[過去ログ] 真・恋姫無双【凡将伝Re】3 (1002レス)
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2(1): 一ノ瀬◆lAEnHrAlo. 2018/05/11(金)22:11 ID:cEso93vP0(2/4) AAS
「万歳!万歳!万歳!」
どこかから、声が上がる。それを聞いた民衆は口々に唱和する。
酒が入り、当然喧嘩も起こる。それでも、どこからか聞こえる万歳の声。先ほどまで殴り合っていた者同士も肩を組み、万歳を唱和する。
めでたい、めでたい日である。
振る舞い酒は美味いし、そこかしこから聞こえる音楽も鳴り止まない。
この上なくめでたい日である。
「つっても、ほっつき歩いてた風来坊が帰ってきただけなんだけどな」
「身もふたもないですね」
男たちはくつくつと笑い合う。
沮授と張紘。それぞれ官僚と財界のトップの二人は義兄弟でもある。
袁紹の思いつきを短期間で具現化し、今日の一大セレモニーにつなげたのも彼らの辣腕あってのこと。
「しかし、こんなとこで油売ってていいのか?」
「ええ、構いませんよ。郭嘉さんがいますからね」
「確か二郎が拾ってきたんだっけか」
「ええ、そうですよ。全く、どうやったらあんなに優秀な人物を見いだし、登用できるのかと。
いやはや、二郎君は本当に埒外ですよ。
本当に、ね」
自身の声望を疎み、わざわざ偽名を名乗って仕えるべき主君を探していたという郭嘉。
新参の身故、暫くは沮授の補佐という立場になろうが、表だって地歩を固める日もそう遠くはないだろう。そう沮授は思う。
実際、日々その存在感は高まっているのだ。
「まあ、おいらも二郎に拾われた身だしな」
「おや、そういえばそうでしたね。何とも懐かしい話です。
……張紘君こそお仕事はよろしいので?」
くすり、と微笑み張紘に問う。
「おう、魯粛が帰ってきたからな。かなり助かってる」
「にしても帰参してすぐにとは。人使いが荒くないですか?」
「いいんだよそれくらいで。勘も取り戻してもらわないといけないしな」
それにややきついくらいの負荷をかけないと全力で働かないし、と言って笑う。
「おやおや、これは恐れ入りました」
話は尽きない。互いの立場もあり、こうやって馬鹿話に花を咲かせる機会も減ってしまっている。
が。
「すまん、遅れちった!」
慌ただしく駆け寄るこの青年がいれば問題はないだろう。
「いえ、お気になさらず。今日の主役なのですから」
「そうそう。むしろおいらたちは後日でもよかったんだぞ?」
何せかれらは義兄弟。その絆は永遠。
「いやまあ、ここを最後に思いっきり呑んで騒ぐつもりだったんだけどな。
次が入っちまってさ、すまん。また今度ゆっくり呑もうや」
「そんなこったろうって思ってたよ」
「本当にお気になさらず。姫君たちを優先してください。
それより」
沮授が紀霊の杯に酒を注ぐ。
「お、火酒か。ようやく実現したなー」
「おう、李典のお蔭でな」
「それでは」
それぞれに杯を掲げ。
「二郎の帰還を祝って」
「袁家の隆盛に」
「俺たちの絆に」
乾杯。
男たちは杯を干し、笑い合う。
やがて挑む奔流、激流。翻弄されても、彼らの絆が切れることはない。
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