【ガルパン】みほ「私は、あなたたちに救われたから」 (733レス)
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40: ◆eltIyP8eDQ [saga] 2019/04/06(土) 18:05:20.69 ID:QSadOSIn0 ・ ・ ・ 誰だって友人の一人や二人いるだろう。 そして、特に仲の良い親友と呼べるような存在がいる者もいるだろう。 その友人を失って悲しみに暮れる気持ちがわからない者はいないだろう。 その原因が自分だと、そうこじつけられてしまうとしたら、そう考えてしまう気持ちもわかる者はいるだろう。 けれど、その果てに自身がその友人になろうとする。その気持ちを理解できる者は、いないだろう。 杏が語った一節は、つまりそういう事だった。 校門の前に並ぶ少女たちは、先ほどよりもずっと重く、暗く、ともすればそのまま夜の闇に消えてしまいそうなほど沈み込んでいた。 杏の口から語られたそれは、あまりにも理解を越えていた。いや、理解できる部分は確かにある。 みほに共感して瞳を潤ませるものも多数いた。だけど、みほが導き出した結論を理解できるものはいなかった。 梓「……嘘じゃないんですか」 そんな中、最初に口を開いたのは梓だった。 杏「嘘だったら私の笑えない冗談で済んで良かったんだけどね」 梓「……あなたは、このことを―――」 桃「会長は……最初から、全部知ってたんですか?」 梓の問いかけは杏の隣にいる桃の言葉にかき消された。 呆然と見開かれた瞳は、杏を見ているようで別の誰かを見ているかのように揺れている。 そんな桃を見つめ、杏は躊躇うように、諦めたように頷く。 杏「……うん」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1553347133/40
41: ◆eltIyP8eDQ [saga] 2019/04/06(土) 18:07:46.41 ID:QSadOSIn0 その瞬間、桃が杏の胸倉を掴みあげる。元より腕力は人並み以上だった桃によって小柄な彼女の体は難なく吊り上げられ、その表情が息苦しさに歪む。 柚子「桃ちゃんっ!?」 突然の事に柚子が驚き、止めようと近づくも桃の鬼気迫る表情の前に彼女は動けなくなってしまう。 桃「なんでっ……なんで言ってくれなかったんですかッ!?なんでッ!?」 怒りと動揺がないまぜになった声に杏の瞳が大きく開き、揺れる。 けれど、すぐにその表情をかき消して代わりにいつもの様におどけたような、軽い笑みを作る。 杏「……そっちのほうが色々都合が良かったんだよ。それだけ」 桃「ふざけないでくださいっ!?あいつは私たちのために必死で戦ってたのにっ!!なのにっ、なのにっ……」 喉が裂けそうなほどの怒声がどんどんとその勢いを失っていく。 真っ白になるぐらい力の込められていた手から力が抜けていき、すり抜けるように杏の胸元から離れ、垂れ下がる。 それに合わせて崩れ落ちるように桃は膝をつくと、合わない焦点で地面を見つめながら呟くように声を出す。 桃「私は、逸見に……西住に……取り返しのつかない事を……」 桃の脳裏を駆け巡るのはただただ後悔の念だった。 自分がかけた期待が、激励が、我儘が、全てみほを傷つけていたのだと。 そしてみほを戦車道の場に引きずり出したのは杏で、そうした理由に桃は心当たりがあった。 桃「……私が、廃校を嫌がったからですか?私が、会長にそこまでさせてしまったんですか?」 杏「違う」 その言葉を杏は即座に否定する。 しゃがみ込んで、へたり込む桃に目線を合わせて、その瞳をまっすぐ見つめる。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1553347133/41
42: ◆eltIyP8eDQ [saga] 2019/04/06(土) 18:12:57.09 ID:QSadOSIn0 杏「河嶋、悪いのは全部私だよ。事情を知ってて、いつかこうなる事もわかってたのに、私は西住ちゃんを引っ張り出したんだ」 桃「そんなのっ……」 杏「お前の気持ちなんか関係ない。廃校が嫌だったのは私も同じで、私は……私が、そのためなら何でもしようって思っただけなんだ」 桃が瞳を涙で潤ませ、悔しそうに歯を食いしばる。 桃「そうやって……あなたはまた全部一人で……」 杏「……ごめんね河嶋」 桃「謝らないで、ください……」 その言葉を最後に、桃はうつ向いて何も言わなくなった。 震えるその肩を杏は哀しそうに見つめると、二人の様子を見守っていた他の生徒たちに向き直る。 そして、強く瞼を閉じてゆっくりと開く。 杏「みんな、もう一度言うね。もう、帰ろう」 一人一人を見つめるように視線を配る。 最初に声をだしたのは、レオポンさんチームの車長であるナカジマだった。 ナカジマ「……わかったよ。みんな、帰ろっか」 数少ない最上級生であるナカジマの言葉に、少女たちはどこか納得できないという面持ちを抱えながらも各々の家路につこうとゆっくりと歩きはじめる。 しかし、その流れに逆らって梓が飛び出した。 典子「澤っ!!」 典子の声に、駆け出した影―――梓は引き留められる。 典子「どこに行く気だ」 梓は振り向かずに答える。 梓「……隊長のところです。あの人の口から、本当のことを聞いてきます」 典子「ダメだ」 梓「嫌です」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1553347133/42
