肇「エイト・デイズ・ア・ウィーク」 (27レス)
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1: ◆dOYH2O5oOo 2019/02/14(木)00:35 ID:K8DbTlsW0(1/26) AAS
夫婦の、ある日の昼下がり
2: ◆dOYH2O5oOo 2019/02/14(木)00:41 ID:K8DbTlsW0(2/26) AAS
肇「Pさん、お茶をいれましたよ」

P「お、ありがとう」

肇「はい、どうぞ」

P「いただきます」

肇「…」
省1
3: ◆dOYH2O5oOo 2019/02/14(木)00:43 ID:K8DbTlsW0(3/26) AAS
肇「…」ジー

P「…あ」

肇「!」

P「肇、この湯呑みー」

肇「正解です! この前出来たばかりの新作なんです」
省1
4: ◆dOYH2O5oOo 2019/02/14(木)00:43 ID:K8DbTlsW0(4/26) AAS
肇「やっぱり気づいてくれましたねっ」

P「家にある器は全部覚えてるしな」

肇「ふふ、嬉しいです」

P「いい湯呑みだな」

肇「そう、思いますか?」
省1
5: ◆dOYH2O5oOo 2019/02/14(木)00:45 ID:K8DbTlsW0(5/26) AAS
肇「それ、母にも言われました」

P「お義母さんに?」

肇「私自身、自信作だと思っているんです。私の想いを素直に込められたような気がして」

P「肇の想い?」

肇「使ってくれる人の、喜ぶ顔を見たいなって」
省1
6: ◆dOYH2O5oOo 2019/02/14(木)00:45 ID:K8DbTlsW0(6/26) AAS
肇「他にいると思いますか?」

P「…肇、ありがとう」

肇「ふふ、どういたしまして」

P「お礼に頭を撫でてあげよう」ワシャワシャ

肇「あ、ちょっと、髪が乱れ」
省2
7: ◆dOYH2O5oOo 2019/02/14(木)00:46 ID:K8DbTlsW0(7/26) AAS
P「…ふう、満足した」

肇「…私はワンちゃんじゃありませんよ」プクー

P「柴犬かと思った」

肇「人間ですっ」

P「ごめんごめん」
省1
8: ◆dOYH2O5oOo 2019/02/14(木)00:47 ID:K8DbTlsW0(8/26) AAS
P「数日ぶりの肇を満喫したかったんだよ。昨日は出張の疲れですぐ寝ちゃったし」

肇「それは…私も、寂しかったですけど」

P「本当に?」

肇「本当ですよ」

P「岡山からひとりで上京してきたメンタルの持ち主なのに?」
省1
9: ◆dOYH2O5oOo 2019/02/14(木)00:48 ID:K8DbTlsW0(9/26) AAS
P「そうか?」

肇「あの頃は、寂しさ以上に、一人前のアイドルになることでいっぱいでしたから。前を向き続けることこそ、「藤原肇」だと思ってたんです」

P「今は?」

肇「夫のPさんがいて、妻の私がいる。…あなたと、私。ふたりでひとつの器であると、私は思っています。その器の片割れが欠けてしまったのなら、寂しいと思うのは当然じゃないですか?」

P「…」
省1
10: ◆dOYH2O5oOo 2019/02/14(木)00:48 ID:K8DbTlsW0(10/26) AAS
P「…寂しかったに決まってるだろ」

肇「…ふふ、そうですよね」

P「考えてみれば、肇がアイドルだった時の方がずっと一緒にいたんだよな」

肇「…そうですね。同じ景色を、ずっと一緒に、見続けてきました」

P「今でも昨日のことみたいに思い出せるよ。出会った時から、今日に至るまで」
省1
11: ◆dOYH2O5oOo 2019/02/14(木)00:49 ID:K8DbTlsW0(11/26) AAS
P「…色々あったな」

肇「はい、本当に…色々と。Pさんにはたくさんのことを教えてもらいましたね」

P「…何か教えたっけ?」

肇「ふふ、教えてもらいましたよ。アイドルの時から数え切れないくらい。何より…人を愛すること。人に愛されることが、こんなに幸せなことなんだって」

P「…」
省1
12: ◆dOYH2O5oOo 2019/02/14(木)00:50 ID:K8DbTlsW0(12/26) AAS
P「肇…」

肇「結婚してから、アイドルの時よりもずっと忙しくなるなんて思ってもいませんでしたよ」

P「え? …家事がってこと?」

肇「それもなくはないですけど、もっともっと大切なことでですよ」

P「陶芸家として器を作ったり、陶芸教室の先生との両立? あと、たまにテレビに出たりとか?」
省1
13: ◆dOYH2O5oOo 2019/02/14(木)00:51 ID:K8DbTlsW0(13/26) AAS
P「肇の軸?」

肇「さっきからたくさん話しているじゃないですか。あなたを、Pさんを愛することが、ですよ」

P「え」

肇「お嫁さんというのは、旦那さんを愛するのにこんなに忙しいものなのかと。それこそ、1日が24時間じゃ足りない、1週間に8日必要なくらいです」

P「…」
省1
14: ◆dOYH2O5oOo 2019/02/14(木)00:52 ID:K8DbTlsW0(14/26) AAS
P「…それは、大忙しだな」

肇「Pさんは、違いますか? 私よりもっと若い女の子に囲まれていて、私のことなんか忘れてしまいますか?」

P「そんなわけないだろ。いっつも肇のことを想ってるよ。他の子をプロデュースしてても、肇との思い出が溢れてくるし…俺も、忙しくてしょうがないくらい愛してるよ」

肇「…私が必要なくらい、Pさんも私の愛を必要としてくれてる。やっぱり、私は幸せ者です」
15: ◆dOYH2O5oOo 2019/02/14(木)00:53 ID:K8DbTlsW0(15/26) AAS
P「肇…」ギュウウウ

肇「…もっと抱きしめて、もっと愛してください、Pさん」

P「…」ギュウウウ

肇「もっと強く、もっと愛して…」
16: ◆dOYH2O5oOo 2019/02/14(木)00:53 ID:K8DbTlsW0(16/26) AAS
………

……………

…………………
17: ◆dOYH2O5oOo 2019/02/14(木)00:56 ID:K8DbTlsW0(17/26) AAS
P「ん…あ、寝ちゃったのか…」

肇「すぅ…すぅ…」

P「肇…寝顔、変わらないな」ナデナデ

肇「むにゃ…ごはん…」
18: ◆dOYH2O5oOo 2019/02/14(木)00:57 ID:K8DbTlsW0(18/26) AAS
P「はは、昔もそんなこと言ってたな。意外と食い意地が張ってるのかな」

肇「…おいしいですか、Pさん…」

P「あ…」

肇「…Pさん…ずっと、いっしょ…」

P「…ああ、ずっと、一緒だよ。肇…」
19: ◆dOYH2O5oOo 2019/02/14(木)00:57 ID:K8DbTlsW0(19/26) AAS
ー思い出す場所がある。今はもうないところ、これからも変わらず残り続けるところ、全ての場所に大切な思い出がある。

忘れることなんてできない、大切な人たちとの記憶の場所。

もう遠くに行ってしまった人、今でも元気な人、毎日顔を合わせる人、その全ては、大切な宝物なんだと思う。
20: ◆dOYH2O5oOo 2019/02/14(木)01:00 ID:K8DbTlsW0(20/26) AAS
でも、そんな宝物でも、肇とは比べられないんだよ。
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