【艦これSS】不器用を、あなたに。 (624レス)
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459: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/04/07(日)13:10 ID:Xg6j+0MOO携(1/38) AAS
だいぶ時間が経ってしまいました
投下します
460: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/04/07(日)13:12 ID:Xg6j+0MOO携(2/38) AAS
−−−
12月15日 7:00 執務室
山城「...おはようございます」
提督「おはよう」
かなり久しぶりとなる秘書艦に任命されていた山城は、執務室に来ていた。
省9
461: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/04/07(日)13:14 ID:Xg6j+0MOO携(3/38) AAS
山城「...はぁ?...提督の方こそ脳が起きてないんじゃないですか?」
目の前の男から発せられた決して起こり得ない話に対し、山城は呆れたような口調で返す。
提督「私はしっかり起きてるさ」
提督「...そして今言ったことは本当に考えてることだ」
その様子を見るに、どうやらただの冗談ではないようである。
省3
462: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/04/07(日)13:15 ID:Xg6j+0MOO携(4/38) AAS
山城「今更ね...。まずは詳しい話より先に、私との約束は覚えてるのかしら?」
提督「「今後、私と時雨たちとの関係について何も口出しするな」だろ?」
山城「分かってるじゃない...そういうわけだから変な介入は要らないわ」
提督「だけどその時、君は付け加えてこう言ってた」
提督「「時雨の件は何とかしてみせるから」とな。...私に詳しいことを話さずにだ」
省2
463: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/04/07(日)13:16 ID:Xg6j+0MOO携(5/38) AAS
提督「いや、勘違いしないでくれ。今更君を責めるつもりはないんだ」
提督「そもそも山城がこうなったのは、私が最悪のケースまで仄めかして焦らせてしまったからだ」
山城「そんなことはないわ。私もその通りだと危惧してたことだもの」
山城「提督は関係ないわ」
山城は提督に責任が無かった事を強調した。
しかし彼は山城に丸め込まれることを良しとはしなかった。
省3
464: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/04/07(日)13:17 ID:Xg6j+0MOO携(6/38) AAS
提督「山城が暴言を吐いた時すぐにとはいかなかったが...少し落ち着いて2、3日前からの君を思い出してみたらな、そんなことくらい簡単に気づいたさ」
提督「...そして当然、君があの件のためにそうしているんだろうともな」
少し息を整えてこちらを見つめながら彼は言った。
提督「だから直後は君に何度も聞いたんだ、どういう考えであんなことをしたのか、と。」
提督「まぁついに君は教えてくれなかったし...事情を聞いてそうな奴すら「言えるもんじゃないから山城本人に聞け」と言い出す始末だったが...。」
省2
465: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/04/07(日)13:20 ID:Xg6j+0MOO携(7/38) AAS
提督「さすがにそこまで徹底されると...罪悪感もあったし、もう触れてはいけない事なんだと思うようにしたよ」
提督には詳しくは話さないでおいた領域に踏み込まれ、山城は少し警戒をする。
・・・山城としては当初から、提督に対しては自身の意図を強引にでも納得させる自信はなかった。
彼はこの鎮守府の責任者であるし、艦娘を指揮する − 言葉は悪いが道具として扱える権利を持つ − 人間なのである。
ネガティブな自分でも、いやむしろネガティブだからこそ、悲観的な事に対する分析にだけは自信があった。
それに、自分では寄り添う事は叶わなかったが、それでも彼女を一番知ろうと努力した事は間違いないと思っている。
省1
466: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/04/07(日)13:22 ID:Xg6j+0MOO携(8/38) AAS
だから一部の艦娘達には黙認させることが出来たし、というよりその自信があったから事情を打ち明けたのだ。
・・・だがそれは自分と立場が同じ艦娘が相手だから可能であったのだ。
そして付け加えれば、弱みにつけ込めたからという点もある。
提督は艦娘の立場を尊重してくれる人間であるし、良くも悪くも放任的である。
しかしいくらそんな彼でも、提督としての責務を負う以上は、一人が艦隊の和を意図的に乱す事を容認するはずはない。
考えの根拠については提督にも納得してもらえる自信はあった。
それに彼だって、同じように早く解決してやりたいと強く思っていたのは間違いない。
467: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/04/07(日)13:24 ID:Xg6j+0MOO携(9/38) AAS
・・・それでも、それがこれから起こす自身の行動を正当化しうるとは、自分ですら到底思えなかった。
何せ古鷹にすら事前に伝えることはとても出来なかった程だ。
提督ともなれば尚更である。
そして何より・・・提督は“実感”できない組なのだ。
だから彼もおそらくは、皆で寄り添えば・・・絆があれば・・・なんて考えしか理解できないのだろうと思えた。
もちろんそれは普通だ。
だがこれはそんな簡単な事ではない。
その程度の対応では、解決しないどころか余計に悪化する一方だ。
そういうレベルで深刻なのだから。
・・・そう考えると提督にも真意は伏せておきたかった。
468: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/04/07(日)13:25 ID:Xg6j+0MOO携(10/38) AAS
こうして山城は、提督にはついに事情を話すことはしなかった。
ただ、それでもやはり追及を受ける事は覚悟していた。
何と言っても彼は、事情の最もコアな部分について知っている。
すぐに何かしらを察するとは思っていた。
その時が来たならば、せめて何とか本人にだけは真意が伝わらないように配慮してもらうことだけを絶対条件に、全てを話す覚悟であった。
だから、必要の無い罪悪感から彼が金剛や加賀と同じ立場を貫いてくれたことは、全くの嬉しい誤算だったといえる。
