【艦これSS】不器用を、あなたに。 (624レス)
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342: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/03/23(土)02:24 ID:LY9D/QEiO携(1/38) AAS
一部投下します
343: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/03/23(土)02:26 ID:LY9D/QEiO携(2/38) AAS
12月13日 15:00 間宮

瑞鶴「ほんっと、ありえない!」

本来はそこで出される美味しい甘味に舌鼓を打ち穏やかな時間を過ごす場所であるが、この空母だけは違っていた。

翔鶴「瑞鶴...いい加減に落ち着きなさい」

瑞鶴「そんなの無理だよ!」
省3
344: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/03/23(土)02:27 ID:LY9D/QEiO携(3/38) AAS
瑞鶴「あるわけないじゃんっ!心配の言葉なんて一切なかった」

瑞鶴「口に出すのは「もしこれが救援が出せない状況なら沈んでた」とか「今日のに懲りたらもっと精進しろ」とか、全部批判で...!」

瑞鶴「何でもかんでも「慢心」で片付けてっ!赤城さんみたいに過去の反省から使ってるわけじゃない、アイツはただ私へ難癖つけるために使ってるだけじゃん!」

翔鶴「でも加賀さんが言ってること自体は間違ってないじゃない」

困った顔をしつつも翔鶴はなんとか瑞鶴に落としどころを見つけさせたいようである。
省3
345: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/03/23(土)02:28 ID:LY9D/QEiO携(4/38) AAS
瑞鶴「あれほどの敵の存在だってもともと作戦段階では想定外で...それでピンチになって救援要請したら心配するどころか説教で」

瑞鶴「挙句に救援艦隊入り拒否して赤城さんと二航戦の先輩に私を押し付けただけなんてね...!」

翔鶴「加賀さんが私情でそんなことするなんて思えないけど...」

瑞鶴「どうせそういうヤツなのよっ!アイツ不幸戦艦のこともちょくちょく味方するみたいだし、案外同じように幸運艦って理由で私のこと疎んでるんじゃない?」

翔鶴「加賀さんは私達に期待してるから厳しいだけで...山城さんとは違うわよ」
省1
346: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/03/23(土)02:29 ID:LY9D/QEiO携(5/38) AAS
瑞鶴「古参仲間だからって、ばかわうちもあっちの味方するし...ムカつくムカつくムカつく!!」

翔鶴「ちょっと...」

普段から犬猿の仲で通ってる瑞鶴と加賀。
二人の喧嘩は別に珍しいものではなかった。

それゆえ近しい正規空母の面々や周囲に居合わせた艦娘達は特にそれを気にしないどころか、ある意味で惚気のように解釈しているのだが・・・

瑞鶴「もういい、あんなヤツこっちから願い下げだわ」
347: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/03/23(土)02:30 ID:LY9D/QEiO携(6/38) AAS
瑞鶴「援軍に来てくれたのがアイツ除いた正規空母フルメンバーでむしろ嬉しかったしね、焼き鳥なんか顔も見たくないわよ」

瑞鶴「あんな冷酷だなんて思わなかった...認めてもらおうって頑張ってきたのに...!」

翔鶴「瑞鶴...」

しかしそれは普段の喧嘩には、どこか師弟の絆のような愛情がお互いの奥底に垣間見える気がするからである。
お互い罵りあいながらそれでも信頼はしているという、実力差はあれども良き好敵手といった関係だったのだ。

しかし今の瑞鶴の様子は完全にそれとは違う。
348: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/03/23(土)02:32 ID:LY9D/QEiO携(7/38) AAS
瑞鶴は涙を浮かべながらもも意地で何とかいつものように罵倒で精神を保っているという感じである。

そしてその涙は、悔し涙などというある種のポジティブさを含んだものなどではなく、明らかにショックや悲しみといったものを隠しきれずに出てきたものであった。

間宮内に点在する艦娘達も、いつものとは違う瑞鶴の様子にやや不安そうな表情を浮かべる。
翔鶴が瑞鶴を慰めようとした時、五航戦のもとに一人の艦娘が話しかけてきた。

那珂「ちょっといいかな?」

翔鶴「那珂さん?」
349: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/03/23(土)02:32 ID:LY9D/QEiO携(8/38) AAS
那珂「那珂ちゃんも救援部隊編成決める時に執務室呼ばれてたし、川内ちゃんにも不満があるみたいだから...よければ瑞鶴さんの話聞くよ?」

