【艦これ】神風「最初の一人」 (819レス)
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1: ◆rbbm4ODkU. [saga] 2019/10/27(日)03:38 ID:LAC9GZ1m0(1/10) AAS
まだ朝の冷ややかさが残るとある鎮守府。
その敷地内の端に位置する建物の廊下に俺達は立っていた。
男「中々立派な部屋ですね」
扉の前で俺はそう言った。
勿論言葉通りの意味ではない。
省10
2: 2019/10/27(日)03:41 ID:LAC9GZ1m0(2/10) AAS
男「最後に、もう一度その時の状況を聞かせてもらっていいですか?」
提督「もう一度?報告書に事細かにまとめたはずですが」
男「こういうのは本人に直接聞いた方がいいんですよ」
提督「ほほう。なんだがプロっぽくていいですね」
自分をプロ、と言っていいのかは分からないが理由はそんなんじゃない。
省5
3: ◆rbbm4ODkU. [saga] 2019/10/27(日)03:42 ID:LAC9GZ1m0(3/10) AAS
提督「この鎮守府もそこそこ大きくなってきましてね、戦力の拡大をと既存の建造方法で、狙いとしては駆逐艦か軽巡ですね」
自分の艦隊の成長が嬉しくて仕方ないと言うような顔で話すこの男が、少し羨ましく思えた。
提督「材料の方は割愛しますが、ともかく建造方法は特に異常はありませんでした。ですから彼女の姿を見た時は正直かなり混乱しましたよ」
「彼女」という単語を素早くインプットする。
良かった。
省2
4: ◆rbbm4ODkU. [saga] 2019/10/27(日)03:44 ID:LAC9GZ1m0(4/10) AAS
提督「身体の大きさから見て駆逐艦なのは間違いないと思いますが、服装や装備がこれまで目にしたものとはまるで違うんですよ。ウチの艦娘達も心当たりはないと言いますし、お手上げです」
少なくとも同型艦はいない、か。
まあそういった新型の艦娘だからこそ俺が呼ばれているわけだが。
提督「本人も記憶は一切無し。とりあえずは、保護、して。上に連絡を取って今に至る。とまあこんな感じですかね」
"保護"という柔らかい表現ですら躊躇する辺よほど彼女が心配なのだろう。随分と優しい男のようだ。
省7
5: ◆rbbm4ODkU. [saga] 2019/10/27(日)03:44 ID:LAC9GZ1m0(5/10) AAS
提督「これがこの扉の鍵です。窓は格子が付いてますし、一応は唯一の出入口です」
男「確かに」
受けとった鍵に付いている兎のキーホルダーについては後で聞いてみるか。
提督「破壊による強行突破の際はこちらが責任をもってあたりますが、扉からの逃走はそちらの問題になりますのでよろしくお願いしますよ」
男「ええ。お互い責任がありますから」
省2
6: ◆rbbm4ODkU. [saga] 2019/10/27(日)03:45 ID:LAC9GZ1m0(6/10) AAS
提督「それでは私はこれで」
そう言うと今しがた来た廊下を戻っていく。
男「…」
なんとなくその後ろ姿をじっと見てみる。
あ、振り返った。
省3
7: ◆rbbm4ODkU. [saga] 2019/10/27(日)03:45 ID:LAC9GZ1m0(7/10) AAS
男「さてと」
解れた緊張を繋ぎ直す。
覗き穴から扉付近に彼女が居ない事を確認してドアを開ける。
音を立てないようにドアを閉め靴を脱ぐ。
さて報告通りならば…
省2
8: ◆rbbm4ODkU. [saga] 2019/10/27(日)03:46 ID:LAC9GZ1m0(8/10) AAS
男「…」
「ン~」
寝ている。せっかくの集中力が一気に霧散する。
男「緋色…」
彼女の姿を見て思わず呟いてしまった。
省8
9: ◆rbbm4ODkU. [saga] 2019/10/27(日)03:47 ID:LAC9GZ1m0(9/10) AAS
くるりと向きを変え扉に向かおうとしたその時だった。
「行かないで」グィッ
男「おぉ!?」
ズボンの裾を引っ張られた。
振り返ると彼女は目を擦りながら俺を見つめていた。
「ん、え〜っと?貴方は?」
省9
