【MHW】古代樹の森で人間を拾ったんだが【SS】 (24レス)
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1: 三毛猫◆58jPV91aG. 04/16(火)23:28 ID:dNS54ToO0(1/23) AAS
モンスターハンターワールドのSSです。
不定期投下です。
楽しんでいただけると嬉しいです。

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5: 三毛猫◆58jPV91aG. 04/16(火)23:32 ID:dNS54ToO0(5/23) AAS
少女 「……ハチミツまだあるよ。食べる?」
アンジャナフ 「ハチミツ……? お前、随分刺されてるな。採ってきたのか?」
少女 (コクリ)
アンジャナフ 「俺に水を運んでくれたのもお前か……? どうして……」
少女 「あのままだと、おじさんが死んじゃうと思って……」
アンジャナフ 「…………」

グググ……

少女 「あ……下に降りるね。ごめんなさい」
アンジャナフ 「……!」
少女 「尻尾、痛い……? 切れてるから痛いよね」
省3
6: 三毛猫◆58jPV91aG. 04/16(火)23:33 ID:dNS54ToO0(6/23) AAS
少女 「お、落ち着いて……傷が……」
アンジャナフ 「……助けてくれたことは礼を言おう。だが、俺ァ人間は嫌いだ。見逃してやるから、どっかに消えろ。ガキは家に帰るもんだ」
少女 「…………」
アンジャナフ (……何だ、この悲しそうな目は。これは、俺を憐れんでるんじゃない。もっと深くて根深い何かの目だ……)
少女 「……家、なくなっちゃった。私も、ハンターさん達に見つかったら『ハント』されちゃうんだ」
アンジャナフ 「はァ?」
少女 「えへへ……同じだね」
アンジャナフ 「…………」
7: 三毛猫◆58jPV91aG. 04/16(火)23:33 ID:dNS54ToO0(7/23) AAS
グググ……ズゥン、ズゥン

アンジャナフ 「痛ェ……でも何とか立てたぞ。ここは森の中でもいい場所じゃねえ。血の臭いプンプンさせてたら、いろいろ呼び寄せちまうからな」
少女 「行っちゃうの……?」
アンジャナフ 「…………」
少女 「そっか。じゃ……」
アンジャナフ 「ハンターに狙われてるって、何でだ? お前人間だろ?」
少女 「人間……のはず、だけど。でも、私は人間じゃないんだ」
アンジャナフ 「あァ? 何言ってやがる」
8: 三毛猫◆58jPV91aG. 04/16(火)23:34 ID:dNS54ToO0(8/23) AAS
少女 「あはは……何、言ってるんだろ。ほんと……」
アンジャナフ 「……?」
少女 「笑えない冗談だよ……」
アンジャナフ 「家がなくなった? ハントされる? 人間のお前が、人間にか?」
少女 「…………」
アンジャナフ 「……いろいろ気になるが、ここは古代樹の森の西側の筈だ。俺の縄張りじゃねェ。縄張りの主に見つかる前に、ズラかるぞ」
少女 「縄張りの主? 見つかるとどうなるの?」
アンジャナフ 「お前と同じだ。今の俺は弱ってる……ハントされることになるな」
少女 「ハント……ハントって」
9: 三毛猫◆58jPV91aG. 04/16(火)23:34 ID:dNS54ToO0(9/23) AAS
ギャオオオオオ!

少女 「……ひっ」
アンジャナフ 「よろしくねェな……この咆哮は、どうやらもう気づかれてるようだ」
少女 「おじさん、どうするの?」
アンジャナフ 「可能な限り俺の縄張りの方に逃げる。対面しちまったら、戦うしかねェな」
少女 「…………」
アンジャナフ 「……俺の背に乗れるか?」
少女 「!」
アンジャナフ 「ここにほっぽりだしてくのも目覚めが悪ィ。仕方ねえ。安心して話ができる場所まで連れてってやる」
少女 「う……うん! 分かった!」
省2
10: 三毛猫◆58jPV91aG. 04/16(火)23:35 ID:dNS54ToO0(10/23) AAS
〜古代樹の森、南西部〜

アンジャナフ 「ハァ……ハァ……」
少女 「おじさん、大丈夫……? 傷が開いて……」
アンジャナフ 「止まるわけにはいかねェ。縄張りを侵してるのは俺の方だ」
少女 「でも……」

ギャオオオオオオ!

