【艦これ】初月「艦男の娘として生きる」【R18】 (461レス)
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1: ◆ag9TZfREZs [saga] 2019/10/02(水)00:01 ID:pSg+FWSO0(1/175) AAS
キャラ崩壊注意
生えてる注意
亀更新注意
廃鎮守府――
秋月「艦隊、戻りました」ザバッ
照月「ふぃ〜! 疲れたよ〜!」ゴロン
涼月「照月姉さん、そんなところで寝ないでください」
省4
2: ◆ag9TZfREZs [saga] 2019/10/02(水)00:03 ID:pSg+FWSO0(2/175) AAS
傷付いた体に鞭を打ち、僕たち四人は帰投した。
メインブレーカーを上げた後は、各自で必要最低限の電源をつけていく。
道中の廊下の窓を開け放ちながら、僕たちは同じ一つ部屋を目指して歩く。
3: ◆ag9TZfREZs [saga] 2019/10/02(水)00:03 ID:pSg+FWSO0(3/175) AAS
先陣を切る秋月姉さんの持つ鍵によって、目の前の立派な扉が開け放たれた。
閉めきった執務室は熱がこもり、ムッとした空気に包まれている。
僕と涼月姉さんで窓を開けている間に、秋月姉さんは椅子に腰掛け、照月姉さんがその傍らに立った。
4: ◆ag9TZfREZs [saga] 2019/10/02(水)00:04 ID:pSg+FWSO0(4/175) AAS
秋月「皆さん、出撃お疲れさまでした」
秋月「被弾は多かったですが、無事に帰ってこられて、本当に嬉しいです」
秋月「後は私と照月で報告を書いておきますので、涼月と初月は休んでいてください」
5: ◆ag9TZfREZs [saga] 2019/10/02(水)00:04 ID:pSg+FWSO0(5/175) AAS
初月「秋月姉さん……そろそろ僕らも手伝った方が……」
照月「大丈夫! これくらい照月たちだけでも十分なんだから! ね?」
秋月「ええ、なんなら私一人でも問題ありませんよ」
照月「そうそう、秋月姉一人でも……って照月秘書艦なのにー!」
秋月「こういうことなので、二人は先に入渠しておいてください」
省1
6: ◆ag9TZfREZs [saga] 2019/10/02(水)00:05 ID:pSg+FWSO0(6/175) AAS
端から見ればただの会話だっただろう。
だが僕には、姉さんたちが気遣っていることが、よく分かった。
特に、僕と涼月姉さんに対して……。
初月「行こうか」スタスタ
涼月「あ、はい……」タタッ
省4
7: ◆ag9TZfREZs [saga] 2019/10/02(水)00:05 ID:pSg+FWSO0(7/175) AAS
照月「……本当に、このままで良いの?」
秋月「でも私たちには、これ以上の手段がありません……」カリカリ
照月「まあ、秋月姉の決めたことに従ってるだけの私には、文句を言う資格はないかな」
秋月「……あなたまで巻き込んでしまって、ごめんなさい」
照月「どうして? 初月たちの苦しみは、照月たちの苦しみだよ?」
省3
8: ◆ag9TZfREZs [saga] 2019/10/02(水)00:06 ID:pSg+FWSO0(8/175) AAS
照月「あーでも、遊びが無いのはちょっと気になるかも」
秋月「……初月たちには寂しい思いをさせているのは、悪いと思います」
秋月「しかし、他に行く宛が無かった時に比べれば、今はずっと暮らしやすくなったと思いますよ?」
照月「……うん、そうだね! ちょっとずつだけど、確実に良くなってきてるもん!」
照月「頑張って資材を増やして、どんどん大きくしていこー!」
省1
9: ◆ag9TZfREZs [saga] 2019/10/02(水)00:06 ID:pSg+FWSO0(9/175) AAS
照月「……秋月姉は大丈夫?」
秋月「私を誰だと思ってるんですか? これくらい簡単ですよ」カリカリ
照月「……ペン、まだインクついてないよ?」
秋月「……」
秋月「……」チョンチョン
省3
10: ◆ag9TZfREZs [saga] 2019/10/02(水)00:08 ID:pSg+FWSO0(10/175) AAS
『涼月と』
