ブルー「俺達は…」ルージュ「2人で1人、だよねっ!」『サガフロ IF】 (967レス)
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434: 書き溜め少し投下 [saga!red_res] 2019/02/22(金) 17:38:45.23 ID:EOANnSFz0 ペラッ…カキカキ 僕は[クーロン]で一夜を明かして[キグナス号]へ二度目の乗船をしている 朝一番の始発で『7時27分』に僕は仲間と共に暗黒街の惑星から飛び立った、日記が書けそうな今の内に書いておく 黒一色の死の大空を飛ぶ船の展望エリアから矢の様に流れていく星々の灯りに目を奪われていた 外界に来て僕は友達がたくさんできたかもしれない、アセルス、白薔薇さん、エミリアさんやヒューズさん それにルーファスさん、この船に一緒に乗っててさっき出逢ったレッドとBJ&Kもだ 本当に色んな人と出逢えて…良かったと思う、僕はきっとこの旅を忘れない。 もうじき、[京]に着陸するらしい…ペンを置いて、船を降りる準備をすることにしておくよ http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1499422950/434
435: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga] 2019/02/22(金) 17:40:32.77 ID:EOANnSFz0 【双子が旅立ってから4日目 午前9時14分】 紅き術士は、その美しさに目を奪われた ルージュ「……すっげぇ…」 多種多様な惑星<リージョン>が存在する広大な宇域でも、この[京]というのは独特な文化を誇っていた 旅行ガイドに簡単な紹介文は載っていたが実際に見るモノは違う、まず驚いたのは発着場だ 船を降りてターミナルの待合室に着いたが[マンハッタン]や[クーロン]、[マジックキングダム]とも全然違った "お座敷"という見た事もないモノがある… 見れば他所の惑星から来た観光客がなんと靴を脱いでその上に上がり座り込むのだ!! 畳…タタミ、と呼ばれる床材でなんでも藺草<イグサ>という単子葉植物で作った独自の文化らしい この惑星<リージョン>の人はその上で座ったり、寝っ転がって休んだりするそうな ちなみ、ルージュが眺めていた観光客たちは「オー、ジャパネーズ ブンカ デース!」と口にしていた 何言ってるのか意味はよく理解できなかったが"ブンカ"…文化と言ってる辺りカルチャーショックでも受けていたのだろう 旅行鞄を持ったアセルスお嬢、白薔薇姫と合流し、術士は発着場を出て肌で感じ取った、空気が違う… 鼻孔を掠める紅葉と竹林の心穏やかにさせる香り、せせらぐ水と木造りの水車が回る音 銀杏の実を蓄えた枝の先々には金色のイチョウの葉、今まで見た事も無い浴衣、着物……"和服"という民族衣装 靴だってそうだ、自分達が履いてるような動物の革や布のブーツではない 木の板に紐を通したような不思議な靴、アセルスが後に教えてくれたが草履や下駄という名前らしい 何もかもが新鮮、何もかもがルージュにとって見た事の無い未知だった 彼は目を丸くして、キラキラと夜空の一番星のように輝かせた…齢22歳の好奇心旺盛な少年心を刺激するには十分過ぎた 白薔薇「まぁ…!なんて綺麗な街並みなのでしょう!」 ルージュ「! あ、あ、アセルス!!ねぇ!あれは!?アレは何!?あれって『寿司』って書いてあるよ!?」ソワソワ ルージュ「『天ぷら』とか薄らとだけど小耳に挟んだことあるよ!なんかその、食べ物なんでしょ!」ワクワク アセルス「もうっ!ルージュは落ち着いてってば、あぁ!!白薔薇勝手に景色を見に行かないで!迷子になるって!」 「おーい!アセルス姉ちゃん!ルージュ!!」タッタッタ!! ルージュ「あっ、レッド!お仕事終わったんだね!」 レッド「おう!遅れてすまねぇ…ユリアにお土産とか色々頼まれてよ…」 アセルス「烈人君ごめんね、わざわざ忙しいのに時間見つけて私達の観光に付き合ってもらって」 レッド「気に擦んなって!姉ちゃんにゃ昔っから世話になりっぱなしだからな!…所で、気になってたんだけど」 レッド「白薔薇さんは一緒じゃないのかい?」ユビサシ ルージュ/アセルス「「…えっ」」クルッ アセルス「し、白薔薇ぁぁぁぁぁぁ!!!」 ルージュ「う、うわぁぁぁぁちょっと目を離した隙に白薔薇さんが迷子になったぁぁぁぁ!?どうしよう!?」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1499422950/435