その那珂の言葉で少しだけ落ち着き、瑞鶴は改めて事のあらましを語ることにした。

・・・発端はいつもの喧嘩からだったと思う。
350: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/03/23(土)02:34 ID:LY9D/QEiO携(9/38) AAS
今日も正規空母の日課である朝稽古があった。
そこでこれまたいつも通りに小言ばかりの加賀に苛立ち、瑞鶴もそれに応酬して喧嘩になった。

ここまでは普段と同じである。

今日は午前から瑞鶴が初めて旗艦を担う出撃があった。
その出撃海域は出現する敵も比較的低レベルであり、大して高練度ではない瑞鶴でも充分であった。

くわえて艦隊には比較的古くからのメンバーである龍驤や村雨がおり、瑞鶴の旗艦としての動きをフォローする体勢が整っていた。
351: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/03/23(土)02:36 ID:LY9D/QEiO携(10/38) AAS
またこの出撃は瑞鶴の旗艦経験を積ませる事だけが目的でなく、むしろ巡洋艦や戦艦の弾着観測射撃技術向上のための実践的練習の意味が強かった。

ちなみに本日この対象となったのは扶桑、羽黒、球磨であった。

そのため瑞鶴と龍驤は制空権確保を、村雨が対潜を担い、残りで弾着観測射撃を駆使して敵艦を殲滅していくという作戦であった。

作戦は大変順調に進んだ。
352: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/03/23(土)02:36 ID:LY9D/QEiO携(11/38) AAS
それもそのはずで、そもそもこの海域では基本的に敵に空母は出てこないか、出てくるとしても1部隊につき1体程度である。
瑞鶴のレベルでも制空権確保は可能であり、これにさらに保険をかけて龍驤まで付き添わせてあるのだ。

さらに潜水艦についてもこの海域での会敵はまだ報告されていなかった。

作戦前のブリーフィングでは提督はこれについて言及しつつも、万が一に備えるという理由で比較的高練度の駆逐艦も編成に加えたのだった。

それは杞憂に終わるかと思えたが・・・
353: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/03/23(土)02:38 ID:LY9D/QEiO携(12/38) AAS
当初は出撃海域にある諸島周辺の敵を殲滅したら帰投する予定であった。

しかし2戦終えて作戦目標完遂を確認した時、前方のそう遠くはない位置にもう1部隊いるのが見えた。

龍驤が偵察機で確認するとその部隊も軽空母1と重巡洋艦3を含むのみにとどまり、セオリー通りに制空権を取れればこちらが優勢を取れる編成だった。
そしてそれは客観的に考えても可能であると思われた。

また残弾薬に関しても余力があることもあり、瑞鶴は艦隊の同意を得たうえでその部隊の殲滅も行うことに決めた。

この際にもちろん状況報告も司令部へしており、提督も瑞鶴の判断に同意している。
省1
354: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/03/23(土)02:40 ID:LY9D/QEiO携(13/38) AAS
こうして予定外の戦闘を始めたが、ここでまず最初のトラブルが起こる。
先ほどまでと同様に制空権を取ってから段着観測射撃で圧倒した。

ここまでは良かった。

しかしその砲撃の最中にいきなり扶桑の足元に魚雷が爆発したのだ。
そして自身や他の味方にもさらにいくつかが命中した。

相手方の駆逐艦がたしかに魚雷を発射していたが、肉薄してるわけでもない距離でのそれは牽制用でしかない。
そしてその雷跡は皆読み切って避けていた。

それなのに魚雷が当たったのなら可能性は一つしか無かった。
省1
355: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/03/23(土)02:41 ID:LY9D/QEiO携(14/38) AAS
ソナーを積んだ村雨が探知できなかった理由は、相手方の精度の低い砲撃がこちらの周辺に飛び散り聴音機能を封殺していたからであった。
その隙に雷撃可能範囲にまで侵入されていたのだ。

