[過去ログ] 真・恋姫無双【凡将伝Re】3 (1002レス)
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(1): 一ノ瀬◆lAEnHrAlo. [saga] 2019/03/12(火)21:14 ID:bujBfDah0(1/5) AAS
時は暫し遡る。
江南。孫家が治めるその地。そしてそこでは孫家の重臣たちが一堂に会し、喧々諤々と議論を繰り広げていた。
そして孫家の主たる孫権は瞑目し、一言も喋らない。その右には陸遜が、左には黄蓋が控える。即ち孫家文武の要である。方や孫堅から仕える譜代。方や孫権から仕える新参。
この二人を侍らす孫権の手腕は、分かる者には分かるし、分からない者にも磁力を帯びる。

……孫家を継いで日が浅いとはいえ、孫権は孫家を見事に掌握していた。これは先代である孫策はじめ、重臣たちの合意(コンセンサス)として、次代の孫家は孫権が率いるという認識が共有されていたのが大きい。
それに、孫策を暗殺したとして孫家に反抗的な豪族を処分したのも大きい。
だが、一番大きいのは孫家を支える柱石が彼女を盛り立てていることであろう。
陸遜は周瑜の抜けた穴を補って余りあるほどに精力的に政務に取り組んでいたし、これまで軍部を預かっていた甘寧はもとより孫権の腹心である。
勿論孫権の真面目な政務ぶりが臣の心を打ったのも大きいであろう。
だが、最も影響が大きい人物を一人挙げるとしたら彼女しかいない。

黄蓋。

孫策の先代である孫堅の代から孫家に仕え、幾多の戦場を駆けた宿将である。
孫策の急逝。孫尚香の帰省に伴い帰還した彼女が孫権を支持し、補佐したということはそれほどに大きな意味を持つ。
帰還してすぐ膝を折ったその姿。その背中が全てを語っていた。

ともあれ、万全たる体制……とは言えないながらも過不足なく孫家は孫権の下に確実に地歩を築いていた。
そこに飛び込んできた報せ。

「袁胤。叛す」

……本来、袁胤の叛乱は十常侍と孫家――孫策が主導する袁家に反感を持つ勢力――が連携して袁術を確保する計画であった。
で、あるから孫家に連携を求めて一報が入るのは至極当然のことである。

孫策の死については諸説あるが、孫権が紀霊の指示で孫策を暗殺したという説の妥当性に疑問を投げかける史家は多い。
何となれば孫権は長期間の人質生活。それを袁家で過ごしており、彼女と紀霊との関係が親密であったらこのような報せが孫家に、孫権の下に届くはずがないからである。
一方この時期においては、孫権と紀霊の関係は極めて険悪であったという記録もあることから、紀霊が孫権と対立していたという考察もある。

ともあれ、その報せを受け、袁胤の誘いを受けるかどうかで孫家の重臣たちは深刻な議論を重ねていたのである。

趨勢は中立に傾いている。曰く。

「付き合っていられるか」

孫権が孫家を継いで日は浅い。いくら盤石に見えてもそこかしこに綻びはある。なればこのまま足元を固めるべし。
なに、袁胤単独で袁紹率いる袁家軍をどうこうできるはずもない。であれば此方に助力を求めてくるであろう。
これまで散々孫家を翻弄していた袁家の双方がこちらにすり寄ってくるはずだと。
ここは静観こそ最善。前提として袁胤の勝利の展望があるが。

対抗するは袁術を支援すべし、という意見。
艱難辛苦(かんなんしんく)を凌ぎ切ったのは袁家の……紀霊の援助によるところが大きい。
そして忘恩の徒となるのか、と。

前者は甘寧、後者は呂蒙がその最右翼であり、激しく言葉を交わしている。
……流石に積極的に袁胤を援けるべきという意見は少数である。のだが。

だがどうやら議論も甘寧優位で推移しそうだと孫家の重鎮たちはほくそ笑む。
孫策が植えつけてきた袁家への敵愾は、一朝一夕で晴れるものではないのだ。

恐らくはこの議論の流れを預かり、孫権、陸遜、黄蓋の三者で方針が決められるであろう。
行く末が見えてきたとばかりに場の雰囲気が緩み始める。

激しく論を交わす甘寧と呂蒙。
その議論がふと途切れた瞬間に甲高い声が響き渡る。

「ばっかじゃないの?!」

……孫堅の忘れ形見、孫尚香である。
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