キョン「一緒に風呂でも入るか?」長門「……入る」 (18レス)
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1: [sage saga] 2020/09/24(木)22:38 ID:wccLzonZO携(1/15) AAS
長門有希に対して特別な感情を抱いているかと問われれば、答えは特に考えるまでもなく"YES"である。
とはいえ、それだけだと多大な語弊や誤解を招きかねないので、少々補足しておこう。
もはや今更言うまでもないが、俺にとって長門は恩人であり、それもただの恩人ではなく命の恩人である。
命の恩人。
そんな大層な存在がそんじょそこらに転がっている筈もなく、事実、俺は頭のイかれた優等生の朝倉涼子の凶刃から命を救われた。
つまり、長門は狂人の凶刃から身を呈して守ってくれたわけで、そう書けばなんだか笑い話や駄洒落のように聞こえるかも知れないが、当事者にとっては笑い話などでは済まされず、当然、洒落になっていなかった。
省7
2: [sage saga] 2020/09/24(木)22:42 ID:wccLzonZO携(2/15) AAS
「飲んで」
頼みがあると呼び出されたのは例によって例の如く、長門の自宅マンションであり、相変わらず物が少なくて生活感のない室内で、俺はいつかのように出された茶を啜った。
「飲んで」
「いや、もう結構だ」
「そう」
このやりとりにもいい加減慣れたものだ。
きっぱり言ってやらないと長門はまるでお茶汲みロボか何かのように延々と茶を汲み続ける機械と化してしまう。
まあ、実際のところは"ロボット"じゃなく、宇宙人が作った"ヒューマノイド・インターフェース"とやらなのだが。
「そろそろ頼みとやらを聞かせてくれ」
省10
3: [sage saga] 2020/09/24(木)22:44 ID:wccLzonZO携(3/15) AAS
「あなたに対する頼みはシンプル」
長門はゆっくりと目を閉じて、適切な言葉を選ぶように慎重な口調でこう続けた。
「あなたに私の頭部を洗って欲しい」
言われて惚ける。何を言ってんだこいつは。
「頭部って、髪をか? 何故だ?」
「ひとりでは上手く洗えない」
省14
4: [sage saga] 2020/09/24(木)22:47 ID:wccLzonZO携(4/15) AAS
「それで、俺に洗って欲しいと?」
「そう」
ようやく、頼みとやらの内容を把握した。
先程自分で口にした通り、力になりたい。
とはいえこれは俺の役目ではないだろう。
「ハルヒや朝比奈さんに頼めばいいだろ」
「彼女たちはおしゃれ」
「それがどうかしたか?」
「……気が引ける」
なんとまあ、一丁前に恥じているらしい。
省9
5: [sage saga] 2020/09/24(木)22:49 ID:wccLzonZO携(5/15) AAS
「すごく良い香りがする」
そうだろうか。自分ではよくわからん。
そう言えば、妹がやたら拘っていたな。
それを勝手に使っているからかも知れん。
「俺と同じシャンプーを買ったなら、もう目的は達成したんじゃないか?」
「目に泡が入る問題が解決していない」
「だから目を閉じて洗えって」
「だから上手く洗えないと言っている」
これは参った。堂々巡りだ。ふと、閃いた。
「そうだ。シャンプー・ハットはどうだ?」
省8
6: [sage saga] 2020/09/24(木)22:51 ID:wccLzonZO携(6/15) AAS
「何がいけない?」
「何もかもだ」
考えるまでもない。それは出来ない相談だ。
「俺には無理だ」
「そう」
「悪いな。力になってやれなくて」
「いい」
長門は気落ちした様子もなく、あっさりと。
「コンピューター研究部の部長に依頼する」
省12
7: [sage saga] 2020/09/24(木)22:54 ID:wccLzonZO携(7/15) AAS
「……………………」
「……………………」
それから俺たちはしばらく無言だった。
長門はもともとあまり口数が多いほうではないので沈黙が苦にならないのかも知れないが、俺は先程怒鳴ってしまったこともあり、少々気まずかった。空気を変えたかった。
こんな空気にしたのは誰か。俺だ。
ならば、俺が空気を入れ替える義務がある。
そうだ。長門みたいに冗談を言おう。
目には目を、冗談には冗談を。いくぞ。
「一緒に風呂でも入るか?」
「……入る」
省19
8: 2020/09/24(木)22:54 ID:EX92W/9L0(1) AAS
フ
9: [sage saga] 2020/09/24(木)22:56 ID:wccLzonZO携(8/15) AAS
「じゃあ、洗うぞ」
「わかった」
白スクはともかく、水着は正直ありがたい。
これならばある程度の健全さは確保され、そして俺もズボンをまくってTシャツで長門の髪を洗う大義名分を得た。脱ぐ必要はない。