469: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/04/07(日)13:28 ID:Xg6j+0MOO携(11/38) AAS
提督「...ちょっと話が脱線してしまったな。とにかく、それで私はついに山城の計画については知れなかったが...」
提督「ただ一つだけ、山城はおそらく焦りを覚えたから、それまでと真逆のアプローチに走ったんだとは確信している。違うか?」
山城「...好きに解釈すればいいわ」
提督「それならばこれが合ってる前提で本題に入ろう」
提督「山城が何を根拠にどこまで計算していたのか知らないが...結果的に君は本当に時雨を“何とかしてしまった”ように思える」
省3
470: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/04/07(日)13:29 ID:Xg6j+0MOO携(12/38) AAS
提督「ここまで来たのなら、彼女を心配する必要はないように思う」
山城「まぁ...私もそう思うわ」
数日前の件が頭をよぎったが、ひとまず話を合わせることにした。
提督「大規模作戦には改装が間に合うし、是非とも運用する気でいるのだが...」
ここで彼は言い詰まった。
山城の方を少し不安な様子で見ながらである。
省6
471: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/04/07(日)13:30 ID:Xg6j+0MOO携(13/38) AAS
提督「さっきも言ったが、これは本当に考えてる事だ。西村艦隊メンバー5人と、これに適当な水雷系の艦を加えて編成しようと考えている」
その言葉にはさすがの山城も冷静を保てなかった。
山城「ちょっと!そんなの無いわよ!」
山城の声には怒りも含まれていた。
山城「提督だって分かるでしょう!?そんな事を大規模作戦でやったら...!」
省3
472: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/04/07(日)13:32 ID:Xg6j+0MOO携(14/38) AAS
提督「秘書艦は普段艦隊運営に関わらない子達から、事務仕事の経験も何回かは積んでもらう目的で選んでるわけだが...」
提督「今日あえて山城を呼んだのは...会議で作戦計画や編成を決める前に、君に決断をして欲しかったからなんだ」
今日はいよいよ1ヵ月後に迫った大規模作戦についてのブリーフィングが予定されている。
それに先駆け、普段から艦隊運営を手伝う古参勢も含めた会議を朝から行い、そこで作戦の詳細を決定してから全艦娘へのブリーフィングが実施される流れである。
473: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/04/07(日)13:33 ID:Xg6j+0MOO携(15/38) AAS
だが山城は、そんな提督の言葉などにしっかり耳を傾けている気にはとてもならなかった。
目にした書類の内容が、嫌がらせのようにしか見えないからだ。
山城「(嘘でしょ...。これじゃまるで...)」
山城「作戦内容まで...スリガオと同じじゃない...!」
提督「そうだな...。目的も背景もかつてのとは異なるが...海域への同時突入が肝となる点はな...」
省1
474: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/04/07(日)13:33 ID:Xg6j+0MOO携(16/38) AAS
一、敵の姫級らで構成される大戦力とその活動拠点の殲滅が今回の目標である。
二、該当拠点の周辺には島が点在し拠点へのルートが自ずと限られる。そのため複数部隊による複数ルートからの同時突入を推奨する。
三、敵に姫級の航空戦力が複数いる事が想定されるため、攻略部隊主力には高練度の空母戦力を含める事が必須となる。
四、三に関連し、練度が中程度の空母も遊撃部隊として編成するなどして不測の事態に十分に備えることを推奨する。
五、各部隊は必ず対潜を厳として行動し、想定外の被害を避けることに努めるべし。
475: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/04/07(日)13:35 ID:Xg6j+0MOO携(17/38) AAS
大本営から直々に、あの時と同じ「同時突入」の案が示されている。
・・・提督の言う通り、今回の作戦はレイテ沖海戦とは決して同じではない。
相違点などいくらでもある。
しかし・・・大本営が大々的に計画する作戦、それもこの鎮守府がまだ経験した事のない領域である。
通常の出撃とは重みがまるで違う。
同時突入に失敗して、自身の指揮した艦隊が全滅・・・いや、正確にはあの娘だけは違ったが・・・そんな過去を持つ自分としては、どうしてもスリガオの記憶を重ねずにはいられなかった。
苦々しい、消し去りたい記憶。
省3
476: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/04/07(日)13:36 ID:Xg6j+0MOO携(18/38) AAS
山城「アンタは何考えてんの!?大規模作戦は普段の出撃とは比べ物にならないのよ...!」
提督「あぁ、分かってるさ。...でも、だからこそ絶好のチャンスなんだ」
提督「こんなにも重要で危険な任務を他でもない君達で成功させれば...」
提督は少しだけ言い淀んだ。
提督「...西村艦隊は元の絆を取り戻せるだろう」
省2
477: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/04/07(日)13:37 ID:Xg6j+0MOO携(19/38) AAS
提督「そんなに西村艦隊が嫌いか」
山城「えぇ、そうよ」
提督「いいんだぞ、別に私は。君が編成入りを拒否したって認めよう。他の部隊で活躍してくれるならそれでいい」
提督「だが君以外のメンバーについては深い絆で結ばれているようだしな...せっかくだから彼女達は全員一緒の部隊にするよ」
山城「...っ!」
省3
478: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/04/07(日)13:39 ID:Xg6j+0MOO携(20/38) AAS
山城「理由?アンタだって知ってるじゃない!」
提督「だが最近は特に不都合はないだろう」
山城「それでも安全策は取るべきでしょう!それに今だって、問題になってないのは私が強引に抑えてるようなもので...」
提督「ほう、そこは認めるんだな」
山城「っ...。まぁ...どうせ察してるんだろうしもう隠すつもりはないわ」
省3
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