エンド・オブ・ジャパンのようです (266レス)
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150: ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga] 2023/02/02(木)00:13 ID:J8FT46aQ0(1/2) AAS
〈〈………………!!〉〉

艦娘艤装・艦載機操作補助思念体───通称【妖精】。1m前後の艦載機に乗り込むだけあって彼ら(彼女ら?)の背丈は文字通り掌サイズであり、顔立ちもアニメキャラクターを更にデフォルメしたようなどこかポップな印象で、これが深海棲艦という凶悪な存在を轟沈し得る兵器の操舵者だ等と俄には信じがたい。

どうやら自分には提督の“素質”があるらしくこの【妖精】達が見えるのだが………今足元で、恐らく余りの艤装を用いて対空陣地の構築に奔走していたであろう数人がこちらを見上げて敬礼しているのが視界の端に移る。
艦内移動用の車両──妖精たちの体躯からすれば学園艦の面積で徒歩移動などサハラ砂漠の横断も同然だろう──が近くにある辺り、わざわざ代表して何人かが駆けつけてきたのだろうか。

至って真面目であろう本人たちには失礼ながら、童話の一場面じみた光景には微笑ましさすら感じてしまう。だがそのメルヘンチックさによって、幸い自分自身も肩の力は抜けたが。

「八頭進一等海佐相当官は言った、“日本を守るため、共に僕等に出来るベストを尽くそう”と。

今彼は、フィリピン海の洋上で艦娘達や【こんごう】の乗組員達と共に死力を尽くして戦っている!ならば我々もまた、彼と共にベストを尽くそう!この鎮守府を率いる“提督”の姿に、恥じぬように!!」

全く、あれのどこが“一般人”なんだか。我々が命令に伏し、命を賭し、“共に”戦うに足る、最高の上官ではないか。

つくづく、自分は果報者だ。人生で二度も、そんな上官に巡り会えたのだから。

「「「〈〈─────……………!!〉〉」」」

別に、島を震わすほどの雄叫びも、ハリウッド映画のヒーロー登場シーンかと見紛うばかりの歓声も上がらない。寧ろ、静けさという意味なら前よりも深いものとなった。

だが、肌で解る。隊員たちが、妖精たちが、海上の【第五連隊】の艦娘達が、恐怖や焦りを捻じ伏せていくさまを。勇気を取り戻し、闘気を漲らせている様子を。

押し寄せる敵機を、待ち構えるとまでは言わない。ただ少なくとも、距離を着実に詰めてくるレシプロエンジン音に、真っ向から立ち向かう準備を彼ら彼女らは完全に終えた。

(6年前の…………あの人のお陰だな)

命を賭け、命を捨てるに値した、一人目の上官。彼が明確に自分の上官であった時間は、ほんの数時間に過ぎない。その間言葉を直接交わすことはなかったし、向こうはきっと自分のことを知りもせず逝ってしまったに違いない。

《敵艦載機群、到達まであと100秒!!》

《【第五連隊】旗艦・水無月より連隊各艦、対空射開始!撃ち方ぁ、はっじめぇ!!》

《対空射隊指揮艦・荒潮より艦内艦娘各位、先行射撃開始!!いーい?爆弾落とさせちゃダメよ、お掃除大変なんだから》

〈ワレラモツヅクゾ!!コウカクホウタイ、カクジウチカタハジメ!!!〉

それでも、自分は覚えている。山を鳴動させ、海を震わせ、敗残兵を死兵へと変えたあの人の言葉を。

《………っ!ダメだ、やっぱり水無月たちの火力じゃ十分に防ぎきれない……!!》

《荒潮より司令室、敵機40機強を撃墜し陣形大いに崩すも進軍尚止まらず!!先鋒航空群、突入態勢に移行!!》

《甲板全区画、全隊員に伝達!対空戦闘用意、対空戦等用意!!第一種戦闘配置を継続せよ!!》

硫黄島の空に高らかに響き渡った、平賀文平一等海佐のあの雄叫びを!!

『『『『───────────────ッ!!!!!!』』』』

「敵機直上、急降下ァーーーーーーーーッ!!」

「県一等陸尉より艦内全人員に伝達ッ!!」
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