「どうだ、長門?」
「素晴らしい」
俺の洗髪を長門は気に入ったらしい。
平坦な声音が少しだけ上擦っている。
念入りに頭皮をマッサージしてやる。
「あなたには才能がある」
省11
10: [sage saga] 2020/09/24(木)22:59 ID:wccLzonZO携(9/15) AAS
「流すぞ」
「痛く……しないで」
いよいよその時は来た。いや、ようやくか。
まるでホイップクリームのようなきめ細かい泡に塗れて良い感じに仕上がった長門の頭にシャワーを向けると、完全に脳味噌が沸いているとしか思えない台詞を吐かれて白けた。
「お前な、ふざけてるのか?」
「私は至って真剣」
嘘をつけ。しかし、長門にしては悪くない。
「まさかお前がそんな冗句を言うなんてな」
「痛くしないで欲しいのは本当」
「ちゃんと目を閉じてれば痛くないだろう」
省10
11: [sage saga] 2020/09/24(木)23:01 ID:wccLzonZO携(10/15) AAS
「あなたの髪を洗う様子を観察したい」
こちらの憤りを知ってか知らずか、あくまでも自分本位な姿勢を貫き通す長門。
こいつがこんなにわがままな奴とはな。
そもそも最初から俺の洗い方を参考にすれば良かっただけの話じゃないか。徒労である。
「まあ、髪を洗うくらいならいいけどよ」
「シャンプーはいくらでも使って構わない」
別に髪が長いわけでもあるまいし適量で充分だ。ひとまず髪を濡らしてから泡立てる。
「すごい。目を開けたまま泡立てている」
「慣れだ。お前もそのうち出来るさ」
「コツを教えて欲しい」
省14
12: [sage saga] 2020/09/24(木)23:04 ID:wccLzonZO携(11/15) AAS
「あなたの未来にはふたつの選択肢がある」
「なんだそれは」
目を閉じたまま、長門の言葉に耳を傾ける。
「ひとつは目を開けて痛い思いをする未来」
「それは出来れば避けたいな」
「もうひとつは、私に洗い流して貰う未来」
なるほど。今度は長門が俺の髪を流すと。
これはそういう趣向のイベントらしい。
とはいえ、選択の余地がない。不公平だ。
「どう考えても平等な選択肢じゃないな」
省15
13: [sage saga] 2020/09/24(木)23:06 ID:wccLzonZO携(12/15) AAS
「ま、待ってくれ」
「待てない。もう我慢の限界」
「は、話し合おう。話せばわかる」
「わからせてあげる」
待て待て。何をわからせるつもりだ。
まったく話が噛み合っていない。異星人め。
とにかく俺は窮地を逃れるべくあがいた。
「し、白スクが汚れちまうぜ?」
「ちょっと黄ばんだほうがあなたの好み」
「ひとの好みを勝手に作り上げるな!」
省12
14: [sage saga] 2020/09/24(木)23:08 ID:wccLzonZO携(13/15) AAS
「ど、どうして、そこまでかけたいんだ?」
「やはり、あなたは何もわかっていない」
長門の糾弾には明白な怒気が含まれており、俺は自分がわかったようなふりをして実は何ひとつわかっていなかったことにようやく気づいた。いや、気づかされた。長門有希に。
「私がどんなに、あなたを……」
「長門……」
懸命な長門の口調に、自問自答する。
もしも自分だとして。どんな心境なのか。
洗髪中の相手からシャワーを取り上げてまで尿をかけたいと思うその心理。真理とは。
「すまん。正直さっぱりわからん」
「だからわからせると言った」
省7
15: [sage saga] 2020/09/24(木)23:09 ID:wccLzonZO携(14/15) AAS
「床に、横になって」
「ああ……わかった」
俺だって男だ。覚悟は出来た。床に寝転ぶ。
「痛く、しないから」
「ああ……わかってる」
そのくらいは知っている。長門を信頼する。
「目を、閉じて」
「もう閉じてる」
省12
16: [sage saga] 2020/09/24(木)23:11 ID:wccLzonZO携(15/15) AAS
ちょろろろろろろろろろろろろろろろんっ!
「フハハハハハハハハハハハハッ!!!!」
「ううっ……悔しい」
「フハハハハハハハハハハハハッ!!!!」
愉悦をぶちまけながら、勝利の美酒に酔う。
勝った。そうだ、俺は勝ったのだ。勝者だ。
見ろ、あの悔しそうな長門の顔を。甘美だ。
そう、甘い。長門のおしっこは、甘かった。
「フハハハハハハッ……ゲホッ! ゴホッ!」
「調子に乗りすぎ」
省11
17: 2020/09/25(金)00:58 ID:iTCyVKaDO携(1) AAS
わからせ尿
18: 2020/09/26(土)11:34 ID:dcIST1SzO携(1) AAS
これは笑ったww
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