清霜「Saxophone Colossus 」 (178レス)
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26: ◆0rjCWOlcd8we [sage] 2019/05/11(土) 12:29:07.06 ID:OgmeEWtTO (´-`).。oO(渋の方でもまとめてるのでよかったらどうぞ) http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1557390678/26
27: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage] 2019/05/11(土) 13:18:31.09 ID:iG0Dmaru0 おつ 今回も楽しみにしてますぞ http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1557390678/27
28: ◆0rjCWOlcd8we [saga] 2019/05/13(月) 01:36:49.76 ID:cs33ogthO 第3話 Blue Getz Blues(後編) 2019年1月22日 午後1時56分 早霜のバー「Lazy Bird」 バーのドアには「CLOSED」の看板 本来なら早霜以外は入れないはずだが練習のために鍵を渡されている 同じようにこのバーを練習場所にしている艦娘は何人かいると清霜は聞いたが具体的誰だかは聞いておらず、いつか会うのだろうと若干の期待を清霜はしていた 鍵を挿し、防音のドアを開ける 今店にいるのは清霜一人だった 「さてと... リシュリューさん来るまで音出ししておこうかな」 そう思った矢先に先ほどの防音扉が開く、リシュリューが店に入ってきた 「ちゃんと時間にいるわね、よろしい」 「あ! リシュリューさん! あの、今日はよろしくお願いします」 「いいわ、じゃあ楽器出して」 「はい!」 清霜が楽器を組み立て、リシュリューがピアノの椅子に座る 「あなたにはまず音を覚えてもらう、多分あなた譜面も読めないでしょ?」 「よ、読めません...」 「いいわ、じゃあこの音吹いてみて」 ポーン (えっと... この音かな?) バーーー 「違うわそれはAの音、今やったのはG」 「A... G...?」 「ああそこからね... じゃあドレミファソラシドはわかる?」 「一応は」 「じゃあ『ソ』を吹いてみて」 バーーー 「それがテナーサックスの『G』、ピアノだと『F』になるわ」 ※ドレミファソラシドはCDEFGABと表記されます そしてテナーサックスとピアノでは同じドレミファソラシドでも音が違います 例えばテナーサックスでGを吹いてもピアノで同じ音を出そうとするとFを弾かなければいけません 「あなたにはまず音を覚えてもらうことから始める」 「音を覚える...」 「そう、あなたは今『G』という目印を見つけた、それを広げていくわ」 「はい!」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1557390678/28
29: ◆0rjCWOlcd8we [saga] 2019/05/13(月) 01:38:01.87 ID:cs33ogthO 2019年2月5日午後2時02分 早霜のバー「Lazy Bird」 「さて、音はもう覚えたわね じゃあ今日からタンギング(※)を」 ※舌で息を調節する技術 「はい!」 「じゃあメトロノーム鳴らすからそれに合わせて音を区切って」 カチカチカチカチ (やるぞ!) ババッバババーババババ (あ、あれ? できない!?) 「一音一音に意識を向けすぎね、長い音を区切るイメージを持ちなさい」 「長い音を区切る?」 「そうね... うーん... 金太郎飴みたいな感じかしら?」 (リシュリューさんから金太郎飴なんて言葉が出てくるなんて思わなかった) 「ま、ともかく 長い音が元なの、それを意識しなさい」 「どんな感じになるんですか?」 「...サックス、貸しなさい」 「え? あ、はい」 楽器を清霜から受け取り楽器を構える どこかその雰囲気は達人のようだった 「じゃ、テンポ150まであげて」 「えっ!?(ひゃ、150!?)」 「...」 カチカチカチカチカチカチカチカチ (リシュリューさんサックス出来るの...?) バババババババババババババババ 「!? す、すご...」 「こんなかんじで吹いてみなさい」 「あの! もっと何か吹いてください!」 「いいわ」 バラバラー ババラバラララ バーーーラバラバラ http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1557390678/29
