【艦これSS】不器用を、あなたに。 (624レス)
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602: ◆eZLHgmSox6/X 2019/06/26(水)11:02 ID:YtYgWYHzO携(1/15) AAS
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やはりそうだ・・・

眠っている彼女は雨に濡れていた。

・・・きっと私は雨を止ませる事は出来ない。
濡れた彼女の顔を拭いてやるくらいしか出来ないのだ。

それでも彼女ならきっと大丈夫だと思いたい。
省5
603: ◆eZLHgmSox6/X 2019/06/26(水)11:03 ID:YtYgWYHzO携(2/15) AAS
目を開いた直後も暫し夢現としていた時雨だったが、やがてにこやかに挨拶を返した。

時雨といえば、この笑顔なのである。

山城「...よく眠れた?」

時雨「...うん、ぐっすりさ!今日も訓練頑張れそうだよ」

時雨は明るい表情でそう言うのだった。
省5
604: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/06/26(水)11:05 ID:YtYgWYHzO携(3/15) AAS


時雨「今日は山城の予定はどんな感じなんだい?」

時雨「僕の午前の訓練には付き添ってくれるみたいだけど...」

身支度を済ませた2人は朝食を取りに、食堂を目指して廊下を並んで歩いていた。

山城のすぐ隣の場所は、すっかり時雨の定位置になりつつある。
省6
605: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/06/26(水)11:06 ID:YtYgWYHzO携(4/15) AAS
山城「ねぇ、時雨...」

時雨「何だい?」

山城「鎮守府生活にはそろそろ慣れたかしら?」

山城はすぐ隣を歩く少女に尋ねた。

時雨「うん、みんな優しくしてくれるからね」
省6
606: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/06/26(水)11:07 ID:YtYgWYHzO携(5/15) AAS
山城「それじゃあ...艦娘としてのは自分には慣れたかしら?」

山城はそう言うと同時に、撫で回す手をその頭から離した。

時雨「...うん、ちょっとずつだけどね」

少しだけ彼女の表情が曇る。
2人の歩むスピードはまた一段と遅くなった。

時雨「まだ艤装を上手く使えないけど...早くみんなを守れるくらいになりたいな」
省6
607: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/06/26(水)11:08 ID:YtYgWYHzO携(6/15) AAS
時雨「そう言ってもらえると安心するよ」

苦そうな笑みで彼女は山城のフォローを受け取る。

山城はもどかしくて仕方がなかった。

だが、他人の悩みに寄り添うという事はそれだけ大変であると気づいたのだ。

私がこの子を、早く他の子達と同じようにしてあげなくてはいけない。
それが自分の役目なのだから・・・。
省4
608: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/06/26(水)11:09 ID:YtYgWYHzO携(7/15) AAS
時雨「山城は...優しいよね」

山城「...別に普通よ」

山城は目の前の少女の瞳から、霞んだ光を感じ取った。

・・・きっと時雨は私の胸中を察している気なのだ。

時雨「ううん、山城はいつも僕に気を遣ってくれる」
省7
609: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/06/26(水)11:11 ID:YtYgWYHzO携(8/15) AAS
時雨「でも金剛さんだって言ってたよ、ほんとに山城は洞察力がすごいって。」

彼女はちゃっかり、山城と同室だった経験を唯一持つ艦娘から色々と話を聞いているようだ。

金剛の事だから、多少オーバー気味な山城像を時雨に吹き込んでいるに違いない。

変に掘り下げられると自分はくすぐったくて堪らなくなってしまうだろうし、そして何より警戒される要素の存在は隠しておきたかったから、とりあえずその話題は受け流す事にした。

山城「はぁ...アンタはね、甘え下手なのよ」
省4
610: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/06/26(水)11:12 ID:YtYgWYHzO携(9/15) AAS
山城「...ええ、そんなになのよ。アンタってすぐに独りで抱え込みそうだからね」

時雨「そんなことは...」

山城「とにかく、甘えられるところでは駆逐艦らしく甘えときなさい。アンタだって所詮はガキなんだから。」

どうにもこういう事は不器用な私には向かない。
それでも、この子のためにも少しでも励ませたらと願う。

時雨「...僕はむしろ甘えてるよ」
省3
611: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/06/26(水)11:14 ID:YtYgWYHzO携(10/15) AAS
山城「あのね...何回か言ってきたけど、時雨は艦時代だとかの今までの事にばっか目を向けすぎなのよ」

山城「それも大事かもしれないけど、それ以上に前を向くべきだわ」

時雨「前を向く...か...」

時雨にはなかなか言葉が浸透しない。

だから必要なのは、彼女の思考を踏襲しながら、こちらのメッセージを染み込ませる事なのだ。
省4
612: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/06/26(水)11:15 ID:YtYgWYHzO携(11/15) AAS
山城「今のところ進捗が芳しくないってだけで、時雨も行き着くゴールは皆と同じなのだから...そんなに不安にならなくていいのよ」

時雨「そうなのかな...」

山城「だってそうでしょ、今は未熟でも...半年くらい経てばきっとそれなりの戦力にはなってるはずだと思えないかしら?」

時雨「そりゃ半年も経てば練度も上がってマシになってるとは思うけど...」

山城「じゃあそれでいいじゃない」
省3
613: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/06/26(水)11:17 ID:YtYgWYHzO携(12/15) AAS
時雨「うん...」

山城「ほら、だから前を見なさい。楽しい事を考えるのよ」

山城「私はそういうキャラじゃないけど...アンタにはそっちの方が似合うわ」

そう言って時雨の頭に手を置いた。

山城「皆、去年の桜がどうだったかなんて興味ないでしょ」
省6
614: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/06/26(水)11:19 ID:YtYgWYHzO携(13/15) AAS
時雨「...うん。そうだよね...!」

少しの間の後、ついには時雨も早足で歩きだし山城の隣に再び並んだのだった。

時雨「不安はあるけど...きっと桜が満開になる頃には山城を助けれるくらいになっていてみせるよ!」

時雨「その時には山城の横を僕が守ってて...その...山城とお花見してたいな...!」

少し恥ずかしそうな顔をしながら、時雨はそう遠くはない未来を語った。
省3
615: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/06/26(水)11:22 ID:YtYgWYHzO携(14/15) AAS
こうやって少しでも彼女に寄り添っていければ、と改めて思った。

山城「ふふっ...楽しい未来を考えれば、一見終わりの無さそうな苦境だって克服できそうに思えるでしょ?」

山城「それで実際に克服出来たら、つまらない事で悩んでたんだ、って思えるようにもなるわ」

山城「...お花見、今から楽しみにしておくわね」

時雨「うんっ!」
省3
616: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/06/26(水)11:24 ID:YtYgWYHzO携(15/15) AAS
宣言通りの日時に続きを投下できないのは仕様なので許してください

信用されなさそうですがエタる事はしないので気長に待って頂ければと思います
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