【モバマスSS】森久保「王子になりましたが机の下に隠れています」 (20レス)
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1: ◆qTT9TbrQGQ 2018/12/12(水)21:10 ID:yW+ue/2d0(1/15) AAS
どうも、森久保乃々です。
現在、机の下に隠れています。

いつもはプロデューサーの机の下に隠れていますが、今日は事務室の隣の会議室にある机の下に隠れています。
今日だけは、ちょっと、本気で見つかりたくないので……
いや、普段は見つかりたいとか、そういうわけではないんですけど……

「乃々王子〜! どこに隠れているの〜!」

「乃々王子、出ておいでー!」

かな子さん、凜さんに、追いかけられています。
とても怖いので、捕まりたくないんです。ええ。
省2
2: ◆qTT9TbrQGQ 2018/12/12(水)21:19 ID:yW+ue/2d0(2/15) AAS
きっかけは、この前のライブのことでした。

うちのプロダクションの合同ライブで、かな子さんのソロ、おかしな国のおかし屋さんで、王子様の役として、もりくぼが抜擢されました。
王子様の役なんて、もりくぼにはとても無理だと思いました。もっと適任な方……もりくぼよりもかっこよくて、男らしい演技ができる……例えば、凜さんや李衣菜さん、光さんが、王子をやればいいんじゃないかと思いました。

でも、凜さんには
「乃々が王子? ピッタリじゃない、頑張りなよ」
と言われ、光さんには
「アタシは王子を守るヒーローだ! 乃々王子はアタシが守る!」
と言われました。

李衣菜さんにどうですかと聞いたら、李衣菜さんはノリノリでしたが、他のみなさんが「おかしな国の王子様はロックなの?」とか「権力者になったらロックじゃないんじゃない?」とか「ロックになるならQUEENでしょ?」とか、そんなことを囁かれ、言いくるめられ、辞退してしまいました。
王子様がロックじゃないなんて、そんなわけないと思うんですけど……
省3
3: ◆qTT9TbrQGQ 2018/12/12(水)21:21 ID:yW+ue/2d0(3/15) AAS
結果は……とても盛り上がりました。
ライブ中には「森久保王子ー!」というコールが飛び、ライブが終わると「森久保王子が最高だった」という声をよく聞きました。
森久保王子のイラストを描く方までいたりして……とても、嬉しかったです。

どうやら、森久保の雰囲気が"おかしな国の王子様"にピッタリだった、らしいです。意外性がウケたのもあると思いますが、そっちの声のほうが大きいみたいです。
おかしな国の王子様って、へんてこなイメージがあるのですが、そう考えると、もりくぼにはぴったりだったのかもしれません。
おかしな国の王子様……ふふふ、気に入りました。

それからが、悲劇の始まりでした。
4: ◆qTT9TbrQGQ 2018/12/12(水)21:22 ID:yW+ue/2d0(4/15) AAS
ライブが終わってから数日後、事務所でライブの感想の話をしていると、森久保王子の話題が出ました。

そのときに、褒められて、おだてられて、得意な気分になったもりくぼは、王子様の演技をしてみたのです。

かな子さんに、あの歌の中のセリフを喋りながら、実際に靴を履かせてみたり、アドリブで
「ガラス砂糖の靴は、貴方に本当にお似合いで、美しいです。まるでスポンジケーキと生クリームのよう」
みたいなことも言いました。

かな子さんは、ぽかーんとした表情をしていました。あの台詞、さすがにクサすぎましたね……と思った矢先、かな子さんがふらふらとソファーへ歩き寄り、うつ伏せで倒れて、動かなくなりました。

変なことを言ってしまって、かな子さんは大変ショックを受けたのでしょうか……なんて思っていたら、智絵里さんと杏さんの話し声が聞こえてきました。
省3
5: ◆qTT9TbrQGQ 2018/12/12(水)21:25 ID:yW+ue/2d0(5/15) AAS
その流れで、凜さんからも、
「ねえ乃々、私にも同じこと、やってみてよ」
と言われました。

いや、凜さんの方がどう考えても王子様って感じで、もりくぼが凜さんにやるなんて、そんなの、むーりぃー……
なんてことを言ったら、
「そんなことないよ。さっきかな子をノックアウトしたでしょ」
と返ってきました。そんな言い方だと、もりくぼがボクサーみたいじゃないですか……そんな気は、無かったんですけど……