43: ◆eltIyP8eDQ [saga] 2019/04/06(土) 18:17:59.82 ID:QSadOSIn0 典子の説得に梓は頑なに首を振る。 見かねたチームリーダーたちも梓を諭そうと声を掛けてくる。 ナカジマ「澤さん、今隊長に話を聞いたって仕方が無いよ。お互いが動揺したままじゃ会話になんてならないんだから」 カエサル「急いては事を仕損じる。気持ちは分かるが、焦った所で拗れるだけだ」 そど子「とりあえず、落ち着きなさいよ」 ナカジマ、カエサル、そど子が次々に言葉をかけてくる。 しかし、梓はそれに我慢できないといったように怒りを露わにして叫ぶ。 梓「っ……みんなは納得できるんですかっ!?今日まで信じてきた人が、既にいない人で、私たちの知っているエリカ先輩は、そう名乗ってるだけの別人だったって言われてっ!!」 典子「澤……」 典子の呟くような声には梓への理解と同情が込められていた。 おそらく、この中でみほを、いや『エリカ』を最も信頼し、尊敬し、その背中に憧れていたのが梓だった。 未経験で何も知らないからと自主練に励み、初心者用の教科書まで買って読み進めていた。 プラウダとの試合、追いつめられ、教会に立てこもっていた時、自身の無力さに涙を流していた。 それらは偏に尊敬する隊長の力になりたいという一心からであり、それを知ってるからこそ、皆は何も言えなくなってしまう。 梓「私は、私は納得できませんっ!!ちゃんと、ちゃんとあの人の口から本当の事を聞きたいんですっ!!」 目元を真っ赤にして吐き出すようにそう叫ぶと梓は再びみほたちが走っていた方に向かおうとする。 その手をアリクイさんチームのリーダーであるねこにゃーが掴む。 梓は振り払おうとするが、バレー部の過酷な練習に放り込まれた事により鍛えられたねこにゃーの手はびくともしない。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1553347133/43
44: ◆eltIyP8eDQ [saga] 2019/04/06(土) 18:23:01.27 ID:QSadOSIn0 ねこにゃー「……澤さん。それはボクたちも同じだよ。あの人から本当のことを聞かないと納得なんてできないよ」 梓「ならっ!」 必死の形相で訴えてくる梓の目をねこにゃーは厚いメガネのレンズ越しにじっとみつめる。 あえてすぐには答えず、梓の呼吸が落ち着くまでぎゅっとその手を握りしめる。 やがて、梓の息が落ち着くと微笑んで語り掛ける。 ねこにゃー「だから、ここは帰ろう?帰ってご飯食べて寝て、それでちゃんと言いたい事、聞きたい事を決めてまた話そうよ。だよね?ナカジマ先輩」 ナカジマ「うん、そういうこと」 振られたナカジマがテンポよく同調し、他の生徒達もそれに頷く。 これ以上強情を張っても仕方がない。 梓はそう理解し、ゆっくりと肩の力を抜いていく。 その様子にねこにゃーは安心したように手を離すと、入れ替わるように典子が梓の肩を叩く。 典子「さ、帰ろう。何か食べてくか?」 典子は気安く、気遣いを見せないように誘ったつもりだったが、梓はその手をそっと払うと先ほどとは逆の方へと走っていく。 あや「ちょ、待ってよ!!」 あゆみ「梓ってば!!」 優季「私疲れてるんだけどぉー!」 桂利奈「置いてかないでってばー!!」 紗希「……」 その後をウサギさんチームの面々が叫びながら追いかけていく。 小さな背中達が去って行くのをねこにゃーと典子はどこか悲しげに見送った。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1553347133/44
45: ◆eltIyP8eDQ [saga] 2019/04/06(土) 18:29:26.85 ID:QSadOSIn0 カエサル「……私たちも帰るか」 そど子「疲れたわね……」 カエサルのため息交じりの号令とそど子の同意を合図に今度こそ生徒たちは去って行った。 残されたのはカメさんチーム……生徒会の三人だった。 未だうずくまったままの桃を柚子が心配そうに見つめる。 見かねた杏が肩をかそうと手を伸ばす。 杏「ほら、河嶋」 桃「っ!!」 その手を拒絶するかのように払い除け、桃はゆらりと立ち上がり、どこか覚束ない足取りで去って行こうとする。 杏はその背中に手を伸ばすも、その手は空を掴む。 そして届かなかった背中は揺らめくようにゆっくりと、闇夜に消えていった。 柚子「……ごめんね杏。桃ちゃんも色々分からなくなってるんだと思う」 その痛ましい姿を見かねたのか、柚子は友人としての立場で、杏を気遣う。 杏「……いいんだ。河嶋が怒るのも無理ないんだから。ううん、むしろ嬉しいのかもね。河島が怒ってくれて」 柚子から見えるのは杏の小さな背中だけで、彼女がどんな表情をしているのか見えなかった。 だけど、杏が今にも泣きそうな顔で笑っている事だけはわかった。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1553347133/45
46: ◆eltIyP8eDQ [saga] 2019/04/06(土) 18:34:09.38 ID:QSadOSIn0 ここまでー 私が文章で同時に動かせる人数は3〜4人が限度ですね。 一箇所に大人数が集まってると描写しきれませんわ。 また来週です。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1553347133/46
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