とはいえ既に水上の敵部隊には優勢に戦闘を進めていたためこれをまもなく殲滅し、潜水艦についても村雨が壊滅させた。

瑞鶴は幸運にも軽微な損害で済んだが、魚雷の不意打ちをもろに受けた扶桑など数名がこの時点で小破状態になった。

だがこの程度の損害で済んだことはむしろ及第点でもあった。

帰投に際して瑞鶴は、今度は対潜警戒を厳として慎重に進むことにした。
356: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/03/23(土)02:43 ID:LY9D/QEiO携(15/38) AAS
そして諸島間を縫うように来た道を戻り、ついにそこを抜け開けた場所に到達した時であった。

次のトラブルに見舞われることになる。

艦隊メンバーの目には右手側遠くからかなり多数の航空機が飛んでくる様子が小さいながら映ったのだ。

瑞鶴「ヤバいっ...!」

すぐに瑞鶴と龍驤は発艦体勢に移り、戦闘機をありったけ発艦した。
357: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/03/23(土)02:44 ID:LY9D/QEiO携(16/38) AAS
これまでの戦闘が順調だったとはいえ、航空機の消耗は無視出来ない程にはあった。

更には味方も対空射撃を想定した装備は全くしていない。

全ては自分ら空母で何とかするしかなかった。

幸いにも今回の出撃での役目は制空権を得ることであったので2人とも戦闘機を中心に搭載していた。

だがその距離からでも分かる敵機の多さを考えるに、それでも制空権を確保するどころか五分五分を死守できるかというところであった。
省1
358: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/03/23(土)02:45 ID:LY9D/QEiO携(17/38) AAS
しばらくしてそう遠くない地点で両者の航空機が戦闘を開始した。

やはり読み通り五分五分が精一杯というところであったが、ここで更なる試練が到来することになる。

龍驤「...!戦闘してるとこのもっと後ろから第2陣が来とるで!」

そう伝えた龍驤も、そして味方も一瞬にして顔が真っ青になっていた。

今戦闘中の敵機群が第1陣ならば、そしてもし第2陣が爆撃部隊ならば、一気にこちらが壊滅の危機になる。
そもそも現時点でかなり厳しいのにである。
359: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/03/23(土)02:47 ID:LY9D/QEiO携(18/38) AAS
瑞鶴「提督さん!すぐに救援お願いっ!」

瑞鶴「敵本体を見てないから分からないけど...ヲ級3体分の戦力はある...いや、もしかしたら鬼か姫がいるかも...!」

まずは想定できる範囲で敵の編成を推測しそれを無線で伝えた。
そして続けて無意識的にも次のように言った。

瑞鶴「こっちも空母でやり返すしかない!すぐに加賀さんとかを呼んで!」
360: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/03/23(土)02:48 ID:LY9D/QEiO携(19/38) AAS
そこで加賀の名前が自然と出たのは、何だかんだで瑞鶴にとって加賀は1番信頼できる先輩であったからであった。

もちろん搭載数といった性能面もそうだが、何より彼女なら性能等に関係なく己の積み上げてきた技術で圧倒してくれるはずという強い確信があったのだ。

やがて提督から救援部隊出撃を伝える無線を聞き、瑞鶴たちはそれが到着するまで撤退しながら懸命に耐えた。
361: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/03/23(土)02:49 ID:LY9D/QEiO携(20/38) AAS
救援部隊は赤城と二航戦2人の正規空母3人に、古鷹、川内、五十鈴という編成だった。

非常に強力な航空戦力に加え、鎮守府トップクラスの練度を持つ重巡洋艦1隻と軽巡洋艦を2隻、うち片方は対潜能力が非常に高い艦という、頼もしい編成だった。

その時には既に、甚大な被害を被って速度が落ちた瑞鶴達を追い回すように、敵艦隊は目視できる程には縮まっていた。

そしてやはり推測は当たっており、敵にはヲ級だけでなく装甲空母鬼までが居た。

こちらの損害は艦隊全員が中破以上、扶桑と球磨は大破であった。
省1
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