仕方なく、またあの歌の中のセリフを喋って、最後にアドリブで
「いつもクールでかっこいい、憧れの存在ですが……笑うと、こんなに可愛いんですね」
なんてことを言いました。
省5
6: ◆qTT9TbrQGQ 2018/12/12(水)21:31 ID:yW+ue/2d0(6/15) AAS
その日はそれだけで終わりました。
というより、もりくぼのお仕事の時間になって、プロデューサーに運ばれていったので、その後どうなったかは……知りません。

次の日に事務室に来てみたら、扉を開けてすぐ、かな子さんと凜さんがプロデューサーさんに何やら話しているのを見ました。
時々まゆさんがプロデューサーのお話をするのと、同じような瞳を、同じような喋り方をしていました。

もりくぼは、怖くなって、扉をゆっくり閉めて、見なかったことにして逃げました。
しかし、それが二人には見つかってしまい、咄嗟に会議室へ逃げ、机の下に隠れ、今に至ります。
7: 2018/12/12(水)21:58 ID:1O5Bp7CD0(1) AAS
しぶりんのりんは凜じゃなくて凛な
8: ◆qTT9TbrQGQ 2018/12/12(水)22:01 ID:yW+ue/2d0(7/15) AAS
凛の誤字見落としてた……次レスから直します
9: ◆qTT9TbrQGQ 2018/12/12(水)22:02 ID:yW+ue/2d0(8/15) AAS
「凛ちゃん、あっちの部屋は全部調べたよ」
「ありがとう、かな子。こっちのトイレにもいなかったよ。ということは……」
「あとは、この会議室の中だけね。鍵がかかっているみたいだけど……話し声も聞こえないし、乃々が内側から鍵をかけてるんだね。……乃々、出ておいで」

扉の向こうから、恐ろしい会話が聞こえてきました。
もりくぼの行動、バレバレです。……いえ、会議の声が聞こえないのに鍵が閉まっていたら、怪しいに決まっていますよね。うかつでした。
でも、諦めてくれるかもしれない。そう考えて、返事をせず、じっと待ちます。

「うーん……返事も無いし、もしかしたら寝てるのかも……ちょっとプロデューサーから会議室の鍵、貰ってくるね」

鍵をかけておけば大丈夫と思ったら、会議室の鍵を借りてまで、もりくぼのことを探そうとしてくるなんて……凛さんの行動力というか、思い切り、すごすぎるんですけど……
このままでは、すぐに机の下にいるのも見つかってしまいます。絶体絶命です。
10: ◆qTT9TbrQGQ 2018/12/12(水)22:03 ID:yW+ue/2d0(9/15) AAS
凛さんが来るまでに、どうにかする方法を考えていました。
……ひらめきました。扉のかげに隠れて、入れ違い作戦です。うまくいくかどうかは分かりませんが、見つかるのを待つよりはマシです。

凛さんの足音が聞こえました。もりくぼは、覚悟を決めます。

「かな子、どうやらここ、プロデューサーがずっと鍵を閉めてるみたい。なんでも、前に麗奈がイタズラに使ってたから、最近鍵をかけるようにしたんだって。乃々はそもそも今日プロデューサーに会ってないし……本当にどこ行っちゃったんだろう」

……え?
11: ◆qTT9TbrQGQ 2018/12/12(水)22:05 ID:yW+ue/2d0(10/15) AAS
しばらく会議室に引き篭もっていると、プロデューサーさんの声が外から聞こえました。
「入るぞ」
すると、会議室の鍵を開けて、中にやってきました。

もりくぼは机の下から出てきて、プロデューサーを迎えました。

「かな子と凛はレッスンに行ったから、もう大丈夫だぞ。というか二人とも何か凄い形相で『乃々はどこ!?』とか『会議室に閉じ篭ってるだろうから、鍵を貸して!』とか言ってたから、つい『会議室はずっと鍵かけっぱなしだぞ』なんて嘘をついて退けたけど……これで良かったよな?」