10: ◆rbbm4ODkU. [saga] 2019/10/27(日)03:49 ID:LAC9GZ1m0(10/10) AAS
また長くなりそうな話を…
タイトル通り嘘偽りなく神風の話です本当です。
基本的に神風えっちいなと思いながら書いているので秋刀魚や鰯を獲るついでにでも読んでいただければ幸いです。
11: 2019/10/27(日)09:29 ID:pAL8RsDGo(1) AAS
きたい
12: 2019/10/27(日)10:15 ID:z5frhazvO携(1) AAS
神風ちゃん好きだから嬉しい
13: 2019/10/28(月)13:10 ID:1N/+sYbto(1) AAS
期待
14: 2019/10/28(月)15:35 ID:KYTItMAYO携(1) AAS
続きはよ
15: ◆rbbm4ODkU. [saga] 2019/10/29(火)04:46 ID:rqljmlHD0(1/16) AAS
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提督「大体寝てるんですよ。原因は、まあ記憶の欠落なんでしょうね。心理学とか脳科学とかそういう分野の話なんでしょうか」
男「でしょうね。彼女が人間だったら、ですが」
場所、執務室。
結局気絶した彼女はその後目を覚ます様子がなかったため早々に切り上げる事となった。
省9
16: ◆rbbm4ODkU. [saga] 2019/10/29(火)04:46 ID:rqljmlHD0(2/16) AAS
叢雲「あらブラック?ウチの司令官と違って大人ね」チラ
提督「一言多いよ」
チラと提督の手元を見ると既にミルクが2つ空けられていた。
叢雲「ねえアナタ歳は?」
提督「叢雲、あまり馴れ馴れしくするもんじゃ」
叢雲「いいじゃない。これから暫くはここにいるんでしょう?」
省10
17: ◆rbbm4ODkU. [saga] 2019/10/29(火)04:47 ID:rqljmlHD0(3/16) AAS
叢雲「というかアナタ達殆ど同年代じゃない。よそよそしく敬語なんて使ってないでもっと馴れ馴れしくしなさいよ」
提督「君はもう少し馴れ馴れしさを抑えた方がいい」
男「お互い立場もあるんだよ」
叢雲「はぁぁめんっどくっさいわねえ」
これだから人間は、と呟きながら隣の部屋に消えていく。
省5
18: ◆rbbm4ODkU. [saga] 2019/10/29(火)04:48 ID:rqljmlHD0(4/16) AAS
男「で、彼女の事だが」
提督「ええ、見てもらったのなら大体わかったと思いますが」
男「初対面の時もあんな感じで?」
提督「とりあえず自己紹介をと名乗ったらその後にパタン、と。その後も何回も会話はしたけれど、長く話していると段々意識が薄くなっていくようで」
男「意識に絶対量でもあるのか。だとしたら確かに記憶の欠落が原因なんでしょう」
省4
19: ◆rbbm4ODkU. [saga] 2019/10/29(火)04:49 ID:rqljmlHD0(5/16) AAS
男「勉強でもよく言われる土台が大切というのは生きる上で殆どの事に当てはまる」
コースターを机に置き、その上に残り半分となったコーヒーのカップを乗せる。
提督「土台があるから乗せられる、と」
男「ええ。でもこの積み重ね以上の物は乗せられない。鎮守府の作戦書なんかを俺が読んでも、気絶とまではいかなくてもきっと知恵熱がでるでしょうよ」
提督「買い被りすぎだよ。書類は所詮書類です」
省2
20: ◆rbbm4ODkU. [saga] 2019/10/29(火)04:50 ID:rqljmlHD0(6/16) AAS
叢雲「土台がまるでないなら赤子のように何でも吸収できる。なまじ変に土台が残っているせいで受け止め損ねて、中身のコーヒーをぶちまけてショートする、ってことかしら」
男「正解。かどうかは分からいけどな。少なくとも俺はそう思った」
隣の部屋から戻ってきた叢雲は自分用らしいカップを手にしていた。自分のコーヒーを作っていたのだろう。
ウサギの顔が描かれたカップだ。
提督「なるほど。その継ぎ接ぎだらけの記憶を戻していかないといけないわけか」
省5
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