【アイマス】滄の惨劇 (251レス)
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1: ◆e85MZF7Uug [sage saga] 2019/06/20(木)22:30 ID:znqXyXnV0(1/15) AAS
アイドルマスターのSSです。
アニメ版しか知らないので細かな設定等の矛盾はご了承ください。

SSWiki : 外部リンク:ss.vip2ch.com
2: ◆e85MZF7Uug [sage saga] 2019/06/20(木)22:35 ID:znqXyXnV0(2/15) AAS
「ええ!? 本当ですか!?」

春香が身を乗り出した。

「ああ、リフレッシュも兼ねて、ということらしい。みんな、このところ忙しかったからな。

とはいえこの時期によく日程を確保できたものだよ」

まるで自分が大仕事を取ってきたかのようにプロデューサーは得意気に言う。
省12
3: ◆e85MZF7Uug [sage saga] 2019/06/20(木)22:38 ID:znqXyXnV0(3/15) AAS
「それってつまり旅行ってことですか? 前に行ったみたいに――」

「そういうことになるかな。まあ、社長は合宿の意味合いもあるって言ってたけど」

「強化合宿ですか!? うーん! 燃えてきましたっ! ボク、参加します!」

「いや、強化とまでは言ってないぞ……」

「また皆で旅行なんて楽しみね」
省27
4: ◆e85MZF7Uug [sage saga] 2019/06/20(木)22:39 ID:znqXyXnV0(4/15) AAS
 南の島で一服してはどうか、と持ちかけたのは高木だった。

アイドルたちもそこそこ売れてくると、プライベートを過ごすにあたっても気が抜けない。

そこで彼は合宿と称して、彼女たちが羽を伸ばせる場所を用意したいと言い出した。

それなら仕事熱心な者も後ろめたさを感じることなく楽しめるし、合宿と銘打ってある以上、

本当にレッスンに打ち込みたくなってもそれはそれで違和感はない。
省14
5: ◆e85MZF7Uug [sage saga] 2019/06/20(木)22:39 ID:znqXyXnV0(5/15) AAS
「――と、いうことなんだ」

大雑把な説明に律子は小さく息を吐いた。

「なんというか、社長らしいですね……」

彼の思いつきに何度か振り回されたことのある律子は微苦笑した。

「で、あんたがその引率をするってワケ?」
省20
6: ◆e85MZF7Uug [sage saga] 2019/06/20(木)22:48 ID:znqXyXnV0(6/15) AAS
―― 1日目 ――

 9時07分。

空を覆う青と海に広がる青は一見すると似ているが、目を凝らせばその違いは瞭然だ。

都会の港から見れば黒に近い海でも、遠く離れればそこには宝石を敷き詰めたような蒼がどこまでも広がっている。

「風が気持ちいいわね」
省32
7: ◆e85MZF7Uug [sage saga] 2019/06/20(木)22:50 ID:znqXyXnV0(7/15) AAS
真が腰に手を当てて抗議した。

「この前は響が途中で魚捕りしてたから無効だよ。というか先にゴールしたのはボクだったし」

「真は分かってないな。泳いでる魚を素手で捕まえるのがどれだけ難しいか知らないでしょ?」

「そりゃあ……そうだけど。でも勝負をほっぽり出したんだからボクの不戦勝ってことになるじゃないか」

「あれはあのままじゃ自分の圧勝だったから、真に花を持たせてやろうと思ってやったんだぞ?」
省30
8: ◆e85MZF7Uug [sage saga] 2019/06/20(木)22:52 ID:znqXyXnV0(8/15) AAS
「いえ、いいですよ、サインくらいお安いご用です。送迎をお願いしているんですから……」

「本当かい? いやあ、悪いねえ……これで顔向けできますわ。俺がアイドルを乗っけたって知ったらあいつ、

きっと拗ねちまいやがるに決まってるんで。いただけるんなら一生の家宝にしますわ」

黙っていれば射竦めるような目つきの彼も、孫の話となると別人のように表情が変わる。

「今後ともうちのアイドルをよろしくお願いします」
省28
9: ◆e85MZF7Uug [sage saga] 2019/06/20(木)22:53 ID:znqXyXnV0(9/15) AAS
「よっし! あと10分もすりゃ着くからな。お嬢ちゃんたち、もうちっと辛抱してくんな」

岩倉は波の動きに合わせて船体を傾け、揺れの小さくなるように船を走らせた。

次第に近く、大きくなってくる輪郭は絵に描いたような南の島――というワケではなかった。

全容は歪(いびつ)で、ところによっては峻峭な絶壁も目立つ。

ただ手前には真っ白な砂浜が広がっていて、それなりの雰囲気は醸し出している。
省33
10: ◆e85MZF7Uug [sage saga] 2019/06/20(木)22:54 ID:znqXyXnV0(10/15) AAS
「不審者がいるらしいって噂されるちょっと前だったかな。野良犬や野良猫の死骸があちこちで見つかるようになったんだ。