少女 「近い……!」
アンジャナフ 「! しっかり掴まれ!」

ズゥン!
省2
11: 三毛猫◆58jPV91aG. 04/16(火)23:35 ID:dNS54ToO0(11/23) AAS
オドガロン 「何だァ……? フラフラじゃねェか? よく俺様の一撃を避けられたな」
アンジャナフ 「やっぱりオドガロンの兄さんか……」
オドガロン 「俺の縄張りで何してる? ジャナフ」
アンジャナフ 「…………」
オドガロン 「すげェ怪我だな。人間のハンターとでも殺り合ったか?」
アンジャナフ 「それは……」
オドガロン 「そして負けたと見える」
アンジャナフ 「!」
オドガロン 「尾無しには、この古代樹の森で生きる資格はねェ。小さい頃からお前には口ィ酸っぱくして教えたよな? なぁ?」
アンジャナフ 「兄さん、聞いてくれ。俺ァどうしても、ヤマツカミ様に……」
省1
12: 三毛猫◆58jPV91aG. 04/16(火)23:36 ID:dNS54ToO0(12/23) AAS
アンジャナフ 「……兄さん!」
オドガロン 「ハンターに敗北した挙げ句、尻尾を切られ、生き恥を晒して、俺の縄張りを汚しているお前にかける温情はねェ。森の掟だ。食うか、食われるかだ。分かるな? 坊主」
アンジャナフ 「クソが……!」
オドガロン 「…………」

ジリジリ……

オドガロン 「……血の臭いに混じって、おかしな臭いがする。お前、何かを隠してるな?」
少女 (……!)
アンジャナフ 「へへ……何のことだか……」
13: 三毛猫◆58jPV91aG. 04/16(火)23:36 ID:dNS54ToO0(13/23) AAS
ビュン! ドガァ!

アンジャナフ 「ぐう!」
オドガロン 「ヘロヘロでこく威勢でもねェだろ」

ドガ! ドガ! バキィ!

アンジャナフ 「ぐ! ぐお……うう!」
オドガロン 「……本当にもう力が残ってねえみてェだな。不甲斐ないぜ!」
アンジャナフ 「クソ……!」
オドガロン 「ここで引導を渡して……」
少女 「やめて……!」
オドガロン 「!」
省3
14: 三毛猫◆58jPV91aG. 04/16(火)23:37 ID:dNS54ToO0(14/23) AAS
オドガロン 「坊主……てめェ、どうして人間なんかとつるんでやがる?」
アンジャナフ 「兄さん……聞いてくれ」
オドガロン 「…………」
アンジャナフ 「森の掟……『弱き者は強き者に食われる運命』なのはよく分かってる。だが、今だけ。今回だけは見逃しちゃくれねえか……? それに、この人間は無関係だ。倒れてる俺のことを介抱してくれていた……」
オドガロン 「介抱……?」

ギャオオオオオ!

アンジャナフ 「……!」
オドガロン 「貴様、まさか人間に命を救われたとでも言うつもりか! 我ら森の民の誇りは、どこに捨てた!」
15: 三毛猫◆58jPV91aG. 04/16(火)23:37 ID:dNS54ToO0(15/23) AAS
アンジャナフ 「分かってくれ! 俺はここで、兄さんに殺されるわけにはいかねぇんだ!」
オドガロン 「問答無用!」

ガッ!

アンジャナフ 「ぐ……食いつかれた!」
オドガロン 「このまま喉笛を食い破ってくれる!」
アンジャナフ 「うおおおお!」
オドガロン (む……! この人間が持っているものは……光蟲!)
少女 「…………!」

カッ……!

オドガロン 「ぐ! 光だ! 目が眩む! ぐあああ!」
16: 三毛猫◆58jPV91aG. 04/16(火)23:37 ID:dNS54ToO0(16/23) AAS
アンジャナフ 「食いつきが緩んだ! 今だ!」
オドガロン 「グゥ! 貴様……」
アンジャナフ 「兄さんすまねぇ!」

ゴォォォォォ!

オドガロン 「ぐああ! 火炎を……! 目が……」
アンジャナフ 「俺はヤマツカミ様に会わなきゃいけねェんだ。兄さん……それまで生きなきゃならねェ!」
オドガロン 「こんなことで、俺が殺られるとでも……」
アンジャナフ 「尾無しとはいえ、俺をあまり甘くみねェ方がいい……!」

ゴォォォォォォ!
ズゥン! ドガァ!
省2
17: 三毛猫◆58jPV91aG. 04/16(火)23:38 ID:dNS54ToO0(17/23) AAS
ドゴォォォ!