436: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga] 2019/02/22(金) 17:41:19.12 ID:EOANnSFz0 ――― ―― ― 【[京]の庭園】 白薔薇「 」ポツーン 白薔薇「あら、あらあら?…どうしましょう…いつの間にかアセルス様たちとはぐれてしまいましたわ…」オロオロ [ファシナトゥール]とは全く違った芸術美に思わず蜜のかかった林檎に誘われる蟻の様に釣られてしまった 薔薇飾りを頭に乗せた何処かおっとりとした妖魔の貴婦人が途方に暮れだした、そんな時だった――― Tシャツに鉢巻姿の酔っ払い「…うぃーっく!…くぅぅ、やっぱ酒飲むならこういう日本庭園だよなぁ!」グビグビ 記憶喪失のロボット「ゲン様、飲みすぎです、タイム隊長達に怒られます」 "ゲン"、焼酎という酒が入った瓶を片手に豪快に笑う男の名前だ、顔を赤くしてバシバシと隣居るロボットの肩を叩く ゲン「わぁーってるって、そうケチケチすんなって!ガハハハハ!それによぉ こいつぁお前の記憶の手がかりが見つかった祝いみてーなモンだろ?」ハッハッハ! 記憶喪失のロボット「はい、間もなく[シンロウ]で"仮面武闘会"が開催されます」 記憶喪失のロボット「その間遺跡の探索は禁じられますから、[古代のシップ]でヒントを得たのは大きな収穫です」 記憶喪失のロボット「HQの存在確認と私の任務が"RB3型"の破壊であること」 記憶喪失のロボット「もっと詳細を知る為に一度レオナルド様にお会いしましょう」 ゲン「の前に、あのでけぇコウモリにやられちまった、ナカジマと特殊工作車を治すことだろ」 ゲン「遺跡の中で蝙蝠倒しまくってたらいきなり出てきやがって流石に俺もヤバいかと思ったぜ、たく」 ゲン「ん?T-260G、何見てんだ?」 T-260「…認識完了、メモリ内と100%合致、ゲン様、以前[マンハッタン]で見かけた女性です」 ゲン「あん?」チラッ 白薔薇「どうすれば…」オロオロ ゲン「ありゃ、本当だな…こりゃまた奇妙な縁だな……」 ゲン「なんかあの姉ちゃん前見かけた時も困った顔してたな、どうすっかね…」う〜ん ゲン「…」 ゲン「うっしゃ!決めた、これも何かの縁だろう、ちょっくらお節介焼きに行くぞ!」 T-260「了解です」ウィーン http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1499422950/436
437: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga] 2019/02/22(金) 17:41:55.30 ID:EOANnSFz0 この惑星の観光スポットとして名高い庭園でしなやかに揺れる柳の幕を潜り向けお節介を焼きに来た中年の男と 古臭いデザインのロボットは妖魔の貴婦人に声を掛けた ゲン「おーい、そこの姉ちゃんアンタなんかお困りかい?」テクテク 白薔薇「あ、はい…知り合いとはぐれてしまいまして…失礼ですがどちら様で」 ゲン「んあ?あぁ…わりぃわりぃ、俺ぁゲンってんだ、隣に居るのが」 T-260「制式形式番号T260 認識ID7074−878「こいつぁT-260だ見ての通りロボで小難しい事を言う」 白薔薇「ゲン様に…?てぃーにーろくまる…様?」 ゲン「おう、この辺ぶらぶらしてたらなんか困り顔の女が居たもんだからついお節介焼きたくなっちまったんだ」 ゲン「人間困った時はお互いさまっていうだろ」ガッハッハ! 彼は人情溢れる人間という奴なのだろう、酒瓶を持ったまま豪快に笑い隣に居るロボットの肩をバシバシ叩く そんな様子につい思わず白薔薇も釣られて笑ってしまう、見知らぬ土地で独りというのは不安がある 話し相手の一人や二人いるだけで、その不安の根は大きく取り払われるモノだ 初めて来たリージョンに知り合いなどいる筈もなく、右も左も分からない白薔薇はご厚意に甘えることにした ゲン「だったら、シップ発着場の方に行きゃいいってことだろ?降りてすぐにこの庭園に来たっつーことは…」フム T-260「我々もここから南東の道を通って向かうべきです」 T-260「白薔薇様の御知り合いが発着場から土産屋方面に向かったのなら、都度、通行人に確認を取り後を追います」 ゲン「だな、向こうが姉ちゃん探してこっちに来てんなら途中でばったり鉢合わせだろうし」 ゲン「逆に変に反対方向に行って行き違いになっちまうよりかはその方がいいな」 白薔薇「ありがとうございます」ペコッ …テクテク…スタスタ…ウィーン! T-260「時に白薔薇様は人間<ヒューマン>でなく妖魔でしょうか?検知された生体エネルギーが人間では無かったもので」 ゲン「おい、ポンコツ!失礼だろがっ!…すまねぇ」 白薔薇「ふふ…お気になさらずに、T-260様の仰る通り[ファシナトゥール]から来た妖魔にございます」クスクス1 ゲン「[ファシナトゥール]…んー、俺ぁ妖魔についてあんまし詳しくねぇからそのリージョンはよく知らねぇや」 白薔薇「T-260様とゲン様はどちらからお越しで?」 道中、知り合ったばかりの3人…いや、2人と1機は退屈しのぎも兼ねた他愛もない世間話に花を咲かせていた 会話のキャッチボールが続く中でT-260が発した何気ない一言から何処からこの地へ観光に?という話題に移った… ゲン「…」ピタッ T-260「ゲン様」 ゲン「いや、いいんだ……そうだな、だんまりも失礼だわな」ポリポリ 白薔薇「…?」 ゲン「俺は…[ワカツ]ってトコの生まれでな」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1499422950/437
