エンド・オブ・ジャパンのようです (266レス)
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230: ◆vVnRDWXUNzh3 [saga] 2023/04/18(火) 23:23:27.80 ID:an/t4nPL0 八人目は姿勢を低く、レスリングのタックルのような要領で迫ってくる。顎を膝でかち上げ、剥き出しになった喉仏を握り潰して息の根を止めた。 九人目は元保安官の【暴徒】だったらしく、ニューナンブを構え撃ってきた。生憎、どれほど微弱な【船体殻】でも容易く防げる銃火器の方が私個人としては余程ありがたい。背後の二人に流れ弾が当たらないようあえて大きく飛んで連射された3発を全て受け止めつつ、着地と同時にブレイドを振り下ろし防弾チョッキごと両断する。 「ゴホッ…………!?』 丁度十人目。心臓を深々と刺し貫き、脱力したソイツの胸ぐらを掴み、私を包容しているような形で纏わりつかせ───そのまま一気に大きく踏み込んで、加速。 『「『ぅぎゃぁっ!!?」』」 「『「おごぁっ!!!?』」』 路地の反対側の出入口、突入するためそこに屯していた、7〜8人ぐらいの“ダマ”。そこに、即席の「盾」を掲げながら全力全開での体当たりをかます。 鈍い打撃音、そしてナニカが折れたような幾つかの乾いた音を重ねながら、“ダマ”は一瞬で解け後方へとまとめて吹っ飛んだ。 「こっち!!」 ∬#メ´_ゝ`)「03、先に!」 └(*・ヮ・*#メ)┘「ほいさぁ!!」 飛び出した先は、主要通学路の一つだったのかそれなりの道幅の道路だった。周囲の【暴徒】と【寄生体】を片っ端から斬り払って抉じ開けたスペースをさらに広げつつ、背後の路地に向かって叫ぶ。 阿音が89式小銃を乱射して“塊”を牽制する間に、鈴は構えを解き一目散にこちらへと駆けてくる。 └(*・ヮ・*#メ)┘「ばっふぁろぉおおおお、きぃいいいいっく!!!」 『ベルタソッ!?」 路地裏を出ると同時に、跳躍。近場の【暴徒】一人の顔面に飛び蹴りを食らわせ、そのまま文字通り“踏み倒して”着地した時には、既にPSG1の膝射体勢が取られていた。 └(*・ヮ・*#メ)┘「ほい、ほい!!」 「ダポッ!?』 『ヌブッ」 『ギャアッ!?』 二度、マズルフラッシュが瞬く。一発目は左手から突進してきていた【暴徒】を二人まとめて貫き、二発目は変則軌道で強襲を試みた【寄生体】の頭部を寸分の狂いなくぶち抜いて粉々に打ち砕いた。 └(#メ*・ヮ・*)┘「モー大丈夫だよ02!!」 ∬#メ´_ゝ`)「了解!!」 『『『ギァアアアアアアアアッ!!!!』』』 出入口周りがある程度“クリア”になったところで、阿音もまた最後にもう一射撃“塊”に浴びせた後踵を返す。火線の妨害がなくなった“塊”もまた、一拍置いてその後を猛然と追い始めた。 ∬メ;´_ゝ`)「あらあら、見た目の割に礼儀正しいじゃないの」 手厚く熱烈な“御見送り”の様子をチラリと振り返り、阿音は口元を不敵に歪め─── ∬メ#´_ゝ`)「それじゃ、お返しぐらいはしなくちゃね!!」 ───腰に巻いてある雑嚢から取り出した“贈り物”のピンを抜き、道路へ飛び出すと同時に背後へと投げつけた。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1657376096/230
231: ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga] 2023/04/18(火) 23:26:37.70 ID:an/t4nPL0 炸裂音が空気を震わせ、一瞬爆光が煌めいた後路地裏には黒黒とした煙が充満する。咄嗟に屈んだ私と鈴の頭上を、千切れた【寄生体】の頭部や焼け焦げた肉片が飛び越えていく。 『ギィッ、ギィッ…………』 『シャアアアァァ………』 小銃の弾丸とは比べ物にならない威力ではあれど、密集具合を考えても削れたのはせいぜい二十に届くかどうかだろう。数だけで言えばまだまだ健在の筈だったが、それ以上“塊”が追撃してくることはなかった。 ∬メ;´_ゝ`)「ごめんなさい、待たせちゃったかしら?“お客様”の引き止めがしつこくて」 「ええ安心して、寧ろ大和撫子の身支度の手際の良さを改めて実感したところよ」 路地への警戒は怠らぬままこちらへ駆け寄り合流した阿音と軽口をたたき合い、これに鈴も加えた三人で背中合わせになり周囲で犇めく【暴徒】並びに【寄生体】と対峙する。 三人で散々暴れ狂ってやった結果流石に警戒が強まったのか、遠巻きに眺めて隙を伺いつつこちらへの波状攻撃は止まっている。 ここで「遠慮なんかしなくていいのよ?かかってきなさいな」とでも啖呵を切れれば大層格好がつくのだけれど…………実状としては、素直にこの“休養”が有り難いわ。 「各位、残弾は?」 ∬;メ´_ゝ`)「M26はさっき投げた分がラスト、擲弾も次でラスト。89式の弾倉は持てるだけ持ってきたけど…………さっきのフルオートで2つ使ったから、こっちも残りは3つしかないわね。因みにUSPも同じだけよ」 └(*・ヮ・*;メ)┘「こっちのPSG1も弾倉は同じく!流石に節約してもキビシーかな、月末の給料日直前並みにキビシー!! んで叢雲ちゃん…………じゃねえや、Muscle-01、こっからどうするよ?!」 ∬;メ´_ゝ`)「…………………別にわざわざ言い直す必要なかったじゃないのよ。名前だろうがコールサインだろうがどっちでも」 └(*・ヮ・*#メ)┘「っかーー!解ってねえなぁ阿音ちゃんは!!ロマンってもんを解ってねえよ!!コールサイン呼びは戦場のロマン、人間ロマンを忘れちゃモーおしまいだって!!」 ∬;メ´_ゝ`)「私一応現役の軍事関係者だけど解らないし解りたくない哲学だわ」 ……二人共まだまだ意気軒昂なのは間違いなく好材料なんだけど、人間どこぞの皇国みたいに精神力だけでB-29を撃墜したり敵機動艦隊を殲滅したりはできやしない。 そこは艦娘たる駆逐艦・叢雲でも同じことだ。艤装を使えない以上、阿音と鈴の装備銃火器並びにそれを操る高いスキルはこの包囲網を切り抜けるには必要不可欠。 だが、切り抜けられるまでに要する「目算約2km」という距離に対して、この残弾数が十分とは残念ながら思えない。しかもこれは、あくまで“直線距離”での話だから尚更に。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1657376096/231
232: ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga] 2023/04/18(火) 23:29:31.15 ID:an/t4nPL0 そして、仮に弾薬が潤沢にあったとしても、ではのんべんだらりと戦っている暇があるかと言えば答えは否だ。 『───ズァアアアアアアアアアッ!!!!』 └(*・ヮ・*メ;)┘「あー………Muscle-03より01並びに02、新たな“艦影”を11時方向に確認したけど」 ∬メ´_ゝ`)「02より03、ありがとう。私達も見えてるから大丈夫よ」 └(*・ヮ・*メ;)┘「デッスヨネー」 鈴が指した方向、民家の屋根の上に現れた【雷巡チ級】。この二人に助けられるまで私を攻撃していた二隻と同じく、下半身を蜘蛛のような形状のメカメカしい多脚ユニットに取り替えた“陸上型”が、仮面の隙間から覗く青い瞳で此方を冷たく見下ろしていた。 先の二隻と違い、両手共に対空機銃だった前者からこちらは右手が小口径の連装砲に変更されているけれど。 (………その砲を出会い頭にぶっ放して来ない様子を見る限り、連中が私を“生け捕り”にするつもりだって仮説は間違ってもいないしまだ変わってもないみたいね) ただし、この方針は恐らく枕詞に“出来得る限り”の一言が付随してきている筈だ。艤装の火力が一段階上がったのも、その“許容範囲”を私達が完全に踏み越えた時即座に処理できるようにという下準備でしょうね。 よしんば本格的な火力投射が始まる前にあのチ級を沈められたとしても、今度はその事自体が“許容範囲超え”の裁定に繋がるきっかけにもなりかねない。