ジャンヌ・ダルク「少し席を外しますね」ジル・ド・レェ「うんこですかな?」 (12レス)
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1: [sage saga] 2021/09/23(木)23:11 ID:H9cwANIEO携(1/12) AAS
『戦争』という最悪の手段を用いて祖国を存続させた私が未だに『聖女』などと呼ばれている違和感にはもはや慣れつつありますが、しかしこの現代において大昔の存在である私が霊体としてではなく生きた肉体を持ちクラス【ルーラー】のサーヴァントとして活動していることについては些かルールを逸脱しているのではないかという疑念が拭えません。

「よいではないですか、ジャンヌ。そのおかげでこうして我々は再会出来たのですから」
「しかし、ジル。あなたは曲がりなりにも英霊として描かれているのに対して、私はあくまで人間なのです。世界の理に反している」

先程、ふらりと現れた『赤』の陣営に与するサーヴァントであるシェイクスピアが"お近づきの印"と称して宝具にさらさらとペンを走らせ、生前世話になったジル元帥を精密に描写してくれたのですがその意図が読めません。

「はっ……世界の理」

はて何がそんなに気に触ったのでしょうか。
ジル元帥はギョロリと目玉を飛び出させて、私の言葉を反芻し、そして唾棄しました。
省3
2: [sage saga] 2021/09/23(木)23:15 ID:H9cwANIEO携(2/12) AAS
「ジル元帥。全ては済んだことです」

その昔、私は異端審問の末火刑に処された。
それは事実であり史実であり真実なのです。
いくらその数十年後に有罪判決が覆されようとも、あの時、あの瞬間、私は罪人だった。

「戦争を扇動した私の罪は償わなければならなかった。それが、神の御意志だったです」
「神!? もしもそれが神とやらの真意ならばその神眼はさぞ節穴だったのでしょうな!」

唾を飛ばしながら反論するジル元帥の目玉を指で押して戻しつつ、私は冷静に諭します。

「元帥。流石に言葉が過ぎますよ。いくらあなたでも、神への侮辱は看過出来ません」
「お赦しください、ジャンヌ。しかし私にはどうしてもわからないのです。何故あなたが、あなたほどの高潔な聖人が、あの日あの時火刑に処されなければならなかったのか」
「だからそれは先程述べた通り、どれほど大衆に祭り上げられようとも私の罪は……」
省2
3: [sage saga] 2021/09/23(木)23:17 ID:H9cwANIEO携(3/12) AAS
「あなたはジャンヌ・ダルク! 救国の英雄! 戦争を扇動したのも全て神のお告げに従ったまでのこと! であるにも関わらず、他ならぬ神はあなたを救ってくださらなかった!!」

ジル元帥は泣いてました。号泣しています。

「何故あなたが! 処刑されるべき悪人など腐るほど存在していたあの時代に、何故ジャンヌ・ダルクの罪だけを咎めるのか!!」
「元帥。何が言いたいのですか?」

言いたいことを全て言わせるべきだと判断して結論を促した私に、ジル元帥は悍まし微笑みを浮かべて、自らの罪を告白しました。

「あなたよりも余程、この私のほうが罪深いということですよ、ジャンヌ」
省5
4: [sage saga] 2021/09/23(木)23:19 ID:H9cwANIEO携(4/12) AAS
「おお、ジャンヌ……」
「一緒に罪を償いましょう」

飛び出した目玉が乾くのでしょうか。
ジルはポロポロと涙を溢しています。
彼の涙は透明に透き通っていて美しいです。
それが、ジル・ド・レェの無罪の証明です。

「どうです? 少しは落ち着きましたか?」
「取り乱してしまい、申し訳ありません」
「謝る必要などありません。それよりも、せっかくこうして再会したのですからもっと楽しい話をしましょう。神に感謝しながら」
「ジャンヌ……あなたこそ、私の女神」
省7
5: [sage saga] 2021/09/23(木)23:20 ID:H9cwANIEO携(5/12) AAS
「ジル……?」
「ん? どうしました、ジャンヌ?」

平然としているジル元帥。聞き間違いかな?