11: ◆ag9TZfREZs [saga] 2019/10/02(水)00:09 ID:pSg+FWSO0(11/175) AAS
廊下――
ひび割れた床板。
埃の積もった窓枠。
蜘蛛の巣の張ったカーテン。
長い間誰もいなかった証拠だ。
省3
12: ◆ag9TZfREZs [saga] 2019/10/02(水)00:10 ID:pSg+FWSO0(12/175) AAS
涼月「あの、お初さん……」
こわごわと声をかけてくる涼月姉さん。
本当は聞かなくても分かっている。
姉さんが何を言い出すのか。
涼月「姉さんたちは、私たちのことを想って――」
省5
13: ◆ag9TZfREZs [saga] 2019/10/02(水)00:10 ID:pSg+FWSO0(13/175) AAS
姉さんが後ろから抱き着いて来た。
二つの柔らかな感触が、背中に押し付けられる。
涼月「あなたは悪くありません……!」
初月「さあて、それはどうかな」
涼月「その理屈なら、私の方が原因です……!」
省6
14: ◆ag9TZfREZs [saga] 2019/10/02(水)00:11 ID:pSg+FWSO0(14/175) AAS
初月「無理して僕を庇わなくていい」
初月「あの日、僕が艦隊からはぐれたのが、事の始まりなんだ」
初月「だから悪いのは僕。姉さんは艦娘として立派なことをしたさ」
涼月「でも……!」
初月「……そろそろ離れてくれないか? いつまでも入渠できない」
省4
15: ◆ag9TZfREZs [saga] 2019/10/02(水)00:11 ID:pSg+FWSO0(15/175) AAS
入渠――
初月「ふう……」
入渠施設の広い空間に、僕の声が響き渡る。
ボロボロになった制服の修復も兼ねるとはいえ、着たままの入浴はまだ慣れない。
姉さんたちくらい練度を高めれば、僕も気にならなくなるのだろうか。
省2
16: ◆ag9TZfREZs [saga] 2019/10/02(水)00:12 ID:pSg+FWSO0(16/175) AAS
ドックの液体に体を浮かべていると、あの日のことを思いだす。
艦隊からはぐれた僕に突如襲い掛かった、一匹の深海棲艦。
その存在に完全に気付いていなかった僕は、奴からの攻撃をまともに受けてしまった。
後から聞いた話では、体の六割が消し飛んでいたらしい。
事実、僕に轟沈判定が出ていたとか。
省1
17: ◆ag9TZfREZs [saga] 2019/10/02(水)00:12 ID:pSg+FWSO0(17/175) AAS
幸い、捜索にあたった涼月姉さんが、すぐに僕を発見してくれた。
結果、僕はなんとか生き延びた。
遠征先で手に入れた修復剤を使って延命させるという、姉さんの機転のおかげだ。
艦隊はすぐに鎮守府へ帰投、入渠ドックにぶち込まれ、本格的な治療を受けたよ。
18: ◆ag9TZfREZs [saga] 2019/10/02(水)00:13 ID:pSg+FWSO0(18/175) AAS
確かに僕は助かった。
しかし、深海棲艦の体液の混入、修復剤の継続使用という不安定な修復から、僕の体は以前から大きく変質することに。
初月「……」
僕はゆっくりとスカートをめくる。
お湯でゆらめく布きれの奥には、インナーと下着で隠せない膨らみが一つ。
省1
19: ◆ag9TZfREZs [saga] 2019/10/02(水)00:13 ID:pSg+FWSO0(19/175) AAS
『艦男の娘』――明石は確かにそう言った。
艦娘としての力を有しながら、肉体的には男としての特徴を有する。
理論上存在すると言われていたものの、前例のなかった存在だ。
その第一人者が僕とは……数奇な人生もあったものだな。
20: ◆ag9TZfREZs [saga] 2019/10/02(水)00:14 ID:pSg+FWSO0(20/175) AAS
正直なところ、自分が女であることに未練はなかった。
女で良かったと思ったことがなかったからな。
正確には、女で良かったと思う機会に巡り合わなかったことで、性への未練を抱かずに済んだのである。
悔いがあるとするなら、あの深海棲艦に後れを取ったことだ。
今度は先に噛み千切ってやる。
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