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男「恋愛アンチなのに異世界でチートな魅了スキルを授かった件」 2スレ目 (1002レス)
男「恋愛アンチなのに異世界でチートな魅了スキルを授かった件」 2スレ目 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1549367188/
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434: ◆YySYGxxFkU [saga] 2019/04/15(月) 12:19:43.01 ID:bY2SeEvr0 男(俺たち三人は馬車に揺られて次なる宝玉が待つ地、独裁都市なる場所へと向かっていた) 男「異世界にもこんなところがあるんだな……」 男(車中ですることがなく暇な俺はぼーっと外を見ていたのだが、先ほどから景色が全く変わらない) 男(見渡す限り畑が広がっていて、どうやらこの辺りは農耕地帯のようだ) 女「私たちが最初に訪れた最初の村でも農耕が営まれていたけど……ここはそれ以上の規模だね」 男(同じく外を見ていた女もうなずく) 男(快晴の昼下がり、畑では農作業に精を出す人がちらほらといた。珍しそうにこちらを見ている人もいる) 男(女友が出発前に言っていたが独裁都市に向かう馬車の定期便は存在しないらしい) 男(そのため俺たちを支援している古参商会がわざわざ馬車を出してくれたという話だった) 男(そのため乗っている客は俺たち三人だけである。そういう背景もあってこの辺りを通る馬車が珍しいのだろう) http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1549367188/434
435: ◆YySYGxxFkU [saga] 2019/04/15(月) 12:23:10.88 ID:bY2SeEvr0 女友「独裁都市のメイン産業が農業だとは聞いてましたが……ここまでの規模だったんですね」 男「え……じゃあもしかして、もう領内なのか?」 女友「そう把握しています。この一帯は独裁都市の管轄のはずです」 男「『都市』って感じじゃないな」 女友「気持ちは分かりますが、東京都にだって畑が広がっている地域はあるんですよ」 男「あー……まあ言われてみればそうか」 女友「私たちが目的とする独裁都市の中心街まではもう少しかかるようですね」 男「へいへい、おとなしく待ってますよ」 男(俺は改めて外を見る) 男(変わらず農作業に励む人たち。独裁都市に住む人たち) 男(さっきは目を逸らしていたが…………その人々の顔に生気が無かったり、手足がガリガリで痩せこけていたり、身に纏う服がボロボロなのは普通のことではない) 男「これで……まだ序の口なんだろうな」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1549367188/435
436: ◆YySYGxxFkU [saga] 2019/04/15(月) 12:26:23.71 ID:bY2SeEvr0 男(しばらくして時刻も夕方になった頃、馬車が止まった。目的地にたどり着いたようだ) 男(俺たちは独裁都市の中心街に降り立つ。規模としては前にいた武闘大会が行われた町とそう変わらず大きな方だ) 男(しかしその雰囲気は真逆だった) 男(武闘大会に沸いて活気溢れていたのと反対に、この地は人通りが少なく閑散としている) 男(その理由の一端が夕食を取るために立ち寄った店で明らかとなった) 男「パ、パン一つで……この値段だと……?」 男(出てきたパンを手に持ち一周、二周、三周と見回す) 男(異世界の生活にも慣れてきて、物価の大体の基準も分かってきたが故の驚きだった) 男(他の町よりただのパンが二倍……いや、三倍の値段で提供されている) 女「武闘大会の賞金も入ったからお金には困ってないけど……」 男「それはありがたいが……え、もしかしてここすごい高級店なのか? パンにフォアグラでも練られているのか?」 女友「違いますね、普通のパンです。二人とも察していると思いますが、独裁都市という地の問題です」 男(俺たちは他の客に聞かれないように小声で話す) http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1549367188/436
437: ◆YySYGxxFkU [saga] 2019/04/15(月) 12:27:17.57 ID:bY2SeEvr0 女「独裁都市の……」 男「何者かに支配された地がユートピアであったことなんて無いしな……つまりは税の取り立てがヤバいってことでいいのか?」 女友「はい。それはもう法外な割合ですよ」 女「そっか……じゃあパンもこの値段で売らないと、店の人がやっていけないってことなんだね」 男「酷い場所だな。そりゃ活気もなくなるわ」 女友「以前は古参商会もこの地に支部を置いて商売を営んでいたようですが、流石にやっていけないということで現在は撤退しているみたいですね」 男(そういうわけでとんでもない物価となっているが、腹が減っているのはどうしようもない問題だ) 男(店員に注文を伝えた後パンをひとかじりする。普通の味だ) http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1549367188/437
438: ◆YySYGxxFkU [saga] 2019/04/15(月) 12:27:53.20 ID:bY2SeEvr0 男「…………」 男(税か……一人で生きていくならともかく、人が社会で生活する以上必要なシステムだと個人的に思う) 男(町の整備や治安維持などを個人でやっても限界がある。特にこの世界では人を襲う魔物という存在もいるわけだ) 男(どこかで集約して、まとめて当たる方が効率的だ) 男(しかし、必要以上に取り立てていいはずがない) 男(畑で脳作業していた人たちのみすぼらしい姿やこの店のパンの値段から、どう考えても行き過ぎた税の徴収が行われているのは明らかである) 男(どうしてこんなことが出来るのか。どうしてこんなことをしているのか) 男「この地を治める独裁者とやらはどんなやつなんだ……」 男(と、そのとき) http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1549367188/438