438: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga] 2019/02/22(金) 17:42:20.80 ID:EOANnSFz0 白薔薇「[ワカツ]…ですか?」 ゲン「ああ、サムライの惑星<リージョン>、なんて他所の奴らはよく言ってたもんさ」 ゲン「腕っぷしに自信のある奴が技を磨くために訪れたり、[剣のカード]目当てで来る修行者もいた」 ゲン「俺も、故郷でそこそこ腕のある剣豪だったんだが、色々あって今は放浪の身って奴さ」 白薔薇「"色々"ですか…」 ゲン「ああ…"色々"な」 妖魔の貴婦人はつい最近になって時が止まった様な鎖国リージョンから出た、それゆえに世捨て人の如く世間に疎い 彼の言う"色々"というのは新聞やニュースを観ない者でもよく知っている事件なのだが ……あるいは妖魔だからこそ詳しくないと踏んで彼は話したのかもしれない 何か、話辛い失礼な事を聞いてしまったのではないか…、ゲンの横顔を見て白薔薇は少し居た堪れない気持ちになった この話題にはあまり深く踏み込むのは良くないと判断し話題を変える事にした 白薔薇「あの、ゲン様は剣にお詳しいのですか?」 ゲン「うん?剣かい?そらぁ、まぁな…」 白薔薇「でしたら、女性でも扱いやすい強い剣をご存じありませんか?」 [クーロン]で自分達を助けてくれたアルカイザーは言っていた、此処には様々な人が集まる 旅人も疲れを癒すために寄ることが多いのだから優れた剣、装備品に関する情報も聞けるだろうと アセルスの[フィーンロッド]の代わりとなる武器、[幻魔]を扱えるようになるその日まで…!彼女の実力に見合った剣を! ゲン「…そうだな、女でも振りやすいか」 顎に手を当て、剣豪を目を細める、東洋剣を専門とする彼はふと思い当たる節を口にした ゲン「………女でも振りやすいかは兎も角だ、嘘か真か[シュライク]に名刀が眠ってるって話なら聞いたな」 白薔薇「…![シュライク]に」 …シュライク、アセルスの故郷だ 12年間姿の変わらぬままで育ての親の元へ帰り、怖れられた…あまりいい思い出の無い土地 ゲン「ああ、なんつったかな、昔の偉い奴を埋葬した古墳があって[草薙の剣]ってのが一緒にあるとか」 ゲン「なんで強い剣を求めてるかは知らねーが墓荒しなんて碌な目に合わねぇからよ、あんまオススメはしないぜ」 ゲン「店売りの剣になっちまうから金もかかるし威力もずば抜けて高い訳じゃねぇが[ゼロソード]くらいだな」 白薔薇「いえ、それだけでも十分ですわ」ペコリッ ―――タッタッタ…! アセルス「し、白薔薇ぁぁぁぁ!!よかったぁやっとみつけたぁ…っ!」ゼェゼェ http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1499422950/438
439: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga] 2019/02/22(金) 17:43:02.03 ID:EOANnSFz0 ――― ―― ― 【双子が旅立ってから4日目 午前10時20分】 [京]の旅館前 特殊工作車「」HP0 ナカジマ零式「」HP0 レッド「この回路をこうして…んで[インスタントキット]を取り付けてっと」カチャカチャ ルージュ「あ、あれぇ〜?…れ、レッド!もしかして僕コード間違えちゃってる??」 レッド「ん?…あー、そこはだな…」 BJ&K「損傷がひどいですね、…所々に強い磁気を浴びたような形跡が」 ゲン「わりぃな坊主たち、俺の仲間達を治すの手伝ってもらって」 ゲン「最近の若い奴らは機械につえぇからなぁ、俺ぁそのインスタントなんちゃらは苦手だぜ…」ポリポリ ルージュ「いえいえ!白薔薇さんと僕達を探すの手伝ってくれたんです!このくらいお安い御用です」コード カラマリ 身体中にケーブルが絡まったルージュが胸を張っていい、それが可笑しいのかレッドが苦笑する レッド「ま、俺もBJ&Kの整備でメカ専用の回復道具の使い方は慣れてるしな!…しかし凄いなこのメカ」ジーッ ナカジマ零式「 」 ゲン「そいつは[シュライク]で仲間になったんだ、中島製作所って所で縁があってなそこの社長から連れいけってな」 レッド「へぇ!奇遇だなー、俺[シュライク]出身だからさ、故郷のメカって思うと尚更…」ジーッ ルージュ「れ、レッドぉ!たすけてぇ〜!」コード グルグルマキ ミイラ レッド「おまっ、何器用な絡まり方してんだよ!?」 ――― ―― ― ナカジマ零式「いやぁ〜、助かりました〜」 特殊工作車「感謝いたします。」 ゲン「おう、おめぇ等やっと目が醒めたか明日になったらレオナルドさんトコに行くからな!」 T-260「私達は明日まではこのリージョンに滞在します、何か要件があればご相談ください」ウィーン アセルス「ありがとう!ゲンさん、T-260、私達は行ってくるからね!」 ゲン「おう!お嬢ちゃん達も観光楽しんで来いよ!!」手ひらひら [京]の情趣溢れた旅館で鉢巻をつけた一人の人間が、個性豊かな三機のメカが一行を送り出す 旅の魅力は初めて行った土地での"出会い"にもある、その土地柄、独特な文化…行き交う人々の民族衣装、料理、方言 それに人柄だってそうだ、今回の旅で彼等の様な人情深い人達と出会い ちょっとした世間話やお互い知らぬ土地の話題に花を咲かせる…それはきっとすばらしいことなのだろう 勿論、出会う人全てが"いい人"とは限らないが、それも踏まえた上で他者とのふれあいが異国情緒を楽しむことに繋がる 旅人4人+1機が[京]の街を観光し始めたころ、陽はもうじき一番高い位置に上がろうとしていた http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1499422950/439
