エンド・オブ・ジャパンのようです (311レス)
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253: ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga] 2023/07/26(水)22:04 ID:1kNqHEos0(15/17) AAS
強引にこじ開けた一個小隊相当の“穴”。後続がそこを埋めきる前に、こっちからその中に滑り込む。

さっき保安官たちも無線でやり取りしていたけど、【暴徒】の勢いや見える範囲での【寄生体】の密度を見る限り恐らく今回の攻勢は前にこの“防護陣地”へ行われてきたソレよりも激しさが増している。
マジノ要塞にでも籠もっているならいざしらず、昭和の学生運動に毛が生えた程度のバリケードでこの兵力差を埋めきれるかどうかは怪しいところね。

先ずは、陣地の傍から“群れ”の前衛を押し返すことを優先する。

「邪魔っ!!」

『『クキャッ!!?』』
省20
254: ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga] 2023/07/26(水)22:16 ID:1kNqHEos0(16/17) AAS
寡勢が大群と相対する際に、重要なのは此方の戦力を如何に“集中”するかだ。

テルモピュライのスパルタ然り、イッソスのアレクサンドロス大王然り、桶狭間の織田信長然り、沖田畷の島津家久然り、硫黄島の栗林忠道閣下然り。歴史を紐解いても、少数兵力側が戦況を覆すか大いに善戦した時は、基本地形や天候を利用して“真っ向勝負”が起きないようにするところから始まっている。
そこに敵の油断や混乱、彼我の練度・兵装差が加わることで、初めて物量差を覆すだけの余地が生まれるってわけ。寡兵が大軍を何の変哲もない真っ向勝負で打ち破るとしたら、それこそタイムスリップした直後で弾薬が潤沢な自衛隊と戦国の侍軍団くらい兵装格差がないと無理でしょうね。

その点で鑑みれば、私達はよくやっている。お粗末とはいえ“防護陣地”に拠って敵勢の大半を引き付けつつ打撃し、その上で艦娘──つまり私という最強ユニットの衝撃力を一点に集中させて一部を突き崩しつつあるのだから。
現に影響は既に出始め、私が“群れ”の中を斬り進む毎にそれの穴埋めと対処に追われてバリケードそれ自体への取り付きが徐々に少なくなっている。

「っふ!」

『ポキョッ⁉』
省14
255: ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga] 2023/07/26(水)22:24 ID:1kNqHEos0(17/17) AAS
腕は痺れ始めているし、肺は少ない酸素を必死にやりくりして正に青息吐息、脚だってまるで満杯まで入れた輸送用ドラム缶を鎖で繋いで動かしているかのような重さだ。

現時点での“全力”を振り絞っての戦闘から、せいぜい2分か3分しか経っていない。けれど、あと5分この状態を保てるかも怪しいものわね。
まぁその間に7、80人は斬ったけど、今現在押し寄せてきている全体量からしたらまるで足りない。仮に私がここで力尽きれば、後続に飲み込まれて間違いなく一巻の終わり。

けれど、それでいい。

元より、自分の限界が近いことは承知の上。1時間も2時間も戦おうとか、一騎当千でこの“群れ”を殲滅してやろうとか、そういう高い志は端から持ってない。

(あとは中の連中が、“意図”を汲んでくれてるかどうか………っ、ね!)
省14
256: ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga] 2023/07/27(木)23:37 ID:898rXpAV0(1/2) AAS
包囲は、この時点で既に大きく綻びつつあった。

防戦を開始した地点から“門”の前付近まで一気に打通した私の突貫は、さながら手練の筋者が扱うドスの如く“群れ”を深く抉っている。
単純な損害の大きさに加えて、艦娘である私が大暴れしながら“群れ”をどんどん食い破っていく有様は当然向こうにとって愉快な状況から程遠く、損害の穴埋めと私への対処に動きざるを得ない。

結果として“防護陣地”への攻勢が全面的に「鈍化」を通り越して「停止」に差し掛かりつつあった中での、W号による砲撃。正しく穴埋めと私への対処に出向いてきた四個小隊相当の戦力が一瞬で壊滅し、深海棲艦側は致命的な混乱状態に陥った。

