右京「タイムパラドクスゴーストライター?」 (82レス)
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1: [saga] 2020/07/01(水)00:24 ID:A7tKNGJh0(1/33) AAS
相棒×タイムパラドクスゴーストライターのクロスssです。
よろしければどうぞ。

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2: [saga] 2020/07/01(水)00:25 ID:A7tKNGJh0(2/33) AAS
「くぅ〜!ハッピーエンドで終わってよかったなぁ〜!」

五月某日、警視庁特命係の部屋で組対5課の角田課長がマイカップに注がれたコーヒーを飲みながらある雑誌を読み耽っていた。
その雑誌とは集英社から毎週月曜日に出版されている全国の子供たちが愛読する少年ジャンプ。
昭和の時代から発行された少年向けの雑誌を中年の角田課長がそれも警視庁の職場で読み漁っていた。

「角田課長、いくらなんでもここで少年ジャンプを読むのはどうかと思いますけど…」

そんな少年ジャンプを読み漁る課長を冠城亘が思わず注意を促した。
いつもみたくコーヒーを飲みに来るのであれば冠城も咎めたりはしない。
だがいい歳をした中年が、それも組対5課の課長ともあろう人が少年ジャンプを読んでいれば注意されるのは当然だ。
省5
3: [saga] 2020/07/01(水)00:26 ID:A7tKNGJh0(3/33) AAS
「いやいや、ここ警察ですよ。それも警視庁!部下が漫画読み耽ってるんだから上司として注意したらどうなんですか!」

「何言ってんだよ。鬼滅は他の漫画とはちがうんだよ。こんな感動する漫画ならデスクの手元に置いても全然OKだよ。」

オイオイ、こんなことで首都の治安を守れるのかと思わず心配してしまうが…
だがみんなが夢中になるのも無理ないのかもしれない。現在8000万部も突破した化物コンテンツだ。
そうなると…当然この男も読んでいるのではないのか?

「ひょっとして右京さんも鬼滅の刃を読んでるんですか…?」
省3
4: [saga] 2020/07/01(水)00:27 ID:A7tKNGJh0(4/33) AAS
「甘いぞ冠城。警部殿のデスクをよ〜く見てみろ。」

なんと右京のデスクには鬼滅の刃のコミックスが置かれていた。
あの右京が少年漫画を読んでいるだけでも驚きなのにさらに驚くべきことはなんと現在発売中の全巻コミックスが揃っていることだ。

「あの…右京さんそれは…」

「見てわかりませんか。これは鬼滅の刃の単行本(職場用)ですよ。」
省6
5: [saga] 2020/07/01(水)00:28 ID:A7tKNGJh0(5/33) AAS
「警部殿、前の号借りるぞ。」

そんな悩める冠城を余所に課長はジャンプを読み続けていた。
まさかこのジャンプも右京の所持品なのかと疑っていた時だ。
課長がジャンプを持ち出そうと右京のデスク周りにある本棚を開けていた。
よく見るとその本棚は以前なら辞典やら紅茶のカップやらが置かれていたはず。
それが今ではどうだろうか。すべて少年ジャンプの雑誌に変わっていたことに気づいた。

「なんじゃこりゃぁぁぁぁぁっ!?」

「見ればわかるでしょう。これは少年ジャンプですよ。」
省4
6: [saga] 2020/07/01(水)00:30 ID:A7tKNGJh0(6/33) AAS
「俺なんて可愛いもんだろ。警部殿は相当重症だぞ。」

「そりゃわかりますけど俺…今日まで一緒にいて全然気づきませんでしたよ…」

「警部殿は隠すのがうまいからな。それに金次第でどうにもどうにでも出来る世の中だぞ。」

その話を聞いてようやく納得した。右京は以前に結婚していたが今は離婚して独身の身だ。
そんな独り身ならば気兼ねなく趣味に散財することが可能だ。
いい大人だからこそハマった衝動というのが大きいというのはたまに聞くがそれが自分の周り…
しかも相棒がそれだとはさすがの冠城も予想は出来なかった。いや、出来るものかと…
省5
7: [saga] 2020/07/01(水)00:31 ID:A7tKNGJh0(7/33) AAS
「へぇ、杉下さんまだ鬼滅の刃なんて時代遅れな漫画にハマっているんですか。」

そんな右京に喧嘩腰で嫌味を吐くようにサイバー犯罪対策課の青木が現れた。
まったく妙なタイミングで現れたようだが…
そんな青木に対して珍しく右京が感情的になって睨みつけていた。

「青木くん、僕のことは構いませんが鬼滅の刃を侮辱する発言は聞き捨てなりませんね。」

「あれれ〜?杉下さんキレちゃってるんですか。たかが漫画のことで〜?」
省5
8: [saga] 2020/07/01(水)00:35 ID:A7tKNGJh0(8/33) AAS
「もう鬼滅の刃は終わりです。これからはホワイトナイトの時代ですよ。」