440: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga] 2019/02/22(金) 17:43:40.43 ID:EOANnSFz0 ぐぅぅぅぅ〜〜… アセルス/レッド/白薔薇「「「えっ」」」クルッ ルージュ「ぁ…///」カァ/// BJ&K「胃が強く収縮された時に生じる音を確認、空腹期収縮ですね、腹の虫が鳴くとも言われています」ピピッ ピタリと、歩みを止めて赤らめた顔をする紅き術士、と一歩先で振り返りそれを確認する面々、…冷静に分析するメカ 誰が一番に笑いを堪え切れなくなったのか、噴き出した声に一層照れくさそうにするルージュ アセルス「ふ、ふふ、し、白薔薇を探すのに夢中でまだご飯食べてなかったものね!」クスッ レッド「お、おう…くくっ、そうだな、もうじき昼メシ時だし…」ククッ ルージュ「わ、笑わないでくれよ!…しかたないじゃんか//」 \ アハハハッ! / \ ウフフッ! / \ ヤ、ヤメテヨネ! / 白薔薇「まぁまぁ、元はと言えば私の所為でもありますし…心術の試練より先にお昼に致しませんか?」 ルージュ「そ、そうとも腹が減ってはなんとやらでしょ!ここはお昼が先だって!」 豪華客船キグナス号は[京]で一泊二日の観光ツアー客を降ろし、翌日には[シンロウ]へ向かうスケジュールだった この機を利用して乗務員も羽休めを許されている為、緊急に呼び出しでもない限りレッドも時間はある 旧知の仲であるアセルスお嬢、妙に意気投合できる気の置けない友人のルージュ、何か放っておけない白薔薇姫 三人に付き合って名所巡りや一緒に[心術]の資質を得る修行に挑戦するのも悪くないと思った 予定通りならば先に[心術]の修行場に行き"資質"修得に挑戦だったが… ルージュ「す、寿司ッ!…い、いよいよ僕はSUSHIとやらを食べるのか…」ドキドキ、ワクワク レッド「いや、あれは刺身だよ」 アセルス「うん、寿司はそっちのお米の上にネタが乗ってる奴の事をいうんだよ」 まず、修行よりも腹の虫を鎮める方が大事である 旅行者に優しい写真付きのメニュー看板を見て 『刺身』を『寿司』だと勘違いする異国人に指摘を入れる[シュライク]人二人、その後に続く妖魔の貴婦人 BJ&K「…私は入口で店員さんにお願いしてバッテリー繋いで貰います」 物質を飲食できないメカは充電モードで待機してもらう事となった、メカだからね仕方ないね ルージュ「お、おぉ………!」キョロキョロ 白薔薇「あらまぁ……」パチクリ http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1499422950/440
441: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga] 2019/02/22(金) 17:45:19.19 ID:EOANnSFz0 [京]の建築物は木と紙、あとは土を焼いたモノ…屋根に使われている瓦だったり、基本的に自然と共存している印象を 紅き術士と妖魔の貴婦人は受け取った、木造建築の内装でよく見かける畳という床材に、"襖"という紙で出来た横扉だ どこの異世界<リージョン>でも料理人の正装は白一色と決まっているのか、"板前"と呼ばれるシェフは白い服に帽子という 姿で、手にした包丁で綺麗に魚を捌いていた レッド「二人共こっちの席に座ってくれ」 ルージュ「ハッ! あ、うんっ!」トテトテ… 白薔薇「ただいま其方に…」 "おてもと"とリージョン共通語で書かれた紙の入れ物に入った竹製の割り箸、陶器製のコップ――湯呑み、というらしい 郷に入れば郷に従え、この惑星<リージョン>が発祥の諺らしい、生憎とルージュはこの地での作法を知らぬ ふんわりとした長い銀髪を揺らしながら彼は目線をレッドとアセルスに向ける、どうやら座布団と呼ばれるクッションに 術の精神統一に行う座禅の体勢で座り込むようだ ルージュ(本当に僕の知らない世界だなぁ…っと、こうかな?)ちょこんっ 白薔薇姫がアセルスお嬢に教えられ、別に正座でなくても掘り炬燵式なのだから楽な姿勢で良いと言葉通りに座る そして、お品書きを手渡される レッド「今日は俺の奢りだ、なんでも頼んでくれよな!