サイタマ「お前って普段、パンツ穿いてないのか?」タツマキ「おやすみ」 (20レス)
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1: [sage saga] 2019/10/20(日)20:58 ID:01arW23NO携(1/18) AAS
「……ただいま」

無人の部屋に自分の声が虚しく響く。
それなりに広いマンションに一人暮らし。
とはいえ、ここには寝に帰るだけだ。
ここが自分の家だという感覚は薄い。

なにせヒーローは忙しい。
昼夜問わず、怪人は現れる。
その度に西へ東へ北へ南へと奔走する毎日。

何の為にと問われれば、自分の為だ。
表向きはストレス発散と言い張っている。
省21
2: [sage saga] 2019/10/20(日)21:01 ID:01arW23NO携(2/18) AAS
「たまにはお酒でも飲もうかしら」

風呂上がりに冷蔵庫を漁りビールを取り出す。
こんな見た目でも私は成人であり、28歳だ。
気分転換にと思い、プルタブを開ける間際。

「あーもう! こんな時に怪人なんて!」

協会からの出動要請で携帯端末が鳴り響く。
やむなくビールを冷蔵庫の棚へと戻して。
着たばかりの寝巻きを脱ぎ捨て、新しい黒のワンピースを頭から被って、準備完了。

玄関なんて私には必要ない。
高層階のベランダから身を翻す。
省12
3: [sage saga] 2019/10/20(日)21:04 ID:01arW23NO携(3/18) AAS
「オレ様は爆弾魔ン! その名の通り、爆発物のエキスパート! ちなみにそこら中に地雷が仕掛けてあるから少しでも動けばドカンだぜ!」
「ふん。私には通じないわ」

地雷原をわざわざ歩くつもりはなかった。
超能力で浮かべば地雷など踏まずに済む。
そう考え、身体を浮かせて接近した瞬間。

キンッ!

目を眩ませる閃光が走り、視界を奪われ。
そして高周波が大気を震わせ耳鳴りがした。
どうやらスタングレネードが炸裂したらしい。
怪人が何やら言っているが聞き取れない。
省12
4: [sage saga] 2019/10/20(日)21:06 ID:01arW23NO携(4/18) AAS
このまま、負けてしまうのかも知れない。
敗北の二文字が脳裏に浮かんだその時、爆風とは異なる一陣の風が颯爽と吹き抜けて。

「…………?」

不意に、爆発が止んだ。
背中、肩、そしてふとももに感触が伝わる。
それはまるで鍛え抜かれた腕の感触のようで。

「ーー?」

私は思わず、ヒーローの名を口走った。
昔、私を助けてくれたヒーローの名前。
S級ランキング1位の、ブラストの名を。
省18
5: [sage saga] 2019/10/20(日)21:08 ID:01arW23NO携(5/18) AAS
「大丈夫か?」

気がつくと、空気の振動が収まっていて。
私はまた、誰かに優しく抱き上げられた。
目は見えないが、耳はいくらか回復して。
無事を確認してきた何者かに私は頷いた。

「あ、なたは……誰?」

私を抱える誰かに問いかける。
彼は名を答えたようだけど、聞こえない。
それでも私は、この腕と胸の感覚を知っているような気がして、半信半疑でその名を呼んだ。

ブラストではなく、最近知ったその名前を。
省9
6: [sage saga] 2019/10/20(日)21:10 ID:01arW23NO携(6/18) AAS
「もう平気なのか?」
「ええ、もう大丈夫よ」

伊達にS級ヒーローではない。
視覚も聴覚も既に回復している。
自分の足で地面に立つ私を見て、彼は感心したように頷き、踵を返して立ち去ろうとした。

「ちょっと待ちなさいよ」
「なんだよ」
「さっきの怪人、アンタが倒したの?」
「ああ、それがどうした?」
「スタングレネードはどう攻略したわけ?」
省15
7: [sage saga] 2019/10/20(日)21:13 ID:01arW23NO携(7/18) AAS
「マント、随分汚れちゃったわね」
「ああ、帰ったら洗濯しないとな」
「だったら、私が洗ってあげるわ」

というわけで、彼のマントを洗ってあげた。
自宅に戻り、私のワンピースも随分汚れていたのでついでに洗濯機に放り込み、ひと息つく。

「アンタ、ビール飲む?」
「おお、悪いな」

洗濯が終わるまで手持ち無沙汰だったので。
冷蔵庫からビールを取り出して、手渡す。
リビングのソファに彼と横並びに座り。
省17
8: [sage saga] 2019/10/20(日)21:16 ID:01arW23NO携(8/18) AAS
2人で2本目のビールを飲んで。
3本目、4本目のビールを飲み干して。
気がつくと、それなりに時間が経っていて。

「そろそろ洗濯終わったんじゃないか?」
「えっ? あ、うん。そうみたいね……」

いつの間にか洗濯は終わっていたらしい。

「じゃあな。ビール、ご馳走さん」

濡れたマントを羽織り直し、いそいそと帰り支度を始める彼を見て、私は思わず引き留めた。
省9
9: [sage saga] 2019/10/20(日)21:18 ID:01arW23NO携(9/18) AAS
「なあ」
「なによ」

初めて男を部屋に泊めて。
初めて男をベッドに招き入れて。
初めて男と一緒に寝てみたのだけど。

「やっぱり俺はソファで寝るよ」

居心地の悪そうな彼に抱きついて阻止する。

「ここに居て」
「さっきからどうしたんだよ、お前」
「いいから」
省21
10: [sage saga] 2019/10/20(日)21:19 ID:01arW23NO携(10/18) AAS
「アンタは怖くないの?」

