【ガルパン】 不死の感情 (708レス)
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1: ◆ujHylXatJU [saga] 2019/06/27(木)21:08 ID:nPZ5ZJEyO携(1/3) AAS
3次創作だが2次創作者には許可取ってきているので始めます。Rだけでやる程度には……です

作者は同一だぞ
2: ◆ujHylXatJU [saga] 2019/06/27(木)21:09 ID:nPZ5ZJEyO携(2/3) AAS
第1章 自分の戦車道、始めます!

No young man believes he shall ever die.
自分も死ぬことがあるのだろうとは決して信じないのが、若者というものだ

ハズリット『若者に見られる不死の感情について』より
3: ◆ujHylXatJU [saga] 2019/06/27(木)21:26 ID:nPZ5ZJEyO携(3/3) AAS
緑爽やかな初夏の風に長音のホイッスルの音が混じる

「故宮高校フラッグ車、走行不能。よってプラウダ高校の勝利」

淡々とした審判の声が響く。
何処かのテレビ局のヘリが、ある場所の上で周りの空気を引き裂く轟音を響かせながらホバリングする

「見えました!あちらです!……出てきました!JS2!JS2です?今年の優勝はプラウダ!本年度戦車道硬式大会優勝はプラウダ高校です!ついに最強の黒森峰、その呼び名に終焉が来てしまうのでしょうか!」

ヘリに乗ったアナウンサーは興奮した調子で語る。JS2とともにいた部隊のうちのT34/85のキューポラから、ヘッドギアを付けた少女が顔を覗かせた
省1
4: ◆ujHylXatJU [saga] 2019/06/27(木)21:36 ID:vzzIdRzq0(1/14) AAS
会場は先程の所ではない。
鉄道でここからしばらく行けば、先ほどの場所にたどり着くだろう。
先程の所へ行けるのはどっちか一方だが
5: ◆ujHylXatJU [saga] 2019/06/27(木)21:38 ID:vzzIdRzq0(2/14) AAS
空の雲は空全体の50%ほど。快晴ではないが、気象庁の判断では晴れだと言える。風の調子も決して悪くない

双眼鏡で遠くを眺めていた。目の前に映されるのは森の木々の幹、木の皮が所々外側へ捲れている。
そしてその先の隙間に広がる草原。断片情報を統合すれば、それはそれは広いものだと理解できるはずである。
かなり拓けた先。展開する時間と他の部隊の配置状況を見て、まだ向こうが背後に部隊を送り込む時間は経っていない。来るならこっちからだ

「みほ、見えるか?」

隣のティーガーIIのキューポラから上半身を出して姉が尋ねてきた。
だが先程から2つの穴が脳内で合成されて映る映像には、遠くで揺れる葉のついた枝以外動くものはない

「いえ、異常ありません」
省1
6: ◆ujHylXatJU [saga] 2019/06/27(木)21:41 ID:vzzIdRzq0(3/14) AAS
しかしすぐに風が湿気っぽくなってきた。
また見ると今度は枝以外にも動くものがいた。草原の奥の小さい林の陰から戦車群が顔を覗かせた。
その見分け方は、戦車の正面が丸っこかったら敵、という単純なものである。そして見事に条件に合致していた

「来ました!敵戦車発見。2時の方向。距離約一二〇〇、T34です。1輌……2輌……3輌です!」

「3輌なら問題ない。ここで撃破する。
各車前進ののち、1号車は先頭、2号車は中、3号車は後尾をそれぞれ撃破せよ」

姉の素早い指示が飛ぶ。
この判断の速さは私には十分には出来ない。
私も後ろのキューポラに身をねじり込み、すぐさま砲手に指示を出す
省1
7: ◆ujHylXatJU [saga] 2019/06/27(木)21:48 ID:vzzIdRzq0(4/14) AAS
ティーガーIの88ミリ砲が轟音と共に火を噴く。しかしその弾は少し手前の小さい丘の上で土煙を生んでしまった

「外した。着弾30メートル手前です!次弾早く!」

くそが。一撃だと言っただろう。タイムラグの間に相手は何ができる!

「1号車命中!」

「3号車命中!1輌こちらに向かって来ます!」
省10
8: ◆ujHylXatJU [saga] 2019/06/27(木)21:49 ID:vzzIdRzq0(5/14) AAS
姉の車輌の者が簡易机と茶を用意し、姉はその上で地図に印を付けつつ、茶をすすっていた

「他部隊の状況は?」

「確認済みの範囲内では、接敵なしとのことです」

「他の確認も早めに済ませろ。そしたら偵察で再度的の様子を探る」
省5
9: ◆ujHylXatJU [saga] 2019/06/27(木)22:20 ID:vzzIdRzq0(6/14) AAS
undefined
10: ◆ujHylXatJU [saga] 2019/06/27(木)22:21 ID:vzzIdRzq0(7/14) AAS
歯をガタガタ震わせている砲手が砲塔の前で蹲っていた。ちょっと手荒いが、命令は命令だ

「来なさい」

「ひいっ……」

手を掴んで戦車から引きずり下ろし、両手首を抑え肩甲骨の間を押しながら前へと連れて行く。
姉の近くに持っていくと、まずはポケットに手を突っ込み、彼女の拳銃を放り捨てる。
幸いナイフはお持ちでないようだ。この近距離で暴れられて面倒なのはそちらだし
省9
11: ◆ujHylXatJU [saga] 2019/06/27(木)22:21 ID:vzzIdRzq0(8/14) AAS
手を何度か顔の前で開閉させ、踵を返して姉が再び席に着いた