…あっ、でもめちゃくちゃ高いのはカンベンな」 安月給の機関士見習いレッド少年が当店のおすすめ、という部分を開いて渡してくれたので術士はそれをジッと見た どうやらお寿司、以外にも先の刺身や…天ぷら、どんぶり、という物が在るらしい 和食は食べた事が無いから、何が美味しいのか分からない 向かいに座る少年曰く「なんでもうまいぜ!」との事だった……アバウトだなぁ、とルージュは内心で困ったように笑う 値段もお手頃(?)で少し食べたい人向けの寿司を注文してからすぐに運ばれてきた木の板…下駄のような皿の上には 小さな長方形のライスボールの様な物があり、その上には魚肉を切って乗せたモノがあった ルージュ「この黒いソースにつけて食べるのかい?」 アセルス「醤油だね、ちょこんとつけるといいわよ……っ、う〜ん!!久しぶりの和食だわぁぁ…」ホロリ [ファシナトゥール]から[マンハッタン]…そして[クーロン]と旅してきた少女が久方ぶりの和テイストに感涙する 隣に居る白薔薇も箸で一つまみ、お刺身を一口齧り「まぁ…!」と思わず頬肉を綻ばした ルージュ「いただきます、…ちょっと"ショーユ"つけて…もぐっ」パクッ ――――ポタッ ――――――ポタッ ルージュ「……」ポロポロ ルージュ「………感動したッ!」ポロポロ…(´;ω;`)ブワッ 泣きました。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1499422950/441
442: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga] 2019/02/22(金) 17:45:57.02 ID:EOANnSFz0 レッド「なんだよお前大袈裟だなぁー」 ルージュ「大袈裟なんかじゃないよ、お米についてるこの味、酢<ビネガー>かな…それにショーユのしょっぱさと」 ルージュ「魚の甘み――魚って生で食べる機会無かった分かんなかったけど甘いんだね、あぁ、脱線しちゃったけど」 ルージュ「それ等と別に何かピリッとしたモノがあって…っ!」 ルージュ「そのスパイスが絶妙なハーモニーを生み出してるんだぁっっ!」ドンッ☆ <ハーモニーを生み出してるんだぁっっ! <生み出してるんだぁ <ウミダシテルンダァ ドン!っと漫画なら擬音でも出てそうな力説をかます紅き術士に「お、おう、そうか…」とレッドが気圧されかける 心なしか台詞にエコーでも掛かってそうなまである…まぁ気に入って貰えたなら何よりである アセルス「…というかルージュさ、何気にアレだったりするの?ほら…えっと、食通っていうの?」 湯呑みのグリーンティーを啜りながらアセルスお嬢が口を挟む、それにパチクリと目を瞬かせる アセルス「いや、酢飯を食べて酢<ビネガー>がどうとかさ初めて見る料理で何使ってるか一々分かる訳じゃないのに」 アセルス「だから、思っただけ……味にもうるさそうだったし」 ルージュ「んー、一応旅に出る前は僕が料理当番になること多かったからかな」 レッド「うん?当番……あ、よくある家族で「今日は○○がお風呂洗い当番なー」みたいな?」 今日はお兄ちゃんが夕飯の夕飯のおつかい行く日ねー、あたしお料理当番だからー、みたいな感じかとレッドは尋ねる その答えはある意味近いと言えば近かったが… ルージュ「家族?……いや、"家族"、じゃないかな…僕、さ…物心ついた時から親居なくて国の施設に居たから」 レッド「えっ」 アセルス「えっ」 白薔薇「施設、ですか…」 ルージュ「そそ、[マジックキングダム]の魔法学院でずっと小さい頃から寮生活なんだよねー」 ルージュ「みんな、僕が当番になると、やったー!ルージュの飯だーって喜んでくれてさ〜」ハハッ ……あっれれー?なんか重いハナシになっちゃったぞー、レッド少年とアセルスお嬢はお互いに顔を見合わせたが 当事者のルージュは笑い上戸か何かのように明るく話すので地雷踏んだワケじゃなかったかと一息である http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1499422950/442
443: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga] 2019/02/22(金) 17:46:28.15 ID:EOANnSFz0 レッド「そうかぁ…しかし魔法学院の寮かぁ、なんか意外だったなぁ」 ルージュ「意外ってなにが?あっ!僕が料理できるってこと!?