30: ◆0rjCWOlcd8we [saga] 2019/05/13(月) 01:38:50.75 ID:cs33ogthO 「!!」 たった数フレーズであったが清霜は感じ取った、この人は只者じゃない どこか丸く優しい音だったがそれでも力強さを感じた 「すごい! リシュリューさんすごい! 何者なんですか!?」 「昔サックスをやってた、それだけよ」 「あのなんていうか... 丸くて優しい音、スタンゲッツみたい!」 「っ!?」 「すごく好きです! リシュリューさんの音! 私もそんな風になりたーー」 言いかけた瞬間リシュリューが遮る 「私じゃあダメなの」 「リ、リシュリューさん...?」 予想外の言葉に清霜は狼狽える 清霜はリシュリューの目からは悲しみ、怒り、無念、これらの言葉で言い表せないものが感じとった 「私になっちゃ... ダメ」 「それってどういう...」 「私もかつてジャズの巨人を目指したわ」 「リシュリューさんも?」 「私は... そう、あなたの言ったスタンゲッツに憧れてサックスを始めたの」 (意外、マイケルブレッカーみたいな音が好きかと思ってた) 「あの丸い優しい音... そして彼がよく吹いてたボサノヴァも私は好きになった」 「ボサノヴァ好きなんですか?」 「あら、フランス人は枯葉ばっか聴くわけじゃないわ」 「あ! いやそういうわけじゃなく...」 「冗談よ、話は戻るけど...」 どこか遠くを見るように顔を向けてリシュリューは語った http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1557390678/30
31: ◆0rjCWOlcd8we [saga] 2019/05/13(月) 01:39:25.09 ID:cs33ogthO 「私はプロを目指していた、世界で活躍できるような」 「だから私は名門の音大にも行った...」 「そして在学中レコード会社の役員の前で私は演奏する機会があった」 「そして演奏が終わった後こう言われたわ」 ため息を漏らしこう言った 『君の音は古すぎる』 「ふ、古すぎるって...!」 「ええ、そう言われたわ」 「どうして!? いい音なのに!」 「違うの清霜、私が長年やってきたのはただ巨人の足跡を辿っただけだったの」 「足跡を?」 「『君は場末のパブで演奏をしたいのか、第一線に立って世界で活躍したいのかどっちなんだ? 今の君の音はただの模倣に過ぎない』」 「...」 思わず清霜は黙り込む、培ったものを根底から否定されたリシュリューの事を思うと胸が締め付けられたからだ 「私はプロの道を諦めたわ... 私はなぞっていたに過ぎない、そう思ったの」 「そんな...」 「だから清霜」 「は、はい!」 「わたしにはなっちゃダメ」 「...」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1557390678/31
32: ◆0rjCWOlcd8we [saga] 2019/05/13(月) 01:39:54.93 ID:cs33ogthO 2019年3月5日 午後2時00分 早霜のバー「Lazy Bird」 この時間のバーには二人しかいない 楽器を持った清霜とそれを見るリシュリュー 清霜の特訓は今日も続く 「よろしくお願いします!」 「じゃ、スケール(※)のテストするわ メジャー、マイナー(ナチュラルマイナー)、ハーモニックマイナーはまずは覚えてきたわね?」 ※音階、音の並び 「た、たぶん...」 「はい?」 「お、覚えました!」 「よろしい、じゃ Fメジャー!」 バラララララララ 「次! Dマイナー!」 バラララララララ 「日和らない! 一瞬でも迷うな! さっきやったFメジャーと使うキー同じでしょ!(※) もう一回! 」 ※平行調と呼ばれる関係にある、メジャースケールの6番目の指から始めるとマイナースケールになるのでFメジャーとDマイナーは使うキーが同じである バラララララララ 「そう! それでいい! 次! Gハーモニックマイナー!」 ーーーーーーーー ーーーーーーーー 「はい、今日はここまで」 「あ、ありがとうございました...」 「ま、覚えてはきたわね」 「頑張ります!」 「じゃあこの次はディミニッシュと教会旋法全部とオルタード...オルタードはとりあえず7thで、今言ったのをやってもらうわ」 「ひええ...」 「楽譜も読めるようになったし進歩はしてるわ、この調子で」 「リシュリューさんが褒めた...!?」 「失礼ね」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1557390678/32
33: ◆0rjCWOlcd8we [saga] 2019/05/13(月) 01:40:29.50 ID:cs33ogthO 2019年3月23日 午後11時15分 鎮守府 埠頭 「よし! メジャーとマイナーのペンタ(※)も迷わなかったしブルーノートスケールも覚えたぞ!」 ※ペンタトニックスケール 1、2、3、5、6度の音で構成されるスケール 「こんな時間だけど、ちょっとだけ... 暖かかくなってきたかな?」 この数年間清霜は四季をこの場所で感じてきた 春は桜が、夏は暑い日差し、秋は紅葉、そして冬には雪 この場所で彼女はいくつもの練習を積み重ねてきた 「あー明日は遠征かー... ううん! じゃあ帰ったらいっぱい吹くぞ!」 時間を幾重にも積み重ね、そして彼女はあることに気づくこととなる (最後ちょっと練習してから帰ろう) バーバララバラバラバラ (よし! いい感じに指が動く!) (いける! このまま!!) その瞬間だった ババラバラバラバラバラーーー!! 「!?」 (い、今の... 何?) あまりの衝撃に思わず手を離す 「頭の中で思い浮かべた事とサックスが繋がった...?」 ついに彼女はサックスを自分の体の様に操ることができた http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1557390678/33
