イタリア百合提督(その2)「タラントに二輪の百合の花」 (958レス)
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766: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2021/05/18(火)01:51 ID:z/mKo+iM0(1) AAS
…午後・待機室…
ライモン「雨、止まないですね…」
提督「そうね…それどころか、気象通報によるとこれからが一番ひどくなるみたい。雷も鳴っているし……」南から吹き付ける風にあおられて窓ガラスに「ざぁっ…!」と打ち付ける激しい雨と、ゴロゴロと地底から響くような遠雷の音が聞こえている…
ルチア「クゥン、ヒュゥ……ン」
提督「あぁ、ルチアったら可哀想に…怖いわよねぇ。よしよし、大丈夫大丈夫……」ルチア用の古毛布を取ってきてフードのようにかぶせ、横に座り込んで頭を撫でてあげる提督……と、壁の電話が鳴った…
ライモン「はい、こちら待機室…アオスタさんですか、どうしました? …了解、提督に伝えますね」
提督「……何かあった?」
ライモン「はい。作戦室のアオスタさんによると、民間船の救難信号をいくつかキャッチしたそうです。 もっとも、いずれもわたしたちの管区ではなく、すでに対応する管区が受信確認しているそうですから……」
提督「…救援に駆り出されることはなさそうね」
ライモン「はい」
提督「どのみちこの天気で民間船の救助となると、駆逐艦では危険すぎるわ…最低でも軽巡クラスは必要になるわね」
(※イタリア王国海軍の軍艦、特に駆逐艦はサイズの割に兵装が過大で、また高速を求めたために安定が悪かった…実際マエストラーレ級「シロッコ」等は荒天下で転覆している)
ライモン「必要となればいつでもおっしゃって下さい。いつでも出られますから」
提督「ありがとう、でもその必要はないはずよ……とはいえ、これじゃあやることもないわね」
ライモン「そうですね…」
提督「仕方ないから部屋の片付けでもするわ…」
ライモン「それはいい考えですね♪」
…執務室…
提督「……ところで、フォルゴーレたちはちゃんと戻ったの?」
ライモン「はい、フレッチアがうんと雷を落としていました」
提督「ならいいけれど…元気なのは結構だけれど、この嵐の中で庭に出てはしゃぎ回るのはちょっとね……」
ライモン「まぁ、彼女たちはみんな「嵐の申し子」みたいなものですから……フレッチア自身も口では「あの大馬鹿たちを連れ戻してくるわ」と言いながら、実際の所は楽しげでしたから…」
(※フレッチア級・フォルゴーレ級…ほぼ同型の駆逐艦グループで、艦名はいずれも「雷」「稲妻」「閃光」「電光」など、雷や放電現象に由来する)
提督「やれやれね。さてと、それじゃあ棚の整理でもするとしましょうか…」私用の本棚から次々とファイルや雑多な資料、書籍を取り出しては執務机やその前に据えてある(普段は秘書艦の娘たちが使う)応接テーブル、椅子の上などに並べていく……
デルフィーノ「失礼します……あ、私も手伝います♪」
提督「あら、ありがとう…でも、スクアーロたちと一緒じゃなくていいの?」
デルフィーノ「はい。だって私は秘書艦ですから……それにスクアーロお姉ちゃんってば、私が怖がるのを知っていて恐怖映画を見せようとするんですよ?」
提督「もう、スクアーロったら意地悪ね…それじゃあ一緒にお片付けを手伝ってもらえる?」
デルフィーノ「はいっ♪」
提督「グラツィエ…それじゃあ本はこっち、資料はこっち……これはいらないパンフレットだからゴミ箱に…と」
ライモン「提督、これはどうしましょうか?」
提督「それは要るわ…とりあえず判断に困るようなものはそっちの「保留」の方に置いておいて?」
ライモン「分かりました」
デルフィーノ「提督、しおりが出てきました」
提督「あぁ、そんなところにあったのね……この間から見つからなくって探していたの」
デルフィーノ「見つかって良かったですね…って、写真もありましたよ♪」
…一冊の本の間からひらひらと舞い落ちた写真を拾い上げたデルフィーノ…写真はどこかの公園の噴水の前で、提督を中心にして十人ほどが笑みを浮かべている…
提督「どれ? あぁ、それならここに赴任する前ローマで撮った写真ね。そのとき集まることが出来た仲のいい知り合いと出かけたときに撮ったの」
ライモン「…この写真に写っている全員が、ですか?」
提督「えぇ、まぁ…ローマにいたときはちょっと「親しい間柄」になっている知り合いが多かったものだから///」
ライモン「………」
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