ホワイトナイト、それは先ほどまで課長が読んでいたジャンプの表紙をほぼ独占している漫画だ。
中身は読んでないが表紙に載っている甲冑姿の主人公らしき少年が冒険する内容だというのはなんとなくだが予想はついた。

「読んだ感想はどうですか?そう面白すぎるでしょ!
キャラも設定もドラマ展開も完璧!!文句のつけようがない読み切り!!むしろ僕は読み切りだけで泣いた!!」

あの偏屈な青木がここまで絶賛するとは珍しいと思い冠城も一応雑誌を手に取り読んでみた。
読んでみた感想は確かに悪くはないのかもしれない。
絵も無難に描けているし話もそこそこ構成されていて悪くはない。
それでも冠城には青木ほどこの漫画が面白いとはどうしても思えなかった。
省3
9: [saga] 2020/07/01(水)00:36 ID:A7tKNGJh0(9/33) AAS
「どうですか杉下さん。ホワイトナイトこそ令和のジャンプを象徴する漫画成り得る存在ですよ。」

「いい加減にしなさい。そういってキミが以前に勧めたサムライ8はどうなりましたか。無惨な最期だったではありませんか。」

「それは…あのNARUTOの作者が原作やってたんですよ!誰だって期待して当然でしょ!けど今回のホワイトナイトは名作になると断言してみせますよ!」

「それで打ち切りになるとすぐに他の作品に乗り換える。キミの悪いところですね。けど僕は忘れていませんよ。
サムライ8の1〜2巻同時発売のせいで鬼滅の刃17巻を発売初日に手に入れられなかった無念を…」
省8
10: [saga] 2020/07/01(水)00:37 ID:A7tKNGJh0(10/33) AAS
「ところで青木、まさか仕事を放り出して漫画の自慢しに来たわけじゃないだろ?」

「当然ですよ。職場で堂々と漫画を読めるアンタたちとちがってサイバー犯罪対策課の僕が暇なわけないでしょ。
さっき千代田区神保町の交番から応援の要請がありました。それで暇そうな特命係に行ってもらいたくて呼びに来たんですよ。」

それならそうと早く言えばいいだろと青木を小突きながら冠城は出かける準備を行った。
今だに口論している右京を引っ張り出して二人は千代田区の神保町へと向かった。
11: [saga] 2020/07/01(水)00:39 ID:A7tKNGJh0(11/33) AAS
「いや〜まさか本庁の方々が来られるとは…」

「頼まれたらなんでも引き受けるのが特命係ですのでお気になさらず。それで状況は?」

「それがどうにも妙な話でしてね。」

千代田区の派出所を訪れた右京と冠城はそこの駐在である警官から大まかな状況を聞いた。
数時間前に神保町である通報を受けた。とある出版社の前で制服姿の少女が凶器を用いて若い男を襲っている。
その通報を受けてこの警官が駆けつけると被害者の男性はいなくなったがなんとかこの少女を補導することに成功。
だが少女は事情を打ち明けることもなく黙秘を貫いたまま。正直どうしたらいいのか見当もつかないのでお手上げな状況らしい。
省11
12: [saga] 2020/07/01(水)00:42 ID:A7tKNGJh0(12/33) AAS
「これはつけペン、それもGペンですね。」

「Gペン?それって漫画を描く時に使うっていうペンのことですよね。」

「ええ、これはかなり使い込まれている年季の入ったモノですよ。」

確かに凶器に使われたペンは長いこと使い込まれた手触りだ。
しかしそうなるとかなり奇妙だ。制服姿の女子高生がGペンを持って男に襲いかかった。
そこにはどんな動機があったのか気になるところだ。
省8
13: [saga] 2020/07/01(水)00:43 ID:A7tKNGJh0(13/33) AAS
「…今の刑事さんの推理だけどちょっとちがいます。」

そんな時、これまで黙秘を貫いてきた少女が急に話しだした。
それから少女は大事に抱えていたモノを右京たちの前に見せた。
ちなみに彼女が抱えていたのは原稿用紙だ。それも漫画だ。
まさか右京の推理通りこの少女が漫画を描いていたとは意外だ。
だが一番に気になるのは表紙のタイトルだ。

「ホワイトナイト…?」

どこかで聞いたようなタイトルだなと思ったがそういえば青木が絶賛していた漫画がそんなタイトルだったことを冠城は思い出した。
省9
14: [saga] 2020/07/01(水)00:45 ID:A7tKNGJh0(14/33) AAS
「そういえばこの子を補導した現場は集英社の前でしたね。」

