ドロシー「またハニートラップかよ…って、プリンセスに!?」 (699レス)
ドロシー「またハニートラップかよ…って、プリンセスに!?」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1520954906/
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253: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2018/12/30(日) 01:28:02.82 ID:kcfr5bZc0 …特別温室… 博士「…では、こちらがキュー・ガーデンの誇る「特別温室」です……どうぞお足下に気を付けて下さい」 プリンセス「ええ、ありがとう……まぁ、何だか風変りな香りがいたしますね?」 博士「かもしれません、東洋の珍しい花木を集めておりますから」 プリンセス「なるほど…ちせさん、この温室をご覧になった感想は?」 ちせ「うむ、さすがはアルビオン王国の誇る植物園……これなら持参した種や苗も有効活用して頂けるものと存じます」 プリンセス「ふふ、嬉しいお言葉です」 白髪の委員「おぉ、そうそう…姫様のご学友は東洋の貴重な工芸作物の種を持参して下さったとか……ぜひ拝見したいものですな?」 片眼鏡の委員「確かに」 プリンセス「まぁまぁ、委員の皆さま方ったら…わたくしの友人も種も逃げ出したりはいたしませんし、せめてしばらくの間、この珍しい花々を観賞させてくださいな?」 白髪の委員「これは失礼いたしました……プリンセスのお気持ちも考えず…」 プリンセス「いえ、卿の王立園芸委員としての熱心さには頭が下がりますわ……♪」孫と祖父くらい年の離れている委員に向けて、無邪気に微笑みかけた… 白髪の委員「これはお恥ずかしい……博士、私たちは先に庭園の方で待っているから、しばらくは君が案内してあげなさい」 博士「分かりました」 プリンセス「…それでは博士、エスコートをお願いいたしますわ♪」 博士「はい…プリンセスをご案内出来るとは光栄です……」 プリンセス「それでは参りましょう?」 ちせ「御意」 ……… … 博士「この百合はオリエンタル・リリーと申しまして……夏ごろになると草丈が6フィートにも育ち、堂々とした白い花を咲かせます…」 プリンセス「なるほど…ところで博士、あのお花は?」 …視線を向けた先には「目標」のユリが数株、ちょっとした岩を組み合わせた段の隙間から生えている……花はすでに散っていて、種を抱えたさやがふっくらとふくらんで、もう半日といったところまで開きかけている… 博士「あぁ、はい…あれが今回東洋で見つかった珍しいユリでして……このユリの何が珍しいかと申しますと、まずは半日陰を好むユリと違って明るい日なたの岩場に良く育ち、花弁の数が一枚多く、めしべの長さも普通のオリエンタル・リリーより長い…その上花色が時期によって徐々に変化するという大変珍しい性質を……失礼、ついまくしたててしまいました///」 プリンセス「いえいえ、博士の博学なことに感心いたしました…ではもっと良く観察させていただきます。あら、残念なことに花は終わってしまっているようですね……そんなに珍しいものなら咲いているところが見たかったですわ…」 博士「申し訳ありません…花はつい数日前に散ってしまいまして……プリンセスがおいでになると聞き及んでいたら、温室の温度を調整するなりして花期を延ばしたのですが……」 プリンセス「いいえ、博士のせいではありませんもの……お気遣いありがとう。花はありませんけれど、ちせさんもご覧になって?」 ちせ「ほう、そのように珍しいものを見ることが出来るとは光栄で……うっ…!」急にめまいがしたようなふりをしてふらつき、ユリの方に倒れかかる… ベアトリス「あっ…!」 博士「あぁっ!」 プリンセス「ちせさん…っ!」 ちせ「う……申し訳ない、急にくらくらとめまいが……」 プリンセス「あぁ、それはいけません…どなたか、気付け薬を持ってきて下さる?」 侍従「は、はいっ…!」 プリンセス「ベアトリス、あなたはちせさんを座れるところまでお連れして?」 ベアトリス「はい、姫様…!」 博士「ご、ご学友の方は大丈夫ですか…!」 プリンセス「ええ、ありがとう…ちょっとふらついただけですわ」 博士「ならいいのですが……いかん、ユリが…!」 プリンセス「あぁ、何てことでしょう…博士、ユリは大丈夫ですか?」 博士「あぁ…えぇと……ふぅ、茎や葉は大丈夫です…ご学友のお身体が少し触れてしまったようで、種の入っているさやが割れてしまいましたが……これは私が回収しますので」 プリンセス「ごめんなさいね、博士…?」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1520954906/253
254: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2018/12/30(日) 02:07:34.22 ID:kcfr5bZc0 博士「いえ、めっそうもない…それより、ご学友の方は大丈夫でしょうか?」 プリンセス「ええ、多分大丈夫ですわ……お気遣いありがとう。このことは委員のお爺さんたちには秘密にしておきましょう♪」茶目っ気たっぷりのチャーミングな笑顔を見せるプリンセス… 博士「そ、そうですか…?」 プリンセス「ええ。だってそうでもしないと、博士が気難しい委員のみなさんに怒られてしまいますもの…別に博士のせいではありませんのに」 博士「そんなことまでお気遣いいただき……何といったらよいか///」 プリンセス「いえ、構いませんわ…それに、ここは素敵な場所ですね。…もう少しだけ案内して下さる?」 博士「も、もちろんです…///」 プリンセス「ありがとう♪」(ちせさんの演技も上手だったし…これで任務の半分は済んだわね♪) ……… …園内・貴賓室… 白髪の委員「…さてさて、プリンセス…久しぶりの見学でしたが、いかがでしたかな?」 