ブルー「俺達は…」ルージュ「2人で1人、だよねっ!」『サガフロ IF】 (967レス)
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489: 少し書き溜め投下 [saga] 2019/03/02(土) 10:39:41.53 ID:NuKycUZ20 ― ―― ――― ******************************************************* [京]で様々な物語が交差する最中、時間は少し巻き戻るが…あの暗黒街[クーロン]では… 【双子が旅立って4日目 午後 21時48分 [クーロン]イタ飯屋:エミリアの自室】 エミリア「あ"あ"あぁぁ"ぁぁーーー、疲れたぁぁぁぁ!」バタンッ!足バタバタ! 帰って来るや否やベッドのシーツにダイブして足をばたつかせるエミリアの姿があった…、コスプレ衣装から普段着に 着替え、メイクも落とすあたり元モデルの矜持なのだろうか 前回、アセルスの知り合いであるゾズマという妖魔の介入で失敗に終わった任務のリベンジだ [ラムダ基地]に単身乗り込み、女を囲っていたあの醜夫、ヤルート執政官を締め上げて情報を聞き出す気でいたが 敵を銃で撃ち抜きながら辿り着いた室内に居た人物は眼鏡を掛けた初老の男だった 彼曰く、ヤルートは執政官の座を降ろされ、代わりに自分が執政官として就任したとのことだった エミリア「……モンド、執政官か…」スッ、キラッ… 今日出逢った人物は、不思議と嫌な感じはしなかった、気の許せる人物ではないことは確かだが "幸運のお守り"だと言って渡された天使を模った装飾品を摘まみ照明に翳してみる 基地でのモンド執政官との会話を彼女は顧みる -モンド『これを君にあげよう。盗聴器などついていないから安心しろ』- -エミリア『なに…この、羽の生えた人?』- -モンド『それは私の故郷のリージョンに伝わる伝説に出てくるんだ、天使という』- -エミリア『天使…、どうしてこれを私に』 -モンド『昔、まだ私が若かった頃、私もキミらと同じように多くの仲間と共に一つの目標に向かって戦った』 -モンド『特に仲の良いのが二人居てね、私とその二人でよく三人でつるんだものだ』 -モンド『私達三人には憧れの女性が居た、清らかな人だったよ、その人に贈るつもりのブローチだった』- -エミリア『…どうして渡さなかったの?』- -モンド『そう、だな…彼女は三人の内の一人と結婚してね、私は彼を友として尊敬していた、だから渡せなかった』- -モンド『だがね、この天使は私に幸運を授けてくれたようだ、こうしてトリニティの執政官まで上り詰めたのだ』- -モンド『これは君のような人が持つのが似合いだろう、受け取ってくれたまえ』- -エミリア『いいの?そんな大事なモノを…』- -エミリア『…』- -エミリア『分かったわ、大事にするわね、この…えっと』- -モンド『天使だ』- -エミリア『そう、天使ね!天使のブローチ、有難くいただくわ!』- http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1499422950/489
490: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga] 2019/03/02(土) 10:40:17.06 ID:NuKycUZ20 人生はいつだって"一期一会"…人と人の出会いは未知で、誰彼の間柄も、人の縁も分からない 名前を聞けなかった初老の野心家は後に包帯ぐるぐる巻きのルーファスからモンドという名で、執政官になる前は ヤルートの部下で情報・警察部門の実質的な責任者であったと知った そして、冷酷無情にしてカミソリのように切れる男だと、警察部門のトップから執政官に昇格してくれてホッとしたと あのルーファスにさえ言わしめる程の敏腕だった エミリアは、サングラスの上司から聴いた話と受けた印象が違って思ったが、どちらが本当の顔なのだろうか… 少し前にテレビのニュースで[ワカツ]がリージョン界を束ねるトリニティ政府に対してテロ活動を行おうとしたと報道が