439: ◆YySYGxxFkU [saga] 2019/04/15(月) 12:28:27.53 ID:bY2SeEvr0 少女「今日の夕食はここにするぞ!」 男(店の入り口からそんな声がした) 男(思わずそちらを見ると高貴な装いを身につけた少女がそこにいる) 男(服に負けない美貌と合わさって一つの芸術品のような少女だ) 男(まるで別世界の住人のような……いや、ここ異世界なんだけど) 男(それでも群を抜いて異質というか、シンデレラの世界から出てきたと言っても信じられそうなファンタジー的存在だ) 男(俺たちと同じくらいの年なのにどんな環境で育てばこうなるのだろうか) 女性「……」 男(少女の脇には直立姿勢で剣呑な雰囲気を発した女性が控えている) 男(周囲を警戒していることから、少女を警護しているのだろう) http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1549367188/439
440: ◆YySYGxxFkU [saga] 2019/04/15(月) 12:31:57.37 ID:bY2SeEvr0 女「男君?」 男(少女に見とれているとジトーッとした声が耳に入る) 男「……どうした、女」 女「どうした、じゃないでしょ。あの女の子をじーっと見つめておいて」 男「いや、それは……」 男(責められるいわれは無いはずなのに、女からのプレッシャーによってしどろもどろになってしまう) 男(どう弁明するか、と考えていると) 女友「あの人は……どうしてこのような場所に……」 男(女友が真面目な顔をして思案しているのが気になった。いつもなら嬉気としていじるところなのに) http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1549367188/440
441: ◆YySYGxxFkU [saga] 2019/04/15(月) 12:32:41.02 ID:bY2SeEvr0 男性「姫様!」 男(入り口の方でさらに動きがあり、少女を追うようにして一人の男性が店に入ってきた) 男(30代くらいでくたびれた雰囲気を背負っている) 少女→姫 「遅いぞ。さっさと手配をせんか」 男(倍ほど年の差がある男性相手に、尊大な態度で命令する少女) 男性「しかしかような場所でなくとも……帰れば夕食の準備はしてありますが……」 姫「くどいぞ。余がここにすると言った、それに従うのがおまえの役目だ」 男性「わ、分かりました」 男(少女にペコペコとへりくだる男性。その後店の奥へと入っていって姿が見えなくなる) http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1549367188/441
442: ◆YySYGxxFkU [saga] 2019/04/15(月) 12:33:48.88 ID:bY2SeEvr0 男「何だあいつら……」 男(どんな関係なんだと気になった俺が、ボソッとこぼしたそのときだった) 女性「……」 男(ギロリと、少女の側につく女性の視線が俺を射抜いた。その圧に押された俺は慌てて目を逸らす) 男(怖っ! 結構離れているのに聞こえたのかよ!?) 女友「男さん、刺激しないでください」 男「いや、まさか聞こえるとは思わなくてな……」 女友「それとこの店を出る準備をした方が良さそうです」 男「え? でもさっき注文した品もまだ出てきてないぞ」 女友「分かっています。ですが彼女が来た以上、私たちはここを追い出されるでしょう」 男「追い出される……?」 男(首を捻っていると店の奥から店員が出てくる。客を一人一人回って何かを話している。その流れで俺たちのところにもやってきた) http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1549367188/442
443: ◆YySYGxxFkU [saga] 2019/04/15(月) 12:37:54.40 ID:bY2SeEvr0 店員「お客様申し訳ありません」 店員「当店は現在より姫様の貸し切りとなるため退店お願いできますでしょうか?」 店員「お代の方は結構ですので」 男「は……んぐっ」 男(『はあ? そんな要求あるか』と俺は言い掛けて、女友に口をふさがれる) 女友「分かりました、ですが食べた分のお代は払います」 店員「……ありがとうございます」 男(深々と礼をした店員は次の客に事情を説明に向かった) 女友「男さん」 男「ああ……納得はしてないが、状況は理解できた。大人しくする」 女友「そうしてもらえると幸いです。女も分かっていますね」 女「……うん」 男(理不尽を前に女も怒りを覚えているようだが、それを抑えていた) http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1549367188/443
444: ◆YySYGxxFkU [saga] 2019/04/15(月) 12:38:26.33 ID:bY2SeEvr0 男(こうして俺たちはまだ腹も満たっていないがその飯屋を後にする) 男(最後、店を出る直前にその尊大な態度の少女をもう一度振り返って見たが) 姫「よいよい、余が下々の者に見られながら食事するなどあり得んからな」 店長「もちろんでございます!!」 姫「にしても料理はまだか、余を待たせるとはいい度胸じゃな?」 店長「はっ! もう少しだけお待ちください、姫様!!」 男(呼び出した従業員――他とは服装が違うので店長だろうか――をいびっている姿があった) 男(店の外に出ると入り口横で二人の男性が直立不動で警戒している姿があった) 男(姫と呼ばれる少女の側に仕えていた女性と同じ服装なのでそういう立場のものということだろう) 男(入り口の二人だけでなく店の周囲にかなりの数が立っている) 男(威圧するような雰囲気はとても居心地が悪く、その店から大きく離れてから俺たちは一息吐いた) http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1549367188/444
