【艦これSS】不器用を、あなたに。 (624レス)
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73: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/01/09(水)00:08 ID:LspMO4cxO携(3/12) AAS
川内「神通...。那珂ちゃんの心を解体しちゃダメでしょ」

もう一人の姉妹艦が配線ケーブルを纏めながらツッコミを入れる。
彼女もまた、妹の閑古鳥が鳴くステージの手伝いをしていた。
夜戦好きの印象しかない彼女だが、実は妹や駆逐艦達の面倒見が良かったりする。また神通と共にこの鎮守府の古参であり、戦力と人格の両方の面で慕われている艦娘であることは意外な点である。
74: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/01/09(水)00:11 ID:LspMO4cxO携(4/12) AAS
神通「まぁ半分冗談ですけど、那珂ちゃんは普段からもっと大人しくしてて欲しいといいますか...」

こめかみを指で押さえて呆れているような表情をして言う。

神通「あ、もちろん姉さんもですからね?」

川内「え、私もなの!?」

那珂「なんで自分は大丈夫だと思ったの...。川内ちゃんへのクレーム、私のとこに来るんだからね?」
75: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/01/09(水)00:12 ID:LspMO4cxO携(5/12) AAS
ここで神通と那珂が指しているものは、もちろん川内の夜に騒ぎ出す習性についてである。
夜戦好きな川内は夜になるとハイテンションになる。それだけでなく、周りを巻き込んでまで夜間演習をしようとしたりするので、鎮守府に所属するあらゆる艦娘に大迷惑なのだ。
76: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/01/09(水)00:13 ID:LspMO4cxO携(6/12) AAS
神通「それと駆逐艦まで付き添わせるのはやめてください。あの子たちは遠征やら戦術講義やらがあって毎日大変なんですから」

川内「じゃあ軽jy」

神通「当然、軽巡洋艦や他の艦もダメですからね」

川内「うぅっ...妹たちが厳しいよ...」

トホホ...と、あざとく嘆く川内。
77: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/01/09(水)00:18 ID:LspMO4cxO携(7/12) AAS
川内「でも最近はクレームないでしょ?」

神通「そういえばそうですね」

那珂「あれ?なのに相変わらず夜騒いでるけど、もしかして川内ちゃん一人で夜戦でもしてるの?」

たしかに川内による夜間演習招集のクレームはここ1週間は聞いていない。その割には毎日夜に騒ぎながら外へ飛び出しているのだが。那珂の疑問は自然なものだった。

川内「そんな、一人でやる夜間演習なんてつまんなくて私でも飽きちゃうよ〜!」
省1
78: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/01/09(水)00:20 ID:LspMO4cxO携(8/12) AAS
お得意様、と聞いて妹達は首を傾げてしまう。そんなに川内の夜戦に付き合うのを厭わないでくれる艦娘など居ただろうか?

神通「姉さんの夜戦に付き合うなんていう物好きな人がいるんですか?」

当然またもや沸いてくる素朴な疑問を声に出した神通。
79: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/01/09(水)00:21 ID:LspMO4cxO携(9/12) AAS
川内「気になるぅ〜?」

川内は束ねた複数のケーブルを拾い上げながら、ニヤけた顔で2人を煽る。
神通の方を見れば、勿体ぶらないで教えてください、なんて表情をしている。

その時、彼女の視界にタイミングよく映りこんだ艦娘がいた。
それを認めた川内は、反射的にその方を指しながら声を上げた。
80: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/01/09(水)00:22 ID:LspMO4cxO携(10/12) AAS
川内「あ!ちょうどあそこにいる!」

神通と那珂はそのお得意様とやらが気になり、すぐに川内の指した方向を探す。その先に見つけたのは、2人が思ってもみなかった人だった。
81: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/01/09(水)00:24 ID:LspMO4cxO携(11/12) AAS
神通「えっ...山城さんなんですか...?」

