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男「恋愛アンチなのに異世界でチートな魅了スキルを授かった件」 2スレ目 (1002レス)
男「恋愛アンチなのに異世界でチートな魅了スキルを授かった件」 2スレ目 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1549367188/
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496: ◆YySYGxxFkU [saga] 2019/04/23(火) 23:30:27.80 ID:Tyn5Y4290 乙、ありがとうございます。 >>494 完全に夫婦漫才ですよねー。 投下します。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1549367188/496
497: ◆YySYGxxFkU [saga] 2019/04/23(火) 23:30:53.69 ID:Tyn5Y4290 女(翌日) 女(私は女友と一緒に中心街に繰り出していた。例によって男君は宿屋で留守番している) 女(目的は魅了スキルの使用予定であるパレードについての詳細情報だった) 女(当日どのような行程で進むのか、御輿はどのようなルートを進むのか、姫様はその際どのような感じなのかなど、必要な情報は既に手に入った) 女(現在はとある事情により古びた本棚が並ぶ中を歩き回っているところだった) 女「男君が好きそうな本は…………こっちかな」 女友「分かるんですか?」 女「うん。男君とよく読書談義するし。男君って本のことになると饒舌になるんだよ」 女「で、そうやって話している内に大体の趣向も分かってきてね」 女友「胃袋じゃなくて、本棚を掴む系女子ですか。斬新ですね」 女「……あっ、でもこれの方がさらに喜んでくれるかも………………ん、女友何か言った?」 女友「いえ、何も」 女(そうかな、何か言ってた気がするけど…………あ、この本もいいかも) http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1549367188/497
498: ◆YySYGxxFkU [saga] 2019/04/23(火) 23:31:25.51 ID:Tyn5Y4290 おばあさん「どうかい、あの人のコレクションは」 女(この家の主、おばあさんのしわがれた声が響く) 女「もうすごいですよ、これだけの数!」 おばあさん「そうかい、そうかい。いやはや私には価値が分からなくてね」 おばあさん「家のスペースを占有するし、本棚の重みで床板が軋むしで処分しようと思っていたけれど……まあお嬢ちゃんの喜ぶ姿が見れたなら取っておいたかいがあるかねえ」 女(おばあさんと私たちの出会いはつい先ほどのこと。情報収集も一区切りしたところで、ひったくりの現場に遭遇したのだ) 女(私はすぐに『竜の翼(ドラゴンウィング)』でひったくり犯に追いつき荷物を取り返して、持ち主だったおばあさんに返した) 女(するととても感謝されてお礼をしたいということで、お婆さんが一人暮らししているこの家に招かれた) 女(そしてお茶をいただいているときに本棚に目が付いた私が尋ねると) おばあさん『主人が趣味で集めていたものでねえ……でも先立たれてからは邪魔で邪魔で。気になるなら何冊でも持って行っていい』 女(と言われて見ていたところである) 女「処分だなんてもったいないです! こっちで全部引き取りたいくらいで……」 女友「そんなことしたら旅の邪魔になるでしょう、ほら厳選進めてください」 女「はーい」 女(女友に怒られる。私はどうにか五冊に絞ったところでお茶に戻った) http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1549367188/498
499: ◆YySYGxxFkU [saga] 2019/04/23(火) 23:32:20.81 ID:Tyn5Y4290 おばあさん「しかしあなたたちぐらいの年頃の娘を見ると姫様を思い出すわねえ」 女(おばあさんが昔を懐かしみながら口を開く。……って) 女友「姫様を知っているんですか?」 おばあさん「ええ、昔は親交があってねえ。あの子が小さい頃も知っているよ」 おばあさん「おばあさん、おばあさんって駆け寄ってくる姿は今も鮮明に思い描けるくらいで」 おばあさん「でもあの子が当代となってからは関わりも無くなってねえ」 おばあさん「……頑張っているのは聞くけど、大丈夫かしら。無理してないといいんだけど」 女(おばあさんは純粋に姫様を心配している様子だった) 女(その姿は意外だった、今までこの都市では姫様を絶賛するか、文句を言うかの反応しかなかったから) おばあさん「今度のパレードはもちろん見に行かないとねえ。一目でもあの子の姿を見るために」 女「ええ、そうですね」 女(何と返していいか分からなくなった私は曖昧に肯定した) http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1549367188/499