ひっどいなぁ…」 ルージュ「そりゃあ最初は魔法学院風味を利かせた精進料理もできなかったけど少しずつ腕をあげて」 レッド「いや、そっちじゃなくて学院の寮ってとこのくだりだよ…なんつーか意外なモンだなぁって」 アセルス「うん、…言われて見れば私も白薔薇も、ルージュが術の資質を得る修行の旅をしてることしか知らないわ」 白薔薇「そうですわね、アセルス様が12年間眠り続けて、オルロワージュ様から現在逃げている事や レッドさんが犯罪組織の陰謀でご家族を亡くし"通りすがりの人"に病院に運ばれキグナスで働いている等」 白薔薇「…私達お互いに深い所は知る関係になりましたが、考えてみればルージュさんの事は何も知りませんね」 アセルスと白薔薇は言わずもがな レッドは……ヒーローの事は伏せるように、組織の幹部に殺されかけた時に"通りすがりの人"に病院に搬送され助かったと 流石に『広大な宇宙の何処かにあるヒーローの惑星<リージョン>から来た正義の味方アルカールに救われました』などと 馬鹿正直には言えない、言えば記憶を抹消されてしまう ルージュは、良くも悪くも世俗に囚われない…知らなすぎる節がある 単なる世間知らず、というには見る者全てに「なんかそういうんじゃねーなコイツ」と思わせる浮世離れした雰囲気がある 見る"モノ"全てが初めて 建物、人物、文化、土地の風習…それもだが、誰もが知ってる当たり前の常識でさえも何処か抜けてて 歳相応じゃない、22歳にしては純粋過ぎる、…人懐っこい犬みたいに誰にでもホイホイついていくその感性だ 世の中は善人だけではない、"そういう人間"を利用して利潤を得ようとする者も残念ながら居るのだ ――――だが、[ルミナス]で旅人をぼんやりと道行く旅人を見つめていた時といい 見ず知らずの旅人でさえあっさり信じる危うさがある [マジックキングダム]は名の通り、魔法大国として栄えたリージョンだ だから出身地を聞いた時、…ああ、裕福なお家で箱入り坊ちゃんとして育ったのか?ともその世間知らずな所で思ったが それとも違うのだ ルージュは、隔離されて育った。 王国の闇、影の部分である問題のある子供を極秘裏に育てる"影の学院"で いつか、来るべき日…兄弟同士で殺し合いをさせるという御国のプロジェクトの為 他所の惑星から見れば国のお偉いさんは倫理に反している!!と非難殺到間違いなし 世論が国家を滅多滅多に叩きまくって惑星間を跨ぐネット上で炎上しまくるのが確実な魔法大国の"暗部" その片割れを隠しながら育てる為に、だ……ルージュが何処か、現世の人間とは違った雰囲気なのもそれが原因である http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1499422950/443
444: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga] 2019/02/22(金) 17:47:02.18 ID:EOANnSFz0 ――― ―― ― 【双子が旅立ってから4日目 午後12時15分】 レッド「…」トボトボ レッドのお財布『200クレジット』チャリン… レッド「…くっ!男児たるもの泣くもんかよっ」 BJ&K「涙腺のゆるみを確認、感情の我慢は毒です」ピピッ レッド「うるせぇよ!」 昼食を取り、[心術]の修行場へ赴くがてらに土産屋へ寄った、お祭りに使われる"提灯"という風変わりなランタンがあり お菓子やお弁当の他に木刀や竹刀なんかも売ってたりする レッド「トホホ…ユリアが欲しがってたモンがこんな高いなんてなぁ、ん?」 ルージュ「…」ジーッ インスタントカメラ『 』 レッド「なんだルージュ、カメラが珍しいのかよ」トテトテ ルージュ「あっ、うん…ちょっとね」 [京]と言えば、学生が修学旅行に遊びに来たいリージョンNo.1に選ばれる星だ、ちなみ次点はカジノの星[バカラ] レッド少年も、アセルスお嬢も学校の行事で此処へは来た事があった その時も、学生の旅の思い出にとよくカメラが売りに出されていたのは記憶に残っている ルージュ「これさ、いんすたんとかめら、っていうんだろ、上のボタンを押すと写真が出る」 レッド「ああ、…良けりゃ買ってやろうか?安売りしてるみたいだし」 ルージュ「えっ!いいの…!」パァァ…! 気になる職場仲間の女の子への土産は買ったんだ、ならたかが時代遅れになりつつある消耗品のカメラの一つ二つ… そんな気持ちで安売りされていたカメラを友人に気前よくくれてやった ルージュ「レッド!ありがとうっ!…これがカメラで、こっちの筒に入ってるのが替えフィルムかぁ…へへっ」トテトテ レッド「やれやれ、アイツ俺より本当に3歳年上なんだか」ハハッ アセルス「あっ、烈人君…ガールフレンドへの贈り物は決まったんだね」ヌッ レッド「おわっ!?ね、姉ちゃん!?」ビクッ 本来なら12歳年上の17歳女子高生が19歳男子の後ろからヌッと現れた、アセルス姉さんじゅうななさい http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1499422950/444