そうなったら次はより重火力を備えたチ級か…………いよいよ本格的に、艦内に展開し砲台として機能しているであろうリ級やル級といった一線級の“ヒト型”をこちらへ差し向けてくる可能性も十分に考えられる。 (今はまだそういった主力級の連中はこっちまで進出してきてないみたいだけど………何がイヤって、さっきまでアレほどバカスカぶっ放されてた“艦砲射撃”の勢いがあからさまに落ち始めてるのよね) 大洗町沿岸に展開しているであろう自衛隊戦力との戦況が拮抗して膠着状態に陥りつつあるのか、或いは早々に崩壊して内陸への浸透でも始まってしまっているのか、何れにせよ火力投射量が落ちればそれだけ多くの艦を此方へ割く余裕ができつつあることになる。私達にとっては、あまり喜ばしい推移とは言えない。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1657376096/232
233: ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga] 2023/04/18(火) 23:41:42.86 ID:an/t4nPL0 駆逐イ級やハ級といった“非ヒト型”は、どんなに小さいものでも5メートル前後。超絶巨大とはいえ高層ビルの類も無ければ山や森が密集しているわけでもない平坦な“甲板上”で多数展開していれば、否が応でもその姿は目に留まる。 だけど実際には、確認できるのは駆逐ナ級が二隻と軽空母ヌ級がEliteも含めて三隻のみ。しかもヌ級は、今なお艦載機をちらほらと吐き出し続けるのみで砲弾は一発も放っていない。 にも関わらず、先程まで行なわれていた“対地砲撃”はどう少なく見積もっても五、六十隻分に相当する分量だった。ならば最低でも、それだけのヒト型が学園艦内にいると考えるべきよね。 弱音は吐きたくないけど、流石にこの装備かつこの損傷状態で万全のリ級やル級とかち合って生き残ることができる保証はない。だから尚の事、私達は少しでも早く大洗女子学園に到達する必要があるワケだ。 (付け入る隙があるとしたら………やっぱり、向こうの“方針”になるわ) 私の“生け捕り”………まで求めているかどうかは実際のところ定かじゃないけど、ソレを含めてとにかく何かしら他に私を“殺せない理由”があると仮定する。 この場合、少なくとも今のように密集した陣形を作っている限り、私のみならず阿音と鈴に関してもある程度の安全性を担保することができる。深海棲艦の艤装では、威力の大きさゆえにここまで密着した状態で私“のみ”のダメージを回避・軽減する事が不可能に近いからだ。 ただし、その担保は先に述べた“許容範囲”の中に私達が留まっている間のこと。奴らが大洗女子学園の破壊を中途半端なままにしている“目的”を考慮すれば、当然私達が本校舎に近づけば近づくほど“デッドライン”との距離も縮まっていくだろう。 (問題は………“向こう”にとって、どっちの方が優先順位として高いか) 私の“生け捕り・不殺”の優先順位が高ければ、話はかなり楽になる。何故なら向こうとしては、最悪私の学園艦外への脱出か自害さえ避けられればまだ望みは繋がる。 そして前者の可能性は私が突然エスパーにでも目覚めない限り無理で、後者は単純にありえない。仮に学園内に逃げ込まれて向こうの戦略上手出しができなくなったとしても、生かしておく限り幾らでも“次”があるってわけだ。 だけど、仮に“学園校舎への侵入阻止”の優先順位が高ければ、最大限希望的に猶予を見積もってもせいぜい1キロが限界でしょうね。艦砲射撃と機銃掃射が全力で行われれば、流石に私でもこの雲霞の如き大群と両方は捌ききれない。 言いたくないし考えるのは癪だけど………その時は、ここが“墓場”になることを覚悟するわ。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1657376096/233
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