《門前、全迎撃隊に伝達!攻撃を開始してください!!》

【大洗の軍神】は、機を逃さない。無線越しに号令が飛び、“門”から一気に“軍勢”が打って出る。
省13
257: ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga] 2023/07/27(木)23:41 ID:898rXpAV0(2/2) AAS
元々日本の警察組織は、本来ある意味において自衛隊以上に“銃火器”の使用に対する制限が厳しい。ただその分、彼らの多くが対人格闘術に特化している。
逮捕術と呼ばれるこれらの技術は、護身並びに反艦娘的な思想の持ち主に襲撃された際の“最大限穏当な対人制圧術”の一環として艦娘の訓練過程にも組み込まれるほどだ。

まぁ、“あの”鎮守府には当て嵌まらない生ぬるい基準だけど。私が最初に学んだのは、「如何にすれば3人以上の頚椎をいっぺんにへし折れるか」だったわね、確か。

「突っ込めぇ!!」

「「「どりゃああああっ!!!」」」

ともあれ、たった今カチ込んでいった保安官たちもまた、そうした日本警察の伝統をしっかり受け継いでいるみたいね。
省18
258: 2023/07/28(金)08:53 ID:v/s5I2+QO携(1) AAS
2日連続更新おつです
マッスル提督ついに大洗到着
259: 2023/07/29(土)09:47 ID:fStM5nz20(1) AAS
夏休みで舞い上がってる小学生かな?
部外者が野次飛ばす時はsage進行って覚えといてね
260: ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga] 2023/08/23(水)23:18 ID:YMhrknSl0(1/3) AAS
グシャリ。

重く、鈍く、何かが潰れたような打撃音が響く。視線をやれば、丁度警棒を振り切った体勢の保安官と、その前で地面に勢いよく叩きつけられた【暴徒】1人が目に入る。

「クコッ…………』

斃れた【暴徒】の側頭部は、踏み潰されたアルミ缶のごとく歪に凹んでいた。

「っふ!!」
省20
261: ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga] 2023/08/23(水)23:21 ID:YMhrknSl0(2/3) AAS
銃という火器の普及によって、戦争は一時期国家総力戦を前提とするほどに大規模化した。中世頃から現れた“銃”という兵器の存在は、それだけ革新的だった。男女差も年齢差も皆無とは言えないが現れにくく、剣術や槍術と違って身体的欠損でもない限り本当に誰でも兵士に仕立て上げられる魔法の筒。

その“魔力”が最も大きく現れるのは、殺人に対する罪悪感の軽減。

離れて撃つから、殺人そのものに対する現実味が希薄になる。仮に向こうも武装していて銃撃戦になったとしても、直接斬り合い殴り合うより“殺し合い”という行為に対して抵抗感が遥かに緩和される。加えて根本的な必要所作は“引き金を引く”だけだから、“慣れる”までも早い。

「そぉれい!!」

「そっちから二人来たぞ、抑え込め!!」
省9
262: ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga] 2023/08/23(水)23:22 ID:YMhrknSl0(3/3) AAS
それでも、彼らは武器を振るう手を鈍らせない。どれ程自分たちが信じていた“正義”に反する行為でも、どれ程自分たちの“心”を踏みにじり傷つける行為であっても、機動隊員たちは血反吐を吐くようにして感情を撒き散らしながら【暴徒】を薙ぎ倒し続ける。

後ろにいるであろう避難民を守るために、その身を以て盾になる。永久に魂に刻み込まれるであろう業を、咎を、明確に存在する命のために自ら背負う。
そんな彼らの決意が、“覚悟”が、強烈な熱風となっていくさ場に吹き荒れ、徐々に前線を“陣地”から引き離し始めた。