500: ◆YySYGxxFkU [saga] 2019/04/23(火) 23:33:01.77 ID:Tyn5Y4290 女(その後もしばらく話が盛り上がった後、私たちはおばあさん宅を後にした。本をもらったお礼の言葉はもちろん伝えた) 女(もう夕方になっているので進路は宿屋だ。その途中で私はポツリと語り出す) 女「私さ、ずっと姫様のことを根っからの悪人だと思ってた」 女友「そうですね、私もそう思っていました」 女「でもおばあさんの語りだと普通の女の子のようで……どっちが真実なのかな」 女友「どっちも真実ということでしょう。昔は普通の女の子で、権力を持った今はわがままな独裁者となった……それだけだと思います」 女「そんなに変わるのかな?」 女友「ええ、お金もそうですが、権力はそれ以上の魔物です。人を変えるなんて訳ないですよ」 女(さらりと言いのける女友。そういえば女友の家って政治家とも懇意にしているとか聞いたっけ) http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1549367188/500
501: ◆YySYGxxFkU [saga] 2019/04/23(火) 23:33:34.36 ID:Tyn5Y4290 女「怖いなあ権力って。そのせいで普通の女の子だった姫様も今のようになって…………いや、そもそも」 女友「どうかしましたか」 女「どうして普通の女の子だった姫様がそんな権力を持つことになったの?」 女友「今さら気になったんですか?」 女「いや、よく考えてみるとおかしいんだけど、ほら何か疑問に思うタイミングを逃すことってあるじゃん」 女友「まあ分かりますけど」 女「ねえ、女友は何か知っているの?」 女友「古参商会から聞いた独裁都市の基本情報にありましたから」 女「じゃあ教えて」 女友「……。逆に質問しますが、姫様はどうやって権力を持ったんだと思いますか?」 女(女友はすました顔でそんなことを聞いてくる) http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1549367188/501
502: ◆YySYGxxFkU [saga] 2019/04/23(火) 23:34:21.51 ID:Tyn5Y4290 女「えー、逆に? ……うーんと、まず日本の総理大臣みたいに選挙ってことは無いはずだよね。普通の女の子が選ばれるとは思えないし」 女友「その通りですね」 女「じゃあ……他に考えられるのは世襲制とか? 姫様は代々この地を治める王様の家系だとか」 女友「半分は正解です。店員さんが言っていた『二年前』おばあさんの言ってたとおり姫様が『当代』となってこの地を治める権力を引き継いだのです」 女「やっぱり……あれ、でも半分って?」 女友「王様、という部分が間違いです。姫様の家系は王ではなく、別の物なのですが……」 女「別の……?」 女友「今教えられるのはここまでです」 女(唐突に口を噤む女友) http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1549367188/502
503: ◆YySYGxxFkU [saga] 2019/04/23(火) 23:35:01.74 ID:Tyn5Y4290 女「えーっ!? どういうこと、気になるじゃん!」 女友「情報漏洩を恐れてです。女は口が緩いですからね、女を経由して男さんに伝わることを阻止するためにもそもそも教えないことにします」 女「それは……確かに昨夜も口を滑らせたけど……でも姫様が何の家系なのかが、男君が魅力的に思うか変わるようなものなの?」 女友「いえ、正直関わらないと思いますが……男さんの基準が正直分からないんですよ」 女友「武闘大会でもあの魔族に魅了スキルをかけようとして、元がおばあさんの姿だったからって理由でかけられなかったでしょう?」 女「あーそういえば……何か力説してたけど、正直私も分からなかったし」 女友「ですからなるべく男さんに余計な情報を与えないようにしているんです」 女友「今日掴んだ、姫様が普通の女の子だったってことも話してはいけませんよ」 女「普通に好感度が上がりそうな情報だけど」 女友「分かりませんよ。元は普通の少女だったのに、今はあんなに狂ってしまってこの恩知らずめ……みたいに思うかもしれませんし」 女(男君はそんなに狭量じゃないと思うけど……今現在魅力的に思っているのに不確定要素を追加する必要もないか) 女(魅了スキルは今回宝玉を手に入れるための重要なファクターとなっている) 女(不調を起こしたら作戦が全部パーになる、それは避けたい) http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1549367188/503
