ID:JETatQBBO携(4/9) AAS
ライバル魔女「そもそも、何を焦っているんですの……? 貴女らしくもない……。いったい貴女は何を呼び出したんですの?」

友魔女「ヒューマンタイプだよね。君の魔力をすべて吸い取るなんて……少なくともただの使い魔じゃないね……」

魔女娘「……私が、呼び出したのは――」

ドア「」ガチャ

サキュバス「――お、目が覚めたみたいだね、マスター」
省11
28: ◆TEm9zd/GaE [sage saga] 2020/04/09(木)12:10 ID:JETatQBBO携(5/9) AAS
魔女娘「……サキュバ――」グウゥ

魔女娘「……お腹、へった……」

友魔女「こんなときに……キミってやつは……」

サキュバス「まあまあ……ほら、どうぞマスター。ここに来る前に食堂によって焼き立てパン恵んで貰ったの」

魔女娘「パン! 焼き立て!!」ピコーン
省3
29: ◆TEm9zd/GaE [sage saga] 2020/04/09(木)12:11 ID:JETatQBBO携(6/9) AAS
友魔女「で、サキュバスさん。貴女、先生に呼び出されてたけど、使い魔になるってことでいいのかい?」

サキュバス「そうそう。元いた場所に帰りますかって聞かれたけどね。帰る故郷もないし、面白そうだし――なによりご飯に困らなくなりそうだし」

サキュバス「腹ペコご主人様の使い魔をすることにしたの。これからよろしくね、ご主人様のお友達さん」

ライバル魔女「ワタクシは認めませんわよ!!」

サキュバス「ん? 君は……ご主人様の友達その2さん」
省4
30: ◆TEm9zd/GaE [sage saga] 2020/04/09(木)12:12 ID:JETatQBBO携(7/9) AAS
友魔女「おい……あんまり挑発しちゃ――」

サキュバス「くふふ、淫獣……淫獣って、ふふふ――あははっ」

サキュバス「なかなかどうして笑かしてくれる……」

ライバル魔女「な、なんですの……突然笑いだして……」

サキュバス「いえいえごめんなさいね、くふふ……ツボに入っただけだから気にしないで」
省8
31: ◆TEm9zd/GaE [sage saga] 2020/04/09(木)12:13 ID:JETatQBBO携(8/9) AAS
ライバル魔女「なんとかなりませんの、その暴食――食事なら私専属のシェフに一級のものを作らせますわ。ぜひワタクシの部屋まで」

魔女娘「いいや。学食いくから。まだお昼過ぎくらいでしょ? 今からシェフに作ってもらわなくても学食で十分」

ライバル魔女「なぜ!? 淫獣の持ってきた得体のしれないパンは食べられて、ワタクシの用意した食事は食べないの?!」

魔女娘「ポイント貯めたいから。――一緒にご飯食べるなら早く行こう。ぺこぺこなの、お腹」

友魔女「じゃあ私はご一緒するよ。倒れたキミを看てたから、何も食べてないんだ。それに良い使い魔を召喚したくて、ゲン担ぎに朝ご飯も抜いてきていてね。かく言う私もお腹ぺこぺこなの」
省5
32: ◆TEm9zd/GaE [saga] 2020/04/09(木)12:14 ID:JETatQBBO携(9/9) AAS
サキュバス「――くふふ、ほんと面白いね、アナタ達」

魔女娘「で、サキュバスは一緒に来るの? 来るんならポイントちょうだい」

サキュバス「ご一緒もするし、ポイントぐらい上げてもいいけど、その前に――」

サキュバス「パンツくらい替えてきたら?」

魔女娘「……漏らしたわけじゃないし、ご飯を優先してもいいと思うの」
省1
33: 2020/04/09(木)12:28 ID:Ul/T1AdBO携(1) AAS
待っててよかっ!!!た!
34: ◆TEm9zd/GaE [sage saga] 2020/04/15(水)10:01 ID:5EZ9OMUe0(1/13) AAS
――――――
――――
――

――???視点

 気づけば一面真っ白な世界にいた。

「いやーまいったねぇ。まさか死んじゃうなんて」

 真っ白な世界に一点のノイズ。
 サンタさんみたいにヒゲをもっさりと蓄えた老人が、私の目の前でそうぼやいていた。
省11
35: ◆TEm9zd/GaE [sage saga] 2020/04/15(水)10:03 ID:5EZ9OMUe0(2/13) AAS
 頷き一つ。
 『乙女のハートは恋の魔法』。略しておつ恋は、私が攻略と二次創作に青春を捧げ、何だったら社会人になっても同人活動を続けていた程、どハマリしたゲームだ。
 貴族と、一部の魔力がある平民しか入れない魔法学園を舞台に、たまたま魔力の才能に目覚めた町娘の主人公と貴族との恋愛を描いた乙女ゲーム。

「そのゲームと似たような世界にイレギュラーが起きちゃって、本来の歴史から外れてきているんだ」

???「そのイレギュラーをどうにかしろと?」

「そういうこと。本来あるべき歴史にするために、歴史の導となってほしいんだ」

???「分かったよ。で、私は誰に転生するの? 悪役令嬢? それともモブ?」
省7
36: ◆TEm9zd/GaE [sage saga] 2020/04/15(水)10:04 ID:5EZ9OMUe0(3/13) AAS
――食堂のテラス