「いずれにせよみほ、こいつは次はチームから外せ。お前はいつも人選が甘すぎる。下手したら次がなかったかも知れないんだぞ?
我々SS12小隊は栄光ある黒森峰随一のエリートだ。その名に恥じぬよう、相手に恐怖を与える存在でなくてはならない」

そう言うと机の上の茶をもう一口すすり、淡々と続けた

「お前も西住の血を引く戦車乗りの一人だ。
黒森峰を、西住流の名を汚すような戦いをするな。
戦場で必要なのは友情じゃない。敵だ。分かっているな?」
省10
12: ◆ujHylXatJU [saga] 2019/06/27(木)22:25 ID:vzzIdRzq0(9/14) AAS
「隊長!」

監視に向かっていた姉の車輌の者がこちらに駆け寄り、姉の足元で息を切らして膝をつく

「どうした!」

「西住隊長!南方に大量の発射煙が?」
省22
13: ◆ujHylXatJU [saga] 2019/06/27(木)22:32 ID:vzzIdRzq0(10/14) AAS
炎のはじける音で次に目を開くと、黒い煙で占められた車内の中で、砲手が先程の痛みを間違いなく知覚出来なくなっているのを目で見た。視覚よし。
手足の指先を曲げる。触覚、神経よし。足も動く。重度の火傷も負ってないようだ。
死んでない、と結論付ける頭も働いている。
状況を確認。煙の匂い。脱出だな

キューポラを触ると火傷するレベルで熱い。熱いと漏らしつつ咳き込みながらなんとか押し開け、上半身を外に出した。
煙も私の体の側面を通って抜けて行く

車輌の前方に命中したようで、他の乗員への希望は抱きようがないだろう。私が一番悪運が強かったようだ

「みほ!」
省6
14: ◆ujHylXatJU [saga] 2019/06/27(木)22:38 ID:vzzIdRzq0(11/14) AAS
姉の車輌の者が手を差し伸べ、靴越しに熱を感じながらなんとか車輌から出た頃には、草原の向こうから幾重のエンジン音とともに戦車が向かってきていた。それも我々のものとは異なるもの

「敵戦車突っ込んで来ます!T34/85が5輌……いや10輌です。デザント兵を載せています」

デザント付きか

「隊長……」

「歩兵随伴か…………森がこれでは逃げられない、か……残念だが打つ手がない……投降しよう」
省2
15: ◆ujHylXatJU [saga] 2019/06/27(木)22:38 ID:vzzIdRzq0(12/14) AAS
何も吐き出さぬティーガーの排気口が4人を見下ろす中、多くのデザント兵の声が響く。
言語は実に多様で、何を言っているかは分からない。
だがそれがうぉーでもウラーでもアッラーアクバルでも万歳でも結末は大差ない。
履帯の回る音が時々刻々と激しくなる。
足音が微かにエンジン音に混じり出す。
その時共にいた者の1人が、恐怖からか戦車の背後から飛び出した

「と……投降します。撃たないで」

「バカ!体を出すな!」

姉の叫びも虚しく機銃の音とともにティーガーIIの脇に血まみれの屍体が完成した。
省3
16: ◆ujHylXatJU [saga] 2019/06/27(木)22:39 ID:vzzIdRzq0(13/14) AAS
ティーガーIIの両脇からT34が2輌現れ、完成した屍体を捻り潰し、1両が前方に回って自分らを囲むように止まった

「撃つな!」

「投降する。撃つな!」

「降伏です。降伏します!」
省12
17: ◆ujHylXatJU [saga] 2019/06/27(木)22:44 ID:vzzIdRzq0(14/14) AAS
今日はここまでです。木曜更新にするつもりです
18: ◆ujHylXatJU [saga] 2019/06/30(日)22:57 ID:GH7YNYU90(1/19) AAS
週二にすることにしたから更新するぞ
19: ◆ujHylXatJU [saga] 2019/06/30(日)22:58 ID:GH7YNYU90(2/19) AAS
RRRRRRRRR

アラーム音が部屋に響く

「撃たないでください!投降です!」

いるかの時計のヒレを押すと、アラーム音ではなくベッドから落ちる音、そして背中から振動が脳内へ響いた
省13
20: ◆ujHylXatJU [saga] 2019/06/30(日)22:58 ID:GH7YNYU90(3/19) AAS
それでも長年の癖は抜けないもので、外で鍵を開けた後数秒無音状態を作って外に気配がないことを確かめ、出てからも左右をさっと見る

「ととっ」

家を出る前にもう一度鍵を確認し、出発。
階段を下った先にいたのは、犬をつれる人、美味しそうな匂い溢れるパン屋さん、笑いながら登校する今日からの同級生、先輩、後輩。外の人は皆今日を生きている活気に満ち溢れているように感じられる。
日常の生活でも歩兵SSに睨まれている前の学校とは大違いだ

歩いている間に大きな校舎が何棟も並ぶのが見える。
校舎についた青と白の大の紋がのびのびとした感じを強調している。
きっとここの校風もその通りなのだろう
省4
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