中野三玖「だっかんじぇらしー」 (96レス)
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1: [saga] 2018/12/12(水)21:50 ID:6DnlY60f0(1/12) AAS
五等分の花嫁のss。R18。

中野二乃「こんすいれいぷ」
vip2chスレ:news4ssr

の続きです。
2: [saga] 2018/12/12(水)21:51 ID:6DnlY60f0(2/12) AAS
「あ、上杉さん。ここでしたか」
「お、おお。四葉か」

 珍しくバイトも家庭教師の予定も入っていない一日だったので、一人学校の図書室にこもって勉強していた。ここ最近、自分のためだけに使える時間がぐっと減っていたので、こういう機会は無駄に出来ない。また、勉学に精を出している間は、思考を一点のみに集中できるのでありがたかった。私事だが、近頃は色々なことに巻き込まれ過ぎて、頭がパンク寸前なのだ。
 そんな最中の来客は、はっきり言ってしまえば望ましいものではなかった。しかし、ここに来るからにはその目的は読書か勉学なので、文句を言うわけにもいかない。
3: [saga] 2018/12/12(水)21:52 ID:6DnlY60f0(3/12) AAS
「隣、良いですか?」
「なんだ、今日は家庭教師の日じゃないけど」
「個人的に教えてもらいたいことがあって。先生に聞いても良く分からなかったので、困ったときの上杉さん頼みです」
「……なら、仕方ない」
「この数学の問題なんですが」
「ぶほっ!」
「上杉さん?!」
「……気にするな。続けてくれ」
4: [saga] 2018/12/12(水)21:53 ID:6DnlY60f0(4/12) AAS
 ノートを広げた先に待っていたのは、ちょっと前にとある生徒からも質問を受けた問い。説明用の作図のあとで意識を失ったのは、まだ記憶に新しい。それと同時に、非常に生々しい情事の記憶も呼び覚まされてしまって、ばれないように前かがみになった。

「点Hの扱いが全然分からなくて。ここの曲線と点Hの関係が大事なのはぼやーっと理解できるんですけど、でもそうすると、H以外のことが考えられなくなって困るんです」
「分かった。一回黙ってくれ」
「へ?」
「いや、教えるモードに入るから。それまで静かに」
5: [saga] 2018/12/12(水)22:14 ID:6DnlY60f0(5/12) AAS
 おちょくっているのかこいつは。えっちえっち連呼しやがって。まさか二乃や三玖が喋ったなんてことはないと思うけれど、それでも気になるものは気になるのだ。こちらの反応を見て遊んでいるのではあるまいな。
 ただでさえ同じ顔だからやりづらいのに、絶妙に行為を連想させるワードを叩き込まないで欲しいものだ。こんな時間から悶々とさせられてもどうしようもない。
6: [saga] 2018/12/12(水)22:15 ID:6DnlY60f0(6/12) AAS
「……よし、ペン出せ。どこから分からなくなっているのかを確認するためにも、解答の過程を一から追いかけるぞ」

 無心だ無心。直接関係のない四葉相手にムキになっても意味がない。とにかく落ち着いて教えて、もう一度自分だけの穏やかな時間を確保しよう。スムーズにこなすことが、ゆくゆくは俺のためになる。
 …………けれど。
7: [saga] 2018/12/12(水)22:17 ID:6DnlY60f0(7/12) AAS
「上杉さん、この式はどうして出てくるんでしたっけ?」
「あー、えっと、それはだな……。やべ、途中式抜けてる……」
「お疲れでした?」
「いや、待ってくれ。まだギアが上がってないだけだから。ここから本調子に戻す」
8: [saga] 2018/12/12(水)22:18 ID:6DnlY60f0(8/12) AAS
 なかなかどうして上手く行かない。いや、原因は間違いなく分かっているのだけれど、それを認めてしまうことがどうにも恥ずかしく思えて、踏ん切りがつけられないのだ。
 俺は同世代の男子とは違って、性欲なんかに支配されるような意志薄弱な人間じゃない。それを誇りのように思ってこの数年勉学に励んできたというのに、一度童貞を捨てただけでこのザマだなどと、どうしてもプライドが許さないのだ。
 これまでは、あらゆる欲を理性で制御してきたつもりだった。だから今さら、一時の快楽に流されるなんてことがあってはならない。ならないのだから――
9: [saga] 2018/12/12(水)22:18 ID:6DnlY60f0(9/12) AAS
「上杉さん、なんだか顔が赤いみたいですよ?」
「……知恵熱」

 ――四葉の体に二乃の裸体を重ねてしまったなんて言い出せるわけもなく、ぷいっとそっぽを向いた。五つ子はこういうところで作用してくるのかと、心の中で悪態を吐く。性格的には全然違う癖に、まったく同じ体つきだなんて、たちが悪いにもほどがあるだろう。
 
 俺の渋るような返答を聞いた四葉は何かしらの思案を経てから、ぽんっと手を打った。いかにも、『妙案を思いつきました!』みたいな顔で。
10: [saga] 2018/12/12(水)23:21 ID:6DnlY60f0(10/12) AAS
「おい」
「じっとしててくださいねー」

 ずずいっと顔を寄せてくる四葉。端整な顔立ちだなあなんて思っている余裕はなく、脳裏をよぎるのは、この前強引に二乃に唇を奪われた時のこと。……え? そんな素振りなんて一切見せてなかったってのに、まさか四葉もなのか……?