警官が思い出したように補導した現場のことを伝えてくれた。
集英社といえば誰もが耳にする大手出版社だ。
ホワイトナイトが掲載されている少年ジャンプも集英社が発行している週間少年漫画。
これで色々と事件の背景が見えてきた。

「つまりこういうことか。キミは自分で描いたホワイトナイトを集英社に見せに来たと…?」

事情を察した冠城は思わず呆れてしまった。要するに子供がジャンプに掲載された漫画を読んで自分も描いてしまったのだろう。
それで妙なトラブルが起きてしまい今に至ったと…
まったく人騒がせな少女だ。とにかく真相がわかったのならあとは簡単だ。
省2
15: [saga] 2020/07/01(水)00:46 ID:A7tKNGJh0(15/33) AAS
「おや?これは奇妙ですねぇ。」

これまで隣で静かにしていた右京があることに気づいた。
よく見ると右京はいつの間にか少女が大事に抱えていた原稿をペラペラと読んでいた。

「右京さんいつの間に…ていうかそれ勝手に読んでいいんですか…?」

「失礼、僕の悪い癖です。それはともかく奇妙なことに気づきました。ちょっとこちらと読み比べてもらえますか。」
省4
16: [saga] 2020/07/01(水)00:48 ID:A7tKNGJh0(16/33) AAS
「確かに内容はいくつか異なる面が見受けられますね。」

ジャンプで載っていたホワイトナイトは青木が言うようなまあそこそこ面白い漫画に仕上がっている。
話も余計な描写もないので初見の人間でも読みやすいように構成されていた。
対して少女の原稿はネームで恐らくはまだ成書されていないのか作画は乱雑としたものだ。
そしてもう一点、異なる部分といえば作者の名前だ。
ジャンプのホワイトナイトの作者名は佐々木哲平。少女が持っていた原稿に記されていたのは…

「アイノイツキ…ひょっとしてキミの本名か…?」

その問いに少女はコクッと静かに頷いた。
藍野伊月、これでようやくこの少女の名前がわかった。
省15
17: [saga] 2020/07/01(水)00:50 ID:A7tKNGJh0(17/33) AAS
「恐らくその原因こそ伊月さんが先程男性を襲っていたことと関係しているのでしょう。ひょっとしてあなたが襲っていた男性は佐々木哲平ではありませんか。」

そう問われて伊月は再びコクッと頷いた。なんということだろうか。
それから伊月はあることを語りだした。それはこれまでの自身の生い立ちについてだ。

「…私…高知の学校に通ってました。今は不登校です。理由はイジメに遭ったから…」

「それからは部屋に籠って漫画ばかり描くようになりました。それがホワイトナイトです。」
省10
18: [saga] 2020/07/01(水)00:52 ID:A7tKNGJh0(18/33) AAS
「つまりこういうことだな。キミは集英社で佐々木哲平を襲った。その理由は彼が自分と同じ漫画を描いたからということか。」

「…まあそうです…けど…襲ってなんていません!
そのGペンだって使い込み具合を見てくれたら私がどれだけ真剣に漫画を描いているのかわかってくれると思ったからで…」

伊月は襲ったわけではないと主張しているが…
それでも危険な行為だったということには変わりないのでとりあえずは厳重注意のみで済ませた。
あとは念の為に高知の自宅に連絡して伊月の御両親に迎えに来てもらうだけだが…

「一応の事情はわかりました。ですが奇妙な話ですねぇ。全くの赤の他人が同じ作品を描くものでしょうか。」
省5
19: [saga] 2020/07/01(水)00:54 ID:A7tKNGJh0(19/33) AAS
「わかりました。あなたが言っていることを信じましょう。」

「ちょっと右京さん!いいんですかそんなあっさりと信じて!」

「本人がそう言っているのだからそうなのでしょう。
未成年の女子高生がわざわざ高知から出向いてきたのですよ。それには並大抵の覚悟があったはずです。
それに彼女の原稿を読めばわかります。ジャンプのホワイトナイトはまだ掲載されたばかりの読み切り。
それをこうまで細かく描写出来るのは原作者でなければ無理ですよ。」

言われてみればまだ先週号のジャンプが出てから一週間くらいしか経っていない。
その僅かな短期間で赤の他人がこうも完璧に描き切ることが出来るだろうか?
答えはNOだ。つまり伊月は本当にホワイトナイトの原作者なのか。
省8
20: [saga] 2020/07/01(水)00:56 ID:A7tKNGJh0(20/33) AAS
「あ、それちがいますよ。本人がそう言ってましたから。」

「本人が…?それはどういう意味でしょうか。」

伊月は哲平を襲った時の出来事を語った。
その時の哲平は逃げながらも自分は伊月の部屋になど忍び込んではいないと訴えていた。
それから電子レンジがどうのこうのと何か訳のわからないことを言っていた。

「電子レンジ…?それは料理に使うあの電子レンジですか。」
省5
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