屍男「おい、そこのロクでなし」吸血娘「なんだ髪なし」 (424レス)
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362: ◆gqUZq6saY8cj [saga] 2019/04/14(日)04:45 ID:PylgOG9Ko(1/33) AAS
吸血娘「お前を殺さない。これが、私の答えだ」

屍男「…………」

屍男「……は?」
363: ◆gqUZq6saY8cj [saga] 2019/04/14(日)04:46 ID:PylgOG9Ko(2/33) AAS
屍男「どういうことだ。今更、何を世迷言を……頭がおかしくなったのか?」

屍男「俺はお前の父を殺したんだぞ。父に対するお前の想いはその程度のものだったのか」

吸血娘「……」

吸血娘「正直なところ、私はパパとはあまり仲が良くなかった。でも、悪いことばっかじゃなかった。いい思い出もあるっちゃあるし、今思い返してみると、それは愛情の裏返しだったんじゃないかなって思う」

吸血娘「あの人も自分の感情はあまり言葉に出さない方だったし、多分、自分の子供との関係性ってのが分からなかったんじゃないかなって……そう感じるようになったんだ」
省4
364: ◆gqUZq6saY8cj [saga] 2019/04/14(日)04:47 ID:PylgOG9Ko(3/33) AAS
屍男「……」

吸血娘「こっちはとっくに気付いてんだよ。戦ってる最中は必死で分からなかったけど、明らかに不自然な点があった」

吸血娘「まず、私の霧化を封じたあのガス兵器。お前が言ってたことを真に受けると、あれを食らったのにまだ一部でも霧化が出来たのは明らかにおかしい」

吸血娘「調整しただろ。全身の霧化は出来なくても、戦闘が可能なレベルで霧化が可能なように」

吸血娘「腹パンされた時もそうだ。本気を出せば、風穴を開けるくらいは簡単に出来たはず」
省2
365: ◆gqUZq6saY8cj [saga] 2019/04/14(日)04:48 ID:PylgOG9Ko(4/33) AAS
吸血娘「次に、戦闘中に無駄に私を煽るような言動をしていたこと」

吸血娘「おかしいだろ。なんで殺し合いの最中に語りかけてきたんだ?口を動かす前に手を動かせよ」

吸血娘「私を怒らせて、冷静な判断力を奪うって戦術も考えられるけど、それにしては丁寧過ぎる。自分の手をペラペラと喋って、まるで思考する猶予を与えているような……そんな印象だった」

屍男「…...」

吸血娘「そして、決定的なのが……時間だ」
省4
366: ◆gqUZq6saY8cj [saga] 2019/04/14(日)04:50 ID:PylgOG9Ko(5/33) AAS
吸血娘「最強の狩人のShadowの強さは肉体的なものじゃない。その判断力、精神力から来るものだ」

吸血娘「経験から、まずは自分の弱点を補うことを考えてもおかしくない。いや、それが普通だ。だって、今まで幾百、幾千と殺してきた怪物になったんだからな」

吸血娘「その特性を知り尽くしているはずだ。ならまずはその長所を生かし、短所を消滅させる戦いをするはず」

吸血娘「なのにお前は……その弱点に気付かないフリをしていたんじゃないか。怪物の力である怪力も使ってこなかった」

吸血娘「これが手加減じゃなくてなんだって言うんだよ。舐めてんのかお前」
省4
367: ◆gqUZq6saY8cj [saga] 2019/04/14(日)04:51 ID:PylgOG9Ko(6/33) AAS
屍男「……」

魔女(……やっぱりね)

吸血娘「何とか言えよ。図星で声も出ないのか」

屍男「……」

屍男「……それが、何だと言うんだ」
省5
368: ◆gqUZq6saY8cj [saga] 2019/04/14(日)04:52 ID:PylgOG9Ko(7/33) AAS
魔女「ゾンビくん!!」

吸血娘「っ……!!」ズキッ

屍男「確かに、俺はお前に殺されるように仕向けた。だが、それでお前が復讐を止める道理はない」ググッ

吸血娘「こ、このっ……!はなっ……!!」グッ

屍男「俺も、当ててやろうか。お前の本心を」
省6
369: ◆gqUZq6saY8cj [saga] 2019/04/14(日)04:53 ID:PylgOG9Ko(8/33) AAS
吸血娘「……」

吸血娘「……もういい。こうなったら私も自分の本心を全て話す」

屍男「本心だと?」

吸血娘「確かに、お前の言う通りだ。私はお前に情を抱いている」

吸血娘「死んだパパに、お前を重ねているんだよ。いつの間にか……お前のことを、親みたいに思っていた。もし、パパと仲良くなっていたら、こんな関係だったのかなって」
省2
370: ◆gqUZq6saY8cj [saga] 2019/04/14(日)04:55 ID:PylgOG9Ko(9/33) AAS
吸血娘「でも、私はお前を許さない。パパを殺したことには変わらない、お前は私の仇だ。絶対に復讐はする。そう思っていた」

吸血娘「……お前は死を望んでいる。そして私の目標は殺すこと」

吸血娘「相手が望んでいることを実行するのは、本当に復讐なのか?それは違うだろ……これが私の出した結論だ。お前を殺すことは復讐になりはしない」

屍男「……では、どうするつもりだ。俺を一生拷問にでもかけて生き地獄を味合わせて苦しめるか?」

吸血娘「……」
省1
371: ◆gqUZq6saY8cj [saga] 2019/04/14(日)04:56 ID:PylgOG9Ko(10/33) AAS
吸血娘「ハゲ、お前はずっと……私の側にいろ。そして、私を一人にするな。これがお前に出来る唯一の贖罪だ」