34: ◆0rjCWOlcd8we [saga] 2019/05/13(月) 01:40:55.12 ID:cs33ogthO 2019年4月8日 午後2時30分 早霜のバー「Lazy Bird」 ババババラバラバラバラー (この子も楽器を手足みたいに操れる様になったわね) (そろそろ頃合いかしら) 壁を超えた清霜からいくつものフレーズが飛び出してくる リシュリューはそれを聞きあることを考える ーーーーーーーー ーーーーーーーー 「はい、じゃあ今日はここまで」 「ありがとうございました!」 「ところで清霜」 「何ですか?」 「そろそろあなたは誰かと合わせてもいい頃ね」 「合わせるって... まさか!?」 「そう、セッション」 思ってもいない単語が師匠の口から飛び出してきて清霜は驚きを隠せなかった 長年挑戦したかった事に、ついに挑める だが一つの疑問が浮かぶ 「あ、でもリシュリューさん」 「何?」 「メンバーってどうすれば...」 「自分で探しなさい」 「え」 「ここ」 「へ?」 「ジャズバーよ? 何人プレーヤーいると思ってるの」 「あっ...」 自分以外のプレーヤーに一度もあったことがないし、そもそもこの時間以外は埠頭で吹いている彼女には会う機会が全くなかった 「そうね... 明日から毎日夜にここに来れば見つかるんじゃないかしら」 「うん! 探してみます!」 着実に、一歩一歩踏み出していく http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1557390678/34
35: ◆0rjCWOlcd8we [saga] 2019/05/13(月) 01:41:24.01 ID:cs33ogthO 2019年4月9日 午後9時21分 早霜のバー「Lazy Bird」 「し、しまった〜! 練習に夢中で今日ライブあるの忘れてた!」 「えっと、今日は確か... 妙高さん(Tp)と摩耶さん(B)と愛宕さん(Drs)と羽黒さん(Pf)、栗田艦隊カルテットかあ」 リシュリューの言いつけ通り行く事に決めた清霜、開演は9時だったがすっかり過ぎてしまっていた 店のドアをそっと開け中の様子を伺った パラパラー (へえ、こんな感じ...) そしてソロ回しが始まったあたりで何かがおかしい事に気づいた ステージ上で言い争う声が聞こえる 「おい、いつまでつまんねープレーすんだ?」 「ちゃ、ちょっと摩耶! 今ライブ中よ!」 「姉貴は黙ってな、そろそろうんざりなんだよ! いつも似たフレーズ! 同じ展開! 挑戦する気はねーのかよ!」 「摩耶!」 「アタシはもう抜ける! 世話になったな」 摩耶が足早に楽器を抱え立ち去り会場がどよめく 出口に立っていた清霜のことは気にも留めなかった 「ごめんなさいね、あの子気難しい子だから...」 「同じプレーね... いや間違ってはいないわ、事実客席が埋まらなくなってきてる」 その言葉通り客席は半分ほどであった おそらく昔はもっと居たのだろう 「姉さん...」 「同じことの繰り返しに私たちは満足していたのかもしれないわね...」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1557390678/35
36: ◆0rjCWOlcd8we [saga] 2019/05/13(月) 01:42:00.73 ID:cs33ogthO 午後9時37分 鎮守府中庭 早歩きでウッドベースを背負いながら摩耶が中庭を通る (あークソが! 腹たつ! 何で姉貴たちは変わってくれないんだよ!) (毎日同じじゃ何も変わらねえんだよ! 客だって飽きる!) 「...」 「はあ...」 「だからって言い過ぎたな...」 楽器をそばに置き木に寄りかかる、明日のことも考えずに飛び出してしまいどう謝ろうかを考える 「明日からどうしようかな... アタシ、合わせる顔もない...」 「ねえ摩耶さん!」 「おわーーーっ!!??」 突然話しかけられ思わず声を上げる、そして清霜から思いもよらない言葉が飛び出す 「私と組まない?」 「...」 「どう!? どう!?」 「お前何言ってんだ?」 第3話 終わり http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1557390678/36
37: ◆0rjCWOlcd8we [saga] 2019/05/13(月) 01:44:12.10 ID:cs33ogthO 今日はここまで、リシュリューが言われた言葉は実際にプロの人がアマチュアのバンドに言い放った言葉です 古いものをなぞるだけならあなたは第一線には立てない、新しいものを作らないといけない 模倣は第一歩ですがそこからが本当の勝負になります ありがとうございました http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1557390678/37
