キョン「どうやら俺は、お前のことが大好きだ」佐々木「……やれやれだね」 (7レス)
キョン「どうやら俺は、お前のことが大好きだ」佐々木「……やれやれだね」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1640517553/
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1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga] 2021/12/26(日) 20:19:13.03 ID:Pq65kueIO 「なあ、佐々木」 「ん? どうしたの、キョン」 「どうやら俺は、お前のことが好きらしい」 唐突であるが中学時代の一幕を回想しよう。 あれはクリスマスから一夜明けた12月26日で日曜日。その日の塾帰りに俺は、自分なりに導き出した結論を佐々木に伝えた。すると。 「好きというのはつまり、恋愛感情かい?」 「ああ」 「随分と自信があるようだけど、どうしてキミはそれを恋愛感情と断言出来るのかな?」 佐々木という奴はご覧の通り面倒臭い性格をしていて、この世で起こる全ての出来事には理由があり、何らかの法則に従った結果として収束するのだと信望しているようだった。 「断言はしてない。好きらしいってだけだ」 「その言い方だとまるで外部の何者かの客観的意見を参考にしているようにも取れるね」 さすがに察しがいい。佐々木は頭が良いので突発的な俺の妄言の中に含まれる深層心理を見抜いて、無自覚な矛盾点を掘り下げる。 「キョン。感情とは流動的で、刻一刻と変化するものだ。その中でも好意は特殊で自分から相手に向ける感情ではあるが、自分の中で生み出されるその瞬間だけは、外部の影響を受けるべきではない。発生してからゆらゆら揺れ動くのは仕方ないが、発生だけは人工的ではなく自然なものなければ僕は認めない」 好意を自覚する際に外部に頼ることは何らおかしくないとは思う。それを認めない、認めたくないのは佐々木の個人的な矜持だろう。 SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1640517553 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1640517553/1
2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga] 2021/12/26(日) 20:22:14.88 ID:Pq65kueIO 「矜持などではなく、単に僕は狭量なのさ」 くくっと、皮肉げに口の端を曲げて自嘲する佐々木の仕草に胸を締め付けられるのは俺だけの感情であると、それだけは断言できる。 「やっぱり俺は、お前のことが好きだ」 「そうかい。それはどうも。それで?」 「え?」 その先を促されて、続きをせがまれて、俺は困ってしまう。俺は佐々木に好意を伝えたことに満足していた。自己満足に浸っていた。 「キミに好意を伝えられた僕はどうすればいい? 僕もキョンのことを憎からず思っていることを伝えて両思いになるべきだろうか。それとも今まで通り、親友の関係を続けていくためにやんわりとお断りするべきだろうか。キミはそこまで考えて好意を口にしたの?」 「いや、俺は……」 「考えてないよね。キミは自分が気持ちよくなりたいから僕を利用したに過ぎない。僕が恋愛感情を快く思わないのはそうした下心を否定出来ないからさ。だから僕は自分が女であることを放棄してキミと接してきた。その努力や葛藤をキミはきちんと理解してる?」 果たして、佐々木は怒っているのだろうか。 違うと思う。なんとなく、言葉通りに受け取ってはいけないと思った。俺は親友だから。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1640517553/2
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga] 2021/12/26(日) 20:25:04.98 ID:Pq65kueIO 「お前の言ってることを、俺は否定しない」 「だろうね。否定なんて出来やしない。何故ならキミは僕のことなんて理解していないからだ。僕はこんなにキョンのことを理解しようと努めているのに、キミはそれをしない」 佐々木のことは誰よりも知ってるつもりだ。 一人称を僕にしているのは恋愛と距離を置きたいのだとわかっているし、好意を伝えてから一度も目を合わせない理由もわかってる。 「目を合わせないのは嘘をついてるからだ」 「嘘? 親友のキミに僕が嘘を吐いていると? やれやれ。みくびられたものだね。僕がそんな不誠実な人間だとしてそんな相手を好きになったキミは余程物好きか、変わり者……」 「佐々木、こっちを見ろ」 「っ……こ、これで満足かい……?」 ようやく目が合った佐々木の目は充血していて、潤んでいた。上気した頬に精一杯の虚勢として浮かぶ笑窪は皮肉さとは程遠かった。 「まさか喜んだらいけないと思ったのか?」 「どうだろうね。少なくとも、警戒したことは確かさ。この世界はそんなに甘くはない。何かとても嬉しいことがあったとしても、次の瞬間には絶望に変わっても何ら不思議ではない。だから、キョン。僕は……怖かった」 そう言って、佐々木の目尻から涙が伝った。 くつくつと湿った嗚咽を零しながら、肩を揺らす佐々木を見て、やれやれと溜息を吐く。 「俺はお前にフラれるのが怖かったよ」 「……………ご期待に添えず悪かったね」 素直じゃない親友との駆け引きは、疲れる。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1640517553/3
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