445: ◆YySYGxxFkU [saga] 2019/04/15(月) 12:40:05.47 ID:bY2SeEvr0 男「はぁ……ったく、何だったんだ」 男(いきなり店に来てそこにいた客を全て追い出して貸し切るとか、ワガママにもほどがある振る舞いである) 女「女友は何か知ってるの?」 女友「まあ古参商会から一通りこの都市の情報については聞いているので」 女友「まず、あの剣呑な雰囲気を放っていた人たちは近衛兵団でしょうね」 男(近衛っていうと……あれか、偉い人を守る専門の役職だったか) 女友「そしてペコペコとしていた男性が……まあ言うなればこの独裁都市のNo.2だと思います」 女「じゃあそんな偉い人にも命令していたあの少女が……」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1549367188/445
446: ◆YySYGxxFkU [saga] 2019/04/15(月) 12:40:40.74 ID:bY2SeEvr0 女友「ええ。この都市における権力の頂点に立つ独裁者。少女姫――彼女の言葉はこの都市では絶対の法です」 女友「そして古参商会の調査によると、宝玉を持っているのも彼女のようですね」 男「また面倒そうな案件だが…………宝玉の持ち主が女性だっていうなら……」 男(武闘大会では終ぞ役目が無かったが……どうやら今回は俺の魅了スキルの出番のようだ) http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1549367188/446
447: ◆YySYGxxFkU [saga] 2019/04/15(月) 12:41:54.24 ID:bY2SeEvr0 続く。 今章も隔日更新で行く予定です。ではまた明後日。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1549367188/447
448: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage] 2019/04/15(月) 15:43:50.58 ID:Hz2Kt51F0 乙! 新章待ってたぜ! http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1549367188/448
449: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga] 2019/04/15(月) 23:48:06.83 ID:vklSU6UyO 乙ー http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1549367188/449
450: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage] 2019/04/16(火) 02:04:51.76 ID:tme6cSjw0 乙 また日々の楽しみが http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1549367188/450
451: ◆YySYGxxFkU [saga] 2019/04/17(水) 21:25:10.87 ID:k+hIoSdJ0 乙、ありがとうございます。 >>450 皆さんに読んでもらえるのが私の日々の楽しみです。 投下します。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1549367188/451
452: ◆YySYGxxFkU [saga] 2019/04/17(水) 21:25:45.72 ID:k+hIoSdJ0 男(その後俺たちは結局パンしか食べ物ありつけていないので、場所を変えて夕食を取った) 男(そこも同じく他の町の三倍ほどする値段だったため、腹は満たったがどうにも気分は満たらなかった) 女友「さて、今晩泊まる宿屋を探さないとですね」 男(通りを歩きながら女友が口を開く) 男「そこも三倍の値段するんだろ?」 女友「でしょうね。飲食業も宿泊業も税の取り立ては一律みたいですし」 男「うへぇ……じゃあせめて安い宿にしようぜ」 女「男君、お金ならあるよ」 男「そういう問題じゃない、気分の問題だ」 男(我ながら貧乏くさい感覚かもしれないが……いやでも三倍だぞ) 男(元の世界で置き換えると、コンビニで普通のおにぎりが300円で売っているってことだろ?) 男(それを普通に食えるか? 俺には無理だ) http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1549367188/452
453: ◆YySYGxxFkU [saga] 2019/04/17(水) 21:26:35.33 ID:k+hIoSdJ0 女友「男さんの気分を害するかもしれませんが、宿はこの都市でも最上級のところを取ろうと思います」 男「え?」 女友「このような問題があるからです」 男(女友は俺に話しかけながら正面を向いている) 男(そこには三人の男が立っていた。汚い身なりでそれぞれの手に武器を持ち、ニヤニヤとしながら俺たちを見ている) チンピラA「よう、兄ちゃん。良さそうな女を連れてるじゃねえか? 俺たちに貸してくれよ、なあ?」 チンピラB「そうそう持ってる金も全部出せよ、じゃないとサンドバッグだぜ?」 チンピラC「出してもサンドバッグだがな。ぎゃははっ!!」 男「…………」 男(どうやら俺は脅迫されているらしい。三人のチンピラの内、リーダー格っぽい人が俺の肩に手を置こうとして) 女「汚い手で男君に触らないで」 チンピラA「はあ? 何だ、この女。イキガりやがって……いててててっ!?」 男(寸前で女が腕を掴み、力を込めるとチンピラは喚きだした) http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1549367188/453
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