『『キィアアアアアアッ!!!』』

「くっ……きゃあっ!?」

……まぁ、その、ねえ?機動隊の突入を“誘発”した責任も、あるわけだから。
省5
263: 2023/08/24(木)09:02 ID:K4QawAKw0(1) AAS
更新おつです
264: 02/10(土)18:55 ID:wu/6Dwb20(1) AAS
保守
265: 03/04(月)18:51 ID:W6PYPV1kO携(1) AAS
続き待ってます
266: [sage saga] 04/23(火)12:51 ID:3eXHPaRu0(1) AAS
私も待ってますよ
267: ◆vVnRDWXUNzh3 [saga] 07/12(金)23:47 ID:eHYGMVxz0(1/5) AAS
ブレイドを一振り。まとめて5、6匹の【寄生体】を叩き斬る。夕闇の中でも容易く解る、ヌメヌメとした気色悪い光沢を放つ胴体の束がボトリと地面に落下し、其の向こう側で面食らった様子の【暴徒】が一人棒立ちになっている。

「ウギェッ』

『ゲファッ……」

顔面を鷲掴みにし地面に叩きつけ、そのままブレイドを逆手に持ち替えつつ後ろに突き出す。挟み撃ちを狙った別の一人が胸板を貫かれ、血反吐を撒き散らしながら私の背にもたれかかる。

『キェエエエエエエえ゛ぅ゛ッ」
省14
268: ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga] 07/12(金)23:48 ID:eHYGMVxz0(2/5) AAS
盾を構えた学園艦機動保安隊、その数はせいぜい50に届くかどうか。包囲している“群れ”の規模からすれば、寡兵という言葉さえ生温い圧倒的な物量差ね。

だけど機動保安隊の面々は、食い止めていた。それも驚嘆すべきことに、ほぼ完璧に。1人2人の突破も、1メートルの後退も、ただの一揺れすらなく、頑強に“波”を遮っている。

「ゴッガァッ!!!』
『ギィッ、ギィッ、ギィッ!!!!」

「っおおおお………腰に、腰に響く………!!」

「畜生、せっかくいいゴルフクラブなのにそんな使い方するんじゃねえ!!」
省9
269: ◆vVnRDWXUNzh3 [saga] 07/12(金)23:54 ID:eHYGMVxz0(3/5) AAS
└(*・ヮ・*)┘《心得たぁ!!》

『グプッ!?』『プギァッ!?』

西住さんの号令に、いの一番に応えたのは鈴だった。有言実行、明朗快活な返事と共に放たれた弾丸は、一発で今まさに機動保安隊の前衛に向かって跳躍した2匹の【寄生体】──恐らくは西住さんたちにとっての【ヌタウナギ】──を纒めてぶち抜きその頭部を吹き飛ばす。

└(*・ヮ・*)┘《いっえええええいナイッショー!!》

《五月蝿えぞ、はしゃぎすぎだ阿呆!》
省20
270: ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga] 07/12(金)23:56 ID:eHYGMVxz0(4/5) AAS
末恐ろしき我らが指揮官様は、まさかと思うけどこの効果も見越して…………いえ、愚問だったわね。

ここまで散々あの神算鬼謀ぶりを見せつけられてきて、今更これに関してはただの偶然を疑う方がどうかしてるもの。

《撃て!!》

見てみなさい。まさしく今し方放たれたW号による砲撃なんて、狙撃班の火線集中で取り分け大きく混乱が生じていた動線部分に直撃ドンピシャリよ。

「指揮車による支援砲撃が弾着!【暴徒】前衛、損害大!」
省18
271: ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga] 07/12(金)23:58 ID:eHYGMVxz0(5/5) AAS
『ウギッ……」「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ゛!!?』『逃げ………ぶぼっ」

『『『ギャッ、ギャッ、ギィッ!!!』』』

一斉に火を吹く6つの銃口。六方へ伸びた火線は、容赦なく進路上の人体を引き裂き、薙ぎ倒す。

【寄生体】の方は、流石にそこまで芳しい戦果とは言い難い。89式の方なら正確に命中させれば撃破もできるでしょうけど、何分弾幕展開を重視するなら精度は犠牲になる。
けれど、牽制としては十分過ぎる効果を発揮し、銃火の圧に押し止められて十数体にも及ぶ“ダマ”が突入を遮られてグネグネと気味悪く蠢いている。

『ギギギッ──グキャッ』
『『『ギィいいいいいいアァアァアァアアアアアッ!!!?!?!』』』
省24
272: [sage saga] 07/16(火)14:33 ID:AiBTEnhm0(1) AAS
ちょっと見ない間に更新されてた!
執筆おつです待ってました
これからも待ってます
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