最上静香の「う」_五杯目_ (23レス)
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8: ◆kBqQfBrAQE [saga] 2021/04/04(日)21:06 ID:Tpk3HJgw0(8/20) AAS
途端、入り口からわっと人波が流れ込んできた。オフィス街も近いこの店は、正午を過ぎ昼休みに突入すると途端に混雑し始める。ワーカーたちもうどんに飢えたうどん人(びと)である。静香の存在など目もくれず、テーブルに座るとお品書きを眺め始めた。平和で穏やかであった店内は途端に一秒たりとも気を抜けぬ乱世の様である。それまで丼を洗っていたパートの女性が、前掛けで手を拭きつつ流し台から彼らのもとへパタパタと駆け寄った。
静香は幸いにも店が込み合う直前に注文したお蔭で、うどんが運ばれてくるのは十分とかからなかった。
「はい、お待ちどおさま。野菜天ぶっかけとしそおにぎりね」
女将がカウンターに皿をごとりと置いた。口調はのんびりとしているが、次々と押し寄せる注文を捌くため女将の動作はテキパキとしており、翻って厨房に戻ると海老に衣をつけて揚げ始めた。
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