【艦これSS】不器用を、あなたに。 (624レス)
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581: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/05/19(日)01:45 ID:iboqIv40O携(1/14) AAS
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12月19日 12:30 食堂

陽炎「うわっ...ペイントだらけじゃない...」

山城から昼休憩を貰った第3隊の5人は食堂に来ていた。
そして長机の一角にスペースを見つけ座ると、すぐ横に座っていた陽炎から声をかけられた。

時雨「これでもかなり落としてきた方なんだけどね」
省8
582: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/05/19(日)01:46 ID:iboqIv40O携(2/14) AAS
第3隊の発足から5日目。
山城が指揮する訓練は過酷なものだっ
た。

まず第3隊は山城の方針で、海域への出撃による連携の確認といった事を一切やっていない。
なぜなら、山城曰く「雑魚同士で連携しても所詮雑魚の次元は越えられない」からである。

その代わりに彼女が行う訓練は、メンバーを1対5に分けてひたすら“1”の方を5人がかりの砲撃でいじめ抜くという、前代未聞のものだった。
ちなみに山城は最高練度を根拠に、自ら“1”をやる事は無い。

訓練ではペイント弾を使うため、轟沈判定以降も物理的には演習を続行できる。
山城はその性質をいわば悪用している。

つまり“1”に選ばれた者は山城が満足するまで残り5人の容赦ない砲撃に曝され続けるしかない。
省1
583: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/05/19(日)01:48 ID:iboqIv40O携(3/14) AAS
そしてもちろん、諦めて回避運動や反撃を試みなかったり攻撃側が手を少しでも緩めると、必ず山城が口汚く罵ったり煽る。

その度に皆は当然怒りを露わにするが、ありったけの罵倒を吐きながら何とか精神を保つのである。

また他の部隊との演習も毎日、それも相手の都合がつく限り複数回行う。

山城が相手として選ぶのは専ら同じ作戦攻略部隊である第1隊と第2隊である。
両方とも戦力としては第3隊の格上であり、戦っても確実に負ける。
実際にこの4日間はしっかり全敗している。
山城は勝負にならないことを知っていながら演習を組むのだ。

ここで付け加えるべきは、5人は決して負け戦を強いられるのが嫌なわけではない事である。
省2
584: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/05/19(日)01:52 ID:iboqIv40O携(4/14) AAS
そしてこれらのハードな訓練を1日の活動時間に容赦なく過密に詰め込んでいる。
昼休憩を除けば、毎日朝から晩まで訓練漬けである。

さらに恐ろしい事に、もう少ししたら山城はこのメニューに加えて夜戦訓練も実施するつもりらしい。

「鬼の山城」

まさにその言葉が相応しかった。

だがそんな過酷な訓練を、よりにもよって世界一憎んでいる奴の指示によって受けているにもかかわらず、5人は山城へ一応は従っている。
省5
585: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/05/19(日)01:53 ID:iboqIv40O携(5/14) AAS
扶桑「まさか満潮の改二も今月以内に出来そうなんてね...」

満潮「……」

満潮もやはり気まずく沈黙する。

最上「そういう扶桑も...このペースなら改二もありえなくなさそうじゃないか」

扶桑「私も早くみんなに追いつきたいわ」
省4
586: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/05/19(日)01:54 ID:iboqIv40O携(6/14) AAS
また当初は作戦にギリギリ間に合うかどうかくらいに見積もられた満潮も、ここ数日での練度の上がり方を見るに、あと1週間程で改二要求練度に到達しそうである。

これ程の過酷な訓練をしているのだから当然であると思う一方で、山城が言うだけの成果を出してみせた点については認めないわけにはいかなかった。

くわえて意外にも山城は、訓練中は扶桑に対して1番容赦なかった。

もちろん扶桑にだけ態度や言動が特別な点は変わらないのだが、訓練の内容で言えば逆に扶桑を徹底的に砲撃し1日に何度も5人で彼女をいじめ抜いている。

それは言うまでもなく、着任が大きく遅れメンバー内で1番練度が低い彼女を大規模作戦レベルに引き上げるためであろう。
587: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/05/19(日)01:56 ID:iboqIv40O携(7/14) AAS
山城は私情に左右されず、あくまで練度と戦力の向上という目的に忠実なようだ。

そうなるといよいよ、指導理論においては山城に逆らう妥当性が見つからないのである。

これこそが5人が溢れんばかりの憎しみや怒りを抑えながらも山城の指示を聞く理由に他ならない。

陽炎「でもやっぱりストレスが尋常じゃなさそうね...。訓練内容もそうだけど、アイツに指揮されるってのが。」

夕立「そう!ほんとに嫌過ぎて吐き気がするの!」
省4
588: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/05/19(日)01:58 ID:iboqIv40O携(8/14) AAS
不知火「一段とクズ...。それは精神衛生に良くないですね...」

扶桑「あまり相手にしちゃ駄目よ?やり返すだけ無駄なんだから」

夕立「そうは言ってもやられっぱなしはムカつくっぽい...!あのクズ、また時雨を...!」

時雨「...まぁ別にアイツが僕にどうこう言うのは気にしてないさ」

興奮している夕立を制するように時雨が口を開く。
省8
589: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/05/19(日)02:00 ID:iboqIv40O携(9/14) AAS
最上「...みんな、せっかくのお昼が不味くなるよ」

扶桑「とにかく落ち着きなさい。私だって腹は立つけど...せっかくの5人の団欒を壊したくないわ」

危険な雰囲気を2人がひとまず抑えた。

扶桑「他の人にも迷惑だから、ね?」

そう言いながら扶桑は隣を見遣る。
省6
590: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/05/19(日)02:02 ID:iboqIv40O携(10/14) AAS
扶桑「最上の言う通りよ。この間食堂で言った事が守られないのは腹立たしいけど...。わざわざ相手して余計なエネルギーを使うことはないわ」

扶桑「ムカつくのは元からでしょう。だからいつも以上に暴言を吐いてきても、憎むだけに留めて無視しておきなさい」

夕立「むぅぅ...分かったっぽい...」

満潮「扶桑がそう言うならそうするわよ...」

扶桑と最上のおかげで何とか楽しい昼休みの時間を取り戻せそうだ。
省7
591: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/05/19(日)02:04 ID:iboqIv40O携(11/14) AAS
−−−

守らなきゃ・・・
また自分が残ったんだから・・・

傍には空母が居る。

絶対に、護らなきゃ・・・
そう強く思いながら海を走る。
省6
592: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/05/19(日)02:05 ID:iboqIv40O携(12/14) AAS
どうして・・・!

どうしてこんな目に遭わなければならないの・・・?

こんなの理不尽じゃないか・・・!

涙がひたすらに流れる。

これこそが・・・不幸じゃないか・・・!
省5
593: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/05/19(日)02:06 ID:iboqIv40O携(13/14) AAS
そうか、コイツのせいなのか・・・

コイツは許してはいけない奴だった・・・!

コイツは仲間なんかじゃないんだった・・・!

何の疑問を持つ事なく、憎しみが瞬く間に湧き起こった。

その憎しみはどこか心地よいものだった。
省1
594: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/05/19(日)02:08 ID:iboqIv40O携(14/14) AAS
今回はここまでです

昨日が時雨の進水日!

当初の予定ではそもそもとっくに完結してる予定でしたが、終わらないと分かってからはこの日をデッドラインにしてました

そしたら・・・余裕で間に合いませんでした

ほんとに遅筆ですみません
エタる事はしないので気長にお付き合い頂ければと思います
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