【ミリマス】琴葉は過度なスキンシップ行為を訴えたい! (52レス)
1-

29: ◆Xz5sQ/W/66 [sagesaga] 2020/09/07(月)22:01 ID:V525dxyZ0(29/49) AAS
「それじゃあお兄ちゃん、桃子はもうレッスンに行くね!」

もっ、桃子ーーーーっ!? と縋りつくような心の叫びは当然届くハズも無くて。

彼女はピッ、とカッコよくアディオスのジェスチャーを決めて、そのままドアノブに手を掛けた。

だけど、扉はすぐに開かない。

何故ならドアノブを回そうとした瞬間に。
省6
30: ◆Xz5sQ/W/66 [sagesaga] 2020/09/07(月)22:03 ID:V525dxyZ0(30/49) AAS
「な、なに? 琴葉さん……」

「お節介かもしれないけど、今日もレッスン頑張ってね」

長い長い一拍を置いて、パタンと扉が閉められると、再び部屋は密室となった。

おまけに、あれ程切羽詰まった『頑張ります!』は、人生でもそうそう聞いたことが無いぞ?

「……行っちゃいましたね、桃子ちゃん」
省6
31: ◆Xz5sQ/W/66 [sagesaga] 2020/09/07(月)22:05 ID:V525dxyZ0(31/49) AAS
「プロデューサー、これを見てください」

そんな俺の気持ちとはお構いなしに、まるで何事も無かったかのように琴葉が長尺を背中に仕舞い
(情けないが俺は心底この時ホッとした)

その代わりに見覚えのあるA2サイズの紙を取り出す。

紙は、劇場のあちこちに貼られている"お知らせ"に使われてる物で、例えば室内での野球禁止だとか、廊下は走っちゃいけません、みたいな約束事が書かれている。

そこに今回、性格が表れるキッチリとした手書き文字で、デカデカしたためられてたのは。
省2
32: ◆Xz5sQ/W/66 [sagesaga] 2020/09/07(月)22:12 ID:V525dxyZ0(32/49) AAS
===

きっと分かってくれますよね?

琴葉の言ったその言葉に、「分かってくれなきゃヤダヤダヤダ!」って乙女心が潜んでいるのは理解できる。

女の子は建前行動が基本だってのは、俺の心のメモ帳に教訓として太字でしっかり書いてあるし。

でも、接触禁止ってどういう事だ? 触ればかぶれるウルシみたいに、アイドルはいつから毒性を持つようになったんだ。
省4
33: ◆Xz5sQ/W/66 [sagesaga] 2020/09/07(月)22:14 ID:V525dxyZ0(33/49) AAS
「私、例の熱愛報道をニュースで知って――思ったんです! これは決して他人事なんかじゃない。
他所の事務所で起きた事が765プロでも起きないように、プロデューサーとアイドル、その距離感を再確認するべきじゃないかって」

「な、なるほど……。一応理由があったんだな」

すると、琴葉は眉をひそめて。

「……プロデューサーは、私が考え無しにこんな事を言い出したって思ったんですか?」

「いや、決してそんな事は――」
省4
34: ◆Xz5sQ/W/66 [sagesaga] 2020/09/07(月)22:16 ID:V525dxyZ0(34/49) AAS
「だけど琴葉」

俺は彼女の肩に両手を置いて、これ以上の接近を一旦食い止めると。

「少し、気にし過ぎじゃないか? っていうか、もっと俺を信用して欲しい」

「信用、ですか?」

「ああ! 例の報道であったみたいに、プロデューサーがアイドルに手を出すなんて事をホントに俺がするかどうか」
省7
35: ◆Xz5sQ/W/66 [sagesaga] 2020/09/07(月)22:17 ID:V525dxyZ0(35/49) AAS
「安心してくれていいよ琴葉。それに、何度も言うけど信じてくれ。俺はアイドルには絶対手を出さない!」

「はい、ちゃんと理解してます。ただ――」

「ただ……何だい?」

すると琴葉は、応える代わりに視線を自分の肩にやった。

肩と言えば、彼女の接近を阻もうとして置きっぱなしになってた俺の両手がそっくりそのままなワケで。
省11
36: ◆Xz5sQ/W/66 [sagesaga] 2020/09/07(月)22:19 ID:V525dxyZ0(36/49) AAS
お陰でバランスを崩した俺は、彼女の誘導で元いた椅子に座らされる。

こんなの一種のマウントポジション。勿論、地の利を得たのは圧倒的に琴葉側だ。

「こ、琴葉?」

俺の小さな呼び掛けを無視するように琴葉の脚が滑らかに動く。

どうしていいかも忘れたまま、膝の上、ズボン越しに掛けられた柔らかくも存在感ある新たな負荷は、
さっきまで上に座っていた、小学生の桃子とのソレとは範囲も重みもワケが違っていて。
省7
37: ◆Xz5sQ/W/66 [sagesaga] 2020/09/07(月)22:20 ID:V525dxyZ0(37/49) AAS
だから、「わ、分かった」と答えるだけで息苦しくて。

「分かったから、降りるんだ琴葉。……よく、うん……気を付けるからさ」

なのに、琴葉は絡めている指に力を足して。

「いいえ、まだ……まだダメです!」

「だ、ダメ……っ!?」
省6
38: ◆Xz5sQ/W/66 [sagesaga] 2020/09/07(月)22:21 ID:V525dxyZ0(38/49) AAS
「こと、はっ……!」

堪えろ! 堪えろ俺の理性――ジャングル・シベリア・アフリカの大地!

そうだ、俺はベテランの旅行会社ガイド。

平和ボケした観光客御一行様を連れてる時に、現地の猛獣と出会ったみたいな冷静さで今すぐトラブルシューティング……!!

