ブルー「俺達は…」ルージュ「2人で1人、だよねっ!」『サガフロ IF】 (967レス)
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(1): [saga] 2017/07/07(金)19:22 ID:8mU1puuW0(1/31) AAS
AA省
2: [saga] 2017/07/07(金)19:23 ID:8mU1puuW0(2/31) AAS
           ※ - 序幕 - ※

  prologue<プロローグ> 〜 7歳の修士、忘れ去った思い出 〜
3: [saga] 2017/07/07(金)19:23 ID:8mU1puuW0(3/31) AAS
 その日は、一際暑い一日だった

 降り注ぐ猛暑が石畳を熱し、雑踏を奏でる靴底にさえ悲鳴をあげさせるのではないかと心配する程だった
額に浮き出る玉汗をハンカチで拭いながらも聖堂へ脚を運び、修士として勤行に励む者のあらば
快晴からのさして嬉しくも無い贈り物に根をあげ、ポプラ並木の木陰で涼を取る住民…

心なしか、夏の風物詩たちの鳴き声すら力無いように感じられる

その子供は修士のローブを身に纏い、そんな光景をぼんやりと眺めていた
 半刻ほどで時計の短針は正午を告げるだろう時間帯に噴水広場で座り込み
虫取り網や空っぽの虫籠をぶら下げた同世代くらいの少年たちが走り回る姿をただ、ただ見ていただけだった
省14
4: [saga] 2017/07/07(金)19:24 ID:8mU1puuW0(4/31) AAS
 その日は、一際暑い一日だった

 東風が熱を帯びた身で忙しなく巡る人々の肌を焼く、日傘をさして歩く者も在らば麦わら帽子を被る者
露店で売られている飲料を透き通るグラスに一杯注ぎ氷をひとつまみ入れる
銅貨を数枚手渡し、これ見よがしに、それでいて贅沢に茹だる様な暑さに苛まされる者に見せつけて喉を潤す住人

猛暑日を肴に冷酒を嗜む、そんな夏の風物詩を満喫する通行人の顔が目に入る

その子供は修士のローブを身に纏い、木の根元に腰かけ書物を読んでいた
 半刻ほどで時計の短針は正午を告げるだろう時間帯にポプラ並木の木陰で捗らない読書にため息を吐いた
どうしても学院に居たくなかった、だから外へ飛び出したが失敗だったか、っとうんざりしていた
省14
5: [saga] 2017/07/07(金)19:24 ID:8mU1puuW0(5/31) AAS
「ねぇキミ、僕と一緒に遊ぼうよ」

「お前と遊ぶ理由が無い、去れ」

初対面の少年に彼は手を差し伸べ声を掛けました

初対面の少年に彼はそれだけ言い放つと再び本に視線を戻しました
省17
6: [saga] 2017/07/07(金)19:25 ID:8mU1puuW0(6/31) AAS
「本当は誰かと遊びたいと思ってるよね、でもお友だちがいないから一人で本を読んでる」

「仮にそうだとしたらなんだ、それとお前と俺が遊ぶ理由に繋がらないぞ」

首を振り、本の文面から視線をあげて銀髪の少年を見つめる

金色の糸がはらり、と肩から零れ落ちる

何処に行く宛ても無く、知り合いも居らず、頼れる者もなく、無計画に飛び出した
省12
7: [saga] 2017/07/07(金)19:25 ID:8mU1puuW0(7/31) AAS
「面白い奴だな、いいだろう」

「ありがとう、キミも中々面白いと思うよ」

この時、しかめっ面しかしていなかった彼が初めて微笑みました、心からの微笑みでした

この時も、その前からもずーっと笑っていた彼は一層明るく笑いました、心からの喜びでした

同じ背丈、同じくらいの歳頃、両手を合わせてみれば鏡に触れたようにピッタリな手の大きさ
省10
8: [saga] 2017/07/07(金)19:28 ID:8mU1puuW0(8/31) AAS
【旅立ちの日 時刻 12時00分】

シュルッ…  スッ―――

              ブルー「…行くか」

 艶やかな蜂蜜色の髪を束ね、藍色の術士の法衣に裾を通し、22歳になった彼は長年暮して来た寮の部屋を発つ
後に使うであろう者の為に整理整頓をしっかりとし、修士修了の日を迎えようとしていた