それがどうも病気や寿命じゃないらしいんで。ひどい殺され方だったもんで俺も弔ったんですわ」

「こ、殺され……?」

「何かで殴られたり斬られたりで。警察の捜査も始まってるんですが、一向に手がかりがないらしくてね。

何人か目撃者も現れたんだが、それがまた妙な証言ばっかり集まりやがるんで。
省29
11: ◆e85MZF7Uug [sage saga] 2019/06/20(木)22:55 ID:znqXyXnV0(11/15) AAS
「おうよ! こっちこそありがとな!」

ガッツポーズを見せる岩倉にプロデューサーが思い出したように、

「そうだ、響! ちょっとこっちに来てくれ!」

やよいと蟹で遊んでいた響を呼び戻す。

「忘れ物?」
省30
12: ◆e85MZF7Uug [sage saga] 2019/06/20(木)22:57 ID:znqXyXnV0(12/15) AAS
「こっちは山籠もりでもするつもりかしら?」

ゆうに30キログラムは超えているであろう登山用リュックサックが4つ。

真と響がふたつずつ持ち込んだものだ。

「だって合宿だよ? これでも少ないくらいだよ」

「この程度で山籠もりに見えるなんて、伊織は日頃の鍛錬が足りないぞ」
省26
13: ◆e85MZF7Uug [sage saga] 2019/06/20(木)22:57 ID:znqXyXnV0(13/15) AAS
「泊まるところは洋館だって言ってましたけど、遠いんですか?」

前を行くプロデューサーに雪歩が問うた。

まださほど歩いてはいないが、額にはうっすら汗をかいている。

「いや、そんなに遠くないらしい。そろそろ着いてもよさそうだけど……」

その割に一向に洋館が見えないのは、ジャングルのように木々の密度が高いせいだ。
省30
14: ◆e85MZF7Uug [sage saga] 2019/06/20(木)22:59 ID:znqXyXnV0(14/15) AAS
「うわぁ〜〜」

扉を開けると誰ともなく、そんな声を漏らす。

外観に負けない内装の美がそこにあった。

丘を登りきった時には荘厳な館に喚声をあげていた彼女たちだが、扉の向こうの光景には驚嘆の息が漏れるばかりだった。

ワインレッドのカーペットが足元から伸びている。
省31
15: ◆e85MZF7Uug [sage saga] 2019/06/20(木)23:00 ID:znqXyXnV0(15/15) AAS
「見てのとおり、1階に3部屋、2階にも3部屋。それが左右の棟にあるからちょうど全部で12部屋ね」

「ねえ、律子……さん、このいくつかある×印は何なの?」

美希が指差したのは、左右の棟と中央棟が接合する角の部分だ。

1階、2階とも食堂の横等に×印が書かれた空間がある。

「ちょっと待って、社長のメモ書きがあるわ……うん、物置とか発電機なんかが置いてある場所みたいね。使わない場所だから消してあるのかしら」
省33
16: ◆e85MZF7Uug [sage saga] 2019/06/23(日)22:45 ID:rjaMESJ70(1/14) AAS
AA省
17: ◆e85MZF7Uug [sage saga] 2019/06/23(日)22:46 ID:rjaMESJ70(2/14) AAS
AA省
18: ◆e85MZF7Uug [sage saga] 2019/06/23(日)22:50 ID:rjaMESJ70(3/14) AAS
「やった! ハニーの隣なの!」

美希が俄然喜ぶその横で、

「うあうあ〜! まさかのGだよ! ねえ、律っちゃん、もう1回やりなおそうよ〜」

亜美が泣き縋るように訴えた。

「やりなおしたらクジの意味がないでしょうが」
省34
19: ◆e85MZF7Uug [sage saga] 2019/06/23(日)22:53 ID:rjaMESJ70(4/14) AAS
 10時25分。

白地に桃色の花が描かれた壺を見つめながら、春香はふっと息を漏らした。

棟をほぼ3分割しているだけあって一室はかなり広い。

そこに一人掛けのソファやテーブル、背丈ほどもあるキャビネットが程よい間隔で置かれている。

それらは白や薄茶が基調でカーペットやクロスとよく融和している。
省27
20: ◆e85MZF7Uug [sage saga] 2019/06/23(日)22:58 ID:rjaMESJ70(5/14) AAS
「揃ってるか? ああ……よし、それじゃあ行こう」

彼はふっと視線を逸らす。

「ハニー、みんなの水着姿に興奮してるの!」

それに気付いた美希が大きな声で言った。

「プロデューサー、見損ないましたよ……」
省26
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