【艦これSS】不器用を、あなたに。 (624レス)
【艦これSS】不器用を、あなたに。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1546269785/
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559: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/05/03(金) 01:24:12.98 ID:BMm/1y0AO 今日は始業の直後から、早速大規模作戦に向けた部隊ごとの集まりがある。 もちろんこういう時も自ずと部隊の旗艦がリーダーのような役割を担うため、時雨はもう既に気分が良くなかった。 あんな奴に指図されたくない。 あんな奴より下の立場でいたくない。 あんな奴が旗艦だなんて、書類上では認めてやるが僕達は絶対に認めない。 そう強く思うのである。 時雨「僕達だけの力で作戦を成功させて...アイツの居場所を無くしてやる...!」 今にも溢れ返りそうな強い憎しみを胸に、時雨は第3隊の初ミーティングを待ち構えるのであった。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1546269785/559
560: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/05/03(金) 01:26:06.34 ID:BMm/1y0AO 〜 9:00 中庭 山城「集まってくれて嬉しいわ。昨日あれだけ煽っておいたかいがあったわね」 満潮「......チッ...」 最上「独り言はいいから早く始めてくれない?こっちは顔も見たくないんだからさ」 時雨「全くその通りだね」 攻略部隊第3隊は中庭でミーティングを始めようとしていた。 ボイコットすらありえるこのメンバー構成のため、そもそもこのミィーティングは開催する事すら一苦労である。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1546269785/560
561: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/05/03(金) 01:27:15.24 ID:BMm/1y0AO そういう理由からなのだろう。 山城とメンバー達が昨日口論になった発端も、山城が「あんたら群れるしか能が無い烏合の衆はボイコットとかしちゃうのかしら。勘弁ね」と煽ってきた事だった。 実際それは時雨達も考えていた事であったから、そのような煽りを受けなかったらわざわざミーティングになんて来なかったかもしれない。 挑発に乗るのは癪だが、あえて乗ってこの場で改めて自分達の立場をはっきりさせておこう。 そうメンバー達で決めて、嫌々ながらもきちんと集まる事にしたのであった。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1546269785/561
562: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/05/03(金) 01:30:11.19 ID:BMm/1y0AO 山城「じゃあミーティング始めるけど、まず最初に言っておくわ」 山城のその言葉に一同がさらに身構えた。 山城「アンタらが私を旗艦として認めたくないのは分かるけど...残念ながら実力と経験からして私しか無理ね」 山城「そういうわけだから、諦めて私の言う事は絶対聞いてもらうわ」 山城は冷たい口調で宣言した。 夕立「でも旗艦に相応しい人柄じゃないっぽい!」 満潮「......フフッ...夕立...w」 夕立が繰り出した鮮やかな横槍に満潮が噴き出す。 山城「はぁ。作戦の旗艦に人柄もクソもないでしょう。みんなが強いなら人柄で選べばいいけど、アンタらは雑魚なんだから」 対する山城は表情を一切変えずにあしらってみせた。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1546269785/562
563: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/05/03(金) 01:31:45.44 ID:BMm/1y0AO このメンバーの半数はだいぶ昔からいるというのに、その彼女達すら山城は“雑魚”呼ばわり出来てしまうのである。 ・・・だがそれは認めたくなくても事実ではある。 最上「...ウザイなぁ...」 早くも皆の表情が怒りに支配された。 山城「まぁだから私の言う事は絶対に守ってもらうわ」 山城「あとそれは作戦時だけじゃなくて、今日からの作戦準備期間中の第3隊に関わること全てについてよ」 山城「訓練メニューとかについてもだから、アンタらがみんなでのんびりできる日は基本来ないと思いなさい」 時雨「は?」 あまりに高飛車な要求に無意識的に声が出た。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1546269785/563