なんて、意識を誤魔化す事で存在を消してしまえたらどれ程事態は楽だろうか?
省3
39: ◆Xz5sQ/W/66 [sagesaga] 2020/09/07(月)22:26 ID:V525dxyZ0(39/49) AAS
「すぅ」

「えっ」

「ぜ」

「ん…♪」
40: ◆Xz5sQ/W/66 [sagesaga] 2020/09/07(月)22:29 ID:V525dxyZ0(40/49) AAS
――すえぜん、SUEZEN、すぇっ、据え膳!!?

激しく狼狽える俺を他所に、一音一音ハッキリと伝え終わった琴葉がふぅーっと細い息を吐き出す。

すると、それに釣られるみたいに「んっきゅ!?」なんて、みっともない音が大音量で喉から漏れる。

……誰だ、こんな状況で生唾なんて飲んだ奴は――。

「っ、俺だー……!」
省9
41: ◆Xz5sQ/W/66 [sagesaga] 2020/09/07(月)22:30 ID:V525dxyZ0(41/49) AAS
「あ、あの? プロデューサー?」

気付けば、琴葉が顔を覗き込んでる。

ああ、何て澄んだ目で俺を見つめるんだ。

君が持ってる可能性は、まるで炊き立てで粒の立った銀シャリのようじゃないか!

単体でも十分旨いんだけど、その時その時の旬なオカズでポテンシャルはより強く輝く。
省10
42: ◆Xz5sQ/W/66 [sagesaga] 2020/09/07(月)22:32 ID:V525dxyZ0(42/49) AAS
「きゃっ!?」

琴葉が驚いた声を上げて両腕を俺の首に回す。

一瞬だから許して欲しいと心の中で唱えながら、彼女を床へと降ろした後で、俺はまた上に乗られちゃ堪らんと座ってた椅子から立ち上がった。

「さぁ、悪いけどテストはここまでだ」

「プ、プロデューサー」
省7
43: ◆Xz5sQ/W/66 [sagesaga] 2020/09/07(月)22:34 ID:V525dxyZ0(43/49) AAS
「琴葉が……俺を信じる?」

「はい。いつも、プロデューサーは私達に一生懸命ですから、どんなに強引に言い寄られたって、相手がアイドルである限り、アナタはプロデュースに徹するハズだって。
……嬉しいです。私の事、ちゃんと大事にしてくれてるって事が分かりましたから」

そうして、琴葉はほんの一瞬だけ目線を下にすると。

「……ううん、分からされちゃった、かな?」

「そ、それは……。いっ、幾ら琴葉でも俺を買い被りすぎだ!」
省4
44: ◆Xz5sQ/W/66 [sagesaga] 2020/09/07(月)22:35 ID:V525dxyZ0(44/49) AAS
だけど琴葉は、そう言って俯く俺に向けて。

「それが、大事だって思いますよ」

眼差しは、何より力強く。

「誘惑に負けるのは簡単です。最初から拒絶するのはもっと簡単です。だけど、プロデューサーはそうじゃなかった。
アイドルとしての私の事、アイドルとしての私達の事を本気で考えてくれてるからこそ、最後は強い意志を見せて、立場を貫き通したんです」

「琴葉……! 君は、俺の事を――」
省2
45: ◆Xz5sQ/W/66 [sagesaga] 2020/09/07(月)22:37 ID:V525dxyZ0(45/49) AAS
「ありがとう。俺、プロデューサーとしての気合を入れ直せた気分だよ」

言って、目頭の熱い顔で俺も微笑み返す。

それはとても素直な感謝の気持ち。

担当アイドルにここまで信用してもらって、涙をちょちょぎらす事の何がみっともないと言うだろうか?

すると、そんな俺の反応を受けて、琴葉も急にドギマギと視線を泳がせ始め。
省7
46: ◆Xz5sQ/W/66 [sagesaga] 2020/09/07(月)22:39 ID:V525dxyZ0(46/49) AAS
でも、そう言いながらも琴葉が見せてくれたのは、大きな舞台で一仕事を終えた時のような充実し切った表情だった。

それは、ある意味では俺がプロデュースを続けていける原動力。

……彼女の担当プロデューサーとして、琴葉が寄せてくれる期待を裏切らないよう改めて気を引き締めないと!

――とはいえ、決意を新たにしたところで、だからこそひとこと言うべき事がある。

「だけど、抜き打ちのテストはこれで最後にして欲しいな。今回は何とかなったけれど、流石に刺激が強すぎたって言うか――」
省4
47: ◆Xz5sQ/W/66 [sagesaga] 2020/09/07(月)22:40 ID:V525dxyZ0(47/49) AAS
「えっ? ――さっきので刺激が強すぎました?」

「……えっ?」

一体何を言い出すんだこの子。

俺は呆気に取られて琴葉を見た。

すると、彼女の方も困惑したように見つめ返して来て。
省6
48: ◆Xz5sQ/W/66 [sagesaga] 2020/09/07(月)22:47 ID:V525dxyZ0(48/49) AAS
「私の事を本気で考えてくれるプロデューサーだから、私も本気でアナタの役に立ちたくって。
……大丈夫です! 私、昨日の夜に様々な危険シチュエーションを想定した対策マニュアルを作って来ましたから!」

なんて、微笑む彼女は天使の笑顔。

対する俺はどんな顔だ? ……少なくとも笑顔は引きつって、腰が引けていた事だけは間違いない。

「それじゃあまず、最初の"はじめに"から一緒に読んで……一つずつチェックしていきましょうね♪」

===
省2
1-
あと 4 レスあります
スレ情報 赤レス抽出 画像レス抽出 歴の未読スレ AAサムネイル

ぬこの手 ぬこTOP 0.175s*