怯える私の手は、震えている。
そんな私にしがみつかれた、彼は。
やはり居心地悪そうにハゲ頭を掻きながら。

「わかんねえよ」

そんな風に頼りない返事をしつつも。

「でも、負けたらその時はその時だ」
「どういう意味?」
「勝てるまで努力し続ければいいだろ?」
省26
11: [sage saga] 2019/10/20(日)21:21 ID:01arW23NO携(11/18) AAS
「あ、そう言えば」
「むにゃ……なによ」

頭を撫でられて、うとうとしていると。
彼は思い出したように、口を開いた。
寝ぼけながら聞き返すと、彼は神妙な顔で。

「お前って普段、パンツ穿いてないのか?」

それまでの良い雰囲気をぶち壊す質問をした。

「おやすみ」
「おい、このままじゃ気になって寝れねえよ」
「ヒーローはそんなこと気にしないわ」
省12
12: [sage saga] 2019/10/20(日)21:22 ID:01arW23NO携(12/18) AAS
「…………寝るか」
「…………そうね」

長い沈黙の後、彼は諦めたように降参した。

ほっとしたような、残念なような。
悔しいような、腹が立つような。
とても甘いような、酷く苦いような。
泣きたいような、切ないような気持ちになり。

声を出さずに、私は泣いた。

泣きながら、敗因を自覚する。
それは間違いなく、私がちんちくりんだから。
省13
13: [sage saga] 2019/10/20(日)21:23 ID:01arW23NO携(13/18) AAS
「……ごめん」
「別に、気にしてねえよ」
「……ありがと」

謝罪の言葉も、感謝の言葉も久しぶりだった。
たまにはこうして素直になるのも悪くない。
スッキリした気持ちで、私は彼に甘えた。

「ねえ、サイタマ」
「今度はなんだ」
「前にA市に宇宙船が来たことがあったわよね」
「ああ、そういえばそんなこともあったな」
省23
14: [sage saga] 2019/10/20(日)21:25 ID:01arW23NO携(14/18) AAS
「そいつ、そんなに強かったの?」
「ああ。向こうは俺に負けて悔しがっていたけど、そこまで余裕をもって倒せるような奴じゃなかったことは確かだ。俺もまだまだだな」

彼は淡々と語る。誇るでも自慢するでもなく。

そいつをワンパンでは倒せなかったこと。
敵を煽り、ワザと怒らせて隙を伺ったこと。
蹴飛ばされて、月までぶっ飛ばされたこと。
地球に帰還した後、本気で殴って倒したこと。

「アンタってほんとデタラメよね」
「嘘じゃないぞ」
「わかってるけど、きっと誰も信じないわよ」
省18
15: [sage saga] 2019/10/20(日)21:27 ID:01arW23NO携(15/18) AAS
「アンタから見て、私はどう映る?」
「生意気な糞ガキにしか見えないな」

カチンときた。キレてもいいかしら。
いや、そんな子供じみた真似はよそう。
私は彼より歳上だ。ならばそれを利用する。

「手、貸して」
「なんだよ、いきなり」
「いいから、早く」

急かすと、渋々彼は手を差し出した。
大きくて、こぶしの固いその手を取って。
省20
16: [sage saga] 2019/10/20(日)21:29 ID:01arW23NO携(16/18) AAS
「アンタのお尻も触るわよ」

私だけ身悶えするのは不公平なので。
ヒーローらしく公平に彼の臀部を触った。
触れた瞬間、驚愕した。何これ、固い。

鍛え抜かれた彼のお尻はカチコチだった。

「もっと力を抜きなさいよ」
「いや、実はさっきから糞を我慢してて……」
「はあっ!? だったら早く言いなさいよ!」

まったく、この男ときたら。何考えてんのよ。
本当にデリカシーのない奴だ。信じらんない。
省19
17: [sage saga] 2019/10/20(日)21:31 ID:01arW23NO携(17/18) AAS
「サイタマ、もういいから楽にしなさい」
「馬鹿やろう……漏らしてたまるかよ!」

まったく、まるで子供の駄々のようだ。
頑なに便意に抗う彼は確かに歳下の男であり。
必死な彼がなんだかとても可愛く思えてつい。
私は思わず、彼の唇に自分の唇を重ねた。

「むぐっ!?」

突然のことに驚くサイタマ。
その瞬間、一瞬の気の緩みが命取り。
存在意義を失った括約筋を大便が通過した。
省16
18: [sage saga] 2019/10/20(日)21:32 ID:01arW23NO携(18/18) AAS
「あー愉しかった」
「ちくしょう……負けちまった」

やった。勝った勝った。勝っちゃった。
勝利の余韻と優越感に浸る。最高の気分だ。
とはいえ、私は怪人ではなくヒーローだ。

「お尻、拭いてあげる」

だから事後に、敗者へのケアは忘れない。
綺麗にお尻をウエットティッシュで拭いてから、サイタマのハゲ頭を抱きしめてあげた。
そして優しく撫でながら、耳元で挑発を囁く。

「またいつでも泊まりに来なさい」
省15
19: 2019/10/21(月)00:20 ID:rTV53VSg0(1) AAS
イイハナシカナー?
20: 2019/10/26(土)11:54 ID:r6ONE//Go(1) AAS
草ならぬ糞
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