【ガルパンSS】沙織「彼女のうたかた」エリカ「ある日の喫茶店での出会い」 (29レス)
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1: [saga] 2020/07/03(金)01:05 ID:a4T5KC6j0(1/23) AAS
喫茶店の扉を開けた私をカランカランとカウベルが歓迎する。

そういうところもなんだかアンティークチックで、ここが『知る人ぞ知る』なんてうたい文句で『多くの人』に知られてる理由なんだろうな、と。一人納得する。

さて、店員さんはどこなのかな?

私が入口で突っ立ってると、奥から慌てた様子で店員さんがやってきて、「1名様ですか?」と聞いてくる。
省13
2: [saga] 2020/07/03(金)01:06 ID:a4T5KC6j0(2/23) AAS
・・・・・

「まさか逸見さんもこの喫茶店にいるなんて」

「前に読んだ雑誌にここが載ってて、今度の寄港地がこの町だって知ったから寄ってみようって思ったのよ」

「奇遇だね、私もだよ」

今更だけど逸見さんの許可なく同席しちゃったけど大丈夫かな?
省15
3: [saga] 2020/07/03(金)01:07 ID:a4T5KC6j0(3/23) AAS
「逸見さんも買い物帰りなの?」

「私はただの暇つぶしよ。地元以外に寄港した時は、たまーにこうやって適当な喫茶店で本を読んでるの」

「うーん優雅……ていうかオシャレ……」

「……そんなカッコいいものじゃないわ。本当にただの暇つぶし」
省18
4: [saga] 2020/07/03(金)01:07 ID:a4T5KC6j0(4/23) AAS
生徒会の人たちに戦車道の履修する事を強制されて、みぽりんは本当に困っていた。

色々あってそれでも戦車道をするって決めたみぽりんを少しでも助けられたらって。

そう思って私は履修届を提出したんだよね。

「でも、戦車道に興味を持った理由はモテモテになれる!って聞いたからかな」

「あのねぇ……」
省17
5: [saga] 2020/07/03(金)01:08 ID:a4T5KC6j0(5/23) AAS
「作る作らないの前にうちは女子高よ。出会いも何もあったもんじゃないわ」

「そうなんだよねぇー……だからこそ!女の子はもっと積極的に動かなくっちゃいけないと思うの!!逸見さんも頑張ろ!!」

「いや私はまだ彼氏とかいいから……」

同じ目標に向かって走る同志として固い握手を求めるも、逸見さんは全力で距離を取ってくる。
省20
6: [saga] 2020/07/03(金)01:09 ID:a4T5KC6j0(6/23) AAS
「それは……戦車道の時だからでしょうね」

「戦車道の時はつんけんしちゃうの?」

「そこはね、どうしても。試合前とかはピリピリするものなのよ」

「ふーん、そんなものなのかなぁ」
省23
7: [saga] 2020/07/03(金)01:09 ID:a4T5KC6j0(7/23) AAS
「……それじゃあいっつも気を張ってるって事じゃん」

「……別にそれが嫌ってわけじゃないわよ?その緊張感があるからこそ試合の時楽しいんだから。……ただ、時々肩が凝っちゃうのも事実だけどね」

「なら、どうするの?」

逸見さんはふんと鼻を鳴らすと、少し強張った微笑みを見せる。
省15
8: [saga] 2020/07/03(金)01:10 ID:a4T5KC6j0(8/23) AAS
すると、会話を切るように逸見さんはアイスコーヒーに口を付ける。

黒くて冷たい液体が彼女の中に流れ込むのを、崩れる氷の音色が彩る。

そして逸見さんはグラスを置くと、じっと何かを考えるように黙り込む。

1分、いやきっと10秒にも満たないだろう。
省13
9: [saga] 2020/07/03(金)01:10 ID:a4T5KC6j0(9/23) AAS
「その海を仲間と共に泳ぐのは楽しいわ。同じ志を持っていて、同時に競い合うライバルで。その子たちがいるから、私も負けてられないって頑張れる」

