屍男「おい、そこのロクでなし」吸血娘「なんだ髪なし」 (424レス)
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299: ◆gqUZq6saY8cj [saga] 2019/03/29(金)02:46 ID:8jr8fejjo(1/20) AAS
吸血娘「テメェ!!!!何か仕掛けてやがったな!!!!!」

屍男「……あぁ、それがどうした?」

屍男「この場所を指定したのは他でもない、お前自身だ。そんな敵地に何も準備をせず、のこのこやってくる馬鹿がどこにいる?」

屍男「あらかじめこの場所には大規模な発火装置を仕掛けておいた。眷属への対抗策としてな」

屍男「蚊遣火、というこの国で使われていた風習も使わせてもらった。この炎で焼き払えなくとも、これだけの煙だ。いくらお前の眷属でも、まともに俺を探知して襲うのは不可能だ」
省2
300: ◆gqUZq6saY8cj [saga] 2019/03/29(金)02:47 ID:8jr8fejjo(2/20) AAS
屍男「これが狩人の戦い方だ。勝つために、生きるためならどんな手を使う、お前も知っているだろう」

屍男「そして、これでお前の用いる手は全て潰した。最終ラウンドだ」グッ

吸血娘「……」

吸血娘(……あれだけ用意した眷属が一瞬で灰になって消えた。こんな手を使ってくるなんて想像も出来なかった。発想のスケールで私は負けたんだ)

吸血娘(そうか、こいつの強さは……こういうところなんだ)
省4
301: ◆gqUZq6saY8cj [saga] 2019/03/29(金)02:49 ID:8jr8fejjo(3/20) AAS
魔女「すごい炎……これは事前に何か仕掛けていたわね。頼まれた大量の火薬はこれに使うためだったのか」

魔女「……ドラキュラちゃんの眷属の対抗策ね。これだけの広範囲の炎は蚊だと回避は不可能。おまけにこの臭いは松の葉なんかも一緒に燃やして燻してる」クンクン

魔女「例え炎から逃げ延びても、この煙に囲まれてアウトってことか」

魔女「……ほんと、やることがぶっ飛んでるわ。こんなの普通は思いついても実行しないわよ。環境破壊もいいところね」

魔女「これでドラキュラちゃんに残された勝機は一つ……あの手しかない」
省2
302: ◆gqUZq6saY8cj [saga] 2019/03/29(金)02:51 ID:8jr8fejjo(4/20) AAS
プルルルルルル

魔女「……ん?この番号って――ドラキュラちゃん?」

ピッ

魔女「もしもし?どうしたの?」

『……ハゲのことは聞いてるか』
省6
303: ◆gqUZq6saY8cj [saga] 2019/03/29(金)02:52 ID:8jr8fejjo(5/20) AAS
『……そうだ、あいつは私より遥かに強い。弱点なんて存在しないと思う』

『でも、それはあいつが人間だった時の話だろ。今は違う、あいつは人間(ヒト)じゃない。怪物(モンスター)だ』

魔女「……!それって、まさか」

『狩人が使う、対怪物用の銃を用意してくれ。それも一番強力なやつを』

『こいつでならハゲも倒せるはずだ。今のあいつは“Shadow”じゃない。ただの怪物なんだから』
省2
304: ◆gqUZq6saY8cj [saga] 2019/03/29(金)02:53 ID:8jr8fejjo(6/20) AAS
魔女「人間には存在しない弱点、怪物だからこそ、出来てしまった唯一の穴」

魔女「でも、実戦で通用するかどうかってなると話は別よ?」

魔女「銃の姿、構え、発砲音、撃つだけでもこんなに障害がある。これら全てをゾンビくんに認知されないってのが最低条件よ」

魔女「ゾンビくんのことだもん、絶対にその銃の存在を知られた時点で、即排除の対象になる。そうなったらもう遅いわ」

『……分かってる』
省3
305: ◆gqUZq6saY8cj [saga] 2019/03/29(金)02:55 ID:8jr8fejjo(7/20) AAS
魔女「……フフッ、そうね。その通りだわ」

魔女「いいわ、用意してあげる。対怪物用の一番強力な銃ね、承ったわ」

魔女「他の武器はいいの?怪物相手なら聖水とか塩とかもよく効くけど」

『いやいい。どうせそんな付け焼刃で用意した道具はあいつに存在を悟られた時点で通用しないことぐらい分かってる。一発勝負なんだから』

『あ、そうだ。言い忘れてたけど、出来るだけ早く届けてほしい。二日以内がベスト』
省3
306: ◆gqUZq6saY8cj [saga] 2019/03/29(金)02:57 ID:8jr8fejjo(8/20) AAS
……………………………………………………………
…………………………………………

魔女「……」

魔女「まだあの銃を使った形跡はない。ドラキュラちゃんはゾンビくんが知り得ているカードのみで戦っている。ジョーカーの存在は知られていない」

魔女「チャンスは一度だけ、ゾンビくんが勝利を確信した瞬間……ドラキュラちゃんの用意した作戦が通用するかどうかにかかっている」

魔女「……でも、そんなの本当にあるのかしら。不意打ちをするにしたって最低でも発砲音は聞かれる」
省6
307: ◆gqUZq6saY8cj [saga] 2019/03/29(金)02:59 ID:8jr8fejjo(9/20) AAS
ドガアッッッ!!!!!!!