564: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/05/03(金) 01:34:39.05 ID:BMm/1y0AO 扶桑「...どうして?...何様のつもりなの?」 山城「姉様に命令するのは心苦しいのですが...生憎と戦力に不安がある者ばかりですので...」 時雨「...ッ!」 時雨は山城を睨みつける。 だが山城はまるで動じない。 山城「アンタらは弱いんだから、大規模作戦までになんとか強くしないと駄目なのよ」 山城「なのに口にするのは仲間だの絆だの...。こんな奴らに訓練委ねてたら成功する作戦も上手くいかないわ」 最上「...っ、仲間がいないお前には分かんないだろうね」 沸き起こる怒りを抑えて最上がすかさず嫌味で返す。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1546269785/564
565: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/05/03(金) 01:37:14.30 ID:BMm/1y0AO 山城「別に仲間を大切にしている人全員に言ってるわけじゃないわ。金剛とかにこんな事を言ったりしないもの」 山城「ただアンタらは、実力が無いくせにそういう実体の無いものにばかりすがろうとするから言ってるだけ」 山城「この鎮守府の最高戦力組ですらしっかり調整しとかないと危ない海域なのよ?そこんとこ分かってんの?」 満潮「...アンタに言われなくても分かってんだけど!?」 満潮が怒気をはらんで言い返す。 一方の山城はやはり冷静なままだ。 山城「分かってないから「旗艦の人柄が〜」とか言い出すんでしょ。和気藹々と深海棲艦相手に何するの?おままごとかしら?」 夕立「ッ...!」 先程の煽りをまんまと返されて夕立も苛立ちがピークになる。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1546269785/565
566: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/05/03(金) 01:39:22.39 ID:BMm/1y0AO 山城「...そうね、アンタも頑張れば改二が間に合うから“使える雑魚”くらいにはなるわ。まずはさっさと改二を目指すことね」 山城は満潮の方を冷酷な目で見つめながら言った。 山城「時雨は改二は間違いないけど練度が問題ね。ただでさえ脆い艦種の3人の中で、アンタが1番練度低くて幸運頼りの雑魚だし」 続いて時雨の方を向き暴言を吐いた。 山城「最上、夕立は...まぁ練度はそこそこだけど...相変わらず周りが見えない雑魚ね。艦隊運動スキルを何とかしなさい」 その次は最上と夕立。 山城の一人一人に対する批評もどきの暴言に、全員の怒りが限界まで到達する。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1546269785/566
567: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/05/03(金) 01:41:51.85 ID:BMm/1y0AO そこで爆発するのを止めるものは、やはり山城に実力では勝てないという事実なのであろうか。 どんなに熾烈に反発してみせても、どうしても負け犬の遠吠えになってしまうのだ。 つくづく山城が最古参勢で最高練度を保持する事が憎たらしい。 山城「姉様は改二に間に合わせるのは難しいかもしれませんが...姉様なら大丈夫です!全力でフォローします!」 扶桑「...不快だから馴れ馴れしく呼ばないでもらえる?」 扶桑の嫌そうな顔をみて、山城はバツが悪そうにすぐに目を逸らした。 だがこうして出来あがった最悪の場の雰囲気を気にする事なく、山城は話を続ける。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1546269785/567
568: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/05/03(金) 01:45:14.06 ID:BMm/1y0AO 山城「ちなみにこの事は既に提督に了承を得てるわ。気になるなら確認してみなさい」 満潮「...あのクソっ...!」 山城「彼も渋ったんだけど、それくらいの特権貰わないと統制出来ないと言ったら認めてくれたわ」 山城「そこで意地でも編成を変えないあたり、提督もアンタらみたいに絆とか大事にしてるみたいね」 山城「...まぁそんなものにこだわるなんて馬鹿だとしか思わないけど。」 ・・・コイツは分かっててわざと煽ってくる。 本当に腹立たしい。 こんな言動・・・許すものか! 黙っていられるわけがない・・・! 時雨「お前っ...」 時雨にとっての禁句を出され、ついに爆発する。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1546269785/568
569: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/05/03(金) 01:46:11.54 ID:BMm/1y0AO 山城「その代わり」 しかし、即座に時雨を遮るように山城が言葉を挟んだ。 山城「...その代わり、アンタらの命だけは保証するわ」 山城「私の言う事を絶対に聞くなら、どんな状況に陥っても必ずアンタら全員を生還させる」 山城「それだけは...約束するわ」 山城は力強くそう言った。 夕立「...こんな奴の力借りなくてもっ!」 夕立は強がるようにそう言う。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1546269785/569
