【小説版】提督「鎮守府一般公開?」 (32レス)
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6: 2022/01/17(月)23:31 ID:85j0nEoi0(6/13) AAS
「まぁまぁ榛名、テートクは謙虚な方なのデスからそこは認めてあげなきゃだめデスよ。時代は変わったんデス。榛名だって、そのテートクの優しさに惹かれているのも事実でショ?」
「そ、それは……そうですけど……」
姉として、年長者の余裕を見せる金剛に、榛名もしぶしぶ頷く。
「ならヨシ。それよりも、今回はいったいどうしてこうなったデスか?」
「実は先刻、大本営から命令を受領しました。提督、金剛お姉さまに命令書をお見せしてもよろしいですか?」
「もちろんだ」
紅茶とスコーンの載ったトレイが提督のデスクに置かれ、入れ替わりにバインダーが金剛の白い手に渡る。
「ふむふむ、鎮守府一般公開……。いいじゃないデスか!これは要するにfestivalデスね!」
「まあ嬉しい、金剛お姉さまも乗り気ですね!」
「祭りとあっちゃ堪えられないデス!みんなで楽しく騒ぎまショー!」
いまだに頭を悩ませている提督をよそに、少しづつテンションを上げていく金剛と榛名。
「ええと、日時は他の鎮守府とすこしずつずらして、ほぼ同時期に一斉に行われるみたいですね」
「あ、ウチだけじゃなく他も開催なんデスね」
「そうみたいです。実際に何をやるかは詳細はこちらで決めていいそうですね」
それを聞いた提督が、ほんの少し救われたように顔を上げた。
「じゃあもうほどほどに無理せずやろう?屋台出したり施設見学開いたりして済まそうよ」
懇願するように言う提督に、榛名が悪気なく追い打ちをかける。
「でも、私達艦娘による海上での総合火力演習は必須みたいですよ」
「オォウ!腕が鳴るネー!」
「OH……資源が……資金が……」
対照的に盛り上がりと盛り下がりを見せる、金剛と提督。
「テートク!これは大本営公認のお祭りなんデスよ!ここは楽しまなきゃ損デス!」
「お祭りと言えば、金剛お姉さまは昭和3年の12月4日を覚えていますか?」
「御大禮特別観艦式があった時デスね!忘れるはずがありまセン!」
ついに戦艦二人は鋼鉄の頃の思い出話に花を咲かせ始めた。
「俺はおろか親父やお袋も、影も形もない頃だな」
提督が冷静に呟いたが、金剛と榛名の耳にはまったくっていない。
「あの時、私は御召艦として陛下にお乗り頂き……」
「私が先導艦として道案内を務めさせて頂いたんデス……」
うっとりと恍惚の表情を浮かべる二人。ややあって、榛名が命令書の一文に目を止める。
「お姉さま、ここ読んでください!!」
「え、どうしたノ?」
「地域毎人口比の動員数が最も多かった鎮守府は、来年度から物資の特配のほかに陛下の行幸があるそうですよ!」
「陛下の行幸……!!Woww!!インクレディブル、デース!!」
「先帝陛下と今上陛下、二代にわたってお仕えできるなんて、榛名達は幸せ者です!!」
憧れの異性との再会に喜びを隠せない少女のように、しばらく嬌声を上げて騒いでいる戦艦二人を、動員数などハナから諦めている提督は、申し訳なさそうに眺めていた。
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