吸血娘「くうっ!?」サッ

屍男「……!」ブンッ

吸血娘(もう私に残された手はこの銃しかない。あいつにはまだ知られていないはず……問題はどうやって隙を作るか、だ)

吸血娘(確実に当てるにはどうしてもあいつの気を何かに引かせないといけない。そうでもしないと、どんな方法を使って抵抗してくるか見当もつかないんだから)
省5
308: ◆gqUZq6saY8cj [saga] 2019/03/29(金)03:00 ID:8jr8fejjo(10/20) AAS
バンバンッ!!!!!!!

ドンッ!!!!!!

吸血娘「ガッ……!?」グラッ

吸血娘(ね、狙われたのは脚……動きを制限してッ……)フラッ

屍男「ッッッ!!!!!!!」ダッ
省6
309: ◆gqUZq6saY8cj [saga] 2019/03/29(金)03:01 ID:8jr8fejjo(11/20) AAS
屍男「……」スッ

吸血娘(クッ……!今度は防御出来ない!!確実に首を狙ってくる!!!!)

吸血娘(霧化で回避しても、さっきの攻防で同時に二か所の霧化が出来ないことはバレている……!!一時しのぎにしかならない……!!)

吸血娘(何か手は……!!手……ハッ!?)

屍男「……」ブンッ
省3
310: ◆gqUZq6saY8cj [saga] 2019/03/29(金)03:02 ID:8jr8fejjo(12/20) AAS
屍男「……!?」

吸血娘(お前がさっき切断した私の腕!!!!こいつを霧化して攻撃する!!!!)

吸血娘(噛み付いた跡の切り目から……衣類に侵入させる!!!!)

屍男「クッ……」バサッ

吸血娘(そして、この一瞬に出来た隙……)
省3
311: ◆gqUZq6saY8cj [saga] 2019/03/29(金)03:04 ID:8jr8fejjo(13/20) AAS
屍男「……!?」

屍男(銃声、やはり対怪物用の武器か)

屍男(この距離、完全に避けるのは不可能だが、急所を逸らすこと可能――)

シュウウウウ……

屍男(なんだ?銃弾が……見えない?空砲――)
省4
312: ◆gqUZq6saY8cj [saga] 2019/03/29(金)03:05 ID:8jr8fejjo(14/20) AAS
屍男(あぁ……そうか……それでいい……)

屍男(お前はそれで――これで俺も――死)

バタッ

屍男「」
313: ◆gqUZq6saY8cj [saga] 2019/03/29(金)03:09 ID:8jr8fejjo(15/20) AAS
魔女「……!!」

魔女「や、やっぱり……銃弾を霧化させて、当たる直前にそれを解除した……」

魔女(……ヴァンパイアは自分の肉体の細胞を最小まで分解して、粒子化することで霧の姿に変わることが出来る)

魔女(でも、それだけじゃない。なら霧化した後は普通、衣服などは全てその場に残るはず。つまり正確に言うとヴァンパイアの霧化は……自分の肉体と同時に、その回りにある物も分解し、粒子化出来る……ということになる)

魔女(つまり、理論上は触れさえしていれば何でも霧化出来る。例えそれが他者であろうと武器であろうと)
省2
314: ◆gqUZq6saY8cj [saga] 2019/03/29(金)03:12 ID:8jr8fejjo(16/20) AAS
魔女(ドラキュラちゃんは恐らくこの性質に幼い頃から気が付いていた。だからこそ、この技を編み出すことが出来た)

魔女(ドラキュラちゃんにとって銃は幼い頃から身近な存在だった。自分の敵が使う武器でもあり、時には自身も使っていた道具……その構造を知らず知らずのうちに、理解するようになっていた。だからこの短期間で銃弾を霧化をすることに成功した)

魔女(普通はヴァンパイアはその力が故に武器を使うなんてことはない。殺し屋をやっていたドラキュラちゃんだからこそ、この答えに辿り着いた――)

魔女「……決着ね。勝者は……ドラキュラちゃん」

魔女「…………」
省1
315: ◆gqUZq6saY8cj [saga] 2019/03/29(金)03:13 ID:8jr8fejjo(17/20) AAS
吸血娘「はぁっ……はぁっ……」

屍男「」

吸血娘「どうだ……これで……私の勝ちだ……」

屍男「」
316: ◆gqUZq6saY8cj [saga] 2019/03/29(金)03:14 ID:8jr8fejjo(18/20) AAS
屍男「」

吸血娘「ハ、ハハ……アハハハハハハハ……」ポロッ

吸血娘「あ、あれ……な、なんで……涙が……お、おかしいな」グスッ

屍男「」

吸血娘「……うぅっ」ポロポロ
省1
317: ◆gqUZq6saY8cj [saga] 2019/03/29(金)03:15 ID:8jr8fejjo(19/20) AAS
今日はここまで
321: ◆gqUZq6saY8cj [saga] 2019/03/29(金)10:15 ID:8jr8fejjo(20/20) AAS
>>319
これだけ名前を知られているメリーさんがまだ生きているのがまあ答えになっちゃいますね
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