プリンセス「大変興味深く拝見させていただきましたわ。きっと学業の糧としても役立つことでしょう♪」 白髪の委員「それは何よりですな…ご学友の方はいかがでしたかな?」 ちせ「は、実にすばらしい植物園を拝見させていただき感謝あるのみです…」 白ひげの委員「結構ですな……ところで」別の委員が口を挟んだ… 白髪の委員「分かっておる…それで、ですな……」 ちせ「……いかにも、これを我が国の大使より「貴国との友好と親善のためにお渡しせよ」と預かっております」 片眼鏡の委員「おぉ……では失礼」無礼ではない程度に丁寧ながらも、いそいそと包みを開いた… 白髪の委員「これは…博士、分かるかね?」 博士「えー…はい。こちらが桑の種で、こちらが紅花……いずれも日本の固有種であったり、主要な輸出品となっているものです」挿し絵のついた包み紙と学名を見比べたりしながら、種を調べている… 白ひげの委員「うむ、そうじゃな…あー、「ちせ」さんと申されたか……このような素晴らしい種をいただき、王立園芸委員会としては感謝の念に堪えませんぞ……我が方からも秘蔵の種を選りすぐったのでな、ぜひお国の植物園なりエンペラー(天皇)のお庭になりに育てて、両国の友好を思い出すよすがとして頂きたい」 ちせ「ははっ…その言葉、一言一句誤りなく大使に伝えます」 白ひげの委員「結構…では、もう一杯紅茶をいかがかね?」 片眼鏡の委員「クッキーもありますぞ…キュー・ガーデンで供される茶や菓子はなかなかのものですからな」 ちせ「では、ありがたく…」 プリンセス「…ふふ♪」 ……… … …夕方・部室… アンジェ「みんな、ご苦労様」 プリンセス「ええ…お疲れさま、ちせさん」 ちせ「うむ。ところで私の「貧血のふり」はどうであったろうか」 プリンセス「とてもお上手だったわ…それにベアトがびっくりしてくれたおかげで、よりそれらしく見えたわね♪」 ベアトリス「もう…本当にびっくりしましたよ……」 ちせ「単に息を止めていただけなのじゃが、存外上手く行ったのう」 アンジェ「それで、成果のほどは?」 ちせ「うむ…」机の上で袖を振るうと、パラパラとユリの種がこぼれ落ちた ドロシー「ふぃー…この種のせいでえらく面倒な目にあったが、もうこれで悩まなくて済むな」 プリンセス「ふふ、そうね…♪」 アンジェ「それじゃあ…これは堀河公に渡してちょうだい。あなたが手に入れたプロダクト(産物)なのだから、正当な権利よ」 ちせ「うむ」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1520954906/254
255: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2018/12/30(日) 02:48:40.35 ID:kcfr5bZc0 …しばらくして… ドロシー「…それにしても」 アンジェ「なに?」 ドロシー「王国の連中ときたら、しみったれもいいところだな」 アンジェ「……と言うと?」 ドロシー「とぼけるなよ…ちせが王国の園芸委員たちからもらった種さ」 アンジェ「ああ、そのことね」 プリンセス「確かに……パンジーにアネモネ、バラ…どれも花壇に植えるにはいいけれど、商業価値はないものばかりね」 ドロシー「これで取引のつもりだって言うなら、詐欺師もいいところだぜ?」 アンジェ「外交なんてそういうものよ……どうやって相手の無知につけこんで物をせしめるか…それだけだもの」 ドロシー「まぁな……で、ちせは「分け前」を持ってボスの所に行ったのか」 アンジェ「ええ」 ベアトリス「きっと今ごろお茶でもすすっているんじゃないでしょうか?」 ドロシー「…だな」 …一方・駐アルビオン日本大使館の一室… 堀河公「ご苦労であったな、ちせ」 ちせ「ははっ」 堀河公「それで、目的のものは入手したか?」 ちせ「…はっ」 堀河公「結構…それで、この包みが「返礼」として王国から渡された種なのだな?」 ちせ「さようにございます」 堀河公「ふむ…アルビオンめ、我々が東洋人だと思ってふざけた真似を……中身は確認したな?」 ちせ「は…どれもこちらでは珍しくもない花の種や、工芸作物の種子も我々で手に入れられる物ばかりでした……」 堀河公「うむ、まぁよい…共和国からはちゃんと引き換えの情報が手に入ったのでな」 ちせ「何よりでございます……ところで」 堀河公「なんだ?」 ちせ「これを…共和国の間諜から「分け前」として配分された物にございます」 堀河公「ほう? これが「例のユリ」の種か」 ちせ「はっ」 堀河公「ずいぶんと気前のいいことだな……何か言づてはあるか?」 ちせ「いえ…しかし「正当な権利だ」と」 堀河公「ふむ…となると、共和国に対するこちらの心証を良くしたいのか、はたまた恩を売ったつもりか……まぁよい、くれると言うのならもらっておこうではないか」 ちせ「同感にございます」 堀河公「それに比べて王国のやり口は…我が国の輸出に欠かせない、貴重な工芸作物への返礼がバラに菫(すみれ)ときた……こちらも「細工」をしておいてよかったと言うものだ」 ちせ「…と、申しますと?」 堀河公「なに、この間申した「策」というやつでな…おおかたそのような事であろうと思っていたゆえ、渡した種のうち貴重なものは、包む前に茹でて駄目にしておいたのだ……もっとも、怪しまれるといかぬから、撫子のような花の種はそのままにしておいたが」 ちせ「なるほど…」 堀河公「何はともあれご苦労であった。遅くならぬうちに戻るがよかろう」 ちせ「はは…では、失礼いたします」 堀河公「うむ」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1520954906/255
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