445: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga] 2019/02/22(金) 17:47:37.17 ID:EOANnSFz0 レッド「あぁ…姉ちゃんは、その紙袋の中身は?」 アセルス「ふふっ、あれだよ」スッ 緑髪の少女が指差す方角は衣服が売りに出されている一角だった 浴衣や着物もそうだが宇宙開拓<フロンティア>が進むにつれ客層もグローバル化が進みつつある…何処の惑星でも通用する カジュアル服も当然ながらある、物価の高い[マンハッタン]、そこよりかは安く済む[クーロン]よりもなるべくなら 資金を消耗せずに済ませたい、…次の目的地が[京]と決まった時に買うならこっちの方がよいと判断したのだ アセルス「ずーっとこの貴族服だからね…」クルッ レッド「あ、そっか…姉ちゃん追われてるんだよな…」 アセルス「うん…服を作ってくれたジーナ…あ、友達のいい子なんだ、そこの子には悪いけどこの服は鞄に仕舞って」 アセルス「こっちの、人間だった頃によく着てた奴を着ようかと」ゴソゴソ アセルス編OP時の歩行グラフィック水色パーカー『 』ピラッ レッド「うわっ、懐かしい…」 アセルス「あはは…私からしたら懐かしい、って感覚じゃないんだけどね…」ポリポリ レッドから見れば12年ぶりの服装、最近目覚めたアセルスからすれば実に数日前の服装である 追われる身であるのならばせめて中世ファンタジーの王子様ファッションから目立たない恰好にしておきたい …尤も妖魔は特有のオーラで何処にいるか大体わかるから多種多様な人種入り乱れるリージョンで人混み 特に妖魔系のグループが大勢いる辺りに紛れてる時ぐらいしか役に立たないかもしれないが ちなみ彼女曰くジーナから貰った大事な服は間違っても捨てたりしない、らしい 白薔薇「まぁ…色鮮やかで綺麗ですわ、…こ、こんぺーとー?」 ルージュ「へぇ、これお菓子なのかぁ」ヒョイッ 金平糖<コンペイトウ>、白、赤、緑、黄…透明な瓶の中にはお星さまが沢山入っている 土産屋のカウンターから老婆が顔を出し、茶菓子に如何か?と尋ねて来る 紅き術士と妖魔の出で立ちから、他所から来た人ならお一つご試食を、とご丁寧に広げた和紙の上に乗った星をくれたのだ ルージュ「…おぉ!あまーい!」パァァ…! 白薔薇「ええ、口の中で少しづつ溶けていく…飴細工のようですわ」 ルージュ「おばあちゃん、ひとつ貰うよ!」つ【お財布】 「おんや、まぁ…そんなに気に入ってくれたかえ?」 白薔薇「あら?こちらにもありますね…?いえ、これは―――」 「ああ、それは[京]で精製した[精霊石]じゃよ」 ルージュ「[精霊石]?…へぇ、[マジックキングダム]以外でも売ってるんだ」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1499422950/445
446: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga] 2019/02/22(金) 17:48:10.63 ID:EOANnSFz0 土産屋の老婆が言うに、[京]の風水師や陰陽師が清めた魔道具や消耗品が特産品の1つでこの石もそうだという 投げれば、砕け散った破片が敵意を向けて来る者に刺さり自身を守ってくれると 「ほっほっほ、それだけじゃないぞ、この[ラッキーコイン]や[アンラッキーコイン]やお守り各種も…」 ルージュ「んー、ならコインを幾つかと[精霊石]を貰おうかな」 綺麗だし、旅の思い出ってことで良いかなと、故郷でも手に入る石をコインと一緒に購入した… ――――後に、この[精霊石]がブルーと出逢った時に役立つのだがそれはまだ先のお話 ――― ―― ― レッド「つーわけで、人間3人此処で修行したいんだ」 アセルス「よろしくお願いしますっ!」 ルージュ「頑張ります!」 「うむ、では奥の部屋で座禅を組み、精神を集中させなされ…試練に挑戦できるのは一度のみじゃ」 白薔薇「皆さん、頑張ってくださいね!」←見学 BJ&K「応援してます」←見学 受付で[心術]の資質を得るべく、手続きを済ます…手続きと言っても特に変わったことをするでもなく ただ、受けたいからやらせてくれと言うだけである 蝋燭の頼りない灯り、お香の独特な匂い…奥の広間で来客のルージュ等三人を出迎えたのは仏像という 変わった様式の彫像だった…物珍しいソレを眺める術士、「懐かしいなぁ学校行事で来た時はお試しコースだった」と 少女が言い、「こいつと睨めっこすればいいのか」と少年が頷く 赤の名を持つ少年が仏像の前に正座して目を閉じる、その隣に紫の血を持つ少女が、そんな二人に倣って紅き術士も ルージュ(二人と同じように眼を閉じてればいいのか…)パチッ ルージュ(……) ルージュ(…う、ん?)グニャァァ ――― ――― ――― ――… ルージュ「あれ?なんで草原みたいな所に…」 「きぃぃぃぃーーーっ」 ルージュ「モンスター![ハーピー]か…ッ」シュタッ! 「けけけっ! 血肉を寄越せェェ!!」グォンッ! http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1499422950/446