魔女娘「もぐもぐ、んん〜仔牛さんうまうま」

ライバル魔女「本当によく食べますわね……」

ライバル魔女「さ、ドラゴンちゃん、あなたも一杯お食べなさい。強くなるのですよ」

魔女娘「そうそう。一杯食べて美味しくなってね」
省6
37: ◆TEm9zd/GaE [sage saga] 2020/04/15(水)10:05 ID:5EZ9OMUe0(4/13) AAS
魔女娘「あ、そうそう。今更だけど、友魔女はちゃんと使い魔召喚できた? 私が倒れたいざこざで流れたりしてないよね?」

友魔女「ちゃんと召喚できたよ。――ほら、この子」

黒猫「にゃーん」

魔女娘「ネコだ。可愛いね」

ライバル魔女「あら、なかなか高貴な身立ちではありませんか? まあ、うちのドラゴンちゃんの方が見目麗しいですけれど」
省3
38: ◆TEm9zd/GaE [sage saga] 2020/04/15(水)10:06 ID:5EZ9OMUe0(5/13) AAS
???「あ、先輩たち、こんにちは」

友魔女「ああ、キミか。こんにちは、後輩ちゃん」

ライバル魔女「ごきげんうるわしゅう、後輩さん。壮健なご様子で何よりですわ」

後輩「もうからかわないでくださいよ、ライバル魔女先輩。私なんて魔法が使えるだけのただの町娘ですよ。そんなに畏まって挨拶されると萎縮しちゃいます」

ライバル魔女「あらここは貴族の通う学校ですのよ。これくらい当たり前ですわ」
省8
39: ◆TEm9zd/GaE [sage saga] 2020/04/15(水)10:07 ID:5EZ9OMUe0(6/13) AAS
王子「ふん、お前は卑しいからな。元婚約者のお前が、嫉妬から俺の最愛の人を傷つける、なんてこともあるんじゃないかと思ってな」

ライバル魔女「あら、ごあいにく様。ワタクシ貴方に粉砂糖程の未練もございませんの」

後輩「ちょ、ちょっと二人とも仲良くしよ。ね?」

ライバル魔女「あら、ワタクシ別に争いたいわけではありませんよ」

王子「どうだか。――ほら、行くぞ、後輩」
省5
40: ◆TEm9zd/GaE [sage saga] 2020/04/15(水)10:08 ID:5EZ9OMUe0(7/13) AAS
王子「おい、お前さっきから無礼だぞ。食事をしながら、俺の後輩と話すな」

ライバル魔女「…………」

ライバル魔女「……あら、『俺の後輩さん』は確か、ただの町娘だったはず。少しくらい砕けた態度でもよろしいんじゃなくて」

王子「ふん、今はまだ、な。いずれ俺の妻となるのだ。その時には女王――つまり、国の母となるのだ。言わば後輩は『国の幼母』だ。だというのに、その態度!」

王子「そもそもだ。人と話すときに食事をするな、物を噛むな、手を止めろ! 話す相手が町娘だ王族だ以前の問題だ!」
省16
41: ◆TEm9zd/GaE [sage saga] 2020/04/15(水)10:10 ID:5EZ9OMUe0(8/13) AAS
友魔女「……何したの…………?」

サキュバス「面倒くさいことになりそうだったから、ちょっと軽い魅了と催眠をね」

友魔女「…………とんでもないな……」

魔女娘「……腹立つ」モグモグ

友魔女「こっちはこっちで、どうしたのさ」
省4
42: ◆TEm9zd/GaE [sage saga] 2020/04/15(水)10:11 ID:5EZ9OMUe0(9/13) AAS
ライバル魔女「ふう……ドラゴンちゃんお腹一杯ですの?」

ドラゴン「ぐるるる……」コクコク

ライバル魔女「そのようですわね」

友魔女「私も食べた食べた。お腹いっぱい」

魔女娘「……私は、まだ…………」
省8
43: ◆TEm9zd/GaE [sage saga] 2020/04/15(水)10:12 ID:5EZ9OMUe0(10/13) AAS
サキュバス「……精気が足りてない……」

友魔女「なんだって?」

サキュバス「精気よ、精気。生気と言い換えてもいいけど……」

サキュバス「字面の通り、生き物を生き物足らしめるのに必要なものよ。精気が不足するということは、即ち生き物としての死を意味するわ」

サキュバス「――精気は、私達サキュバスの主食でもあるわ」
省7
44: ◆TEm9zd/GaE [sage saga] 2020/04/15(水)10:15 ID:5EZ9OMUe0(11/13) AAS
友魔女「――?! 後輩ちゃん……? どうして?」

後輩「やっぱり心配だったんで戻ってきちゃいました!」

後輩「あ、安心してください。王子達はおいてきましたんで――」

ライバル魔女「そんなことより、どういうことですの!? ――相性がよかったって」

後輩「そのままの意味ですよ」
省7
45: ◆TEm9zd/GaE [sage saga] 2020/04/15(水)10:16 ID:5EZ9OMUe0(12/13) AAS
サキュバス「…………」

サキュバス「なら、サキュバスとしての食事をすれば、良いってことよね」

後輩「そうですね。お腹いっぱいになって精気(えいよう)が体中に回れば、自然と目を覚ますと思います」

友魔女「食事……サキュバスとしての……」

ライバル魔女「――――」
省7
46: ◆TEm9zd/GaE [saga] 2020/04/15(水)10:18 ID:5EZ9OMUe0(13/13) AAS
後輩「さ、決まったのなら急いだほうが良いですよ。魔女娘先輩の命のリミットは刻々と近づいて来てるんですから」

ライバル魔女「急ぎますわよ!!」

ライバル魔女「魔女娘さんはドラゴンちゃんに運ばせますわ。背中に乗せて――!」

サキュバス「お願いね、ドラゴンちゃん」

ドラゴン「キュルルル――!」
省13
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