570: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/05/03(金) 01:48:59.54 ID:BMm/1y0AO だが少なくても時雨においては、どうしても不安が拭えなかったのは事実である。 ・・・アイツの力を借りるものか、とあれほど強く決意していてもである。 昨日のブリーフィングでも、真っ先に思い浮かんだ事は憎しみではなく不安だったのだ。 夕立は別だが・・・それは他のメンバーも同じではないだろうか。 最上「...」 満潮「.......クソっ...。」 少しの間、今までヒートアップしていた場に静寂がもたらされる。 扶桑「...そんなに自信があるのかしら?」 やがて扶桑が沈黙を破って尋ねた。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1546269785/570
571: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/05/03(金) 01:50:27.48 ID:BMm/1y0AO 山城「不幸を散々経験してますから。良くない事が起こりそうな時はたいてい予測できます」 山城「案外、不幸艦だからこそ最悪を避ける能力には恵まれたのかもしれません」 山城は自身を皮肉るように笑ってそう言った。 扶桑はそれを聞いて少し考え込んだ。 そして・・・ 扶桑「そう...。分かったわ」 沈黙を維持している他のメンバー達を軽く一瞥して、扶桑はついに決断した。 扶桑「じゃあ私はそれでいいわ。条件は飲みましょう」 夕立「扶桑さん!?」 最上「扶桑...」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1546269785/571
572: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/05/03(金) 01:53:00.82 ID:BMm/1y0AO 扶桑「そこまで言うならいいじゃない。それに、指示に従いさえすれば何言ってもいいでしょう?」 山城「ええ、別に文句は気にしません。それに姉様達を奴隷のように扱おうというわけでもありませんし」 扶桑「こう言ってるし、どうかしら。正直私は作戦に不安もあるし、経験のある人の指示通り動く事はどのみち必要になるわ」 満潮「でもっ...!」 明らかな不満そうな満潮の肩にそっと手を置きながら扶桑は話を続ける。 扶桑「それでも、私達の絆は変わらないわ。西村艦隊4人と、そして夕立ちゃんと。」 扶桑「この5人でお互いに助け合って、大事にしあって、この作戦を乗り越えましょう」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1546269785/572
573: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/05/03(金) 01:54:43.97 ID:BMm/1y0AO その言葉は時雨の心にすんなりと入ってきた。 そして他の西村艦隊メンバーや夕立も、それは同じのようだった。 最上「そうだね...確かにボク達が仲間な事は変わらないもんね」 満潮「それもそうね。別に悪口言うなってわけじゃないんだし」 夕立「夕立も仲間に入れてくれて嬉しいっぽい!」 ・・・嫌いな相手ともビジネスの都合で交流しなくてはならない場合がある。 今回はまさにそのようなケースだ。 まぁ提督が望む程のレベルでは無理だが、合理的な指示だというならアイツの指示も聞いてやっていいだろう。 それは僕達の絆がアイツに屈する事を意味するわけではないのだから。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1546269785/573
574: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/05/03(金) 01:58:56.30 ID:BMm/1y0AO 時雨「うん。僕も扶桑やみんながいいなら同意するよ」 扶桑「決まりね...。じゃあそういう事で、指示に従うっていうのは妥協してあげるわ」 山城「姉様は理解が早くて助かります」 扶桑「その代わり...そっちも何言われてもいい覚悟は持っておくことね。まぁ、そんなの慣れっこでしょうけど」 扶桑は山城を睨みつけていた。 山城「...そうですね。慣れっこですから、構わないですよ」 独特な張り詰めた空気が場を支配した。 こうして第3隊は名実ともに山城が指揮をする事が改めて決まった。 憎悪を取り除く事なく結成されたその因縁の艦隊に未来はあるのか。 それは神のみぞ知る事である。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1546269785/574
575: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/05/03(金) 02:00:04.54 ID:BMm/1y0AO 今回はここまでです 令和も頑張っていきたいものです http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1546269785/575
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