【ガルパン】みほ「私は、あなたたちに救われたから」 (733レス)
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(17): ◆eltIyP8eDQ [saga] 2019/03/23(土)22:18 ID:cpswsJVq0(1/11) AAS
夕陽のような暖かさが、月明かりのような美しさが、私を私にしてくれた

雪のように白く、細い指が私の手をとってくれた

海のように深く、空のように澄んだ瞳が、私を繋ぎとめてくれた

貴女がいなくなっても、その記憶がどんどん崩れていっても、それだけは忘れられない
省21
2: ◆eltIyP8eDQ [saga] 2019/03/23(土)22:26 ID:cpswsJVq0(2/11) AAS




夕暮れはとうに過ぎ、周囲を照らすのは規則正しく立っている街灯と月明かりだけになっていた。

プラウダ高校との準決勝を終え、傷ついた戦車たちを車庫に収めた大洗女学園の戦車道チームの面々は、学校の校門前に集合していた。

準決勝は過酷だった。寒さに、プラウダの強さに、極限まで追いつめられた。

結果的に勝利できたとはいえ、その疲労は凄まじい。
省20
3: ◆eltIyP8eDQ [saga] 2019/03/23(土)22:37 ID:cpswsJVq0(3/11) AAS
そして白い髪の少女、逸見と呼ばれた少女がゆっくりと口を開く。

「……今日の試合は、私のせいで迷惑かけちゃったわね。結果的に勝てたとはいえ、ピンチを招いたのは私よ」

その口調は気が強い少女のものだった。

ここにいる誰もが何度も聞いてきた声で、話し方だった。
省16
4: ◆eltIyP8eDQ [saga] 2019/03/23(土)22:49 ID:cpswsJVq0(4/11) AAS
『こいつの名前は――――――西住みほ。黒森峰の隊長西住まほの妹にして、去年の敗戦の原因を作った元副隊長よ』

プラウダの隊長であるカチューシャがまるで死刑宣告のように告げたその名前を、梓たちは知らなかった。

そして、『逸見エリカ』という人間が既に亡くなっている事も。

当たり前のことだ、自分たちの目の前にいる人の生死を疑う様な人間はいない。
省22
5: ◆eltIyP8eDQ [saga] 2019/03/23(土)22:59 ID:cpswsJVq0(5/11) AAS




沙織「ねぇっ!!待ってってば!!」

学校を離れ、住宅街に差し掛かるあたりで、沙織たちは白い髪の少女の背中を捉える事が出来た。

しかし、必死にその背中に呼びかけ、引き留めようとするも、みほは一向に止まる気配が無い。

遠くなっていく影を繋ぎとめるため、沙織は彼女の『名前』を叫ぶ。
省18
6: 2019/03/23(土)23:00 ID:Z2W7/seEo(1) AAS
知ってたのか。知らないほうがおかしいか
7: ◆eltIyP8eDQ [saga] 2019/03/23(土)23:08 ID:cpswsJVq0(6/11) AAS
優花里は知っていた。

逸見エリカと名乗る少女が、西住みほだという事に。

あの日、逸見エリカという少女が転校してきたと聞いた時、優花里は同姓同名の別人だと思った。

優花里は見ていたから。
省12
8: ◆eltIyP8eDQ [saga] 2019/03/23(土)23:17 ID:cpswsJVq0(7/11) AAS
華「……教えてください。あなたはなぜ、そんな事をしたのですか」

泣き崩れそうな優花里を支えながら、今度は華が問いかける。

たとえ理解できないとしても、本人の口から理由を聞かなくてはいけない。

華はそう思った。
省26
9: ◆eltIyP8eDQ [saga] 2019/03/23(土)23:25 ID:cpswsJVq0(8/11) AAS
華はもう、何も言い返すことが出来ず、悲しみに目を逸らしてしまう。

先ほどまで支えていた優花里に、今度は支えられるようにその身を預けてしまう。

その様子にみほは満足げに頷くと、沙織たちの知っている『エリカ』のように優しい声を出す。

エリカ「大丈夫よ。決勝さえ勝てれば学園艦は守られるから。みんなだってそれはもう知っている。だからきっと私の事も受け入れてくれる。それで、いいのよ」
省26
10: ◆eltIyP8eDQ [saga] 2019/03/23(土)23:43 ID:cpswsJVq0(9/11) AAS
沙織「……私たちも帰ろう。それで、ちゃんと考えをまとめて、あと他のチームの人たちとも話し合って……」

沙織が今後の行動を確認も込めてみんなに伝えようとすると、沙織の後ろ、優花里と華の更に後ろから小さな影が出てくる。

優花里「麻子殿……?」

のそりと、まるで足を引きずるかのようにゆっくりと麻子は歩く。
省22
11: ◆eltIyP8eDQ [saga] 2019/03/23(土)23:46 ID:cpswsJVq0(10/11) AAS
必死で声を押し殺し、それでも堪えきれない泣き声が漏れ出してくる。

その肩を沙織が抱きすくめようと手をのばすと、麻子が首を振ってそれを拒絶する。

麻子「なのに私は、わからないんだ。沙織、私は……西住さんに何をしてあげればいいのか、わからないんだ……」

沙織は知っている、麻子は不愛想なように見えて、誰よりも情に厚い子なのだと。
省27
12: ◆eltIyP8eDQ [saga] 2019/03/23(土)23:49 ID:cpswsJVq0(11/11) AAS
今日はここまで。
さぁ新スレ開始です。また来週、と言いたい所なんですが…
すみません、仕事の都合でちょっと来週の投稿が難しいかもしれません。

幸先悪くて申し訳ありませんが、一応続きは再来週ということでお願いします。
13: 2019/03/23(土)23:52 ID:rQNox2pLo(1) AAS
乙です
雨降って地崩れしてから固く固まると信じて!
14: 2019/03/24(日)00:03 ID:dxvpAy+g0(1) AAS
おつおつ
言われてみれば優花里は知ってて当然だよね
15: 2019/03/24(日)00:09 ID:Y0VT+zDu0(1) AAS

おばぁの一件、姉妹にどんな逡巡があったのか察するに余りあるな
16: 2019/03/24(日)00:23 ID:rMsen74j0(1) AAS
乙乙
17: 2019/03/24(日)00:38 ID:ds1bDs1Fo(1) AAS
おつー
18: 2019/03/24(日)00:54 ID:oIZJVe410(1) AAS
長かった二週間だった!
続編ありがとうございます!
はてさてこれからどうなるやら楽しみで仕方ない
19: 2019/03/24(日)00:57 ID:suBUSAKDO携(1) AAS
タイトルからして期待しかない、乙です
20: 2019/03/24(日)02:32 ID:cgXr2spQ0(1) AAS
過去作から飛んできた
楽しみです
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