【俺ガイル】さよならメモリーズ (54レス)
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1: ◆.6GznXWe75C2 [saga] 2020/09/08(火)21:24 ID:REk/3TwAO携(1/14) AAS
お久しぶりの方はお久しぶりです。
このSSは

八幡「気の向くまま過ごしてた二人だから」雪乃「そうね」
vip2chスレ:news4ssnip
いろは「私、先輩のことが、好きです」八幡「……えっ?」
vip2chスレ:news4ssnip
結衣「うたかた花火」 【俺ガイル】
vip2chスレ:news4ssnip

の3本のSSのアナザーストーリーみたいな感じです。
長丁場になるかもしれませんがよろしくお願いします。
省1
2: ◆.6GznXWe75C2 [saga] 2020/09/08(火)21:25 ID:REk/3TwAO携(2/14) AAS
その建物の姿が俺の網膜に映ったとき、時計の針が急速に逆行したような錯覚にとらわれた。

目の前に広がる建造物の名前を、俺はまだ覚えている。『総武高校』、俺の母校だ。

休日の昼間という学生が学校にいるのに最も相応しくない時期というのもあって、辺りに学生の姿は見られないが、微かに校庭の方から運動部の声が風に乗って流れてくる。生徒が誰もいないということではないらしい。

この場所に、俺は三年間通っていた。

今の俺にとって三年という月日はそこまで長い時間ではない。注意せずに日々を生きていれば気づかぬ間に過ぎ去ってしまうくらいだ。
省3
3: ◆.6GznXWe75C2 [saga] 2020/09/08(火)21:26 ID:REk/3TwAO携(3/14) AAS
「おや」

校門を横目に歩き出したその時、聞き覚えのある声が耳を通り抜けた。懐かしい響きに思わず足を止める。

「比企谷か?」

首を動かして振り返るとその先には俺の予想通りの人物が立っていた。

「平塚先生?」
省4
4: ◆.6GznXWe75C2 [saga] 2020/09/08(火)21:26 ID:REk/3TwAO携(4/14) AAS
「先生は今も総武高に?」

「いや、だいぶ前にやめたよ」

どうしてとは聞かなかった。そう口にする前に先生の左手に光るものが目に入ってきたからだ。

「相手、見つかったんですね。おめでとうございます」

「ん? ……ああ、ありがとう」
省7
5: ◆.6GznXWe75C2 [saga] 2020/09/08(火)21:27 ID:REk/3TwAO携(5/14) AAS
「はい?」

「ここにいる理由だよ。ただの散歩というわけではないんだろう?」

図星を突かれて言葉に詰まる。まだ実家にいるもののこの辺は別段家から近いわけではないから、理由なしに訪れるなんてない。

「まぁ……」

でも、その理由は俺にも正直なところわからない。無事年をとるに従って社畜となってしまった俺が、わざわざ休日にこんなところに来る理由が見つからなかった。
省8
6: ◆.6GznXWe75C2 [saga] 2020/09/08(火)21:27 ID:REk/3TwAO携(6/14) AAS
――

――――

それから俺と平塚先生は、立ち話もなんだからと近くの喫茶店に向かった。

「コーヒーを一つ。君は?」

「あ、じゃあ俺も同じのを」
省14
7: ◆.6GznXWe75C2 [saga] 2020/09/08(火)21:28 ID:REk/3TwAO携(7/14) AAS
「別に吸ってもいいぞ? 私は気にしないし、こういうとこでは普通のことだ」

「……じゃあ」

ポケットから紙箱とライターを取り出すと、平塚先生は自然に灰皿を俺の手元へとズラしてくれる。

「仕事、大変なのか?」

「まぁまぁ、ですよ。普通に忙しいですし、普通に生きてます」
省9
8: ◆.6GznXWe75C2 [saga] 2020/09/08(火)21:28 ID:REk/3TwAO携(8/14) AAS
「ただ、詳しい話に関しては、私は何も知らない。だから、比企谷に直接聞いているんだ」

「…………」

「まぁ、君が話したくないのなら、無理に聞く気はないさ。ただの私の興味本位でしかない」

店員がやってきて湯気が湧き立つカップを置いていく。傍らに置かれた砂糖とミルクを手につけたのは、平塚先生だ。

俺はそれらには手を伸ばさず、カップを口元まで運び、傾ける。コーヒーの香りが鼻孔をくすぐった。
省4
9: ◆.6GznXWe75C2 [saga] 2020/09/08(火)21:29 ID:REk/3TwAO携(9/14) AAS
――

――――

「ただいま」
 
「おかえりなさい」

「夕飯、悪いな。急用で遅くなっちまって」

「いえ、いいのよ。私は今日は終わるの早かったから」
省2
10: ◆.6GznXWe75C2 [saga] 2020/09/08(火)21:29 ID:REk/3TwAO携(10/14) AAS
――

――――

「子供、か」

平塚先生のカップを持つ手の動きは淀みなく動き、コーヒーを口に含む。まるでわかっていたかのような口振りだった。

「あれから、少しは大人になれたと思っていたけど、間違いだったんです」
省6
11: ◆.6GznXWe75C2 [saga] 2020/09/08(火)21:30 ID:REk/3TwAO携(11/14) AAS
「なら元教師として、元君の先生として、一つアドバイスをしよう」

「えっ?」

突如、懐かしい感覚に全身が包まれた。ここが職員室であるような錯覚が、脳髄を激しく貫く。

「なんすか、いきなり」

「別に、久々に教え子に会ったんだ。しかもその教え子はどうやら迷っていると来ている。ならば先生としてやることなんて決まっているだろう?」
省5
12: ◆.6GznXWe75C2 [saga] 2020/09/08(火)21:30 ID:REk/3TwAO携(12/14) AAS
――

――――

平塚先生と別れてから十数分。

あの言葉の直後、どうやら旦那さんから子どもに関するSOSが飛んできたらしくお開きとなってしまった。SOSとは言っても些細な話らしく、「仕方ないな」と口にした平塚先生の表情が印象的だった。

喫茶店を出て数分のところにある、煙草屋の前に常設されている灰皿の前でライターの火を点ける。
省6
13: ◆.6GznXWe75C2 [saga] 2020/09/08(火)21:31 ID:REk/3TwAO携(13/14) AAS
平塚先生が言わんとしていたことによって、自分の隠したい何かをさらけ出されたような気分だった。

俺の心は未だ、あの学校の片隅にある、ちっぽけな教室の中に取り残されたまま。

あの日俺を突き動かした情熱も、あの日何かを捨て去った後悔も、あるいは見落としていた何かも、あの場所で封印されたように眠っている。

人生は取り返しがつかない。

いくら悔やんだって、失ったものは取り戻せない。
省9
14: ◆.6GznXWe75C2 [saga] 2020/09/08(火)21:33 ID:REk/3TwAO携(14/14) AAS
今回はここまで。
最後の数字は安価的なやつです。
多いルートからやります。コメントつかなかったら適当に決めて始めます。
よろしくお願いします。
15: 2020/09/09(水)20:34 ID:FfasoqyHo(1) AAS
1
16: 2020/09/09(水)21:19 ID:7oLX2NPm0(1) AAS
2
17: 2020/09/10(木)01:53 ID:6yfdcJhyo(1) AAS
2
18: 2020/09/11(金)00:19 ID:6Bz7H4H+O携(1) AAS
1
19: 2020/09/12(土)03:03 ID:UfV8jKgrO携(1) AAS
1
20: ◆.6GznXWe75C2 2020/09/13(日)16:38 ID:EL93X4SuO携(1) AAS
とりあえず雪乃で書き始めます。
コメントありがとうございました。
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