最上静香の「う」_四杯目_ (23レス)
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3: ◆kBqQfBrAQE [saga] 2019/08/30(金)21:34 ID:SegpilIM0(3/21) AAS
着替えを済ませ、静香はプロデューサーとともにレッスンスタジオを後にした。
残暑は厳しい。私服へ着替える前に、冷たいシャワーを浴びて身体の火照りを冷ましていたにもかかわらず、静香の肌からは汗が吹き出される。道沿いの欅に留まるクマゼミの鳴き声がわんわんと響き、暑さを助長しているような心地がしてたまらない。
横を見遣ると、横並びに歩くプロデューサーが玉のように汗をかき、それをハンカチーフで拭っていた。
静香は行き先を訊ねていなかったことに気付いた。
「ちょっとここから離れてるよ。大手町にあるんだ」
地下鉄に乗り、乗り換えも含めると三十分程度かかるだろうと彼の胸算用である。
「腹減ってるかもしれないけど、ちょっと我慢してくれよ」
「美味しいお店ならいいですけど、そこまでのお店だったら、空腹の中わざわざ時間かけて赴いても勘定が合いませんよ」
空腹のせいか、静香の言葉は多少ながらトゲを含む。
「おっと、それは心配無用だ。うどんの味に関しては折り紙付きだぞ」
彼は不敵に笑った。
「特に、こんな暑い日には打ってつけの一杯があるんだよ」
「打ってつけ?」
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