オドガロン 「ぐああ!」

ズゥン……

オドガロン 「…………」
アンジャナフ 「ハァ……ハァ……」
少女 (ブルブル……)
アンジャナフ 「大丈夫だ。気絶してるだけだ」
少女 「おじさん、怪我が……」
アンジャナフ 「これくらい、無くした尻尾の痛みに比べれば何ともない。ここを離れるぞ」
少女 「あの人は……?」
省3
18: 三毛猫◆58jPV91aG. 04/16(火)23:38 ID:dNS54ToO0(18/23) AAS
〜古代樹の森、南、アンジャナフの縄張り〜

アンジャナフ 「フゥ……ここまで来ればもう安全だ」
少女 「ここは……?」
アンジャナフ 「俺の寝蔵……縄張りだな」
少女 「…………」
アンジャナフ 「傷が開いちまってる。少し休むぜ……」
少女 「どうして……」
アンジャナフ 「……?」
少女 「どうして、あの人にトドメを刺さなかったの……?」
アンジャナフ 「…………」
省1
19: 三毛猫◆58jPV91aG. 04/16(火)23:39 ID:dNS54ToO0(19/23) AAS
アンジャナフ 「オドガロンの兄さんとは古い付き合いでな。俺の、身内みたいなもんだ」
少女 「おかしいよ。身内の人は殺そうとなんてしてこないよ」
アンジャナフ 「……俺が尾無しになっちまったからな。今ここで引導を渡そうとしてくれてるのは、兄さんの優しさだろう」
少女 「優しさ……」
アンジャナフ 「お前をほっぽり出す気力もねェ。兄さんが追ってこねェとも限らねえ。俺は今のうちに寝る。お前も休め」
少女 「……うん」
アンジャナフ 「…………」
少女 「おじさん……あの、ヤマツカミ様って……」
アンジャナフ 「フゴー……フゴー……」
少女 「もう寝ちゃった……」
20: 三毛猫◆58jPV91aG. 04/16(火)23:39 ID:dNS54ToO0(20/23) AAS
〜アステラ、酒場〜

ハンターA 「本当か? 森の中に生贄の巫女が逃げ込んだってのは……」
ハンターB 「森の奥で姿を見たってヤツもいる」
ハンターA 「古代樹の森の奥地でか? かなりの危険地帯だ。もうモンスターに喰われてるんじゃないか?」
ハンターB 「噂では、巫女は不思議な力を持っているって話だ。ひょっとしたら、まだ生きてるかもしれねぇな」
ハンターA 「おいおい、そんな馬鹿な……」

ガタッ……

ハンマー 「…………」
ハンターA 「な、何だ。あんたいきなり……」
21: 三毛猫◆58jPV91aG. 04/16(火)23:40 ID:dNS54ToO0(21/23) AAS
ハンマー 「その話、もう少し詳しく聞かせてくれないか? 礼ならする」
ハンターB 「お……おう。巫女のことか?」
ハンマー 「ああ」
ハンターB 「ゾラ・マグダラオスが動き出してる。生贄の巫女は、マグダラオスに捧げられる女の子だ。俺も詳しくは知らねえが、部族の中で特殊な力を持つ一族が、代々捧げられてるらしい」
ハンマー 「…………」
22: 三毛猫◆58jPV91aG. 04/16(火)23:40 ID:dNS54ToO0(22/23) AAS
ハンターB 「その巫女が、少し前に祠を逃げ出したらしくてな。加えて、マグダラオスの動きも活発化していて、ここ最近のネルギガンテの目撃情報も相次いでる。アステラは結構な騒ぎだぜ」
ハンマー 「ネルギガンテ……!」
ハンターA 「兄さん、珍しい武器持ってるな。この辺のハンターじゃねえだろ。ネルギガンテってのは……
ハンマー 「知ってる」
ハンターA 「……?」
ハンマー 「俺は、ヤツの角を砕くために旅をしているからな」
23: 三毛猫◆58jPV91aG. 04/16(火)23:41 ID:dNS54ToO0(23/23) AAS
続きます。
寒暖差が激しいですが、皆様もお体に気をつけて。
お風邪など召しませんよう。
24: 04/17(水)21:28 ID:jTMLrnWgo(1) AAS
おつ
きたい
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