あって、その後、原因不明の爆発でその惑星に封印されていた悪霊が目覚めて惑星を滅ぼしただとか… 表向きの報道は悪霊によって亡者の巣窟になりアンデッド系モンスターが屯っているとのことだが エミリア達、裏社会の人間…いや、"黒い噂話"として表にも流れているが警察部門が独断で大々的な空襲を行い [ワカツ]を一夜にして火の海にして滅ぼしたと… 一時期は大騒ぎになったが、時間の流れと共に新聞の大見出しを飾った惨事もいつしか人々の記憶から"過去の出来事"扱い ベッドに寝転んでブローチを眺める彼女とてそうだ、当事者でもなんでもないのだから深くは考えない事にした それより、そんな黒い噂のある男の心情が気になった …グラサン上司曰く冷徹無情の執政官の素顔を少しだけ垣間見た、そんな気がしたのだ <リュート!!貴様いい加減帰れ!! <なはは!かてぇこというなよぉ〜! エミリア「ん?店の方がなんか騒がしいわね…ってかこの声」スタッ 与えられた自室にまで届く怒声とお気楽な声に、金髪美女は革のロングブーツを履いて自室を出る 記憶違いでないなら既に『close』の札は掛けてあるはずだが この店はそんなモン無視して入店してくる客が如何せん多いのだ、昼間の刑事といい…今来てる客といい スタスタ…ガチャッ ブルー「掃除の邪魔だから去れと言っているだろうがァ!!」つ『清掃用モップ』ブォン リュート「どわっ、あぶねっ!?」ガシッ 真剣白羽取りィーッッッ! まだ齧り程度とはいえ、アニー先生に打ち込みのイロハを教わったブルーがモップブラシを振り上げ唐竹割りを放つ それを間一髪、両手で受け止める弦楽器を背負ったニートことリュート 反応が遅れれば頭にデカいタンコブを作る所だったと肝を冷やしていた彼は、先日のスライム投げの一件もあって ブルーにはしこたま怒鳴り散らされていた リュート「悪かったって!でもあれは俺だけじゃなくお前も悪かったろ!? …あっごめんなさい調子乗りました、やめてお願い」 …このまま眺めてるのも悪くないが、そろそろ仲裁に入ってあげるべきかしら、とエミリアは歩み寄った http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1499422950/490
491: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga] 2019/03/02(土) 10:40:43.70 ID:NuKycUZ20 エミリア「はいはい、二人共ストップ、モップで遊ばないの掃除は終わったの?」 リュート「へへっ!ブルーってば怒られてらぁ!」ヘラヘラ ブルー(ぐっ…この野郎)ギリッ エミリア「それにしてもリュート久しぶりね、ライザから暫くこの街に滞在してるって聞きはしたけど」 リュート「ああ!今は宿泊先に留守番させてるけど仲間になった[スライム]も居てな、今度会わせてやるよ!」 リュート「うん?…エミリア、そいつぁ…」 天使のブローチ『 』キラッ ふと、リュートは彼女が身に着けていた装飾品に目が行った、とても精巧な創りで素人目にも値の張る逸品だと分かる 元は表の世界で老若男女問わずに魅了した女だ、どこぞの金払いのイイ男にでも贈られたのか、彼は気になって聞いてみた 彼女も指差されたそれに、「ああ、これ?潜入先に居た人がくれたのよ」とだけ伝えた リュート「へぇ、"天使"かぁ…」 ブルー「…」ピクッ エミリア「あら?リュートは知ってるのこの天使って羽の生えた人のこと」 エミリアの故郷の惑星には"天使"という存在に関する記述は無かったのか、元からそういう知識に疎かったのかはさておき 掃除用具を持つ手を動かしていた蒼き術士がその単語に作業の手を止め、耳を傾けた 弦楽器を背負った無職の青年を見て、彼女はリュートがブローチの送り主と同郷であったことを思い出す エミリア「そうだったわね…ライザが言ってたっけ、"天使"って[ヨークランド]に伝わる御伽噺なのよね」 リュート「そうそう!ウチの母ちゃんがよく枕元で子守唄代わりに話してくれる伝説だったんだ、懐かしいぜ!」 ……エミリアは知る由も無い事である 実はその[天使のブローチ]はモンド執政官がリュートの母親の為にオーダーメイドしたモノだということを… 人の出会いは一期一会、どこで誰と誰が何の縁で結ばれているか分からない、人間関係と因果は実に数奇な運命の下にある リュート「えーっと、なんだったかな、確か天使ってのはだな、えっと何処に住んでたんだっけ?」ハテ エミリア「なによ、全然覚えてないじゃないの…」 ブルー「"天国"だ」 エミリア「えっ」 ブルー「人がいつか行ける極楽と安息の楽園…人々に幸福を齎す女神が住まい」 ブルー「古代の王が授けられた"指輪"によって、その楽園に続く幸福の坂道を切り拓き」 ブルー「貧困と絶望の底に居た多くの民を救うべく先導した……[マジックキングダム]に語り継がれる伝承だ」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1499422950/491
492: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga] 2019/03/02(土) 10:41:13.46 ID:NuKycUZ20 子供の頃からずっと学院の教師に教えられてきた内容 勿論、ブルーとてその伝説がまるっきりそのまんまの話とは思ってはいない 語り継がれてきた伝承、つまりは永きに渡って人伝で語られてきた内容 …簡単な例を挙げようか、"伝言ゲーム"という言葉は誰しもが知っていることだろう、その遊びは決まって 途中から聴く側が上手く聞き取れなかった、言う側の活舌が悪かった、中には訳の分からない独自解釈をし そのまま間違った伝令を次の相手に伝えるというのがお約束だ 伝承というのもまた同じモノ、本当に最初期の内容は……いつしか歪曲され、捻じ曲がった偽りの真実として受け継がれる 学生時代に歴史の授業で習ったけど、後年になって新しい発掘技術と解明で授業で習った歴史は実は間違いでした、等と そのような発表だって今の御時世幾らでもある 所々何らかの差異はあるのだろうが、[マジックキングダム]で大昔の指導者か何かが 貧困で困り果てた民を救う為に"天国"とやらの道を開いて、民を導いた…ということなのだろう、たぶん ブルーはそう解釈した、ルージュも…あの国で育った子供は皆である エミリア「なんか意外ね、あなたってそういうの興味無さそうな人だと思ったけど」 リュート「わかるー、ブルーだし『貴様ら御伽噺なんぞを信じるのか?おめでたい奴め』くらい言いそうだしなぁ」 エミリア「あははっ!その声真似すごく似てるわよ!」 ブルー「お前等なぁ…」 呆れた顔で何か言おうとしたが、関わる時間を労力に費やした方が良いと判断したのか 彼は口を閉ざし作業の手を再び動かし始めた ヒューズ刑事が帰った後、店内清掃は引き受けるから先に剣術指南をしてくれと、無理言ってやってもらったが… ブルー(他に客が居ないせいか、嫌でも二人の会話が耳に入るな) やれ、故郷がどうだ、家族がどうだと…アニー担当だった床のモップ掛けを一人黙々とやりながら彼は 術の力こそが全てである祖国のことを思い浮かべた 親孝行、育ての親である国家への奉仕、それこそが自分の使命であり、生きる意味なのだと それだけがブルーの人生観であって、それ以外の事を考える必要はなかった…というよりもだ 彼の場合は考えさせる人生の転機が与えられなかったと言っていいだろう 子供の成長と同じだ、壁に突き当たれば子供はそこで考える、目の前の壁をどうしたいか 登って乗り越えるか、発想を変え砕いて前へ進むか、壁そのものを迂回して進むか、そもそも壁を越える理由があるのか? 何か問題にぶつかれば、そこで多くの事を考えるし 工夫を凝らそうとするものだ―――だがしかし"大層ご立派な御国の英才教育"とやらは道を一つに絞る 自分は大人になったら国<親>の言いつけ通り自分の兄弟を殺して国<家>に帰って来るんだな、と それ以外の選択権を与えない、実際問題ルージュも進む以外の道を今は選べない状況下にある ブルーとて同じだ、ただ現状に疑問を持ったか持っていないかの違いだけ ブルー「モップ掛けもこれで終わりか」スッ リュート「おっ、ブルー終わったのかよ、ならお前時間空いてたりする?ちょいと[ネルソン]まで連れってくれよ」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1499422950/492