プロデューサーさんは仏です。もりくぼが会議室にいることを悟って、最善の対応をしてくれていました。
そして、最大の脅威が去ったことを知って、胸をなで下ろしました。

「んで、あの二人以外は森久保を心配しているけど、……今日は帰るか? 確か今日はお仕事もレッスンの予定も無かったよな?」
「え、ええ……いえ、せっかく来ましたし……ちょっと寄ってきます。美鈴ちゃんも輝子ちゃんも、いますよね……?」
「ああ、めっちゃ心配してたな」
省4
12: ◆qTT9TbrQGQ 2018/12/12(水)22:05 ID:yW+ue/2d0(11/15) AAS
事務室に戻ると、本当に皆さん心配していたようで、手厚く、もてなされました。
机の下に入れてもらい、そこから会話に参加していました。

もちろん"森久保王子"の話題にはなりましたが、もう歌のあの場面の再現をやろうという話にはなりませんでした。

智絵里さんが、
「私もお姫様役、やってみたかったんですが……おかしな国の魔法にかけられたくないので……」
と言ったのを皮切りに、
「アドリブで何か付け足すのは、もうやめたほうがいいかもね。乃々って的確にツボを突いちゃうからさ」
「ウチも興味はあるけど、確かに怖いな……何を言うかだけは気になるぞ」
「わ、私はそもそも、キノコの国の女王様だから……」
という反響がありました。もりくぼの作詞力が、生かされすぎたのでしょうね……と言うと、自慢みたいでイヤですけど。
省3
13: ◆qTT9TbrQGQ 2018/12/12(水)22:08 ID:yW+ue/2d0(12/15) AAS
「いや、ハマリ役だろ」
プロデューサーさんから、すかさずツッコミが入ります。
他のみなさんも同調していました。

「王子様は王子様でも……机の下の国の王子様になりたいんですけど……」
「「そんな国ないだろ!!」」

今度はプロデューサーさんと美玲さんから同時に突っ込みが入りました。
見事なハモリに、ちょっと笑ってしまいました。

「あれ、今、乃々の声が……」
扉の方をこっそり見ると、そこには、かな子さんと凛さんが立っていました。
14: ◆qTT9TbrQGQ 2018/12/12(水)22:20 ID:yW+ue/2d0(13/15) AAS
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「やっぱり乃々ちゃん、王子様のファッション、似合うね」
「うん。思った通り」

どうやら二人が私を探していたのは、もりくぼにピッタリの王子様っぽい服を借りたので、それを着せてみたかったから、みたいでした。
それを聞いたプロデューサーさんは
「すぐに終わるなら森久保もいいだろ?」
と、もりくぼを差し出しました。

一着しか借りていないみたいで、ちょっと見たらそれでいいとのことだったので、もりくぼも承諾しました。
そこまでひどいことにならないと分かっていたら、必死に逃げたり、会議室なんかに閉じこもったり、そんなこと、しなくて良かったと思うんですけど……
「もりくぼ、逃げなくてもよかったんですね……取り越し苦労でした」
省4
15: ◆qTT9TbrQGQ 2018/12/12(水)22:28 ID:yW+ue/2d0(14/15) AAS
かな子さんと凛さんには結局見つかってしまいましたが、何事もなくて、本当に良かったです。
そう思っているところ、もう一人、事務所にやってきたようでした。

「おや? あそこにいるのは……王子様……?」
扉の方をみると、そこには日菜子さんが立っていました。

「これが噂の森久保王子ですね……むふ……むふふ……」
そんなことを口から漏らしながら、もりくぼに、ゆっくりと近づいてきます。
もりくぼと身長は大差ないはずなのに、ものすごい威圧感を感じます。

「話に聞いていたより、素敵ですねぇ……ひょっとして、王子様、私を迎えにきてくれたんですか?」
「いいえ、王子様は私のことを迎えに来てくれたんですよ」
「ううん、乃々は私のだよ。むしろ私が迎えにきたんだよ」
省4
16: ◆qTT9TbrQGQ 2018/12/12(水)22:29 ID:yW+ue/2d0(15/15) AAS
森久保には古典的なオチが似合うと思うんですけど……
HTML化依頼してきます
17: 2018/12/12(水)22:37 ID:MYo5wGNV0(1) AAS


ライブ見れなかったから森久保王子見たかった
18: 2018/12/13(木)01:33 ID:Jounr6/n0(1) AAS

19: 2018/12/13(木)03:10 ID:TUXM1eSj0(1) AAS
おつ
素晴らしい
20: 2018/12/13(木)17:32 ID:ir6NmZcbo(1) AAS
おつ
りんのの……りんのの……
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