それはきっと紛れもない本心で、彼女が彼女足り得る柱の一つなのだと、その微笑みで確信できた。

だけど、その表情からふと笑みが消える。

代わりに彼女の顔を苦悩、あるいは諦観のような表情が覆っていく。
省15
10: [saga] 2020/07/03(金)01:11 ID:a4T5KC6j0(10/23) AAS
「きっと小梅もレイラも小島もツェスカも。そんな風に今日という休日を過ごしてる」

なのに、逸見さんはその『当たり前』に自分を含めない。

余りにも悲しい独白を終えた逸見さんは、私に向き直ると嬉しそうに微笑む。

「だから、今日はあなたと出会えて良かった。私の休息を生きるために必要なものじゃなくて、
省11
11: [saga] 2020/07/03(金)01:11 ID:a4T5KC6j0(11/23) AAS
唐突な提案。

その意味を計りかねたのか逸見さんの喉から調子の外れた間抜けな音がでる。

「黒森峰の学園艦って大きいんだしここみたいに雰囲気の良いカフェとかきっとあるって!無いなら無いでお香とか、カラオケとかでいっぱい歌ってスッキリしてからとか!」

「ちょ、何言ってるの?」
省14
12: [saga] 2020/07/03(金)01:12 ID:a4T5KC6j0(12/23) AAS
「でもね、だからって、そんな諦めたような顔されて何とも思わないわけじゃないんだよ」

ここであなたを見つけた時。

「逸見さん、戦車道が好きなんでしょ?」

一人で本を読むあなたを見た時。
省18
13: [saga] 2020/07/03(金)01:13 ID:a4T5KC6j0(13/23) AAS
逸見さんは驚いて目を丸くする。

気づいたんだけど逸見さんって結構表情コロコロ変わるんだね。

「友達と遊ぶのに、お喋りするのに、心配するのに、理由なんか要らないでしょ?」

そうそう、最初からこうすればよかったんだ。
省14
14: [saga] 2020/07/03(金)01:13 ID:a4T5KC6j0(14/23) AAS
逸見さんは悪戯っぽく笑うと、乗り上げた身を席に戻す。

「あなたならきっと、素敵な彼氏が見つかるわよ。応援してるわ」

「え、あ、ありがとう……」

なんだかよくわからないが逸見さんはとても楽しそうだ。
省11
15: [saga] 2020/07/03(金)01:14 ID:a4T5KC6j0(15/23) AAS




気づいた時、太陽が水平線に近づき茜色が窓から差し込んでいた。

「あら、もうこんな時間」

「え?ホントだ戻らないと」

今から学園艦に戻るとだいぶギリギリになっちゃう。
省5
16: [saga] 2020/07/03(金)01:14 ID:a4T5KC6j0(16/23) AAS




「あ、待っててくれたんだ」

お会計を終えた私を逸見さんはお店の前で出迎える。

正直、もう帰ってる可能性も考えてたから、ちょっとだけ安心する。

「いくらなんでもそんな真似しないわよ」
省17
17: [saga] 2020/07/03(金)01:15 ID:a4T5KC6j0(17/23) AAS
私も、お別れの言葉を言おうとしたのに、なぜかその背中を呼び止めてしまった。

逸見さんは振り返って不思議そうにこちらを見つめる。

「何?」

「えっと……」
省16
18: [saga] 2020/07/03(金)01:15 ID:a4T5KC6j0(18/23) AAS
「そうじゃなくてあだ名!!エリカだからえりりん!!」

「あだ名って……急に何よ」

ごもっともな話だ。

でも、吐いたなんとやらは飲み込めない。
省21
19: [saga] 2020/07/03(金)01:17 ID:a4T5KC6j0(19/23) AAS
「……どうしたの?」

今度は私が疑問符を浮かべる。

逸見さんは挙動不審というか所在なさげな感じでせわしなくつま先で地面を鳴らす。

もう一度尋ねようかと思って口を開いた時、えりりんは恥ずかしそうに小さな声を出した。
省14
20: [saga] 2020/07/03(金)01:17 ID:a4T5KC6j0(20/23) AAS




日は過ぎてある日のお昼休み。

場所は学校の食堂。

私はいつものようにあんこうチームの皆とお昼を食べていた。

「武部殿ー」
省21
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