493: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga] 2019/03/02(土) 10:41:44.37 ID:NuKycUZ20 ブルー「[ネルソン]だと…?お前もう金塊で得た金銭を使い切ったのか」 リュート「いやいや、そうじゃねぇよ、ちょっと知り合いに会って話を聞いてみたいって思ったのさ」 エミリア「なになに?何の話」ズイッ 反トリニティ政権の惑星<リージョン>…[ネルソン]、世間一般ではそう囁かれる磯の香り漂う夜海の星だ 資金繰りで困った術士が無職の男と出会い、一儲けでお世話になった土地でもある そしてノリの良さに定評のあるお姉さんエミリアが男二人の会話に身を乗り出して割り込む 婚約者が死んで塞ぎこんでるかと思ったら、変な所で割り切りの良い持ち前の明るさが彼女の良さでもある 仮面武闘会を仮面舞踏会と勘違いしたり、[バカラ]のカジノ潜入作戦で一人だけバニーガール衣装であることを抗議した所 ライザとアニーに『似合ってるよ』『流石、元スーパーモデル』と褒められてノリノリで任務に戻る即堕ち2コマだったり リュート「ああ、エミリアと出会う前に俺一人旅してた時期あっただろ?そん時にまぁ、知り合った船の艦長が居てさ」 リュート「自分の人生とか、いろいろどうなんだろうなって考えたらちょっとだけ、本当にちょっとだけな」 リュート「話聞いてみたくなったんだ、その人は俺の父ちゃんの事知ってるからどんな人だったかって」 ブルー「…お前は自分の親を知らないのか?」 リュート「父ちゃんの事は俺もよく知らねぇんだ、母ちゃん何も言ってくれなかったからよ」 今まで考えたこともなかった、知りたいとも思ったことがなかった、気づいた時には初めから居ない人で ただお気楽に、自分が好きな事やって楽しい人生を送ってハッピーエンドが彼の人生観であった -リュート『――"お前の人生"、それでいいのかよ…!』- 昨日、彼がモップ持った術士に彼自身が言ってやった言葉だ 好きな事やって楽しい日々を送るというリュートの人生論は変える気は毛頭も無い、…でも気になるモノは気になる 荒っぽいことは嫌いだし、 平和に済むならそれが何よりだ ――――…ただ、父親の事を何も知らないで一生を終える、というのは何か釈然としない 母親も多くは語ってくれない父親の事を知らない生涯、それこそ、"お前の人生"それでいいのかよ、である 英雄になりたい訳じゃない、革命家の象徴として祀られたい訳でもない、ただ自由気ままな雲のように好きに生きたいだけ だからトリニティ…というよりもモンド執政官が[ワカツ]に造ったという秘密の軍事基地に戦争紛いな事を吹っ掛けよう等 そんなことは全く思わないのだ… ブルー(…自分の親をよく知らない、か) ブルー「……。」 ブルー「いいだろう、偶には貴様に振り回されてやろう」 親孝行、育ての親に従い、尽くし、奉仕し続けることこそが産まれて来た人生の全てと"教育されてきた"ブルーは なにやら思うところがあったのかリュートの都合に付き合ってやろうと承諾した エミリア「ねっ、私も行っちゃ駄目かしら?」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1499422950/493