504: ◆YySYGxxFkU [saga] 2019/04/23(火) 23:35:32.65 ID:Tyn5Y4290 女「でも……使命のためだからしょうがないけど、男君はあの姫様を魅力的に思っていて、魅了スキルをかけるんだよね」 女友「何を今さら言ってるんですか? まさか止めて欲しいとでも?」 女「男君がツンデレが好きだってのは誤解だったけど、それでもあんなに綺麗な人に好かれたらどうなるか分からないじゃん!」 女「この都市をどうにでも出来る権力も持ってるってことは見方を変えたら逆・玉の輿だし」 女「もしかしたら男君もコロッとその気になって『俺たちの旅はここまでだ、俺はここで姫様と共に生きる』とか言い出したら……」 女友「そうなる前に全部打ち明けて告白したらどうですか?」 女「うっ……それは……」 女(痛いところを突かれる) 女(でもそうかもしれない。別に彼女でもないのに、男君と誰かが付き合うことに文句を言うのは筋違いだ) 女(だったら私は……) http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1549367188/504
505: ◆YySYGxxFkU [saga] 2019/04/23(火) 23:36:05.38 ID:Tyn5Y4290 女友「イジワル言いました。告白はまだ止めてください、男さんのトラウマをイタズラに刺激するだけの結果になるでしょうし」 女(女友が発言を撤回する) 女「でも……姫様が……」 女友「大丈夫ですよ、それくらいで男さんが姫様に靡くようなら、既に女に落ちているはずです」 女友「一応女は清楚な美少女だというのに、そのアタックも受け流しているような人ですし」 女友「……まあ、親友評としてはポンコツヘタレなのですが」 女「誉めるのか貶すのかどっちかにしてよー」 女(何ともな評価だ) 女友「こう言うと調子に乗りそうなので黙っていましたが、現状女と男さんの仲は良好です」 女「ほんとっ!?」 女友「ええ、男さんからのガードが緩くなっているというか。以前なら無意識に手を握ったり、どんな理由があろうと抱きしめたりはしなかったでしょうし」 女「い、言われてみればそうだけど……でもどうしてそんな風に変わったの?」 女友「雨垂れ石を穿つ、といったところでしょうか」 女「……?」 女友「慣用句です。固い石でも雨粒が何回も打てば穴をあけることがあるというように、男さんの頑なな態度に女がめげずにアタックを続けた結果少しは気を許し始めた……ということじゃないでしょうか?」 女「色々頑張った効果があったってこと?」 女友「理性で好意を弾くことは出来ても、本能は難しいですからね。女の好意が男さんを浸食し始めたのでしょう」 女「表現が酷いけど……そっか」 女(最近男君との関係が良くなってきたとは思ってたけど、第三者、女友に認めてもらうと自信が沸く) 女(よし、この調子でそのまま男君の彼女に……) http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1549367188/505
506: ◆YySYGxxFkU [saga] 2019/04/23(火) 23:36:37.73 ID:Tyn5Y4290 女友「はぁ……調子に乗ってますね。だから言いたくなかったんですが……」 女「ご、ごめん……」 女友「だからこそトラウマを刺激するのは止めて欲しいんです」 女友「精神的外傷から身を守るのは本能ですからね、男さんと付き合うためにいつかは乗り越えないといけない壁ですが、だからこそ中途半端に刺激するのは良くないです」 女「分かってる、男君と信頼関係を結んでからってことだよね」 女友「その通りですが…………もしかして考えてたんですか?」 女「私だって学ぶんだよ」 女(武闘大会決勝の後、男君に抱きしめられながら思ったことだ) 女(現状、私は男君に魅了スキルがかかっていると騙している。騙したのは私が悪いけど、だからって今真実を明かすのは私が楽になるだけだ) 女(いつ明かしても傷つけるだろう。それでもそのときに傷を癒せるような立場に……男君に信頼してもらうようになる) 女(ズルいと非難されようが、私はそうすると決めた) http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1549367188/506
507: ◆YySYGxxFkU [saga] 2019/04/23(火) 23:37:21.26 ID:Tyn5Y4290 女友「……なら私から言うことはありません。男さんだけでなく女も成長したんですね」 女「まあね」 女友「あとは事故が起きなければいいんですが」 女「え、ちょっと、そういうこと言うの止めてよー」 女友「だってそうじゃないですか。この旅が始まって以来想定した通りに物事が進んだ方が少ないですよ」 女友「ドラゴンは討伐から捕獲に、ただの交渉がスパイ当てに、婚約指輪から結婚詐欺に、優勝間違い無しが準優勝に」 女「言われてみるとそうかも……」 女友「女の恋路だけでなく、姫様に魅了スキルをかけるのも普通に成功して欲しいものですね」 女(万感を込めて女友が呟いた) http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1549367188/507
508: ◆YySYGxxFkU [saga] 2019/04/23(火) 23:37:50.34 ID:Tyn5Y4290 続く。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1549367188/508
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