「そこまで変わらないので問題はなさそうです」
「…………お前の体温が高いだけだ」
11: [saga] 2018/12/12(水)23:23 ID:6DnlY60f0(11/12) AAS
 おでこ同士をぴったりくっつけて、熱の計り合いをしているつもりらしい。正月の時と言い、こいつは他人との距離感の取り方がバグっているとしか思えなかった。やり方なんて、他にいくらでも選べそうなものなのに。

「じゃあ、体調に異常がないのが判明したところで、続きをしましょうか。あんまりお時間を取らせてもいけないですし」
「……ああ、さっさと理解してくれ」
12: [saga] 2018/12/12(水)23:24 ID:6DnlY60f0(12/12) AAS
 どっと気疲れが押し寄せてきて、そのまま肩を落とす。勘弁してくれよ、ほんと。 
 しかし、朗らかに笑っている四葉の顔を見るとどうにも毒気を抜かれてしまってダメだった。ご姉妹の中で一番単純なようでいて、実のところ最も良く分からないのがこいつかもしれない。

 その後二十分くらいの悪戦苦闘の末、なんとか四葉から「納得しました」との言葉を引き出すことに成功した。お辞儀をした後で元気よく走り去っていく彼女の後姿を脱力しながら眺めた後で、俺もようやく自分自身のテキストを開き直す。気を抜いていると、また思い出してしまいそうだ。
13: 2018/12/13(木)18:04 ID:o2aDNtYAo(1/2) AAS
期待Max
14: [saga] 2018/12/13(木)20:37 ID:wXoZOq/r0(1/32) AAS
行くぜ
15: [saga] 2018/12/13(木)20:38 ID:wXoZOq/r0(2/32) AAS
 ノートを広げた先に待っていたのは、ちょっと前にとある生徒からも質問を受けた問い。説明用の作図のあとで意識を失ったのは、まだ記憶に新しい。それと同時に、非常に生々しい情事の記憶も呼び覚まされてしまって、ばれないように前かがみになった。
16: [saga] 2018/12/13(木)20:38 ID:wXoZOq/r0(3/32) AAS
「点Hの扱いが全然分からなくて。ここの曲線と点Hの関係が大事なのはぼやーっと理解できるんですけど、でもそうすると、H以外のことが考えられなくなって困るんです」
「分かった。一回黙ってくれ」
「へ?」
「いや、教えるモードに入るから。それまで静かに」
17: [saga] 2018/12/13(木)20:39 ID:wXoZOq/r0(4/32) AAS
 おちょくっているのかこいつは。えっちえっち連呼しやがって。まさか二乃や三玖が喋ったなんてことはないと思うけれど、それでも気になるものは気になるのだ。こちらの反応を見て遊んでいるのではあるまいな。
 ただでさえ同じ顔だからやりづらいのに、絶妙に行為を連想させるワードを叩き込まないで欲しいものだ。こんな時間から悶々とさせられてもどうしようもない。
18: [saga] 2018/12/13(木)20:39 ID:wXoZOq/r0(5/32) AAS
「……よし、ペン出せ。どこから分からなくなっているのかを確認するためにも、解答の過程を一から追いかけるぞ」

 無心だ無心。直接関係のない四葉相手にムキになっても意味がない。とにかく落ち着いて教えて、もう一度自分だけの穏やかな時間を確保しよう。スムーズにこなすことが、ゆくゆくは俺のためになる。
 …………けれど。
19: [saga] 2018/12/13(木)20:40 ID:wXoZOq/r0(6/32) AAS
「上杉さん、この式はどうして出てくるんでしたっけ?」
「あー、えっと、それはだな……。やべ、途中式抜けてる……」
「お疲れでした?」
「いや、待ってくれ。まだギアが上がってないだけだから。ここから本調子に戻す」
20: [saga] 2018/12/13(木)20:40 ID:wXoZOq/r0(7/32) AAS
 なかなかどうして上手く行かない。いや、原因は間違いなく分かっているのだけれど、それを認めてしまうことがどうにも恥ずかしく思えて、踏ん切りがつけられないのだ。
 俺は同世代の男子とは違って、性欲なんかに支配されるような意志薄弱な人間じゃない。それを誇りのように思ってこの数年勉学に励んできたというのに、一度童貞を捨てただけでこのザマだなどと、どうしてもプライドが許さないのだ。
 これまでは、あらゆる欲を理性で制御してきたつもりだった。だから今さら、一時の快楽に流されるなんてことがあってはならない。ならないのだから――
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