494: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga] 2019/03/02(土) 10:42:25.40 ID:NuKycUZ20 ここで視線がエミリアに注がれる、片方は『何故貴様までついて来る』と言いたげなジト目の視線 もう片方は『おっ、来るのか!綺麗な女が居ると賑やかでいいねぇ!』と歓迎の眼差し エミリア「[ネルソン]と言えば綺麗な夜景と独特な風味のお酒を出すカクテルBARがあるでしょ」 エミリア「今日の任務はかなりの重労働だったのよ…ねっ!いいでしょ!この通りよ」 ブルー「…ルーファスと同じくらい嫌いだと言ったのは何処の誰だ」 溜息を吐いて、彼女を見る術士、ブロンド美女は胸を張って『それはそれ、これはこれよ!』とか 『今なら嫌いからちょっと嫌いにランクアップよ!わかったらレッツゴー!』などと宣う 変な所で割り切りのイイ前向きさに定評のあるエミリアお姉さんであった ――― ―― ― 【双子が旅立って4日目 午後 21時57分 [ネルソン]】 海原にある巨大な岩を削り、築き上げた岩窟―――そこに港を造り古き伝統を重んじる海賊の隠れ家と言った具合の港町 それが[ネルソン]というリージョンであった、その為、帆船が出港する穴から朝日が射しこんだとしても常時薄闇に包まれ 24時間街灯の火が消えることは無い 暗黒街から海賊の入り江へ、[ゲート]の術で早速降り立った三人はシップ発着場へと向かう リュートの目当ての女性は大概[オウミ]のレストランで此処とは違う味付けのシーフードに舌を巻いているのだが 生憎とこの時間帯ではその人は職務があるから自分の船に戻っているだろう シップ発着場に行き、リュートは『ハミルトンさんは居るかい』と受付に尋ねた 少し待っていてくれと言われ、数分後、独立戦艦ビクトリアの艦長ことハミルトンが姿を現した 艦長「やぁ、来てくれたんだね、キミの父上の遺志を裏切ってトリニティへ奔ったモンドの基地へ突入する気は?」 リュート「悪いけど、そういうのはパスだ、俺は今日はそういうことの為に来たんじゃないんだ」 艦長「む、そうか……無理強いはせんが、キミが一声かけてくれれば我々はいつでも[ワカツ]へ戦艦を飛ばす」 艦長「しかし、そうでないならば何の用で来たんだ?」 リュート「俺は、父ちゃんの事を色々知りたいなって思ったんだ…母ちゃんはあんまし喋ってくれねぇからさ」 リュート「忙しい中わりぃとは思うんだけど…ダメ?」 艦長「そうか、父上イアン殿ことについてだな…ウチの自慢のBARで酒でも飲み交わしながら話そう、私のおごりだ」 お連れさんもどうぞ、と口を挟まずに居た術士と美女もご厚意に甘えることになった ハミルトン艦長の紹介でやって来たのは以前にも金塊の売買で世話になった酒場で 顔馴染の客にしか出さない秘蔵の一本を開けてグラスに注いでもらった 徐々に酔いが回り始めた頃、艦長は昔話を懐かしむようにリュートに活動家としてのこれまでを語りだす リュートの父イアン、その友であったウェント、…同じく友であったモンドのこと 反トリニティの活動中にモンドが兵隊に追い詰められ、死を覚悟した後にイアンが自分の命を投げ売ってモンドを救った事 その後、モンドが何を想ったのか、突然、革命家を辞めてトリニティ政府で働くようになり最近じゃ執政官になったこと [ワカツ]を爆撃機で空襲した後に秘密裏に軍事基地の建設、[シュライク]の街工場で人型兵器の開発禁止を言い渡す等 影で誰にも分からぬ怪しげな動きをしているということ… http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1499422950/494
495: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga] 2019/03/02(土) 10:42:56.70 ID:NuKycUZ20 ブルー(こいつの父親がそんな大物とはな…) 透明なグラスを傾け小さく波打った強めのカクテルを眺めながら感想を浮かべた このニートの父親がそんな大人物だとは エミリア「うっ…うぅ…っ」 一通り話を聞いて、むせび泣くような声がし、横を振り向くとなにやたエミリアが机に突っ伏している 顔は見えないが今の話で泣きでもしたのだろうかと声を掛けようか迷っていると… エミリア「う、うぅぅぅ、も、もうだめぇ…き、気持ち悪いぃ…」ウップ エミリア「ブルー、この際あなたでいい、トイレ連れてって…」グスッ ブルー「 」 この日知った、エミリアは酒に弱い。 