教員a「修士ブルーよ、ついてくるが良い」
省14
9: [saga] 2017/07/07(金)19:35 ID:8mU1puuW0(9/31) AAS
AA省
10: [saga] 2017/07/07(金)19:36 ID:8mU1puuW0(10/31) AAS
髭を蓄えた学会のお偉方は口元を綻ばせ拍手喝采で蒼の術士を歓迎する

      『ブルーよ…汝をマジックキングダムの術士に列する』

     『術士としての義務を果たし、キングダムへの忠誠を全うせよ』

 ブルーは表情にこそ出さないように努めていたが内心、打ち震えていた

自分は王国の為に…我が祖国の伝統と誇りある術士の1人となれた、と
省17
11: [saga] 2017/07/07(金)19:38 ID:8mU1puuW0(11/31) AAS
   『修了者の第一の務めはリージョン界を巡り、術の資質を身に付けより高度な術を鍛錬することである』

資質、…焚火を起こそうと思えばそこには火種となるモノが必要となる、火種があって、燃えるモノがあり
初めてそこに大火を立ち昇らせる事ができる

資質を持つものは鍛錬を積むことで基本術以外の術、…即ち高位の術を操れるようになる
 それゆえに術士を志す者は喉から手が出る程に欲しいモノだ

 さて、22歳の若者に下された勅命は此処までを簡単に訳せば
省14
12: [saga] 2017/07/07(金)19:39 ID:8mU1puuW0(12/31) AAS
                   『異例の事だが出発前に校長からのお言葉がある』

"裏の学院"でルージュがそれを聞き、ハッと我に戻ったころ

"表の学院"でブルーは、天を見上げ校長の言葉に意識を傾ける

                    - ブルー、貴方は選ばれし者です -
省12
13: [saga!red_res] 2017/07/07(金)19:42 ID:8mU1puuW0(13/31) AAS
                   ル ー ジ ュ を 殺 せ !
14: [saga!red_res] 2017/07/07(金)19:42 ID:8mU1puuW0(14/31) AAS
                    ブ ル ー を 殺 せ !
15: [saga] 2017/07/07(金)19:49 ID:8mU1puuW0(15/31) AAS
魔術師を育成する学院の校長にしてこの国を治める者…

              …御国の最高権力者からの勅令、それは…

[双子の兄弟同士で殺し合え]という命令だった、22年間、彼等は生まれた時には既に施設に居た

一度たりとも出逢ったことの無い、双子の片割れ
省11
16: [saga] 2017/07/07(金)19:53 ID:8mU1puuW0(16/31) AAS
           ※ - 第1章 - ※

        〜 ファースト・コンタクト 〜
17: [saga] 2017/07/07(金)19:58 ID:8mU1puuW0(17/31) AAS
 ルージュの足取りは酷く重かった

彼は先述の通り、"御人好し"と評されるタイプの人種だ

 温和でそして子供っぽさの残る純真さ、そんな彼に出逢った事が無いとはいえ(実際には会ってるが)
双子の兄を殺せと命を下されたのだ

 国家の最高権力者から直々の勅令、王国の意向に背く事となればどのような理由であれ
それは"国家への反逆"を意味する
省25
18: [saga] 2017/07/07(金)19:59 ID:8mU1puuW0(18/31) AAS
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ブルー「資質集めの旅か、証明してみせる…!」グッ

ルージュがシップ発着場へと歩き始めた頃、紅い宝石を強く握りしめ、彼は強く念じる

ブルー(祖国は不完全な1人の術士よりも完璧な術士を求めている)

ブルー(資質を集めろ?双子の片割れを殺せ?)
省15
19: [saga] 2017/07/07(金)20:00 ID:8mU1puuW0(19/31) AAS
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                 ブルー「<ゲート>! …[ドゥヴァン]へ!!」シュンッッ!!

                 ルージュ「[ルミナス]行きのシップに乗せてください!」

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20: [saga] 2017/07/07(金)20:02 ID:8mU1puuW0(20/31) AAS
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【双子が旅立ってから…初日、18時27分】

「ピンポンパンポーン♪ Attention, please! Attention, please! お客様!
  本日は当機をご利用いただき誠にありがとうございます、[マジックキングダム]発、[ルミナス]便は間もなく
 [ルミナス]に着陸致します…機体が揺れますので、しっかりとお席についてシートベルトを着用お願い致します」

 キィィィィン…!  プシュゥゥゥゥ…
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