38: ◆0rjCWOlcd8we [sage] 2019/05/13(月) 01:53:04.98 ID:cs33ogthO (ちなみに私は模倣すらできてねえ始末です) http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1557390678/38
39: ◆0rjCWOlcd8we [sage] 2019/05/14(火) 11:10:47.76 ID:RdKWX7jEO ジャズSSってもしかしてニッチ過ぎましたかね... http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1557390678/39
40: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage] 2019/05/14(火) 12:54:19.75 ID:rPaFEDM90 好きよ http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1557390678/40
41: ◆0rjCWOlcd8we [sage] 2019/05/14(火) 16:14:25.39 ID:penqAI0K0 レスがないものでなんか読んでる人居ないのかと思ってました... 好きって言って頂けるなら幸いです 精進します http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1557390678/41
42: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage] 2019/05/17(金) 23:36:06.43 ID:++3162MQO 摩耶さまか 凸凹コンビ、身長がな! 更新乙です http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1557390678/42
43: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage] 2019/05/18(土) 00:28:10.52 ID:xDQkF67A0 久し振りにSS速報来たら、新作じゃないか! 超楽しみに続きを待つ! http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1557390678/43
44: ◆0rjCWOlcd8we [saga] 2019/05/18(土) 23:41:28.31 ID:SC9Xen1eO 第4話 High Maintenance 2019年4月9日 午後9時38分 鎮守府中庭 「へ?」 「いやおかしいだろ、いきなり組まないかなんて」 突然清霜から誘いが来たことに摩耶は驚きというより呆れていた いきなり何を言い出したんだこいつは? そんな目で清霜を見る 「えーだって摩耶さん今誰とも組んでないんでしょ? だから私とーー」 「あのなあ、あれは勢いで言っちまっただけで...」 「勢い?」 「うう... てかそもそもお前楽器やってんのかよ! まさか何もなしにーー」 「テナーサックス」 「あん?」 「私、サックスやってる!」 「はーんサックスねえ...(どうせへたっぴだろ)」 「じゃあ摩耶さん! 私の演奏聴いてそれで決めてよ!」 「お、おう...(何だこいつ? 自信あんのか?)」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1557390678/44
45: ◆0rjCWOlcd8we [saga] 2019/05/18(土) 23:42:02.11 ID:SC9Xen1eO いそいそと楽器を組み立てる清霜 灯りに照らされた楽器を見て摩耶は驚きを見せた (こいつ... 相当やりこんでる...?) そんな摩耶に意も介さず清霜はセッティングを終える 「じゃ、いい?」 「いいぜ、好きにやんな」 「じゃあジョンコルトレーンのMr. P.C.を...」 呼吸を整え、リシュリューに叩き込まれた基礎を思い出しながらゆっくりと楽器を構える いま目の前にいる一人に認めてもらうために全力を出そうとしていた 静寂が消える バラバラバラバラバーラバラッバーラーラ 「!!(こ、こいつ...!)」 あの使い込まれた楽器に相応しい音が清霜のサックスから飛び出してくる かつての荒削りなものでなくより研磨され、洗練された音 そしてなおも人を圧倒させる音を... ーーーーーーーー ーーーーーーーー http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1557390678/45
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