えっ、なのにお前酒飲みたいから[ネルソン]のBAR行こうとか言いだしたの?出かけた声を出せずにいるブルーの肩に エミリアの白い手が触れる エミリア「や、やばいって…ほんと、は、はきそ」 ブルー「おいぃぃぃ!?バカやめろぉぉ!!た、耐えろ、今連れてくから、おい!お、俺の方を向くなァァァ!!」 〜 しばらくお待ちください 〜 ブルー「ぜぇ…ぜぇ…」 エミリア「あぁ…飲みすぎたわぁ…うぅ」グスッ 危うく大惨事になる所だった、疲弊しきったブルーは今度こそ文句を言わずに居られなかった ブルー「だったら…ゼェ、何故、酒を飲むっ!ゼェ…馬鹿なのか貴様は!?」 エミリア「だってぇ、疲れた時は嗜む程度に飲みたいじゃない!まさかこんな強いカクテルなんて思わなかったの…」 法衣を嘔吐物塗れにされては堪ったものではない、全速力で走って来た術士は息を切らした息を整えながら席へと返る すると、なにやら話は終わっていたのかリュートは立ち上がっていた リュート「ありがとよ!ハミルトンさん…俺さ、やっぱそういうことに手はまだ貸したくないや」 艦長「そうか…わかったよ、今晩は良い酒が飲めたよ」 ブルー「リュート」 リュート「お、戻って来たのか」 ブルー「貴様、父親の遺志を継ごうとは思わないのか…」 リュート「んあ?父ちゃんの遺志?」 ブルー「お前の産みの親であろう、…志半ばで仲間の為に命を落とした」 ブルー「なら息子であるお前は成してやりたいとは思わないのか…?」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1499422950/495
496: 今回此処まで [saga] 2019/03/02(土) 10:46:33.23 ID:NuKycUZ20 リュート「いんや、全く」 即答だった 子は親の物、その考えが常であったブルーにとって興味深い返答だった、だから聞いた ブルー「…何故、だ」 リュート「いやよ、なんつーか、父ちゃんは父ちゃんだし、俺は俺っていうのかな…」 リュート「親の為に自分の生き方を全部捧げるってなんか違うんじゃねぇのって」 ブルー「…。」 リュート「お前には前言ったじゃん?俺は自分が好きなことやって楽しけりゃ人生万々歳ってさ」 リュート「父ちゃんの遺志を継いで〜、とか今の政府を転覆させて革命家の英雄だ〜、とか」 リュート「別にそういうんじゃ無いんだよ、俺は」 リュート「本当に自分がやりたいって心で想ったことを、心が命ずる儘にやってこそ人生楽しいのさ」 ブルー「自分の心が命ずる儘に……」 リュート「まっ!めんどくせぇことが嫌いで気楽に生きていたいってだけなんだけどなww」 ブルー(…) ブルー「お前は偶にただの馬鹿なのかそうでないのか分からなくなるな」フッ リュート「おろ?」 子は親の物、なら……親が初めから居なかったら? 親という自分を繋ぎとめてくれる存在が何らかの理由で無くなってしまったら――― ―――育ての親が、[マジックキングダム]国家が、万が一にもあり得ないが何らかの理由で滅びたとしたら? そこまで考えて、ブルーは自分を嗤った 何を馬鹿な事を…所詮は万が一、あり得もしない"もしも"の話だろうに、こんな事を真剣に考えるなんてどうかしてる その先の答えは考える事を止めた、…いや無意識にブルーは【逃げた】のだろうな 自分は本当は空っぽの人間だ、それが無かったら…心の在り所を失ってしまったら、――自分の"帰れる居場所"を失ったら きっと、もうその時点でブルーという名前の人間は瞬間、存在価値が無くなる、生きる理由も何も無くなってしまうのだと 存在意義を失くして、【世界中の誰からも必要とされない人間】になる、と…その答えに行き着きたくないから http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1499422950/496
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