「少し席を……」
「やはり、うんこですな?」

ああ、神よ。どうか彼の罪をお赦し下さい。

「ジル元帥」
「はい、ジャンヌ」
「あなたの罪は、重い」
省7
6: [sage saga] 2021/09/23(木)23:22 ID:H9cwANIEO携(6/12) AAS
「あなたの主張はまったく理解出来ません」
「ならばわかりやすく説明しましょう。現在、あなたはサーヴァントでありながら人間の肉体を有している。当然、食事もすれば排泄もするでしょう。しかしそこにひとつの大きな疑問が生じます。あなたほどの聖人が果たして聖水はともかく脱糞をするのかどうかという疑問です。 はてさて、その答えによっては世界の理が崩壊するやも知れませんな」
「世界の理は崩壊しません」

ジルがここまで大馬鹿なんて。嘆かわしい。
そもそも聖水という呼び方もやめて欲しい。
きっばり杞憂だと切り捨てるもジル元帥は。

「しかしジャンヌ! あなたは聖人なのですぞ! オルレアンの乙女たるあなたが聖水はともかく脱糞をするなど常軌を逸している!」
「常軌を逸しているのはお前だ。ジル元帥」

また聖水と口にしたジルに冷たく告げると。

「あなたの火刑の光景。あれほどまでに常軌を逸脱したものはありません。常軌など、あの瞬間から存在していませんよ、ジャンヌ」
省1
7: [sage saga] 2021/09/23(木)23:25 ID:H9cwANIEO携(7/12) AAS
「あなたを追い詰めた責任は私にあります」

まずはこの場を収めるのがルーラーの務め。

「すぐに戻って来ますから。謝罪なら、その後いくらでもするので待っていてください」
「ジャンヌ……それほどまで便意が」
「ジル!? いい加減にしてくださいっ!!」
「ふむ。いい加減に便意が高まっていると」

私だって怒ります。キレ散らかす時もある。

「黙って見送ってくれてもいいでしょう!」
「しかし、あなたは帰って来なかったので」
「すぐ戻りますから! 帰ってきますから!」
省10
8: [sage saga] 2021/09/23(木)23:27 ID:H9cwANIEO携(8/12) AAS
「私に脱糞を見られるのは嫌なのですか?」
「当たり前です!」

憤慨する私に慈愛に満ちた笑みを浮かべて。

「ジャンヌの罪は、私が背負います」
「ジル……」

なんだろう、おかしいな。ちょっと感動だ。

「さあ! 行きましょうぞ! 旗を掲げて!」
「元帥……ええ、いいでしょう! 出陣!!」
省12
9: [sage saga] 2021/09/23(木)23:30 ID:H9cwANIEO携(9/12) AAS
「乙女の危機なのですよ!」
「このお方をどなたと心得る!」

ドンドンドンドンッ!

激しくノックする私と、援護するジル元帥。
もはや一刻の猶予もありません。自業自得。
ジルとの会話が楽しくて、機を逃しました。

『うるさいなー。マスターとのお愉しみを邪魔しないでよ。ねー、マスター』
「はて、マスターとは?」
「ジークも中に居るのですか!?」

衝撃の事実。急展開の予感にお腹が苦しい。
省19
10: [sage saga] 2021/09/23(木)23:33 ID:H9cwANIEO携(10/12) AAS
「フハッ!」

ぶぴゅぴゅぴゅぴゅぴゅぴゅぴゅぅ〜っ!

「フハハハハハハハハハハハハッ!!!!」

罪を犯す瞬間というのはやはり震えますね。

「ああ! ああ! ジャンヌ! やはり神はいます! ほらそこに! すぐそこに! 神が!! 神の御意志! 奇跡! 私の眼前に糞の泉が!!フハッ! フハハハハハハハハハハッ!!!!」
省22
11: [sage saga] 2021/09/23(木)23:37 ID:H9cwANIEO携(11/12) AAS
Fate/Apocryphaは本当に素晴らしい作画で面白い作品なので、是非観てみてくださいね
綺麗なジルを観たい方には特にお勧めです
最後までお読みくださりありがとうございました!
12: [sage saga] 2021/09/23(木)23:48 ID:H9cwANIEO携(12/12) AAS
最後、【Fate/Apocrypフハッ!】となっておりますが、pが余計でしたね
正しくは、【Fate/Apocryフハッ!】でした
確認不足で申し訳ありませんでした
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