那珂「(えっ、山城さんって...あの...)」

やはり驚きを隠せない。

那珂「...嫌われてる...戦艦だよね...?」
82: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/01/09(水)00:25 ID:LspMO4cxO携(12/12) AAS
本日はここまでです

また書き溜めを作らないと・・・
83: 2019/01/09(水)00:33 ID:Ebfrgo4Go(1) AAS
おつおつの
84: 2019/01/09(水)03:36 ID:ltGR0NTXO携(1) AAS
いいですね〜
85: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/01/11(金)01:20 ID:Rk+RUbUMO携(1/9) AAS
今日は寒かったですねぇ
明日も寒くなるんでしょうか

さて、ちょっと投下です
86: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/01/11(金)01:22 ID:Rk+RUbUMO携(2/9) AAS
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1ヵ月程前、つまり那珂がこの鎮守府に着任した時、山城はすでに嫌われていた。というより、これは後から知ったことなのだが、ちょうど那珂の着任のわずか3日前に“事件”が勃発していたのだ。
87: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/01/11(金)01:24 ID:Rk+RUbUMO携(3/9) AAS
那珂は艦時代に四水戦で指揮したこともあって、着任直後から村雨や夕立に歓迎された。そして自然に白露型達とよく話すようになると、すぐに彼女達が山城を憎んでいることに気づいた。それどころか、山城への憎悪の雰囲気は鎮守府の色々な所で見受けられたのだ。

もちろん他人事ではあるのだが、ここまで異常に嫌われているとなると気になって仕方がない。そこで那珂は着任して間もないうちに、遠慮気味にではあるが、皆が彼女を嫌う理由を夕立に聞くことにした。
88: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/01/11(金)01:25 ID:Rk+RUbUMO携(4/9) AAS
夕立「アイツは...時雨の幸運が憎いのよ...」

すると夕立は、怒気をはらみながらも抑えたトーンで、ゆっくりと答えた。

夕立「自分が不運だからって、時雨の幸運に嫌味を吐いたの」

こみ上げ続ける怒りを懸命に抑えながら言葉を紡ぐ夕立。
その様子は可愛らしい語尾で元気に話してくれる普段の夕立とはあまりにかけ離れている。
89: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/01/11(金)01:26 ID:Rk+RUbUMO携(5/9) AAS
夕立「しかもあのクソ戦艦は...他のかつての仲間たちにも暴言を吐いたわ」

夕立「私たち艦娘が1番大切にしている絆を、仲間ごっこと呼んで馬鹿にして...邪魔でしかない足枷ってほざいたわ...」

夕立の身体は小刻みに震えている。
90: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/01/11(金)01:27 ID:Rk+RUbUMO携(6/9) AAS
夕立「そして最後には...ニヤけながらっ...!そんなに仲間ごっこが好きなら、スリガオ海峡で時雨が私の代わりに沈めば良かったわね、って!!」

夕立「時雨が誰よりもスリガオ海峡のことを気にしてるはずなのにっ!」

夕立「アイツはっ...!それを分かってながら嫌味を言った!!」

夕立「こんなクズを...憎まないでられるわけないっ...!!絶対に許さないっ...!!」
91: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/01/11(金)01:29 ID:Rk+RUbUMO携(7/9) AAS
那珂はしばらく何も言うことが出来なかった。
嫌なことを思い出させてごめんね、とやっとのことで夕立に言った時には、彼女はすでに平静を取り戻しつつあった。

夕立「新しく来る人が事情を聞いてくるのは仕方ないし・・・」

夕立「むしろこっちこそ変な空気にしちゃってごめんなさい・・・っぽい」

そう言って夕立は苦笑する。
92: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/01/11(金)01:30 ID:Rk+RUbUMO携(8/9) AAS
夕立「だからね、あまりアイツとは関わらない方がいいと思うっぽい」

語尾こそいつも通りに戻ったが、その口調にはナイフのような鋭い冷たさが残っていた。

そしてこれが、那珂がこの鎮守府の山城を一番最初に知った時であった。
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