キョン「よう」長門有希「……やっほー」 (11レス)
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1: [sage saga] 2021/02/08(月)23:14 ID:QpWAPgXRO携(1/10) AAS
涼宮ハルヒが物憂げな表情を浮かべている時は大抵何かしらの面倒ごとを引き起こすと相場は決まっているものだが、ならば反対にやたらと上機嫌な場合はより一層の危機感を抱かざるを得なくなるなんてことは、今更忠告するまでもないことだろう。

とはいえ、そうした経験則に基づいてこちらが身構えられるという点においては、わかりやすいことはそう悪いことではないのかも知れない。

前置きが長くなってしまったが今から俺が語る話題に涼宮ハルヒは一切登場せず、まるで話のダシに使ってしまったようで僅かながらも申し訳なさを覚えるが、ダシとしてこれ以上ないくらい良い働きをしてくれた団長様に感謝しつつ、我がSOS団の無口キャラについて語らせて貰おうと思う。

それが誰か、などと今更説明は要るまい。

静かなる元文芸部員、長門有希の秘話だ。
省1
2: [sage saga] 2021/02/08(月)23:18 ID:QpWAPgXRO携(2/10) AAS
「長門さんが最近おかしい?」

その日、SOS団の不毛且つ非生産的な活動を終えた俺は、前方に女性団員3人組を視界に収めつつ古泉にとある相談を持ちかけていた。

「具体的にはどうおかしいのですか?」

俺から相談があると言われた際に浮かべていた訝しげな表情はどこかに消え去り、興味津々な様子で古泉は追及してきた。

「とにかく変なんだよ」
「アバウトすぎますね。変と言ってもいろいろあるでしょう? たとえば明らかに怪しげな薬に手を出してしまったようだとか、何かおかしな宗教団体に入信してしまったようだとか、そうした具体的な説明が必要です」
省7
3: [sage saga] 2021/02/08(月)23:20 ID:QpWAPgXRO携(3/10) AAS
数日前のことだ。
いつものように放課後SOS団の部室を訪れると、そこに元文芸部員が鎮座していた。
まるで数千年前からそこに居たように、居ることが当たり前のように、長門が居た。

そんな長門に対して俺はいつものように、よう、だとか、おう、だとか声をかけた。
具体的になんと声をかけたのかは定かではないが、それに対してのリアクションは今もクッキリと脳裏に刻まれている。

「やっほー」

!?

なんだ、今のは。幻聴か? もしくは夢か?
省9
4: [sage saga] 2021/02/08(月)23:23 ID:QpWAPgXRO携(4/10) AAS
「なるほど。あなたが遅刻したあの日、そんな超常現象が部室で起こっていたとは……」
「やっぱり変だろ?」
「変というひとことで済ますのは無理がある程に、狂気的な何かを感じますね」

それはいくらなんでも大袈裟だとは思うが、正直あの日俺は青天の霹靂というか、天地が逆さまになったかのような衝撃を受けたのは事実だった。

「その後、長門さんから何かアクションはありましたか?」
「特に何もないのが逆に不気味でな」
「ふむ。では、あなたの聞き間違いや勘違いという線はありませんか? たとえば単に長門さんはやまびこの練習をしていて、それを偶然聞いたあなたが動揺しているようなので、場を和ますために冗談にしようとしたとか」
「やまびこの練習をしてる時点でおかしいだろ。古泉、お前こそ動揺してるんじゃないのか?」

わけのわからないことを抜かす古泉に呆れつつ、前方を歩く長門に視線を向ける。
ハルヒが何やら偉そうに語っていることを熱心に聞いて頷いている。ふと、目があった。
省9
5: [saae saga] 2021/02/08(月)23:27 ID:QpWAPgXRO携(5/10) AAS
「古泉」
「はい、例の案件ですね」

翌日、部活中に古泉を呼んで廊下に出た。
流石と言うべきか古泉は半信半疑ながらも昨日話したことについて調査してくれたらしく、懐からメモ帳を取り出して報告する。

「機関の調査によると長門さんの周辺並びに彼女の母体となる情報統合思念体に目立った動きは見受けられず、特段異常は見つけられませんでした。やはり、気のせいでは?」

こっちは二度もこの目で目撃してこの耳で聞いたんだ。気のせいで片付けられては困る。

「しかしこれ以上踏み込んだ調査をするとなると、あとは部室に監視カメラを仕掛けるくらいしか手立てがないのが実情でして……」
「むしろこれまで仕掛けていなかったことのほうが驚きなんだが……」
「団内に女性団員が存在していて内1名が毎日部室に着替えているとなれば流石にカメラを仕掛けるのを躊躇うくらいは機関にも分別がありますよ」
省6
6: [sage saga] 2021/02/08(月)23:29 ID:QpWAPgXRO携(6/10) AAS
「よう」

待ちに待った昼休み。待ちかねたぜ。
元文芸部室の扉を開くと、長門は居た。
片手をあげて挨拶をする。すると、長門は。

「待っていた」

読んでいた本から顔を上げてそう言った。
待っていたのは俺のほうだ。おかしい。
長門は何故、俺を待っていたのか。尋ねる。

「待っていたってのはどういう意味だ?」
「最近の私の言動は全て、あなたを誘き寄せるための罠」
省7
7: [sage saga] 2021/02/08(月)23:31 ID:QpWAPgXRO携(7/10) AAS
「ま、まあ、待てよ」

とりあえず、落ち着こう。
震える膝を誤魔化すことを諦めて、俺は部内に置かれたパイプ椅子に座った。深呼吸。

「別に取って食うつもりは無いんだろ?」
「命を奪うつもりはない」

それを聞いてホッとする。
考えてみれば当たり前の話だ。
長門は以前、俺の命を救ってくれた。
暴走した朝倉の凶刃から俺を守ってくれた。
では、何故俺を罠に嵌めるような真似を。
省8
8: [sage saga] 2021/02/08(月)23:33 ID:QpWAPgXRO携(8/10) AAS
「私がふざけるとそんなに嬉しい?」

ああ、嬉しかった。思わず記録したい程に。

「記録して、古泉一樹と鑑賞して、私のことを笑い物にして、それで満足?」
「ち、違っ……俺はただ、お前が……!」
「何も違わない。私の言うことは絶対」

まるでどこぞの鬼の首魁のような物言いだ。

「あなたには失望した」
省15
9: [sage saga] 2021/02/08(月)23:35 ID:QpWAPgXRO携(9/10) AAS
「変なのは、あなた」

ゆっくりと諭すように長門は俺を洗脳した。

「あなたは異常。おかしい。とても奇妙」

そうなのかも知れない。いや、そうなのだ。

「情報統合思念体は安定傾向にある涼宮ハルヒよりも不安定なあなたに興味を抱いた」
省8
10: [sage saga] 2021/02/08(月)23:36 ID:QpWAPgXRO携(10/10) AAS
「なあ、長門」
「なに?」
「ハルヒには黙っておいてくれるか?」

ダメ元で頼んでみる。すると不意に長門が微笑んだ、ような気がした。耳元で囁かれる。

「これは私とあなただけの……秘話」

その言葉に安心するのと同時に俺の膝は長門の尿で濡らされた。瞬間、脊髄反射の如く。

「フハッ!」
省13
11: 2021/02/09(火)12:10 ID:y5nxj5MqO携(1) AAS
だよね
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