屍男「……!」

屍男「それが、俺に対する復讐だと?」

吸血娘「そうだ」

吸血娘「……多分、私とお前は似てるんだ。運命に従った結果が今のお前だ」
省3
372: ◆gqUZq6saY8cj [saga] 2019/04/14(日)04:57 ID:PylgOG9Ko(11/33) AAS
屍男「……」

屍男「……理解出来ない。今までの生活を続けることが復讐だとでも言うのか」

屍男「そんなこと……俺は認めん……」

吸血娘「認める認めないの問題じゃねえだろ。本質的に、お前は誰かに裁いてもらいたかったんだよ」

吸血娘「だから、私がお前を裁いてやるって言ってんだ。これが私の……復讐だ」
省3
373: ◆gqUZq6saY8cj [saga] 2019/04/14(日)04:58 ID:PylgOG9Ko(12/33) AAS
『――生きて』
374: ◆gqUZq6saY8cj [saga] 2019/04/14(日)05:00 ID:PylgOG9Ko(13/33) AAS
屍男(……俺が死ねば、全てが許されると思っていた)

屍男(だが、そうではない。生きることが、俺が犯した罪を清算することだと言うなら……俺は……)

屍男「…………」

屍男(やはり、お前には敵わないな。もう少しだけ待ってくれ)

屍男(あと少し……俺は生きることにする。“Shadow”としての罪を裁かれる為にこの命が蘇ったというのなら、お前が生きろと言うのにも理由はあるのだろう)
省1
375: ◆gqUZq6saY8cj [saga] 2019/04/14(日)05:01 ID:PylgOG9Ko(14/33) AAS
屍男「……一つだけ、訂正しておきたいところがある」

屍男「お前は俺が手加減したと言っていたが、そうというわけではない」

屍男「俺はあくまでお前の父を殺した当時の、人間としての能力で戦ったつもりだ。だから、物質を霧化することで放った最後の銃弾……あれは間違いなく、俺の想定を超えたものだった」

屍男「あの一瞬、お前は確かに父を超えた。誇りに思え。ヴァンパイアという種の中での最強は間違いなくお前だ」

吸血娘「……!」ドキッ
省3
376: ◆gqUZq6saY8cj [saga] 2019/04/14(日)05:02 ID:PylgOG9Ko(15/33) AAS
屍男「いつか、自分の決断を後悔するかもしれないぞ」

吸血娘「アホか。私はんなことで後悔なんて絶対しねえよ」

吸血娘「お前もそうだろ?それが正しいと信じて、その行いを悔いたことなんてあったか?」

屍男「……」

屍男「……そう、だな。間違いない」
省6
377: ◆gqUZq6saY8cj [saga] 2019/04/14(日)05:04 ID:PylgOG9Ko(16/33) AAS
吸血娘「約束は守れよ。また死ぬまで私の側から離れるな。勝手に死んだら地獄の果てまで追い回してやる」

屍男「……あぁ、分かっている」

魔女「はい!これで二人とも仲直りね!いやぁ〜感動したわぁ〜」シクシク

吸血娘「」ビクッ

吸血娘「な……お、お前まだいたのかよ。すっかり忘れてたわ」
省4
378: ◆gqUZq6saY8cj [saga] 2019/04/14(日)05:05 ID:PylgOG9Ko(17/33) AAS
魔女「あ、そうだ。ゾンビくん」ゴソゴソ

魔女「これ、ゾンビくんが気を失ってた時に、家まで運ぶのを手伝ったんだけど、その時にかかった料金の請求書ね♪」スッ

屍男「……なんだ、この法外な額は」

吸血娘「え、いくら?……ハァッ!?」

魔女「仕方ないじゃない。あんなところまで車を用意して運んでくるのに手間と時間がかかったんだし、それにゾンビくんが廃墟周辺を火の海にしちゃったからその分の値段もね。自然は大切にしないと」
省4
379: ◆gqUZq6saY8cj [saga] 2019/04/14(日)05:06 ID:PylgOG9Ko(18/33) AAS
吸血娘「???」

吸血娘「なぁ、何の話だ?」

魔女「ドラキュラちゃんはまだ知らなくていい話よ。大人同士の関係ってやつなんだから……」フフッ

吸血娘「ハァッ!?」

吸血娘「おいハゲェ!!!!どういうことだそれ!!!!やっぱお前こいつとデキてんのか!!!!!」
省3
380: ◆gqUZq6saY8cj [saga] 2019/04/14(日)05:08 ID:PylgOG9Ko(19/33) AAS
………………………………………………………
……………………………………

チュンチュン……チュンチュン……

屍男「」パチッ

屍男「……朝か」スッ

スタスタ スタスタ
省5
381: ◆gqUZq6saY8cj [saga] 2019/04/14(日)05:09 ID:PylgOG9Ko(20/33) AAS
屍男「……はぁ。朝食の準備をするが、お前も食うか」

吸血娘「いらない。さっきカップ麺食ったし」ピコピコ

吸血娘「おっ!!あいつあんなところに伏せてやがるな!!よっしゃここはグレネードじゃ!!!!」

屍男「そうか」スタスタ

屍男(あれから……少しは大人になったと思ったが、そう簡単に行けば苦労はしないか)
省3
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