447: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga] 2019/02/22(金) 18:04:45.07 ID:EOANnSFz0 視界に広がるグリーンの絨毯に影がある、背中に生えた翼をはためかせた半鳥半人の化け物が陽光を遮って作った物だ 小さな豆粒ほどであったそれはルージュ目掛けて高度を落とすに連れて、…地表へ近づくことを示すように大きくなる 両脚の鋭い爪が銀髪の垂れ下がる両腕の付け根を刺し、そのまま千切り取ってやろうと降りて来るも 彼は自分と地表の影が重なるタイミングを見計らい、それを[見切る]…っ! 頭上に豆電球でも灯った様な感覚だ、どうすれば避けられるか身体が自然と閃いたままに動く 「ケェー!!、ちょこまかと…!」ガッ! 農夫が柔らかい土塊に渾身の力で鍬を振るったかのように[ハーピー]の両脚は突き刺さる、すぐに足を引き抜いて 地の利を生かそうとホームグラウンドの蒼穹へ飛び立とうとするが… ルージュ「先に仕掛けて来たのはキミなんだ、…恨んでくれるなよっ!」カチャッ!BANG! 「ゲゥ、…この餓鬼ぃぃ!よくも俺様の顔を…ケェエエエエエエエエェケッ」グォンッ ルージュ「エミリアさんみたく上手くはいかない!1発じゃ仕留めきれないかっ!」ダァンッ!ダァンッ! 「へひゃひゃ!へたくそぉ!そんな豆鉄砲の腕じゃあ鳩だって堕とせねぇーぜ、ケヒッ」ゴォォォ… ルージュ「それはもう見切った――「甘ぇぇよ!!」ガッ! ボッコンッ 同じ動作で再び紅き術士に爪を突き立てようとしたのか、否、人間の皮膚を切り裂くのが目的ではない 次はそのまま、土を掻っ攫うように地面に突き立てたまま前進し、地中の硬い大岩を踵爪に引っ掛ける 土木建築のクレーン重機が持ち上げてみせるのと違わない動きを器用に熟して人の頭部を二周り以上大きくした岩を ぐるぐると回転して遠心力付きでルージュに投げつける ルージュ「あく"ぅ―――っ」ガッ 「いひゃひゃ!ヤッター、メイチュー、ストライクー、くひゃひゃ!」 片脚に命中した大岩、衣服に広がる鮮血、尻餅をつき、片手で負傷した脚を引き摺ろうとするルージュを見て モンスターは舌なめずりをする、狩りは鮮度の高い肉を喰えるから良いのだ 薄い桜色の脂、それを多く赤黒い体液、鉄の味がするワインに酔い、勝利の末に得た極上の肉を舌の上で溶かす 動きの鈍った獲物目掛けて[ハーピー]は今度こそトドメを刺そうと次は両脚をルージュの胸――心臓に狙いをつけて 「心臓もーらいィ!それで俺様の顔の傷は許してヤルよ!あーひゃひゃひゃひゃ」 ルージュ「…っ、[インプロージョン]!」キュィィン ボジュッ ボトッ ベチャッ…ゴロゴロ… バサッ… 笑った顔のまま、モンスターの"生首だけ"墜ちて転がった。 釣り上がった目元も舌を出して品性の欠片も無く哂った顔のまま、少し遅れて背中に生えていた筈の翼もバサっと墜ちた http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1499422950/447
448: 今回はここまで [saga] 2019/02/22(金) 18:05:54.79 ID:EOANnSFz0 ――― ――― ――― ――… 「おい、ルージュ。 起きろよ!ルージュ…!!」ユサユサ ルージュ「うっ、…あれ、…ここ、さっきの」 レッド「お、やっと起きたな寝坊助め…どうだ?夢に出て来た魔物倒せたか?」 アセルス「どういう理屈か知らないけど、自分の中の不安とかが形になって出る来るから倒せたら成功だって」 ルージュ「え、そうなの…それならなんとか…」 ルージュ「…」 -ルージュ『エミリアさんみたく上手くはいかない!1発じゃ仕留めきれないかっ!』ダァンッ!ダァンッ!- -『へひゃひゃ!へたくそぉ!そんな豆鉄砲の腕じゃあ鳩だって堕とせねぇーぜ、ケヒッ』ゴォォォ…- ルージュ「…。」 ルージュ「自分の不安、か」 ルージュ(結局最後は僕、術で倒したんだ…術が使えなくなった時、足手まといになる、僕が仲間の脚を引き摺る…) 目を片脚に向ければ大岩をぶつけられた痕も、衣服の血汚れもそこには無かった レッド「俺は、なんか変な腕が出て来たな…いきなり[空気投げ]喰らってな、そのあと巻き返したけど」 アセルス「私は蝙蝠が襲ってきたわ……昨日苦しめられた[スクリーム]を使ってくる敵よ」グッ! それぞれ魔法生物系モンスターの[ダガーグラブ]と巨大蝙蝠の[ソニックバット]が襲って来たらしい 結論から言うと友人達もルージュ同様に撃退に成功し試練に打ち勝ったと ――― ―― ― 「うむ、合格じゃ…これでそなたらは[心術の資質]を得た」 レッド「…なぁ、資質って言われて姉ちゃんはなんか実感あるか?」ヒソヒソ アセルス「えぇぇ!?…いや、言われて見れば心がスッキリしてるような、ないような…」ボソボソ ルージュ「いや…あるよ、ハッキリわかる」 ルージュ「あの大仏の部屋を出た辺りから何か、目覚めそうな気がするんだ…今まで分からなかった事が分かる」 レッド「ほ、本当か?俺は…あんましそういうのピンと来ねぇぞ?」ヒソヒソ ルージュ「…ううん、戦いの最中で、自分の生命を賭す局面で[心術]を使えば、明光のように突然パーって…」 えらく抽象的で感覚的な事を言われるな、とレッドは思う、だが…不思議と"妙な説得力がある"のだ…否定できない 自身の心が何処かでソレを"納得"しているのだ…っ!…これが資質を得ている、ということなのだろうか http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1499422950/448
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